ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

18 / 117
ひゃはー、連投だぜ!
評価が上がるのを見て、パソコンの画面をにやにやと見てる舞翼です!
へ、変態じゃないんだからね(*ノωノ)
コホン、話が逸れましたね。

天使炎上編のスタートですね。この章も頑張って書きます!!
今回の話は、まじで激甘です。
ええ、激甘ですね。
読者の皆様は、ブラックコーヒーが必須になると思います(確信)
てか、夏音ちゃんの言葉使い難いね。

では、投稿です。
本編をどうぞ。


天使炎上
天使炎上Ⅰ


太平洋の真ん中に浮かぶ絃神島は、常夏の人工島だ。

十月になっても秋の気配は微塵もなく、相変わらず強烈な日差しが降り注いでくる。

それはアイランド・サウスの七〇三号室に住む、神代悠斗の部屋も例外ではない。

今の時刻は、午前六時だ。

いつもなら布団を被り二度寝に入るのだが、悠斗は隣を見て頭を覚醒させた。

――凪沙が隣で眠っていたのだ。

そしてあろうことか、凪沙が悠斗の方に寝返りを打ったのだ。

 

「ちょ、ちょ、なんで凪沙がいるんだ……。 まじでやばい。やばすぎる」

 

吸血衝動に襲われそうになるが、唇を噛んで自身の血を飲み抑えつける。

悠斗は昨日なにがあったか、必死に思い出していた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

昨日の夕食は暁家で摂るのでなく、悠斗は凪沙と摂ったのだ。

食べ終え洗い物をしてから、凪沙は暁家に帰るはずだったのだが、ソファーに座りテレビを見ている悠斗の隣に腰を下ろしたのだ。

そして、爆弾発言をしたのだ。

内容はこうだ。

 

『凪沙、今日は悠君のお家にお泊まりするね。 お風呂も入ってきたしね』

 

これを聞いた悠斗は、一瞬だけ思考が停止した。

思考が回復した悠斗は、事の重大さに気付いたのだった。

男女二人が、一つ屋根の下で一夜を過ごすことに。

 

『え? まじで? 冗談じゃなくて?』

 

だが、悠斗の淡い期待はすぐに砕け散った。

 

『冗談じゃないよ。 今日は、悠君と一緒に寝るから』

 

と、凪沙は満面の笑みで言ったのだ。

悠斗は言葉を失った。

凪沙が積極的?になったのは、デートが終わった翌日からだった。

そう。 凪沙はいつも以上に甘えてくるのだ。

一度古城がこれを見て、悠斗に鋭い視線が突き刺さしたのだ。

あれはとても恐かったと、悠斗は鮮明に覚えている。

それに凪沙は、一度決めたことは覆さないのだ。

なので、悠斗の鋼の精神力の出番である。 某アニメで言えば、理性の化け物の出番だ。

 

『よしゃ、かかってこい』

 

『不束者だけど――』

 

悠斗は、凪沙の言葉を遮った。

 

『ちょ、待て待て待て待て。 なんでそうなる』

 

この言葉を最後まで言われたら、色々な意味で後戻りできなくなる。

 

『あれ、違ったかな』

 

凪沙は首を傾げた。

 

『いや、違くはないと思うが。――俺はなに言ってんだ!?』

 

『じゃあ、もう一回。 言えばいいのかな?』

 

『いや、いやいやいや。 それは俺から…………』

 

悠斗と凪沙は顔を真っ赤にし、暫しの沈黙が流れた。

この沈黙を破ったのは、悠斗だった。

 

『…………うん、風呂入ってくる』

 

『……そ、そうだね。 いってらっしゃい』

 

悠斗が就寝の支度をし、凪沙と共に寝た。というのが、現在に至るまでの経緯だ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

悠斗の頭の中では、本能と理性で激しくぶつかり合い、今まさに脳内で戦争が勃発してる。

そして、ぎりぎりの所で理性が上回った。

 

「凪沙、朝だぞー」

 

「ん、悠君。 おはよう」

 

凪沙と眼が合い、再び吸血衝動に襲われる。

再び唇を噛み、自身の血を飲み抑え込む。

 

「(生殺しすぎるぞ。 そろそろ限界が近い)」

 

凪沙は、んー、と言いながら上体を起こした。

悠斗は、ほっと息を吐いた。

どうやら、最大の危機からは逃れることが出来たようだ。

凪沙はベットから降り立ち、

 

「悠君は、朝ごはんどうする?」

 

悠斗は上体を起こした。

 

「簡単なものでいいぞ」

 

「じゃあ、スクランブルエッグとご飯にしようか」

 

「そだな。 それでいいぞ」

 

凪沙は支度をしてから台所に立ち、朝食を作り始めた。

悠斗も洗面所に行き、身支度を整えてから制服に着替え、テーブルの椅子に座った。

テーブルに二人分の朝食が置かれ、凪沙も悠斗と向かい合わせになるように席についた。

悠斗と凪沙は、眼の前に置かれた箸を持ち、

 

「「いただきます」」

 

悠斗は、残さず凪沙の手調理を食べた。

凪沙の料理は、三つ星シェフより旨い。と悠斗は自負してるのだ。

朝食が食べ終わり洗い物を終え、凪沙が再び元の席についてから、コーヒーを飲みながら悠斗が口を開いた。

 

「凪沙は、今日の朝練はなかったのか?」

 

「うん、今日は休みかな。 明日はあったような気がするけど」

 

悠斗が時計の針を確認すると、現在の時刻は、午前七時を回った所だ。

 

「さて、そろそろ行くか」

 

「そうだね。 時間もちょうどいいしね」

 

悠斗と凪沙は椅子から立ち上がり、ソファーの上に置いてあるバックを肩にかけ、玄関に移動した。

 

「鍵はどうする?」

 

「うーん、凪沙が閉めるよ。 悠君は、合い鍵を持ってるんだよね?」

 

「おう、ポケットの中に入ってるぞ」

 

エレベータに乗り扉を潜った所で、世界最強の吸血鬼(暁古城)獅子王機関の剣巫(姫柊雪菜)と合流した。

 

「行こうぜ」

 

「そだな」

 

「雪菜ちゃん。 お待たせー」

 

「凪沙ちゃん。 おはようございます」

 

朝の挨拶を済ませ、四人はモノレールの改札に続く歩道を歩いていく。

改札を潜り、モノレールに乗り込む。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

雪菜と凪沙は雑談をし、悠斗は古城と話していた。

 

「ふあ~」

 

古城は大きな欠伸をした。

 

「どした、古城。 寝むそうだな」

 

「お、おう。 悪い。 ちょっとウトウトしてた」

 

「見ればわかるが。 なんかあったのか?」

 

「最近、煌坂の奴から夜中に電話がかかってきてな。 姫柊のことを聞かれたりとか、延々と説教されたりとか。 たいした用事もないくせに、なに考えてんだが」

 

その時、隣で雑談してた雪菜が会話に入ってきた。

 

「紗矢華さんが用事もないのに、延々にですか」

 

凪沙が、悠斗の袖をクイクイと引っ張り、小声で言った。

 

「ねぇねぇ、これって古城君に気があるのかな?」

 

「うーん、どうだろうな。 まあ、古城が気づかなかったら、なにも始まらんけどな」

 

凪沙は古城を見ながら、言った。

 

「そうだね。 古城君は鈍感さんだから、雪菜ちゃんの好意も気づいてないかも」

 

「十中八九、気づいてないだろ。 姫柊も大変だな」

 

悠斗と凪沙の耳に、古城の声が聞こえてきた。

 

「わざわざオレに電話してくるくらいだから、よっぽど姫柊のことを気にしてるんだな。 相変わらず友達想いというか、過保護というか……」

 

悠斗と凪沙の心の声が重なった。

 

「((古城(君)。 それはないよ))」

 

モノレールが駅に到着して、ドアが開き、わらわらと降車する生徒たちの群れに混じって、古城たちは改札へと向かった。

駅から彩海学園までは徒歩で約十分。

人工的に設計されたゆるやかな坂道を、古城たちは歩いていく。

 

「それじゃあ、私と凪沙ちゃんは、ここで別れますね。 私たちは中等部の校舎に行きますから」

 

「それじゃあ、古城君。 悠君。 またね」

 

悠斗と古城は手を上げ、中等部の校舎に向かう二人の背中を見送った。

 

「俺らも行くか」

 

「そだな」

 

悠斗と古城も歩き出し、高等部の校舎に向かった。

昇降口で上履きに履き替え教室に向かうと、悠斗と古城の肩が基樹の手に回された。

 

「おう、おはようさん。 今日も姫柊っちと凪沙ちゃんと登校か。 てか、お前ら寝むそうだな」

 

古城は紗矢華の電話で寝不足で、悠斗は寝不足ではなく、朝の一件の疲れ?が今現在色濃く出てただけだ。

 

「「まあな」」

 

「ま、古城も悠斗も、夜の営みはほどほどにしろよ。 寝不足は良くないからな」

 

教室内部が、絶対零度で凍ったように沈黙した。

古城と悠斗は、絶叫した。

 

「「はああああぁぁぁああああ!!??」」

 

教室内部には、古城と悠斗の声が響き渡った。

 

「ちょ、なんでそうなる!? ただ一緒に登校しただけだよな。 だよな、古城」

 

「そ、そうだぞ。 なに勘違いしてんだ。 矢瀬」

 

「え、違うのか。 姫柊っちと凪沙ちゃんは、古城と悠斗の通いd「ちょっと待て、それ以上言ったら、どうなるかわかるよな」」

 

「悠斗、殺気をばら撒きすぎだぞ」

 

基樹は悠斗の殺気に当てられ、震えながらコクコクと頷いた。

古城は、悠斗に突っ込んでいた。

古城と悠斗は深い溜息を吐いてから、自分の席に着席した。

まあ、二人の背中には、クラスの男子からの殺気が籠った視線が突き刺さってるんだが。

悠斗と古城は、勘弁してくれ。と呟いていた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

彩海学園の放課後、悠斗は中等部の校舎に来ていた。

昼に凪沙からメールをもらい、手伝って欲しい事があると言われたからである。

なにを手伝って欲しいかは、分らないままなのだが。

悠斗が立っている場所は、凪沙のクラスから少し離れた場所だ。

ここで待つように。と凪沙からメールが送られたからである。

悠斗がここに来るまで、男子からは嫉妬の眼差しが向けられ、女子からは歓声に似た声が聞こえてきたが。

まあ、高等部の生徒が中等部に入れば、目立つのは必然だが。

 

「悠君、お待たせ。 じゃあ、行こうか」

 

白い紙を左手で握っている凪沙は、右手で悠斗の片手を握った。

 

「おう。 てか、どこに行くんだ?」

 

「えっとね、屋上だよ」

 

「屋上? 何かやるのか?」

 

「着いてからのお楽しみで」

 

そう言って、凪沙は笑った。

悠斗も釣られて笑みを零した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

屋上で見た生徒は、銀髪の綺麗な女の子と、さっぱりした顔立ちの男の子だった。

二人の周りには、たくさんの子猫が戯れていた。

 

「えっと、どういうこと?」

 

悠斗は疑問符を浮べた。

すると、銀髪の女の子が悠斗の前まで近づいた。

 

「はじめまして、叶瀬夏音といいます。 凪沙ちゃんからいつもお話を聞いてます。 今日はよろしくお願いします、でした」

 

綺麗にお辞儀する夏音を見て、悠斗が思った第一印象は、大人しくて良い子。というものだった。

だが、悠斗の疑問は深まるばかりだ。

 

「んん? なにをお願いするんだ。 話が見えないんだが」

 

「あ、ごめん。 夏音ちゃん。 まだ、悠君には説明してなかった」

 

凪沙は、舌をぺろっと出した。

 

「私が説明する、でした」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「えっと。 つまり、叶瀬は、捨てられた子猫の飼い主を一緒に探して欲しい。っていうことでいいのか?」

 

夏音は頷いた。

 

「そう、でした」

 

「凪沙も手伝うから、悠君も手伝って!」

 

悠斗は頬を掻いた。

 

「後輩の頼みだ。 これくらい手伝ってやるよ」

 

悠斗がそう言うと、夏音は明るい顔になり悠斗を見上げた。

 

「ありがとうございます、でした。 悠君先輩」

 

「うっ、悠斗にしてもらってもいいか? 凪沙以外の人に言われると、何て言うかムズかゆい」

 

「悠君って呼べるの、凪沙だけなんだね。 ちょっと嬉しいかも」

 

そう言って、凪沙は悠斗の腕に抱き付いた。

悠斗は焦りながら、

 

「ちょ、ここは学校ですよ。 凪沙さん」

 

すると、一人の男子生徒が近づいて来た。

 

「こんにちわっす。 オレは高清水っていいます。 神代先輩の話は、暁さんから伺ってます。 頼りになる人だって」

 

「凪沙が?」

 

「えへへ」

 

「このお喋りめ」

 

悠斗は凪沙の頭を、くしゃくしゃと撫でた。

傍から見ると、自然にイチャついてるとしか見えなかった。

まあ、本人たちは自覚がないんだろうが。

凪沙たちに子猫の世話を任せ、悠斗は、どうしたら飼い主が探せるかを考えていたら、いきなりドアが蹴り開けられた。

 

「野郎おおおおっ! 離れろおまえら! てめぇ、自分が誰に手を出してるのかわかってんだろうな!?」

 

そんな古城に、悠斗がデコピンを放った。

 

「古城のアホ」

 

古城は眼をきょろきょろさせた。

 

「あ、あれ。 なんで悠斗がいるんだ。 凪沙は?」

 

「――古城君!」

 

凪沙が、古城に向かって歩いていく。

 

「な、凪沙……おまえ、なんで、こんなところに猫なんか……」

 

「古城君こそ、中等部の校舎でなにやってるの!? いきなり大声でわけわかんないこと言って! 高清水くんに失礼だし、猫ちゃんも驚いてるじゃない。 悠君と雪菜ちゃんにも迷惑をかけて!」

 

もの凄い早口で巻くし立たれて、古城は冷汗を流した。

悠斗は心の中で、古城ドンマイ、と呟いていた。

 

「いや……だって、告白の返事は……?」

 

「告白? なんの話……? 私は、高清水くんが子猫を引き取ってくれるっていうから、立ち会っただけだよ。 子猫ちゃんの里親捜しのこともあるけど」

 

凪沙はそう言って、高清水が抱いてる子猫を指差した。

子猫が、ミィ、と相づちのように鳴いた。

古城は、未だに混乱から抜け出せていなかった。

 

「……だったら、昼休みにもらった手紙はいったい……」

 

「手紙って?……もしかして、これのこと?」

 

凪沙が制服のポケットから取り出したのは、コピー用紙だった。

そこに書いてあったのは、住所氏名の羅列であった。

 

「運動部員の名簿っす。 暁さん……妹さんが、オレの他にも引き取ってくれる奴を捜してるっていったんで、参考になるかなと思って」

 

驚きから立ち直った高清水が、礼儀正しく古城に説明する。

高清水は、それに、と言葉を続ける。

 

「暁さんはラブレターをもらっても、誰とも付き合わないと思います。 暁さんは、心に決めた人がすでに居ますから。 誰かと付き合うなんてありえないっすね」

 

雪菜も口を挟んだ。

 

「そうですね。 凪沙ちゃんの心の中には、いつもその人が居ますから。 世界中を捜しても、そこに割り込める人はいないですね」

 

高清水と雪菜は、悠斗を見た。

悠斗は、なんで俺を見たの、と思っていた。

 

「じゃあ、オレは部活があるんで失礼します」

 

高清水は、段ボール箱に入れた子猫を連れて校舎に戻っていく。

古城は彼を見送りながら、

 

「あいつ、実はいい奴だったんだな」

 

悠斗は、早とちりしすぎだ、古城。と呟いてから溜息を吐いた。

 

「もう信じられない。 ホントあり得ない。 なんで子猫を引き取ってもらう話から告白なんて発想が出てくるわけ!?」

「……いや、それは、その」

 

「もし本当に告白だったとして、なんで古城君がそれを覗きにくるのよ!?」

 

「……うっ」

 

「はあ、もう。 私が好きな人は古城君が安心できる人だから、心配しなくても大丈夫だから」

 

「だ、誰だ!? ま、まさか同じ学年にいるのか!?」

 

「も、もう、古城君には関係ないでしょ!」

 

これには雪菜も溜息を吐いた。

そして、古城は超鈍感、ということが分かったのだった。

 

「説教は終わったか?」

 

「悠君、ごめんね。待たせちゃって」

 

「全然待ってないぞ。 さてと、今後どうするか、叶瀬と話合わないとな」

 

「そうしよっか。 ね、夏音ちゃん」

 

「夏音ちゃん?」

 

古城が訝しげるように聞く。

それまで沈黙していた銀髪の少女が、古城の前に歩み出た。

 

「あ、はい。 私でした。 叶瀬夏音(かなせ かのん)です」

 

柔らかい顔でそう言って、彼女はふわりと笑みを浮かべた。




ええ、作者は口から砂糖を吐きそうでした(笑)
てか、前半のやりとりを書いてて、ラブラブ夫婦じゃね。とか思いましたね。
書いててメチャクチャ恥ずかしかったですね。

後、この話での重要人物、中等部の聖女を出すことが出来ました。
最後に、凪沙ちゃんは好きな人がいると言っちゃいまたね(*ノωノ)

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!

PS
気になってる方もいると思ったので記載します。
悠斗君のヒロインは凪沙ちゃんだけですね(^O^)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。