リボーン×ニセコイ!-暗殺教室~卒業編~-   作:高宮 新太

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標的13 Mafia italiana(イタリアマフィア)

 日本で六道骸たちが不穏な動きをしている頃。イタリアでは。

「ヤバイな。モタモタしてたら会議に遅刻しちまう」

 森の中を走り去っていく青年が一人。年は二十代前半といったところか。

 銀髪でまるで触覚を生やしたかのような髪形にスラリとした高い身長。鋭い目つきのその青年は、焦ったかのように額に冷や汗をかいていた。

 そんな男を狙う影が一つ、二つ。

 狙撃銃を掲げ、スコープ越しに青年をのぞき込むその男たちは、無線で連絡を取り合う。

「コードaターゲット確認。ロック完了」

「コードb同じく」

「コードcも同じく」

「よし。これより作戦に入る。ボンゴレファミリーにおいて最重要人物であるボンゴレ十代目の右腕、獄寺隼人(ごくでらはやと)暗殺任務を」

 そう男が呟くと無線から「了解」の声が。

 それっきり、無線は音を発さない。静かな森のさざめきと、小鳥たちのさざ波があるだけだ。

 整えられた呼吸が、男の頭に響く。男は頭の中を空っぽにして、ただ、引き金を引くことだけを考えた。

 そして、銃声音。

 は、しない。

「・・・・な、んだと」

 サプレッサー付きの銃など彼らにとっては当たり前だった。

 なので、それに驚いたわけではない。

 驚いたのは、確実に射抜いたはずのターゲットがその場に佇んでいたからだ。

 銃弾が外れたわけではない。走っている対象の速度と地形を計算して照準を待ちかまえ、ジャストで引き金を引いたはずだった。

 男は三人一組のチーム。いわゆるスリーマンセルを組んでいた。

 彼はその中の実行犯。残り二人は彼が狙撃失敗した時の保険。

 獄寺を暗殺すること、それはすなわち、裏社会の勢力図を塗り替えることを意味している。

 なぜなら実質ボンゴレは獄寺が回していると言われているからだ。

 裏社会が嫌いなボンゴレ十代目はめったに顔を見せない。その代り獄寺がボンゴレの手となり足となっている。

 それが裏社会での通説。

 そんな獄寺を殺せば、間違いなくボンゴレに大打撃を与えられることは必至だろう。

 名も持たないマフィアはそうすることでしか生きられない。

 男も、そんなマフィアの一員だった。

 任務失敗=死。簡単な図式だった。

 だから、このチャンスを、獄寺隼人が一人になっているこのチャンスを彼らは逃すわけにはいかなかった。

 照準を合わせて、頭を空っぽにして、引き金を引いた。 

 ただ一人の男を殺すべく、殺意を持って。

 撃った。

 だが、男は死んでいない。ただ、じっと背中を見せてそこに立っているだけだ。

 彼は訳が分からなかった。スコープ越しに見るその光景に。

 何度も瞬きして、ようやく狙撃が失敗したのだと理解した。その原因まではわからなかったがするべきことは明白だった。

 仲間に連絡すること、ただそれだけだ。

「おい、コードb、c!聞こえるか!狙撃が失敗した!俺はこれより二人のサポートに回る!即刻対象を暗殺せよ!」

 ・・・返事は、帰ってこない。

 砂嵐のようなザーっとした音が返ってくるのみである。

「コードb、c!」

 再度呼んでみるも、やはり返事はない。

「いったい何が・・・・」

 現状を把握しようと、彼はスコープ越しに獄寺を見ようとした。

「ガオオオ!!」

「おわっ!」

 彼がいたのは、森の中の見晴らしの良い崖だった。ここからターゲットまでは数百メートルはある。

 にもかかわらず、彼は飛びのいた。

 なぜなら、目の前に豹がいたから。

 ここは森である。獣の一匹や二匹。いたってなんらおかしくはない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

嵐豹(パンターラ・テンペスタ)!?」

 その匣兵器は見覚えがある。獄寺の傍にいつもいる有名な匣兵器だ。

「な、なんでここが!?」

 先も言ったがここから獄寺がいる地点は数百メートルも離れている。肉眼で視認することなど不可能に近い。もちろん彼はカモフラージュに土と同化しているように見えるマントまで装着済みである。

 見つかるわけがない。彼はそう思っていた。

 いや、仮に見つかったのだとしても対応が早すぎる。事前に察しでもしていない限りこの迅速さはあり得ない。

 だが、現に目の前には今にも牙をむきそうな嵐豹。

 早くなる鼓動と、したたり落ちる冷や汗。嵐豹と目と目が合う。少しでも離せばその瞬間に殺されるだろう。

(なにか、なにか打開策を・・・・・)

 詰まる脳みそでそれでも必死に考える。

 懐には拳銃とナイフがそれぞれ一丁ずつ。だがこんなもので匣兵器と戦おうなどとは彼は考えていなかった。

「くらえ!」

 素早く拳銃を引き抜き、照準を合わせる暇もなく引き金を引く。

「————————!」

 嵐豹は当然のようにその銃弾を避け、そのままの勢いで彼を引き裂こうと右腕を振り下ろした。

 ・・・・・が、そこに男はいない。

 キョロキョロと探し、そして見つけた時には既に男は崖の下。

 拳銃は牽制。男はイチかバチか、崖を転がり落ちていたのだ。

「グルルルルル」

 下を見る。男は落ちたままピクリとも動かない。

 死んだ。そう判断した嵐豹はシュルシュルと体が縮んでいく。

 男は死を覚悟して崖を飛び降りた。どうせこのまま睨み合っていても待っているのは死のみだっただろう。

 ならばと、イチかバチかの賭けに出たのだ。

 結果は、バチのほうだったようだが。

「ニャア!」

 そんなことを考えていたのかどうかは分からないが嵐豹は、嵐猫に姿を変えた。

 トコトコと主のとこに戻るために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———————SISTEMA C.A.I.(システーマシーエーアイ)」

 獄寺隼人はそう呟く。

 腰にはいくつもの匣。その匣のいくつかを開匣して、獄寺は刺客を退けていた。

 SISTEMA C.A.I.(システーマシーエーアイ)それは獄寺自身が開発した瞬時武装換装システムのこと。

 いくつかの属性リングと匣を順序良く開匣していくことにより力を発揮するシステムだ。

 これにより、戦闘では使えない炎圧の属性の炎も、互いに互いを補い合うため戦闘で使えるレベルまで引き上げられる。

 獄寺は嵐、雨、雲、雷、晴の五つの属性を扱うため、もってこいのシステムを開発したといえよう。

「ったく。こちとら急いでるってのによぉ」

 そんな獄寺の側には伸びている刺客が二人。

 森に溶け込むようにご丁寧に迷彩柄の戦闘服まで身に着けている。

 そんな二人をしかし獄寺は右腕にセットされた髑髏型のガントレットで退けた。

 までは良かったのだが。

 獄寺は周りを警戒した。

 一番最初に狙撃された時、獄寺はシールドで防ぐことができた。のは、相棒である(ウリ)という嵐猫が教えてくれたからである。

 その瓜の気づきがなければ、獄寺は致命傷を受けていたことだろう。

 獄寺を狙う刺客がこれで終わりだとは限らない。

 イタリアマフィアの中でボンゴレは地位を確立し、その地盤を固めてはいるが未だこういったゲリラ的な暗殺が後を絶たない。

 狙われるのが日常と化して幾数年。最早こういった事にも慣れてきている獄寺ではあるのだが、油断した瞬間バン!なんて笑えない。

「・・・・・・周囲に炎反応はなし、か」

 ジャンニーニと呼ばれるボンゴレの開発顧問が開発した携帯型炎感知システム。その端末を手に、獄寺はそう呟く。

 その携帯端末は周囲半径三キロ以内の炎を、場所、種類、炎圧の三つの観測値で所有者に教えてくれる優れものである。

 今日び、リングを持っていないマフィアなどこのイタリヤにはおらず、よってほぼすべての戦闘を事前に知らせてくれるわけだ。

「にしても故障か?反応がなかったんだが—————————」 

 舌打ち交じりに獄寺は不満を口にする。帰ってジャンニーニをとっちめようと心の中で決めたとき、ガサゴソとした物音が側の茂みから聞こえた。

「———っ!」

 即座に、右腕に携えたガントレットを怪しい茂みに向けた。銃弾はセット済み。あとは、姿を見せたところをズガンと、一発ぶち込むだけ。

 わずかな沈黙。

「ニャア」

「瓜!」

 その沈黙を破って、茂みから現れたのは瓜だった。

 額の炎は微弱なもので、瓜はシュパシュパと眠そうだ。

「やっぱ、まだ嵐豹は完全には制御できねえか」

 嵐猫の瓜はSISTEMA C.A.I.の一部であり、怒涛の攻撃の核となる存在だ。その嵐猫に、他と同様晴の炎を注入すると嵐豹に変化するのである。

 だが、正直なところ、このシステムだけはまだまだ未完成な部分があり変化すると多量の炎を消費してしまうのだ。

 そのせいで、嵐豹の姿を保つのも持って数分。そしてその代償としてしばらく瓜は眠ってしまう。

「修行っつても、もう昔みたいに時間を自由にできねえからな。すまねえ瓜」

「ニャア・・・・」

 瞼をごしごしとこする瓜は今にも眠りそうにこっくりこっくりと頭を揺らしている。

 普段はずっと外にいる瓜を匣に戻し、さて。と改めて獄寺は前を向く。

「やべえ、マジで遅刻する」

 そう呟いて、獄寺はもう一度走り出す。

 目的地である。屋敷に向けて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 荘厳な建物。煌びやかな土地。

 それがここイタリアの都市部の印象だった。

 歴史と伝統を受け継ぎ古くからある都市だった。

 自然も豊かで住みやすいと評判で人口は多い。

 人は活気にあふれ、街には笑顔が絶えない。時より物騒なことも起こる。

 そんな普通の町、その普通の町の少し離れた郊外。

 静かな森の中にその建物はあった。

 荘厳な建物と煌びやかな土地。

 とは少し毛色が違った。

 建物は広いといえばそうなのだろうが、荘厳というよりかは質素で周りも草木やその土地特有の花で覆われている。

 美しい自然には囲まれているものの、一言で言ってとても地味な建物だった。

 これがイタリアマフィアを取り仕切っているボンゴレの本部の一つと言われて信じるものなど極僅かであろう。

「ゔお゙ぉい!こんな田舎みてえなとこで会議やるのか!?」

「もうー、そんなこと言ったってしょうがないでしょ?ここがセキリュティ的に一番なんだってー、言われたのよ?」

 長い銀髪に、猛々しく吠える声。

 オカマ口調にオカマ。

 スクアーロとルッスーリア。その二人が、バンで森の中に来ていた。

 理由など一つしかない。

「スクアーロ、とルッスーリアか。もうそんな時間か。しくったな」

「あ゛あ゛?」

 森の中、道ならぬ道から頭に葉っぱや枝をくっつけて獄寺隼人が登場した。

「なーにやってるの?そんな汚い格好して?」

「けっ。ちょいと野暮用だ」

 そこで、獄寺は一つ気づいた。

「おい。ザンザスの野郎はどうした?」

「ボスなら来ねえよ」

 獄寺は一つため息をつく。

 まああのザンザスの性格を考えたとき、素直に来るほうが驚きではある。

「それよりも、緊急会議、それも私たちヴァリアーまで召集されるほどの会議って何かしら?内容も知らされてないんだけど?」

「それでボスが来るわけねえぜ」

「それは、十代目から話がある。とりあえずついてこい」

 獄寺は二人を背に、十代目のいる屋敷へと入っていった。

 屋敷の中は生活感が漂っていて、どちらかというと家という認識のほうが正しいように思える。

「当たり前だ。ここは十代目が在住なさっている家だからな」

「へー、そんなとこに呼び出されたの?私たちは」

「仕方ねえだろ。極秘案件なんだ。ここが一番安全だ」

 獄寺は居間を通り二階に進む。

 廊下を歩き、二つ目の扉を開く。

 すると、一階とは違いいかにも会議用の縦長の木製の机と椅子がいくつか。

「あ!獄寺殿!お久しぶりです」

 そこには先客がいた。

 一昔前の武士のような口調に人懐っこい笑顔。碧眼に肩ほどに伸ばした亜麻色の髪。

 バジル。本名バジリコン。ボンゴレ外部組織・門外顧問組織CEDEF(チェデフ)に所属するイタリア人の少年である。

「・・・・・・・」

 後ろにいるのは同じくCEDEFのラル・ミルチ。

 藍色の長髪に鋭く切れ長の瞳。控えめに見積もっても美人な軍人である。

 そっぽを向いて、ちらりとこちらを見るだけで大した反応はない。

「なんだ。もう来てたのか」

「はい。数分前に」

 そう答えるのは、オレガノという眼鏡をかけた金髪のOL風の女性。勿論CEDEFである。

「ここで待ってろ。今十代目をお連れしてくる」

 獄寺は、その部屋を後にし十代目である沢田綱吉を呼びにいく。

 残ったのはCEDEFの三人とヴァリアーの二人である。

「・・・・・ザンザス殿は、来られないのですか?」

「来るわけねえだろ。大体、オレらは今日の内容すら把握してねえんだ」

 スクアーロはドカッと椅子に腰かけると、不機嫌そうにそう悪態をついた。

「それは、拙者たちも同じです」

「・・・・なんにせよ、沢田が来ないと話にならん」

 背を壁にもたれかかったままラルはそう言う。

「ったく。くだらねえ話だったら承知しねえぞぉ。沢田ぁ」

 静かに怒りを燃やしながら、スクアーロの目つきは数倍悪くなっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・十代目。獄寺です」 

 コンコンとノックをして、獄寺は名乗る。

 廊下の奥にある部屋。執務室となっているそこに十代目、沢田綱吉はいる。

「どうぞ」

「失礼します」

 乱雑に散らかった書類があちらこちらに散らばっているその部屋の中央。

 重厚なイタリア製の机の上、山積みにされた書類と書類の間から声の主、沢田綱吉は顔を上げる。

「CEDEF、ヴァリアー。両組織ともお見えになりました」

「ごめん。この書類が終わったらすぐ行くから」

「あのアホ牛・・・・ランボの奴はどうしたんですか?確かこの屋敷に居候していましたよね?」

 ランボ。ボンゴレ現雷の守護者。15歳。

 もじゃもじゃ頭に牛柄のシャツをよく着ていることから獄寺は普段アホ牛とよんでいる。アホなのはめんどくさがりで泣き虫という性格だから。

「ランボ?ランボは・・・・・えっと、どこに行ったのかな?」

 どうやら沢田綱吉はここ最近ずっと書類と格闘しっぱなしだったらしい。申し訳なさそうにポリポリと頭を掻いている。

「あの野郎・・・・!大事な会議があるって伝えといたろうが・・・!」

 獄寺はプルプルと握ったこぶしを震わせ、それを綱吉が宥める。

「まあまあ。目を離した俺の責任でもある。それに最近構ってやれてなかったから」

「十代目が気にすることではありません。あのアホ牛。いくつになってもアホのままで・・・・!」

 ジャンニーニと共にとっちめる奴が一人増えたと頭の中で決めた獄寺はそのまま綱吉の書類が片付くまで見守る。

 どの書類もボンゴレ十代目である沢田綱吉が目を通し、ハンコを押さなければならない重要なものだ。手伝えるようなことは何もなかった。

(くっ!右腕である俺がもっと早く屋敷についていれば。いや、もっと早く任務を片付けていれば、十代目をこんな急かすようなことなかったのに)

 自分の不甲斐なさに奥歯をぐっとかみしめる獄寺。

 そんな獄寺をよそに、綱吉は書類に見切りをつける。

「よし、こんなもんかな。待たせてごめんね」

「いえ!十代目のためなら俺はいくらだって待ちますよ」

 胸を張ってそう答えた獄寺に礼を言いつつ、綱吉は待ち人のことを口にする。

「バジル君も、ヴァリアーの人たちも待たせちゃったかな」

「いえ、それくらいどうってことありません。十代目を待つなんて逆に名誉なことです」

 逆に、の意味がよくわからなかったが綱吉はいつも通りな友人に苦笑する。

「さて、じゃあ行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数メートルほど廊下を進み、ライオンの頭を模した飾りがドアに飾られている部屋。普段重要な会議やなにか機密事項を話すときなどに主に使用する部屋に沢田綱吉はノックもせずに入った。

「お待たせ。待たせてごめん」

「沢田殿!お久しぶりです」

「久しぶり、バジル君。二年ぶり、くらいかな?」

「そうですね、最後にあったのはアメリカでの任務でしたから」

「ラルも久しぶり」

「・・・・・ふん」

「ゔお゙ぉい!!遅せえぞぉ!沢田ぁ!!」

 久しぶりの旧友との再会に会話も弾むがスクアーロの一言でそれも中断される。

「待ちくたびれたわ」

「二人も、相変わらずだね。・・・ザンザスは、やっぱり来なかったか」

 あたりを見回すまでもなく、綱吉は真ん中に腰掛ける。

 椅子に座っているのは、CEDEF代表のバジルとヴァリアー代表代理のスクアーロ。そして綱吉だけだった。他の面々は壁にもたれかかっていたり、横に立っていたりと様々だ。

「たりめーだ。こんなわけのわからん会議にボスがわざわざ来るわけねえ」

 スクアーロは不機嫌そうに肘をついてそう言う。

「何をおっしゃいますか。沢田殿が緊急に、それもご自分のお屋敷に召集なされたのですよ。重要な案件に決まっているでしょう」

「うん。まあじゃあ早速その件について話そうか」

 ようやく腰を落ち着けて綱吉は口を開く。

 

 

「早速で悪いけど、みんなヘルリングのことについては知っているよね」

 

 

 ヘルリング。綱吉がそう口を開いた瞬間。それまでの空気が一変、緊張が走る。

「・・・なにか、情報をつかんだのか?」

 神妙な面持ちで訪ねるラル・ミルチ。

「確か、ヘルリングは霧のリングの中でも最高峰のリングで、その歴史は古くは死ぬ気の炎が観測される以前からあったとそう親方様から聞いたことがあります」

 親方様。CEDEFの元ボスで沢田綱吉の父親。現在は日本で妻と有意義に少し早い老後を送っている。

 元、というのは現在のボスはバジルだからだ。一年前にその座を綱吉の父、家光から譲り受けた。

「うん。未来ではそれを六道骸と幻騎士、フランに川平のおじさんがそれぞれ所有していたんだけど」

「現在、その中の一つが行方不明になってる」

 綱吉の言葉を獄寺が引き継ぐ。

「・・・・・確かに、あれは使用者の精神を崩壊させる。放っておくのは得策ではないな」

 ラルが神妙な声でそういうと。

「ウチのフランはちゃんと持ってたぞ。666(トリプルシックス)のヘルリングをなぁ゛!」

 なぜか少し自慢するようにスクアーロは声を張り上げた。

「うん。骸も二つ持ってた」

「川平の叔父殿も持っていたのをCEDEFが確認しています。一つ、ですが」

「と、なると怪しいのは幻騎士ってわけかぁ゛!」

「幻騎士は、現在行方をくらませている。ミルフィオーレファミリーにもジッリョネロファミリーにも所属していない」

 ラルの言葉を最後に現場はそこでいったん静まり返る。

 次に口を開いたのはスクアーロだった。

「てことはもう決まりじゃねえか」

「ええ、ほぼ100%。幻騎士殿が関連していると見ていいでしょう」

 どうやら、早々に会議は終わりそうだった。

「それで?私たちを呼び出したってことは、その幻騎士を見つけて殺せばいいのかしら?」

 ルッスーリアが物騒なことを口にする。

「殺すまではしなくていい。ただヴァリアーには幻騎士の捜索と情報を聞き出してほしいんだ」

「・・・・・はっ。相変わらず甘っちょろいぜ」

「沢田殿。もう一つのヘルリングの在処は判明しておられるのですか?」

「うん。その目星がついたから今日こうして集まってもらったんだ」

 綱吉が言い終えるか否かのところで、タイミングよく獄寺が一枚の紙と写真を二人に渡す。

 

 

「場所は日本、並盛。そこにヘルリングはある」

 

 

 その言葉に、その場にいるものは多少の動揺を隠せない。

「並盛に、ですか?」

「うん」

「・・・・・今、並盛にはどれくらいの戦力がいるんだぁ?」

「ボンゴレから、雨、雲、霧の守護者。そして先日加入したホワイトファングがいる」

 スクアーロの問いに、獄寺が答え、と同時に詳細な資料をバジルとスクアーロに手渡す。

「それと、報告書によると、たしか()()()()()()も並盛ではなかったか?」 

 確認のためラルが、綱吉を見る。

「うん。別任務、だけどね」

「・・・・・偶然か?」

 訝しんだ眼を送ってくるスクアーロに綱吉は答えた。

「偶然だよ。俺の超直感は別にエスパーってわけじゃないんだ」

 首を振る綱吉を以前冷めた瞳で睨みつけながら、スクアーロは鼻を鳴らした。

「とにかく、ヴァリアーからも戦力は送る。それでいいな沢田ぁ!」

「うん。よろしく頼むよ」

 それだけ言うと、スクアーロとルッスーリアは身を翻して帰ろうとする。

 危なげなく会議が終わったことにほっと一息胸をなでおろしたところで、側近にいた獄寺から耳打ちされる。

「十代目。()()()()()話さなくてよろしいんですか?」

 その言葉で、綱吉は忘れてたと慌てて二人を呼び止める。

「あ、待って!ヘルリングの今の持ち主は————————————」「写真の男、だろう?」

 ピッと後ろ手に先ほど渡した資料の中にあった写真を見せる。

 写っているのは——————————————————。

 

 

「うん。その男の名前は、”一条楽”。」

To be continued.




 どうも早見沙織さんのアルバムが欲しい高宮です。
 GWも終わり、皆さんはいかがお過ごしだったでしょうか。僕は・・・・エンジョイしました。エンジョイ。エンジョイ。
 そんなエンジョイ高宮です。
 最近フィギア熱がまた出てきました。最近のフィギアはクオリティが高いもんばっかですね。主にラブライブと艦これを集めてます。
 前はどっちかっていうとフィギアそのものよりゲーセンに行ってクレーンゲームで獲りたいという欲のほうが強くて、フィギアそのものは結構どうでもいいフィギアとか獲ってたんですけど、最近はフィギアそのものにも興味が出てきました。ネットとかで見るだけでもなんだか幸せな気持ちになれますね。
 幸せ、幸せといえば皆さんはどんなことに幸せを覚えるのでしょうか。
 次回はそんな幸せの話です。次回もよろしくお願いします。
 

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