今回は、予告通りデート回ですよ。
ブラックを用意した方がいいかもしれません。
今回は激甘かも。
作者は、必須でしたね(笑)
今回も、ご都合主義発動です(笑)
では、投稿です。
本編をどうぞ。
二人の気持ち
現在、神代悠斗はモノレールの改札前で少女を待っていた。
今の悠斗の服装は、上はタートルネックにミリタリージャケットを羽織り、下はスキニーパンツにチャッカブーツといったコーディネイトだ。
そう。 今日は凪沙とのデートの日なのだ。
「そういえば、凪沙と二人で出掛けるのは初めてだよな」
その時、小走りで手を振りながら、待ち合わせ場所に凪沙が到着した。
マフラーを首に巻き、ミニワンピースの上にふんわりとしたコートを羽織り、下は茶色いブーツといったコーディネイトだ。
長い黒髪は、シュシュで束ねてサイドポニーにしてる。
「ごめん、悠君。 待ったかな?」
悠斗は眼を丸くした。
いや、見いってたという表現が正しいか。
「へ、変かな。 今日のために、気合いを入れてきたんだけど」
数秒後、悠斗は我に返った。
「いや、変じゃない。 メッチャ可愛いぞ。 てか、本当に凪沙か? 別人みたいだな」
「えへへ。 どう、ビックリした?」
「まあ、うん」
「そ、そっか」
悠斗と凪沙は、顔を俯けてしまった。
二人はどう見ても、初々しいカップルに見えた。
「よ、よし、行こうか」
「そ、そうだね」
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
悠斗と凪沙は切符買ってからモノレールに乗り、悠斗の隣に座った凪沙は、ショッピングモールの案内図を広げていた。
今日のデート場所は、隣の街にあるショッピングモールだ。
凪沙はパンフレッドを閉じ、悠斗を覗き込むように見た。
「どうした?」
「悠君は、どこか行きたいとかある?」
悠斗は、こういう事には無縁な生活を送っていたのだ。
なので、よくわからない、が本音だ。
「……そう言われてもな」
「じゃあ、今日は凪沙が案内するね」
悠斗は、疑問符を浮べた。
「今日ってことは、またあんのか?」
「うん、ダメかな」
凪沙は首を傾げた。
「構わないぞ」
悠斗は、間髪入れずに承諾した。
短時間しか経過していないが、凪沙と過ごす時間はとても楽しいのだ。
目的の駅に到着し、悠斗と凪沙は改札を潜った。
改札を潜ると、凪沙は悠斗の左腕に抱き付いた。
女の子特有の膨らみが悠斗の左腕に当るが、悠斗は鋼の精神で
「あの~、凪沙さん。 なぜ俺の腕に抱き付いているんでしょうか?」
「いや?」
上目遣い+甘い声で言われると、断るわけにはいかない。
いや、断れないの方が正しいかもしれない。
悠斗は、覚悟を決めた。
「いいぞ。――俺の鋼の精神が試されるが」
「えへへ、頑張ってね」
「小悪魔め」
そんな事を話していたら、ショッピングモール入り口に到着した。
自動扉を潜り、周りを見渡した。
今日は日曜日ということもあり、家族ずれが多い。
「しっかし、広いな。 女の子は、よくここから自分の好みの店が選べるな」
「そうかな。 凪沙はすぐに見つかったけど」
「まじで。 ここは、ダンジョンの迷宮区みたいだぞ」
凪沙は声を上げて笑った。
「悠君。 例えがおもしろいよ」
「そ、そうか」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、行ってみるか。 凪沙に任せっきりになると思うが」
凪沙は、悠斗の腕を引っ張りながら移動し、服屋や靴屋を回った。
服屋で凪沙のコーディネイトを待っている時の視線は、痛かったというか、何とも表現できない視線が突き刺さった。 悠斗は、それを無理やりシャットアウトしたが。
ランジェリーショップを案内された時は、全力で言い訳をして入るのを拒んだ。
あそこに入ったら、大事な何かを失うと悠斗の第六感が告げていたからだ。
悠斗と凪沙は、近場のベンチに腰を下ろしていた。
「疲れたー。 なんで女の子は、買い物に時間がかかるんだ? それがよく分からん」
「女の子には色々あるんだよ。 もしかして、悠君はそれを知りたいの? 特別に凪沙の教えてあげてもいいけど、他の女の子には聞いちゃダメだからね。 えっとね、凪沙が時間をかける理由はね――」
「待った待った。 それは、俺が聞いちゃいけない気がする。 うん、大丈夫だ」
悠斗は、凪沙の言葉を遮った。
凪沙の大切なことを聞いてしまうと思ったからだ。
悠斗が腕時計を確認すると、現在の時刻は、午前12時30分だった。
「さて、昼飯でも食べるか?」
「うん、そうだね」
悠斗と凪沙の昼ご飯は、外で売っていたホットドックだった。
理由は、中のレストランが混雑してたからだ。
並ぶという選択肢もあったが、並んでまで食べたいものではなかったので、外にあるホットドック屋にしたのだ。
悠斗はホットドックを二つ買い、自動販売機でお茶の500mlペットボトルを二つ購入した。
ベンチに座る凪沙の隣に座り、ホットドックを一つ手渡した。
「ありがとう、悠君」
「おう」
それから談笑をしながら、ホットドックを食べた。
だが、二人が同時にホットドックを置いた為、どちらが自分の物か分からなくなってしまった。
口を開いたのは、悠斗だった。
「さあ、どうしようか?」
「うん、どうしよっか?」
悠斗と凪沙は特に困っていなかった。
『どっちを食べても同じ』、という考えなんだろう。
凪沙は悠斗の食べかけであり、悠斗は凪沙の食べかけだから言えることなんだが。
他の人の食べかけだったら、断固拒否してただろう。
「「こっち!」」
二人が指差したホットドックは、綺麗に別れた。
「「いただきます」」
悠斗は口に入れて気づいた。
先程よりホットドックが大きいことに。
凪沙も、悠斗と同じく気づいたようだった。
悠斗は困ったように、
「えー、どうしよっか? 凪沙さん」
「うーん、このまま食べちゃおうよ。 凪沙は、悠君の食べかけなら気にしないしね」
「俺も凪沙の食べかけなら気にしないし、いいか」
「うん」
悠斗と凪沙は、それぞれのホットドックを交換し、綺麗に食べた。
所謂、間接キスになるんだが。
まあ、二人は特に気にしてなかった。
「さてと、俺は凪沙と行きたい所があるんだが、そこに行かないか?」
凪沙は眼を輝かせた。
「え、ホント。 いくいく」
「よしゃ。 じゃあ、行くか」
悠斗は荷物を持ち立ち上がり、凪沙も悠斗に続いて立ち上がった。
再びショッピングモールに入り、悠斗と凪沙が目指した場所は、三階にあるアクセサリーショップだった。
「ここだな」
「わあ、色々な種類のアクセサリーがあるね」
凪沙は感嘆な声を上げた。
「凪沙は、ここ初めてなのか?」
「うん。 いつもこの階は、ほぼ通りすぎてたから」
「なるほどな」
悠斗は、扉を押し開けた。
すると、お客が来た合図を知らせる、カランカラン、という鐘の音が鳴った。
悠斗と凪沙は、中に入り店内を歩いていく。
「色んな種類があるね」
「そうだな。ん?」
悠斗の眼に入ったのは、月と太陽がペアになっているネックレスだった。
値段は、7000円だ。
高校生にしては大きな出費であるが、悠斗は、すぐに店人を呼んだ。
「すいません、この月と太陽のネックレスが欲しいんですけど」
「お客様お目が高いですね。 これは最後の一つだったんですよ。――彼女さんにプレゼントですか?」
「「へ?」」
どうやら悠斗と凪沙は、知らない人が見ると、カップルに見えるらしい。
ここは否定するよりも、店人の言葉に乗った方が吉だ。
「ええ、まあ、そうです。 あ、包装はしなくて大丈夫です」
「かしこまりました。 少々お待ちください」
そう言って店人は、店の奥に消えて行った。
悠斗は、凪沙を見た。
凪沙の顔は、少し赤みを帯びていたが。
「ごめんな。 彼氏気どりしちゃって」
「ううん、大丈夫だよ。――いつか、本当の彼女になりたいな」
「後半はなんて言ったんだ?」
凪沙は笑みを零してから、
「内緒だよ」
「メッチャ気になるんですが」
その時、奥から店人が姿を現した。
その手には、月と太陽のネックレスが入った箱があった。
「お客様。 これでお間違えはないでしょうか?」
店人は箱を開けた、そこには悠斗が頼んだネックレスが入っていた。
「はい、これで間違えありません」
「それでは、こちらに」
悠斗と凪沙は会計窓口まで行き、悠斗がお金を払い店を出た。
自然と悠斗と凪沙の手が触れ合い、しっかりと握った。
悠斗と凪沙はショッピングモールを出て、先程のベンチに腰をかけた。
悠斗は、箱の中から太陽のネックレスを取り、
「凪沙、後ろを向いてくれ」
「うん」
凪沙は、悠斗に背が見えるように体を動かした。
悠斗は凪沙の首に、太陽のネックレスをかけた。
「よし、OKだ」
凪沙は、体を動かし悠斗を正面から見た。
「悠君も後ろ向いてね」
「おう」
悠斗も、凪沙に背を向けた。
凪沙は月のネックレスを手に取り、悠斗の首にかけた。
「凪沙、大切にするね」
悠斗は体を動かし、凪沙を正面から見た。
「俺も大切にするよ。 今さっき、俺の宝物になったけどな」
悠斗と凪沙は、額と額を当て笑い合った。
それから数秒間、悠斗と凪沙は見つめ合い、ゆっくりと顔を離した。
すると周りから、『いやー、見せ付けてくれるね。』、『今の若い子は大胆ね。』、『リア充爆発しろ。』、と言う声が悠斗と凪沙の耳に入ってきた。
悠斗は苦笑し、凪沙は顔を真っ赤に染めていた。
「ここは公共の場だったな。 完全に忘れてた」
「……凪沙、恥ずかしいよ」
凪沙が落ちついた所で、悠斗が言った。
「さてと。 凪沙に見せたい場所があるんだ。 一緒に来てくれるか?」
「うん、わかった」
悠斗と凪沙は立ち上がり、海沿の歩道を歩いた。
「悠君。 どこに向かってるの?」
「ん、ああ。 俺のお気に入りの場所だな。 まだ、凪沙たちと会う前に見つけた場所なんだ」
「ここだ。 ここの斜面を下りてみ」
悠斗と凪沙はその斜面を下った。
「わあ、すごく綺麗な景色だね」
其処からは、夕焼けの景色が映った。
ここからは、広大な夕焼けが見れるのだ。
「ここは人が通らなくてな。 隠れスポットなんだ」
「いいの? 凪沙に教えちゃっても」
「いいんだよ。 その為にここに来たんだから」
「えへへ、ありがと」
「おう」
悠斗と凪沙は、無言で夕焼けを見いった。
それは、とても神秘的に映った。
悠斗にとっては、大切な人と共に見る事ができたからかもしれない。
「悠君」
「どうした?……んん」
凪沙に呼ばれて振り向くと、つま先立ちになった凪沙から、悠斗の唇を自身の唇で塞いだのだ。
悠斗は目を白黒させていた。
暫くして凪沙が離れると、笑みを浮かべた。
「ホントはね。 悠君からして貰いたかったんだけど、悠君の優しさに触れて、凪沙が我慢できなくなっちゃった。 えへへ」
悠斗は凪沙を見て、心臓が脈を打つように早くなり始めた。
悠斗はこれが何か理解してる。
――これは、吸血衝動だ。
通常は制御が可能なのだが、凪沙の前になると制御ができなくなる時があるのだ。
悠斗は唇を噛み、自身の血を飲み吸血衝動を抑え込んだ。
「その、なんだ。 ありがとう?」
「どういたしまして」
凪沙はニッコリ笑った。
悠斗は大きく深呼吸をした。
悠斗は、凪沙の小さな体を優しく抱きしめた。
「す、すまん。 今の俺にはこれが限界だ」
「大丈夫だよ。 悠君の温もりを感じるから」
「そ、そうか。 よし、帰るか」
「うん、帰ろっか」
抱擁を解き、凪沙の手を握った悠斗は、斜面を登り駅へ向かい歩き出した。
夕焼け空の下を歩く二人の手は、離れないようにしっかりと繋がれていた。
甘ーい!!
うん、甘いよ二人とも。
はい、書いてて恥ずかしかったです。
公共の場で、おでこピタは恥ずかしかったんでしょうね(笑)
ちなみに、この日の天候は寒くしました。絃神島ではありえないんですが……。ま、この日だけですね。ご都合主義発動です!
次回から、天使炎上編ですね。
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!