城下町のAGITΩ   作:オエージ

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第8話 Onlyone is Numberone

Gトレーラー内

 

「四葉弥生とG3システムは収容した。すぐ発進しろ」

 

「・・・」

 

「どうした六野?」

 

白井は目の前の平凡そうな青年に話しかけている。

彼の名前は六野(むつの) 隆弘(たかひろ)

このGトレーラーの運転、G3のサポートを行う白井の協力者であるのだが、

 

「あのさぁ白井ちゃん、一応僕の方が年上なんだからさ、せめて呼び捨てにするのはやめてくれるかな」

 

「そうか、それは悪かったな六野。さぁ早く発進させろ六野」

 

「聞いた上で!?」

 

ブツブツ文句を言いながらも六野はGトレーラーの運転席へと向かう。二人の関係は主従関係に近いのである。

 

Gトレーラーが発進したのを確認して白井は昴の方を向く。昴の表情は穏やかではなかった。

 

「いったいどういうことだ?説明してくれよ。G3システムって何だ?なんで黙ってたんだ?てかなんで弥生がここにいるんだよ?」

 

「そう急かすな、質問は一つずつ答えていくから、まずはG3システムについてだが・・・」

 

そう言い白井はコーヒーメーカーで淹れたコーヒーを昴に差し出す。

 

「G3と言うのは未確認生命体第4号をモデルに造られた強化スーツだ」

 

「4号をモデルに・・・?」

 

未確認生命体事件の際、唯一人間に味方した未確認生命体第4号。

その正体は自分達と同じ人間であった。名前は手記に『雄介』と記されていた。

 

「4号の力を部分的に再現した『G1』、人工AIを載せた完全な自立兵器の『G2』、双方を経て常人にも扱えるように調整されたのがこの『G3』だ」

 

「お、おう。とりあえずパワードスーツ的なアレというわけだな」

 

「最低限のことだけを把握したな・・・」

 

第一の疑問は晴れた。

 

「じゃあ何で俺に黙ってたんだよ。普通に紹介してくれてもいいじゃないか」

 

「ああそのことなんだが・・・」

 

白井はコーヒーを飲み、話を続ける。

 

 

「君の正体がバレることになるのではないか?」

 

「まあそうなるな」

 

「そう言うことだよ」

 

「なるほどね・・・て、えっ!?それだけ!?」

 

「君は私と初めて会ったとき『俺がアギトなのは秘密にしてくれ』と言っただろう?私はその約束を守っただけだ。私は義理堅い人間だからな」

 

「えぇ~・・・」

 

やはり天才というのはどこか頭のネジがに2,3本抜けているものだなと昴は痛感した。

そうこうしていると気絶していた弥生が目を覚ました。

 

「どうやら、目を覚ましたよだな。ほら、三つ目の疑問は彼女から直接聞きたまえ」

 

「いや、お前が話してもいいだろ」

 

「あいにく彼女にも『私がG3の装着者であることは内密にしてくれ』と言われているのでな」

 

「めんどくせぇなオイ!」

 

そのまま白井運転席の方へ行き、司令室には昴と弥生の二人だけになった。

弥生の意識が戻っていく。

 

「私はたしかアンノウンに・・・って昴様!?何故このような所に!?」

 

「よぉ弥生。まさかがお前がG3だったなんてな」

 

「私がG3の装着者だと何故・・・まさかあなた様が!?」

 

「そうさ、俺がアギトだ」

 

「へ?昴様がアギトだったのですか?」

 

「いや、今の流れ的に考えてそうなるだろ」

 

「しかし、白井からは『身長2メートル、体重150キロ、岩を砕く肉体とコンピュータの頭脳を持つ男』と・・・」

 

昴は思わず白井が居る運転席を方を見た。白井の爆笑する声が聞こえた。

 

(あのヤロウ・・・)

 

「しかし何故、あなた様のような方がこのような危険なことを?」

 

「それはこっちのセリフだよ。なんでG3なんかになったんだ?」

 

「国民を守るのが軍人の務めであります!」

 

「いやだからお前は軍人じゃないだろ!?軍人なのはお前の親父だろ!ってか何でそんなに軍人に拘るんだ?」

 

「はい!私の父は軍人であります!だから私も父のような軍人になることが目標であります!」

 

しかし、と弥生はやや暗い表情になって、

 

「父は私が軍人になることを認めてくれませんでした・・・」

 

「まぁそんな危ない職業を勧める親なんていないよな」

 

「そして私は父に質問したのです。何故認めてくれぬのですか?私はあなたを尊敬し、あなたの様になりたい、と。そして父は言ったのです」

 

 

「『だからこそ、なおさら認めるわけにはいかない』、と」

 

「私は自問自答を繰り返した末に自分の未熟さが原因だと分かりました。それから私は父のようになるために鍛錬に励み、そうした中で白井に出会ったのです」

 

「彼女の言うアンノウンやアギトについては最初は信用できませんでしたが実際にアギトとアンノウンが戦っている所を見て、私は決めました」

 

「G3として戦って、私にも力があることを示せば父も認めてくれるのではないかと、憧れに近づけるのではないかと」

 

「・・・多分無理だと思うぜ」

 

「え?」

 

昴は話を続ける。

 

「俺の話になるけどさ、俺には9人の兄弟がいるだろ?だから時々、他の兄弟のことを羨ましいと思うこともあるんだよね」

 

「姉ちゃんは頭がいいし、遥は兄弟の事を思って行動することができるし、栞は本当に優しい心を持っている。でも、すごいとは思ってるけどそいつらのようになりたいとは思ったことはないかな」

 

「どうしてだ?」

 

決まってるだろ、と昴は殴りたくなるほどドヤ顔で

 

「俺が一番すごいからさっ!なんたって俺はイケメンでハンサムで男前だからな~」

 

弥生は怒りの表情でGM-01を昴に向けて言った

 

「・・・ふざけているのですか?」

 

「わー待て待て!死ぬから!それはヤバイってば!後これでも結構マジに話してんだよ!」

 

弥生がGM-01を下し、昴はほっとした。

 

「まぁつまりそういうことだよ。兄弟にはそれぞれいいところを持っているが俺にもいいところがある。それを捨ててまで他の奴らのようにってのは考えられないってことだよ。兄弟は9人いるけど俺は一人しかいないからな」

 

「お前の親父だってそう言いたかったんじゃないのか?お前は親父になれない、それは親父に出来てお前に出来ないことがあるけどお前もまた親父に出来ないことを出来るかもしれないんだぜ?その可能性を捨てて親父のようになりたいってのはもったいなくないか?」

 

「私にしか出来ないこと・・・?」

 

その時、昴はアンノウンを察知した。

 

「おっと、話はここまでのようだな。後は自分で考えろよ」

 

昴は変身ポーズを構えアギトに変身する。

 

「待ってくれ!」

 

弥生が引き止め、アギトに警棒のようなものを渡す。

 

「これはガードアクセラー。ガードチェイサーに差し込むことで動かすことが出来る。それと伸ばすことで電磁警棒にもなるんだ」

 

「弥生?」

 

「G3システムは破損して今出撃することが出来ない、だから私は今出来ることをしたいんだ」

 

「おう!分かった使わせてもらうぜ!」

 

アギトは後ろに立っているバイク『ガードチェイサー』にガードアクセラーを差し込み起動させる。

 

「ガードチェイサー、発進!」

 

弥生がコンピュータを操作して後ろのコンテナを開き、そこから後ろ向きにガードチェイサーは発進し、Gトレーラーを追い抜いて行った。

 

 

 

 

アギトは強化オケアヌスを見つけ、ガードチェイサーで体当たりする。

 

「ズガァ!」

 

しかし、強化オケアヌスも怪力で強引にガードチェイサーを止めた。

アギトはすかさず、ガードアクセラーを引き抜き強化オケアヌスに向けて叩く。

 

「ズッ!?」

 

強力な電気ショックに思わず怯んだ強化オケアヌスをアギトは蹴飛ばす。

さらに後部からGM-01を引き抜き強化オケアヌス目掛けて発砲するも強化オケアヌスの甲羅に弾かれてしまった。

 

(やっぱり堅ぇなあいつの甲羅・・・て、ん?)

 

アギトは強化オケアヌスの甲羅を凝視し、あることに気付く。

 

(ひょっとしたらいけるかもしない)

 

アギトはストームフォームに変身、取り出したストームハルバードを上空へと投げた。

 

「?」

 

突然の行動に理解できず動きを止めているすきにアギトはGM-01にGG-02を装着し強化オケアヌスに撃った。

 

「ズガッ!?」

 

こちらの動きに気付き、強化オケアヌスはすぐに甲羅でガードしたがその衝撃で揺れるが甲羅は依然砕けない。

 

「トウッ!」

 

アギトは飛び上がり宙に浮いていたストームハルバードをキャッチ、そのまま降下して強化オケアヌスにハルバードスピンを放つ。

やはり強固な甲羅には通用しないが再び跳び跳ね、木を踏み台にしながらビリヤードで弾かれた弾のように変則的にハルバードスピンの連撃をかけていく。

 

「ズウガッ!!」

 

動きを呼んだ強化オケアヌスはアギトのストームハルバードを掴みそのまま投げ飛ばす。

 

「よっと!」

 

しかしこれを予測していたアギトは受け身をとることでダメージを軽減する。

 

「そろそろ頃合いかな」

 

アギトはグランドフォームに戻り、今度は飛び越えずそのままの姿勢でライダーキックを放つ。

強化オケアヌスも跳ね返すべく甲羅を向けるがここで異変がおきた。

 

キックが直撃した瞬間、甲羅が粉々に砕けたのだ。

 

そうアギトはかつてライダーパンチで与えたひびが残っていたことに気付き、そこに集中攻撃を加えることで甲羅を破壊することに成功したのだ。

 

「ズゥウウガァァァァァ!?」

 

甲羅を破壊されキックの直撃を受けた強化オケアヌスはたまらず天使の輪のようなものを浮かべ爆散。強敵強化オケアヌスにアギトが勝利した瞬間であった。

 

 

 

 

 

櫻田家

 

―みなさ~んこんにちは~!!さっちゃんと同じ事務所の新人アイドル桜庭らいとでぇ~す!!

 

テレビには華やかな衣装に身を包んだ光の姿があった。どうやらうまくいったらしい。

 

「光!アイドルになれたんだな!」

 

「うん!これもはる君とすーちゃんのおかげだよ!これからはアイドル人気に乗っかって一気に一位を目指すよ!」

 

「光、そのことなんだけどさ」

 

「どうしたのはる君?」

 

「たしか王族の正体を隠して中学生の状態でアイドルやってるんだよね」

 

「うんそうだよ」

 

「それだと国民に正体がわからないから意味なくない?」

 

その言葉に光は、あ・・・、という声を漏らし固まった。行動力は高いがどこか抜けている。それが櫻田光であるのだ。

 

一方、昴は携帯から着信音が鳴っているのに気づき、見てみると相手は弥生であることを確認し家を離れた。

 

 

 

 

「今回の件はすまなかった。私のせいで君に迷惑をかけてしまって・・・」

 

「いいってことよ。それよりお前はこれからどうするんだ?」

 

「これからもG3としての活動を続けようと思う。ただし、父のようになるのではなく、私自身として出来ることをしていくつもりだ」

 

「そうか、これからも頼むぜ。ところでさ」

 

「どうした昴?」

 

 

 

「お前素だとそんな喋り方なんだな」

 

あ、しまった、と弥生の声が漏れるのを電話越しで感じる。

 

「も、申し訳ありません昴王子!とんだご無礼をお許し下さい!」

 

「いや、素のままでいいよ。そっちの方が話しやすいぜ」

 

「・・・よろしいのですか?」

 

「気にすんなよ。俺とお前は同じ目的を持った仲間だ。これからも頼むぜ仮面ライダーG3」

 

「・・・ああ!任せてくれ仮面ライダーアギト!」

 

こうして仮面ライダーは二人になったのであった。

 




次はキャラ設定を書こうと思います。

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