ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

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今回も繋ぎ回になったかも……(-_-;)

では、投稿です。
本編をどうぞ。




戦王の使者Ⅶ

悠斗が教室に戻ろうとした時、途中で足を止めた。

眷獣が暴走し学校に被害が出ていたので、現在、一時授業は中止になっていたのだ。

まあ、途中から教室に入らなくて良かった、とも思ってたんだが。

再び屋上で寝ようと考えたその時、一瞬の閃光が瞬いた。

少し遅れて、爆発音が響いてくる。

空中花火のように膨れ上がったオレンジの火球が、バラバラと黒い破片を散らして消えた。

やがて、黒煙が地上から空高くまで噴き上がる。

 

「まさか、黒死皇派か!? あの方向は……拡張工事中の増設人工島(サブフロート)あたりか!」

 

その時、悠斗の嗅覚が何かの匂いを嗅ぎ取った。

 

「これは……血の匂いか!?」

 

悠斗は嫌な予感を覚えながら、血の匂いがする源に走り出した。

その場所は、浅葱を治療するために雪菜たちが訪れていた保健室だった。

悠斗は、保健室の扉を勢いよく開けた。

 

「アスタルテ!?」

 

そこで悠斗が眼にしたのは、鮮血を流すアスタルテの姿だった。

悠斗はアスタルテを抱き起こした。

古城と紗矢華も異変を感じて、屋上から保健室にやってきていた。

駆け寄った紗矢華が、アスタルテの傷口の様子を確かめる。

アスタルテの体には、何発もの弾丸が撃ち込まれていた。

 

「この傷……銃創!? いったいなにがあったの?」

 

「わからん。 俺が部屋に入った時点で、この状況だった」

 

アスタルテは、古城と悠斗の姿を確認してから、弱々しい声で言った。

 

「――報告します、第四真祖、紅蓮の熾天使。 現在時刻から、二十五分三十秒前、クリストフ・ガルドシュと名乗る人物が本校校内に出現。 藍羽浅葱、暁凪沙、姫柊雪菜の三名を連れ去りました」

 

「な……!?」

 

アスタルテが伝えた情報に、古城は絶句する。

一方の悠斗は、力の暴走の抑えるので必死だった。

 

「彼らの行き先は不明。 謝罪します……。 私は、彼女たちを守れなか……った……」

 

「お、おい、アスタルテ!? しっかりしろ、アスタルテ――!」

 

古城が必死にアスタルテに呼びかける。

悠斗は紗矢華を見て、

 

「……煌坂。 アスタルテの止血を頼めるか?」

 

「え、ええ、任せなさい」

 

紗矢華は、アスタルテをベットの上に寝かせ止血を始めた。

古城は、体の周りから青白い稲妻を迸り、魔力を洩らしている悠斗の近くに寄った。

 

「悠斗、ここで力を暴走させるな! ここには一般の生徒がいるんだ!」

 

悠斗は一呼吸置き、稲妻を抑えた。

 

「……わかってる。 大丈夫だ」

 

古城と悠斗は、建設中の増設人工島の方向を見据えた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

雪菜たちは、窓に塞がれた狭い部屋にいた。

何も置かれていない殺風景な部屋だ。

目隠しされたまま連れてこられたせいで、周囲の状況が分からない。

 

「ねぇ……ここどこだと思う?」

 

木箱の上で膝を丸めて、浅葱が雪菜に聞いてくる。

雪菜は首を振り、

 

「わかりません。 ヘリコプターが飛んでいた時間は十分くらいでしたから、それほど遠くまで連れてこられたわけではないと思いますけど……」

 

雪菜の反応を見た浅葱は、怪訝そうに眼を細めた。

 

「ずいぶん冷静ね。 恐くないの?」

 

「え? あ、いえ……そんなことないと思いますけど、あ、藍羽先輩も落ち着いてますよね」

 

そうかな、と照れたように呟いて、浅葱は眠っている凪沙の横顔を見た。

凪沙は意識をなくしたまま、隣にいる雪菜の肩にもたれかかっている。

凪沙は、――とても安らかに眠っているようにも見えた。

浅葱は、凪沙を見ながら話し始めた。

 

「凪沙ちゃんのアレを見ちゃうとね。 自分がしっかりしなくきゃ、って感じになっちゃうよね。 古城たちが絃神島に引っ越してきた理由、知ってる?」

 

「……いえ」

 

雪菜はゆっくり首を振る。

古城たちが絃神島へやって来たのは四年前。

そして、悠斗がこの島にやって来たのが一年前だ。

 

「これは、ここだけの話にしといて欲しいだけどさ」

 

唇に人差し指を立てながら、浅葱が微かに視線を伏せる。

 

「凪沙ちゃんは、一度死にかけたことがあるのよ」

 

「え?」

 

「四年前にね、魔族がらみの列車事故に巻き込まれてさ。 どうにか命は取り留めたけど、一生意識が戻らないかもしれないって言われたそうよ。 ましてや元の生活に戻るなんて――」

 

雪菜は唖然としたように唇を震わせた。

 

「でも、そんなこと、凪沙ちゃんは全然――」

 

「うん、私もよく知らないんだけど、なんか特殊な治療を受けたみたいよ。 ほら、ここは魔族特区だからさ」

 

雪菜は沈黙する。

絃神島――魔族特区は学園都市だ。

魔族の肉体や能力を研究して、それらを応用した技術や製品、開発が日々行われている。

また、研究テーマには、最先端の医療技術も含まれているはずだ。

――未認可・実験段階の医療技術が。

 

「もう、完治したけど、今も定期的に検査に通ってるんじゃないかしらね。 お金もずいぶんかかったみたい。 古城の両親が別居して、お母さんがあまり家に帰ってこないのは、それと無関係じゃないと思うわ」

 

そう言って、浅葱は肩を竦めた。

 

「凪沙ちゃんが魔族を恐がるのは、もしかしてそれが原因ですか?」

 

「そんなこと本人には聞けないけどさ。 そうだとしても無理はないよね」

 

雪菜は無言で頷いた。

 

「あと、ごめん。 私のせいで巻き込んじゃって」

 

黙り込んでしまった雪菜を気遣うように、浅葱が軽い口調で言った。

 

「藍羽先輩は、どうして自分が攫われたかのか、ご存じないんですか?」

 

「ううん、全然」

 

投げやりに両腕を広げて、浅葱が溜息を吐く。

 

「でもまあ、心当たりがないわけじゃないんだよね。 連中、私に仕事をやらせようとしてるみたいだしさ」

 

「お仕事、ですか?」

 

雪菜がきょとんと首を傾げて聞き返す。

 

「私、バイトでフリーのプログラマーみたいのことやってるから。 たまにあるんだわ、非合法なハッキングの依頼みたいなのが。 さすがに、ここまで強引なお誘いは初めてだけどさ」

 

「ハッキング……アルバイトですか?」

 

雪菜は困惑した。

 

「コンピュータを使った特殊なお仕事ってこと。 ちょっと気の利いたプログラム作ったり、よその会社のネットワークに侵入したり、あとはパスワードを解読したりね」

 

「黒死皇派が……どうしてそんな作業の依頼を?」

 

「私も不思議に思ってたのよね。 黒死皇派ってあれでしょ、何年か前にヨーロッパのほうで話題になったテロリスト。 なんでそんなのが、あたしに目をつけたのかしらね」

 

「――君は、自分が有名人だという自覚が足りないようだな、ミス・アイバ」

 

突然、扉を開けて部屋に入ってきたガルドシュがそう言った。

浅葱が息を呑んで振り返る。

 

「少なくとも、我々が雇った技術者の中に、君の名を知らない者はいなかったよ。 さすがに彼らも、電子の女帝の正体が、こんな可愛らしいお嬢さんだとは思っていなかっただろうがね」

 

「そんな見え透いたお世辞を言われて、私が協力する気になるとでも思った?」

 

浅葱は怯むことなく、ガルドシュを睨みつけて言った。

その浅葱の反応を見、ガルドシュは満足げに笑う。

 

「失礼した。 特に空世辞のつもりはなかったんが、君のその冷静さと気丈な態度、我々は高く評価する。 この状況で取り乱す民間人を軽蔑するつもりはないが、重要な仕事を任せる気にはなれないのでね」

 

ガルドシュが、眠り続ける凪沙を見下ろして告げた。

浅葱が立ち上がり、

 

「用があるのが私だけなら、この二人は帰してあげて。 取り引きするのはそれからよ」

 

「どうしても解放しろと言うなら、それに従うのはやぶさかではないが。――君が彼女たちの安全を本気で願っているのなら、その判断は支持できないな」

 

「どういう意味よ。 言っとくけど、もし彼女たちに指一本でも触れたなら――」

 

「我々は統一された戦士の集団だ。 非戦闘員を辱めるような品のない真似をする者はいない」

 

浅葱の疑念を振り払うように、低く毅然としたガルドシュの声が響いた。

それでも浅葱は、ガルドシュの双眸から眼を離さない。

 

「保健室にいた人工生命体(ホムンクルス)は撃ったのに?」

 

「彼女は戦闘の道具だった。 我々と同様にな」

 

平静な声でそう言って、ガルドシュはアスタルテを悼むように眼を伏せた。

言葉とは裏腹に敬意に満ちた声音が、戦士として揺るぎない彼の信念を感じさせた。

 

「……信用していいのね」

 

「今は亡き我が盟友、黒死皇の名誉にかけて誓おう」

 

「いいわ。 とりあえず、話だけは聞いてあげる。 説明しなさい」

 

深く溜息を吐いて、浅葱が木箱の上へ座る。

ガルドシュは満足そうに口元を緩めて、部下に目配せをする。

部下の男が差し出したのは、リングファイルに綴じられた分厚い書類の束だった。

電子機器の設計マニュアルである。

 

「これがなにかわかるかね?」

 

「――スーヴェレーンⅨ!? こんなものどこで手に入れたの?」

 

英語で書かれたマニュアルを捲って、浅葱が驚愕の声を上げた。

 

「我々の理念に賛同してくれた篤志家がいてね。 アウストラシア軍に納入予定のものを横流ししてもらった。 絃神島の管理公社で君が使ってるスーパーコンピュータの同型機の、最新機種だそうだな」

 

「こいつで、ナラクヴェーラって言う古代兵器の制御コマンドを解析しろ、ってことかしら」

 

何気ない口調で浅葱が呟く。

ガルドシュは息を呑んだ。 ナラクヴェーラと呼ばれる古代兵器の存在を、無関係の浅葱が知っているとは思わなかったのだ。

 

「我々は、君に対する評価をもう何段階か引き上げる必要がありそうだな、素晴らしい」

 

「昨日、つまんないパズルを家に送りつけたのは、やっぱりあんたたちだったわけね」

 

不愉快そうに顔をしかめて、浅葱が聞いた。

 

「我々はこれまで百五十人を超えるハッカーに同じ内容のメールを送ったが、君のいうところの『つまらないパズル』を解析できたのは僅かに八人。 その中で、一切の矛盾のない正解を導き出せたのは君だけだ。 しかも、三時間足らずという圧倒的時間でね」

 

「私にもいろいろあったのよ。 現実逃避したい理由とか」

 

拗ねたように独りごちながら、浅葱は雪菜を見た。

雪菜は困惑気味に眼を瞬いて、何となく後ろめたそうに眼を逸らす。

 

「我々の目的は、あの忌まわしき聖域条約の即時破棄と、我々魔族の裏切り者である第一真租の抹殺だ。 その悲願を成就するために、ナラクヴェーラの力が必要なのだ」

 

「そんなこと聞かされて、協力できるわけがないでしょうが。 そんな計画が実現したら、最悪、世界中を巻き込んだ戦争よ!」

 

マニュアルを叩きつけて、浅葱が叫んだ。

ガルドシュが唇を捲り上げて笑う。

 

「それこそが、我々の望む世界の姿なんだがね。――たしかに、君たちの価値観とは相容れまいな。 だがそれでも……いや、だからこそ、君は我々に協力してくれることを信じているよ」

 

「は? なに言っての、そんなわけ――」

 

「これがなにかわかるかね?」

 

そう言ってガルドシュは、部下の手から薄いタブレットPCを受け取った。

そこに表示されていたのは、奇妙な長い文字列だ。

どうやら、なにか複雑な計算式を人間に発音できる形に変換したものらしい。

浅葱は、不機嫌そうにそれを眺めた。

 

「私が解読した例の暗号文……古代兵器の制御コマンドね。 だけどそれって全体のほんの一部なんじゃないの?」

 

「その通りだ。 ナラクヴェーラとともに出土した石板は、全部で五十四枚(・・・・)。 これはその中のたった一枚にしか過ぎない。 だが、ここに書かれていた内容を覚えてるかね?」

 

「まさか……あんたたち……」

 

ガルドシュの言葉を聞いて、浅葱が顔色を変えた。

戦王領域のテロリストは、愉快そうに、そして冷酷に笑っていた。

 

「そうだ。 この石板の銘は、『はじまりの言葉』――ナラクヴェーラの起動コマンド(・・・・・・)だ」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

絃神島を構成しているのは東西南北、四基の超大型浮体式構造物(ギガフロート)だが、実はこの島の周囲には、その他にも細々としたユニットが多く存在している。

絃神島三十号増設人工島(サブフロート)は、建設中の施設の一つだった。

古城、悠斗、紗矢華は、この増設人工島に訪れていた。

そしてこの増設人工島は、苛烈銃撃戦が行なわれていて、もはや戦争のような惨状だ。

 

「でだ。 どうやって侵入する、古城? 特区警備隊(アイランド・ガード)が入り口を封鎖してるから、正面から行けないぞ」

 

「どうすっか。 いや、あそことかどうだ?」

 

古城が指を差した場所は、絃神島と増設人工島を隔てている間。 距離は、約八メートルほどだ。

 

「はあっ? あなた吸血鬼の真祖でしょ? もっとマシな方法はないの、暁古城」

 

「オレはついこないだまで、ただの人間だったんだぞ」

 

「眷獣は!? 第四真祖の十二体の眷獣の中に、使えそうな能力を持ってる子はいないの?」

 

「いやそれが、オレの言うことまともに聞く眷獣は、今の所一体だけなんだ。 あのビリビリもこないだ姫柊の血を吸って、ようやくオレのことを宿主と認めたばっかで」

 

「なにぃ……」

 

紗矢華が剣を握り締めた左手に力が入る。

紗矢華は、ハッ、として悠斗を見た。

 

「あなたはどうなの? 紅蓮の熾天使なんだから、一体くらい使える子がいるんでしょうね?」

 

悠斗は、紗矢華の視線から逃れるように顔を逸らした。

 

「……いるんだが。 今は使えない事情があるっていうか」

 

「屋上で使役してた眷獣はダメなの?」

 

「朱雀のことか。 あいつは今は使役できない状況でな。……だから無理だ」

 

「はあー、あんたらが使えないとこがわかったわ」

 

すると、古城が嘆息し、

 

「要するに、向こうに渡ればいいんだろ」

 

古城の考えに、悠斗は頷いた。

 

「そだな。 古城の考えでいくか。――んじゃ、古城は煌坂を頼んだぞ」

 

「おう」

 

「……なにする気?」

 

古城は、剣の入ったギターケースを背負うと、紗矢華の横に回り込んだ。

 

「悪いな、ちょっと動くなよ」

 

「え、ちょっと……ひゃっ!?」

 

横抱きで抱き上げられた紗矢華が、驚愕のあまり全身を硬直させた。

古城と悠斗は、吸血鬼の力を解放させ、増設人工島目掛けて走り出す。

悠斗は余裕に飛び越えたが、古城はギリギリだった。

 

「な、な、な……なんてことしてくれるのよ!?」

 

そんな古城の腕の中で、紗矢華が突然暴れ出した。

 

「渡れたんだから文句ねーだろ」

 

「ノーカウント! こんなのノーカウントだからね!?」

 

訳が解らないとことを言いながら、紗矢華が古城の頭を殴る。

悠斗はこれを見て、大きく息を吐いた。

 

「……なにやってるんだ、お前たちは」

 

古城たちの眼前に、漆黒のドレスが現れた。

 

「那月ちゃん? テロリストの相手をしてたんじゃなかったのか?」

 

「偶には、特区警備隊(アイランド・ガード)の連中にも花を持たせてやらなければ。 突入部隊が黒死皇派の生き残りどもを圧倒してるみたいだし、私の出番はないだろう」

 

銃撃戦の続く監視塔を眺めて、那月が答える。

やはり、黒死皇派が立て籠っているらしい。

 

「それで、私のことを那月ちゃんと呼ぶのは、この口か?」

 

「痛て痛て痛て、やめて……」

 

無抵抗な古城の頬を、那月がぐりぐりと捩じ上げる。

紗矢華を押さえつけてるので、古城の両手は塞がったままだ。

古城がなにかを那月に伝えようとした時、激しかった銃撃の音が途絶えた。

次の瞬間――。

 

ゴオオオオオオオオオォォォン――。

 

爆撃にも似た轟音が、鳴り響いた。

それに呼応して、増設人口島が激しく揺れた。

爆音の発生地は、黒死皇派が立て籠っている監視塔からだ。

 

「なんだ、あの爆発!? あれも特区警備隊(アイランド・ガード)の攻撃か?」

 

悠斗がそう呟いた。

炎に包まれた監視塔の崩壊は未だに続いている。

那月が古城の頬をつねり上げたまま首を振り、

 

「いや……自爆、か?」

 

「自爆って……」

 

その時、悠斗は膨大な魔力を感知した。

 

「なに……この気配……!?」

 

古城の腕の中から降り立ち、紗矢華が見ていたのは、倒壊した監視塔の基底部だった。

降り積もった瓦礫を押しのけ、巨大なにかが動き出そうとしている。

地底から噴き出しているのは、禍々しい異様な気配だ。

 

「ふゥん。 よくわからないけどサ、まずいんじゃないのかなァ。 これは」

 

悠斗が声のした方向を振り返ると、ディミトリエ・ヴァトラーがいた。

 

「ヴァトラー!? なんでお前がここに!?」

 

「どうして貴方がここに!?」

 

古城と紗矢華は同時に呻き、那月は不機嫌そうに眉を寄せる。

 

「なんの用だ。 蛇遣い?」

 

「まあまあ、積もる話はあとにして。 その前に、君たちの部隊を撤退させたほうがいいんじゃないかなァ? どうせ、ここにはガルドシュはいないしネ。 残ってる連中は、ただの囮サ」

 

ヴァトラーが悪戯っぽく笑い、那月はヴァトラーを睨んだ。

 

「囮だと? こんなところに特区警備隊(アイランド・ガード)を集めてなんの得がある?」

 

「もちろん標的が必要だからサ。 新しく手に入れた兵器のテストにはサ。 君たちも、黒死皇派がこの島になにを運び込んだのか、忘れたわけじゃないンだろ」

 

「……まさか」

 

「フフ、さすが僕の天使ダ。 そう、起動したんだよ」

 

悠斗とヴァトラーのやり取りを聞いていた那月の表情が凍りついた。

そして、古城の脳裏に渦巻いていた疑問がはっきりした。

もし、黒死皇派の目的が、特区警備隊の殲滅だったら。

なら、この増設人工島に下に隠されているのは――。

 

「――ナラクヴェーラか!?」

 

古城の叫びに呼応するように、瓦礫を撒き散らして巨大な影が出現した。

そして古城は、その影が真紅の閃光を放って地上を薙ぎ払うのを見た。

閃光を浴びた装甲車が、呆気なく切り裂かれ、凄まじい炎と共に爆発四散した。




たぶん、たぶん、次回は話が進むと思いまする。
後、気になっている人が居るかはわかりませんが、悠斗君が眷獣を解放するのには、霊媒(血)が必要なんス。
朱雀は最初から残してたんで、霊媒は必要ありませんでしたが。

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!

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