ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

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予想通り、この章は短くなりました。
でもまあ、次章に繋がってるからいいよね(投げやり感)

今回は戦闘回です。戦闘で、え、違くない。的な所が出てきたらごめんなさい(>_<)
独自設定。独自解釈も含まれてますので、ご了承くださいですm(__)m

では、本編をどうぞ。


逃亡の第四真祖 Ⅲ

 悠斗は、絃神島の人工島地区港湾地区(アイランド・イースト)、空港や埠頭が連なる絃神島の玄関口へ向かって疾駆している。 絃神島から出る為には、特有の検査(メディカルチェック)を受け、手荷物を検査し空港に続くゲートを潜らなければならない。

 だが、悠斗にとっては検査をすり抜けるは容易だ。 もし、不都合が起きようなら、眷獣を召喚し強行突破をすればいい話だ。

 悠斗が港に到着した瞬間だった。――――虚空から、銀色の鎖が撃ち出されたのだ。

 

「――飛焔(ひえん)!」

 

 悠斗は超直感で鎖に気づき、咄嗟に左手を突き出し、紅い焔が鎖を浄化させた。

 先程の鎖は、――――神々が鍛えたと言われる“戒めの鎖(レージング)”だ。

 

「……“戒めの鎖(レージング)”は、些かやり過ぎなんじゃないか、那月(・・)

 

「……何処へ行く、悠斗?」

 

「ちょっと本土に用ができてな。 通してくれ」

 

 予想はしていたが、那月が現れたのだ。

 タイミング良く現れるという事は、悠斗を監視していたのだろう。 悠斗の眷獣の特性を知っている那月ならば、悠斗の隙を突き監視する事は可能だ。

 おそらく、長年の経験と、同じ時間を長く共有したからこそ可能だったのだろう。

 

「まずは、役所に行って査証(きしょう)をもらってからだ。 発行手数料は三千三百円。 ただし、査証の申請には魔族登録が必要だ。 悠斗は未登録魔族だから登録が必要だな」

 

 那月の回答は、素っ気ないものだった。

 

「そこは、臨機応変に対応するから心配するな」

 

「……どうしてそこまで、本土に拘る?」

 

「野暮用だ、《神縄湖》にな」

 

 ――――《神縄湖》。

 南関東の丹沢にある人造湖。 今は観光地で知られてる場所だ。

 今から四十年前に、神緒多ダムがある土地には一つの町があり、ダム建設の犠牲となって湖に沈んだと言われている。 だが、当時の住民全員が失踪したのだ。――痕跡すら残さずに、だ。

 原因は解らない。 原因不明の事故なのか、それとも公表されてないのか。 ただし、沈んでしまったその町には、《犀木シャーマニクス》という呪装品機器を扱う企業、研究施設があった。

 偶然か、それとも必然か解らないが、神緒多ダムが完成した年に《犀木シャーマニクス》は倒産してる。 当時の経営者や従業員たちの記録は散逸(さんいつ)し、彼らは行方不明。 倒産の原因も不明なままだ。

 しかし、神緒多地区には、墜落した軍用機器の残骸が多く残っており、積まれていた物質の中に強力な呪物が含まれていた。 それも、先の大戦中に使用されるはずだった物質だ。

 住民の失踪が呪物が原因だとしたら、強ち大げさとも言い切れない。 或いは、神緒多ダム自体が、呪物その物を封印する為に造られたものとも言える。

 貯水量六万五千トンの人造湖で封印しなけならない代物(呪物)。――――それは“聖殲”の遺産では?と考えるのが妥当だ。

 この事柄は、四十年前の出来事。 だが、“聖殲”の遺産の封印が弱まってきたら? 活性化が進んでいたら? “聖殲”の遺産は、一度凪沙がこじ開けた事がある。 もし、再び封印する為、凪沙の力が必要ならば? そう考えると、この事柄には――暁凪沙が関わってくるのだ。

 

 

 ――《神縄湖》の底に、“聖殲”の遺産と思わしき物が眠ってる可能性。

 ――《神縄湖》付近で、“煌華麟”に類似した魔法陣が出現し、獅子王機関の武神具の簡略化の噂。 そして、魔導災害専門の獅子王機関が、何らかの動きを示してる事。

 

 

 いや、《神縄湖》という、巨大なものが関わっているのだ。 もしかしたら、獅子王機関以外にも、大きな組織が動いている可能性は大いに考えられる。

 悠斗の考えでは、暁牙城は関わっていない。 もし関わっているのであれば、凪沙を“聖殲”の遺産がある場所に連れて行く訳がないのだから。

 “聖殲”の遺産となれば、牙城の手に負える代物ではない。 そして、凪沙が“聖殲”の遺産と接触するとなると、嫌な想像しか浮かばない。

 悠斗が、この事柄を那月に説明すると、那月は珍しく目を見開く。

 

「説明した通りだ。 凪沙と“聖殲”の遺産と思われる物と接触させる訳にはいかない。 それに、凪沙との繋がり(リンク)が切れたんだ。 現場に急行しないとマズイ事くらい、那月にも解るだろ」

 

「……悠斗。 お前の情報量と頭の回転には舌を巻くよ。 だが、駄目だ。 お前を行かせる訳にはいかん」

 

 那月が考えてる事は、悠斗にも解る。

 神の力を持つ悠斗が、“聖殲”の遺産に近づくのは危険なのだ。――――那月は悠斗を守る為に、悠斗の前に立ち塞がっているのだ。

 

「……それでも行くって言ったら、どうする?」

 

「ああ。 その場合は、冬休みが終わるまで、監獄結界でおとなしくしてもらう。 悠斗が居ない期間、暁凪沙には上手い事言っておくから心配しなくていいぞ」

 

「その案は却下だ」

 

 悠斗は那月の案を否定した。

 悠斗は、それに。と言葉を続ける。

 

「俺の予想では、連中と那月は何かを取引してるんだろ、おそらく凪沙の安全が妥当だな。 じゃないと、こんなに平静でいるはずがない」

 

「……そうだ。 暁凪沙の安全は確実だ。 連中も、暁凪沙を死んでも守ろうとするだろう。 暁凪沙は無事帰ってくる。 悠斗、もしかしたらお前が帰って来れなくなるかもしれないんだぞ」

 

 那月は、教え子を危険な目に合わせる訳にはいかないしな。と付け加える。

 

「……連中が期待した物であり、もし俺が行けば覚醒が早まる可能性もある、か。 確かに、危険な巣の中に飛び込むと同義だな」

 

「それならば――」

 

 那月は表情を歪める。

 那月は、悠斗を心から心配しているのだ。

 

「でもな、那月。 俺は、この目で確かめたいんだよ。 この不安感を残して置く事は、俺には到底できない。 俺が強大な力を持ってるとしても、俺の精神は、那月が思うより子供なんだ……」

 

 悠斗は、愛する者の安否を待つ程、精神が成熟していないのだ。

 だが、何故そこまでして凪沙を必要とするのか? 悠斗は逡巡させた。――“聖殲”の遺産=暁凪沙=憑依=氷の柩=封印の術式=魂=犠牲=命。

 

「……アヴローラの魂を繋ぎ止める為、命を代償にする。 俺の“血の従者”でなくなった瞬間に、凪沙の命は尽きてしまう……。 もし俺が《神縄湖》に行くと“聖殲”の遺産の活発化がするかも知れない。 だから、凪沙の安全を第一に考え、那月は連中の条件を飲み、俺の足を止める、か……」

 

 十二番目の“焔光の夜伯(カレイドブラッド)”――アヴローラ・フレスティーナ。

 彼女は“原初(ルート)アヴローラ”と呼ばれる邪悪な魂から凪沙を救う為、自らを犠牲にこの世を去った。

 だが、悠斗の予想通り、彼女の魂を繋ぎ止める為、凪沙は命を削り(霊力を失い)混合能力者(ハイブリッド)としての力を失う。 もしそうならば、今までの事柄と辻褄が合う。

 悠斗は一拍置いてから、

 

「連中たちは、アヴローラの術式()を利用し、《神緒多ダム》にある“聖殲”の遺産を封印する。 封印()の器であった彼女なら可能であり、凪沙は彼女の魂が抜けた事で、命を削らずに済むって事か……」

 

「……その通りだ。 だが、お前にはそこまで予測して欲しくなかった」

 

 那月は、悠斗に《神縄湖》に行く理由を増やさせない為、口に出さなかったが、悠斗はそれまでも読んでしまった。

 

「……私は恨まれてもよかった。 悠斗が幸せになってくれるなら」

 

「……ありがとう那月、そこまで考えてくれて。 でも、此処で足を止めるのは無理だ」

 

 アヴローラは、悠斗の最初の友であり、護ると誓った少女。

 そして彼女を、《神縄湖》に居る連中は利用しようとしてるのだ。 黙認する訳にもいかないし、アヴローラの魂も救って見せる。

 

「……そうだろうな。 私はお前を力づくでも止める。 《神縄湖》に行かせる訳には行かない」

 

 おそらく那月は、本気で悠斗を止めるようとするだろう。 その事は、悠斗が一番感じるのだから。 そして、那月と悠斗からは悲しみの波動も生まれる。 本当は、戦いたくないのだ。 だが、そういう訳にいかない。

 那月は静かに左手を掲げ、悠斗は左手を突き出す。

 

「……――起きろ、輪環王(ラインゴルト)

 

 瞬間、那月の背後に現れたのは、黄金の甲冑を纏った人影。 魔女に与えられた“守護者”だ。 魔女を守り、願いを叶える力を与えてくえる。

 その一方で、魔女が契約を破棄した時、魔女の命を狩る処刑人に変わる存在。 謂わば、魔女の契約そのものを具現化した存在。

 “守護者”の力の強さは、契約の重さに比例する。 那月の契約の代償、それは“眠り”だ。

 那月は、監獄結界の管理人として、未来永劫、自らの夢の中で眠り続けなければならない。 成長する事も、老いる事も、触れ合う事もできず、夢を見続けるだけ――。

 なので、強力な“守護者”と予想するのは容易である。

 

「……――降臨せよ、朱雀、黄龍」

 

 悠斗は傍らに、紅蓮の不死鳥と黄金に輝く龍と召喚し、悠斗が言葉を紡ぐと、悠斗と朱雀は融合し、髪と瞳は僅かに紅く染まり、背からは二対四枚の紅蓮の翼が出現。 那月の“守護者と”悠斗の 眷獣が大気を震わせる。

 

「――浄天!」

 

「――禁忌の荊(グレイプニール)!」

 

 悠斗は舌打ちした。

 那月の“守護者”が撃ち出した銀色の鎖が、黄金の渦(浄天)を消し去り、黄龍の体に巻き付いたのだ。 通常なら悠斗にダメージがあるのだが、朱雀の守護を受けてる為、それは無効化してる。

 

「――降臨せよ、白虎!」

 

 悠斗は、純白の虎を召喚し、白虎は黄龍に向かい走り出す。

 

「――切り裂け!」

 

 白虎は左手を振り上げ、禁忌の荊(グレイプニール)を切り裂く。

 禁忌の荊(グレイプニール)は、次元切断(ディメンジョン・セェヴァル)の効果を受け切断された。

 

「……禁忌の荊(グレイプニール)を切り裂くか。……流石だな」

 

 悠斗が思うに、禁忌の荊(グレイプニール)であれば、第四真祖の眷獣を捕える事が可能だろう。

 

「負に関する眷獣は兎も角、こっちは神の眷獣たちだ。 禁忌の荊(グレイプニール)が千切られる事くらい予想してただろ」

 

「ああ、そうだな。 一筋縄ではいかないのは承知済みだよ」

 

 この僅かな交戦だけで、海岸沿いのガードレールは薙ぎ倒され、地面も抉れている。

 これだけで、紅蓮の織天使(悠斗)の眷獣と、魔女(那月)の“守護者”の規格外さが解ってしまう。 そして、共に絃神島を沈めかねない巨大な魔力同士が激突し、この程度の被害で済んだのは幸運と言えよう。 なので悠斗は、後方全てを結界で覆った。 これで後戻りはできない。 那月が倒れるか、悠斗が倒れるか。 それまで戦闘が続くという事だ。

 

「これで後戻りはできない」

 

「私が倒れるか、悠斗が倒れるかまで、だろ」

 

「……そうだな」

 

 那月が扇子を翻すと、虚空から無数の鎖が出現し、悠斗だけに放たれる。

 確かに、眷獣を倒せないと解れば、宿主は狙うのは当然だ。

 

「――牙刀(がとう)!」

 

 悠斗は左手に刀を召喚し、神通力(・・・)を宿らせ、鎖を撃ち落とす。 飛来する鎖の軌道を、全て知っていたかのような反応速度だ。

 これは、剣巫の霊視――未来予測そのものだ。 いや、悠斗の超直感は、剣巫の霊視を上回ってるようにも見える。

 

「那月、俺の超直感を舐めすぎだ」

 

「……やはり、撃ち落とされるか。 このままじゃ、平行戦だな」

 

 そう、那月と悠斗。 二人には全く隙がないのだ。 これでは、隙を突く事は不可能だ。

 悠斗は眷獣に指示を出し、那月の“守護者”と攻防をするが埒が明かない。 両者は、今の所ほぼ互角なのだ。 おそらく那月は、悠斗を殺すつもりで戦闘を行っているのだろう。

 

「悠斗。 何故、青龍、玄武、麒麟を召喚しない?」

 

「……あいつらを召喚し攻撃すれば、絃神島は確実に沈む。 俺はどんな事があっても、無益な血は流さないと心に決めているんだ」

 

「ほう。 それは、お前がもし暴走してもか」

 

「ああ、たぶんな」

 

 那月が掲げた日傘の中から、無数の小さな獣たちを撒き散らす。 おそらく、この獣たちは全方位からの一斉攻撃で、悠斗の動きを制限する為に撒き散らされたのだろう。 そして動きが止まった隙に“戒めの鎖(レージング)”で戦闘不能にする。 これは、魔女の使い魔(ファミリア)。 触れれば、手足の一、二本は吹き飛ぶ。 ならば、悠斗の守護を貫通させるには効果的だろう。

 ――だが、これだけでは甘い。

 

「――閃雷(せんらい)!」

 

 無数の稲妻が周囲に落ち、獣たちを焼き焦がし消滅させる。

 悠斗は眷獣を召喚せずとも、眷獣たちの技を使用する事が可能だ。

 だが――、

 

「それを待っていた」

 

 眷獣の技が使用できると言っても、代償として数秒体が硬直してしまうのだ。 那月は、悠斗の裏を読んだのだ。

 那月の後方から撃ち出されたのは、直径十センチにも達する鋼鉄の鎖。 鎖のリング一つ一つが凶器である。 これは“呪いの縛鎖(ドローミ)”だ。

 

「甘い!――雷神槍(らいじんそう)!」

 

 黄龍の凶悪な口から放たれたのは、稲妻が凝縮された一本の槍だ。

 この槍が、“呪いの縛鎖(ドローミ)”と衝突し、相殺し爆炎を撒き散らしたが、視界は煙で遮られた。

 ――そう、“呪いの縛鎖(ドローミ)”は囮であり、那月の本命の攻撃は、死角からの“戒めの鎖(レージング)”の一撃だ。 それを受けた悠斗は、工場の壁に激突し、凄まじい轟音と、衝撃で破壊された金属類が撒き散らされる。

 

「意識は失っていないと思うが、神々が鍛えた鎖の一撃だ。 かなりのダメージを負っただろう」

 

 空間に鎖を巻き戻しながら、那月が呟く。

 悠斗は立ち上がり、那月の正面に姿を現す。 戦闘不能のダメージを受けなかったのは、朱雀の守護があったからこそだろう。 だが、白虎の具現化は解けてしまった。

 

「……那月。 ここからは加減なしだ。 殺すつもりで迎え撃つ」

 

 悠斗は左手掲げると、絃神島の空が雷雲に包まれていく。

 

「――全てを司る神獣よ。 今こそ我と一つになり、黄金の輝きを与えたまえ。 四神の長たる黄金の龍よ!――来い、黄龍!」

 

 悠斗と黄龍は融合し、悠斗は黄金の衣に包まれ、その背からは朱雀から付与された紅蓮の翼だ。

 那月は僅かに目を見開く。

 

「……そうか。 これが私が聞いていた、悠斗の切り札の一つか……」

 

「いや、まだだ」

 

 悠斗は言葉を紡ぐ。

 

「――天を統べる青き龍よ。 我の矛になる為、我に力を与えたまえ。 汝、我を導き槍となれ。――稲妻の神槍(ライトニング・スピア)

 

 悠斗が両手で握るのは、青龍そのもの(・・・・・・)が武器となった槍。 この稲妻の槍は、眷獣そのものと言っていい。 そしてこの槍は、数万ボルトの稲妻により形成されているので、宿主以外の者が触れると身を焦がす。

 

「……眷獣を武器として召喚した、か……」

 

「正解だ。 これなら、絃神島には被害が出ないからな。――那月。 いくら分身でも、これを食らえば、数時間は分身を生成するのは不可能だ」

 

 那月の分身は無敵だが、分身が消され動きが止められるとなれば、悠斗が絃神島から出る時間は十分に稼げるのだ。 今の状況ならば、一撃必殺になるとも言っていい。

 那月もこの事に気づき、

 

「……お前は油断できない相手だよ。 ここまで切り札を出すという事は、そこまで絃神島から出たいという事か……」

 

「ああ、俺は凪沙の安否を確めに行く。 絶対にだ」

 

「……そうか。――輪環王(ラインゴルト)!」

 

 悠斗は走り出し、黄金の騎士と衝突した。

 攻撃はほぼ互角だが、眷獣の力を纏っている悠斗が確実に押してきている。

 那月は、虚空から“戒めの鎖(レージング)”を実体化させ撃ち出した。 おそらく、“守護者”の援護の為だろう。 だが、攻撃は拮抗したままだ。

 “守護者”は悠斗に押さえられ、那月は“戒めの鎖(レージング)”を撃ち出しているので、隙ができていた。

 その時、空から目を奪われるような、美しい龍が召喚される。 悠斗のもう一つの切り札になる攻撃。 黄龍との融合攻撃である――天舞(てんぶ)だ。

 火、水、風、雷、地の属性が入り混じった龍は、悠斗たち目掛けて降下してくる。 悠斗には、朱雀の守護、黄龍の衣を纏っているので、最小限のダメージに留める事が可能だ。

 だが、那月はそうではない。 魔女の“守護者”が強力とはいえ、この攻撃に耐える事は不可能だろう。 吹き飛ばされるのは目に見えていた。

 

「……そういう事か。 分身である私ならば、手加減は要らないという事か」

 

 那月は溜息を吐いた。

 

「……この勝負、悠斗の勝ちだ。 何処へなりとも行けばいい」

 

「……すまないな那月。 俺の好きにさせてもらう」

 

 瞬間、悠斗たちの居る場所に、美しい龍が衝突した。 その衝突は、人工島地区港湾地区(アイランド・イースト)、結界の外側を全て破壊尽くす攻撃だ。 その証拠に、人工島(ギガフロート)の一部が破壊され、足場は剥き出しになり下は海だ。

 既に、那月の姿も“守護者”の姿もない。 完全に消滅したのだ。

 悠斗は眷獣たちとの融合、武装を解除し、黄龍、青龍を異世界に還し、朱雀の背に乗り《神縄湖》目指して絃神島から飛翔するのだった。

 この光景を傍から見ていた蛇遣いが、悠斗の後ろ姿を見て微笑んでいたのは、悠斗が気づく事はなかった――。




那月ちゃん、悠斗君のお義母ですね。まあ、深森さんとはベクトル?が違う感じです。
つか、悠斗君。本気になった那月ちゃんに勝つとか、最早規格外ですね。いや、解ってた事かも知れんが。
ともあれ、悠斗君は絃神島から出ましたね。《神縄湖》に到着し、気を失ってる凪沙ちゃんを見たら、悠斗君どうなるんだろうか?

ではでは、次回もよろしくです!!

追記。
悠斗君は、自身の中にある丹沢に関する情報と、持ち前の思考で《神縄湖》に関する情報を掴みました。……あれです。悠斗君の情報量、思考回路、チートすぎ……。

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