ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

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ひゃはー。
連日投稿やで!

さて、これがいつまで続けられるだろうか?
まあ、それは置いといて。

本編をどうぞ。


戦王の使者Ⅴ

彩海学園高等部の職員室棟校舎――。

何故か学園長室よりも偉そうな見晴らしのいい最上階に、南宮那月の執務室はあった。

分厚い絨毯とカーテン。 年代物のアンティークの家具。 天蓋つきのベット。

 

「那月ちゃん。 ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

「俺も頼むわ、那月ちゃん」

 

分厚い木製の扉を開けて、古城と悠斗は部屋の中へ入り込む。

 

「おっと」

 

「ぐおっ!?」

 

悠斗は投げられた分厚い本を寸前で受け止め、古城は頭蓋骨に衝撃を受けて仰向けに転倒した。

 

「せ、先輩!?」

 

古城のすぐ後ろを歩いていた雪菜が、ぐおおお、と苦悶する古城を慌てて抱き起こす。

部屋の奥から冷ややかに見つめてたのは、黒いドレスを着た南宮那月だ。

幼女に見えない童顔な小柄な女性だが、自称二十六歳の英語教師だ。

彼女は、高価そうなアンティークチェアに深々ともたれて、黒いレースの扇子を開いていた。

 

「私のことを那月ちゃんと呼ぶなと言っているだろ。 いい加減学習しろ。 暁古城。 神代悠斗」

 

そう言いながら、じろりと雪菜を睨んだ。

 

「おまえもいたのか、中等部の転校生。 それで質問というのはなんだ? 子供の作り方でも聞きにきたのか?」

 

悠斗は息を吐き、雪菜は一瞬なにを言われたのか分からず唖然として、首を左右に振った。

古城は額を押えたまま勢いよく起き上がった。

 

「んなわけあるかっ! いきなりなに言ってんだ、あんたは!?」

 

「…………なんだ、違うのか? だったら、なんのようだ?」

 

那月がつまらなそうに呟く。

 

「クリストフ・ガルドシュって男を捜してるんだ。 なにか手がかりがあったら教えて欲しい」

 

その瞬間、那月の雰囲気が一変した。

小柄な体から、息苦しいほどの圧迫感が滲み出す。

 

「お前たち、どこでその名を聞いた?」

 

那月のこの質問に、悠斗が答えた。

 

「戦王領域の蛇野郎。 ディミトリエ・ヴァトラーだ。 俺が、一生顔を合わせたくない野郎だ」

 

これを聞いた那月が、ちぃ、と舌打ちをする。

 

「そうか……。 あの軽薄男か。 お前たちを呼び出す可能性を予想しておくべきだったな。 まったく、余計な真似をしてくれる」

 

那月がヴァトラーを知り合いのように罵った。

 

「戦王領域のテロリストが、絃神島に来てるって噂は本当だったんだな。 それで、ガルドシュの居場所を聞いてどうする?」

 

「捕まえます。 彼がアスデアル公と接触する前に」

 

那月の質問に、雪菜が即答する。

その一言で、那月は大凡の事情は理解した。

黒死皇派の残党と戦闘になれば、ヴァトラーは嬉々として眷獣を解放する。

そうなれば、絃神島には甚大な被害を被る。

雪菜は、それを止める、と言っているのだ。

だが、那月の返答は素っ気無いものだった。

 

「無駄だ。 やめておけ。 ああ、アスタルテ――そいつらに茶なんか出してやる必要はないぞ。 もったいない。 それよりも、私に新しい紅茶を頼む」

 

命令受託(アクセプト)

 

麦茶を運んできたメイド服の少女に、那月が命令する。

少女の声に、古城と雪菜が驚いて顔を上げた。

銀色のトレイを抱いて立っていたのは、藍色の髪の少女だった。

 

「お、お前、オイスタッハのオッサンが連れてた眷獣憑きの――!」

 

「アスタルテ……さん!?」

 

「あれだな。 那月ちゃんは忠実なメイドが欲しかったんだな。 身元引受人になって彼女を引きっとったんだろ。 たぶんアスタルテは、保護観察処分中なんじゃないか」

 

「説明の手間を省いてくれて感謝するぞ。 神代悠斗。 だが、教師相手にちゃんづけをするな!」

 

那月は分厚い辞書を投げつけてくるが、悠斗はそれを難なく受け止める。

 

「あぶなっすよ。 那月ちゃん」

 

「チッ、ワザとでもいいから当たれ、神代悠斗」

 

「南宮先生。 ガルドシュを捕まえても無駄というのは、どうしてですか?」

 

驚きから立ち直った雪菜が話を戻す。

 

「捕まえても無駄とは言ってない。 お前たちがそんなことする必要はないと言っているんだ」

 

「え?」

 

「黒死皇派の連中は、どうせなにもできん。 少なくてもヴァトラーが相手ではな。 奴はあれでも、“真租にもっとも近い存在”とも言われてる怪物だ。 暁の隣には、“真租を越えるかもしれない化け物”がいるんだがな」

 

悠斗は、失敬な。と思ったのだが、否定が出来なかった。

でも、と雪菜は生真面目な口調で食い下がる。

 

「黒死皇派の悲願は、第一真租の抹殺だと聞いています。 彼らはそれを実現する手段を求めて、絃神島に来たのではないですか?」

 

黒死皇派が第一真租を殺せる力を手に入れたなら、それはつまり、真租に近い戦闘力を持つヴァトラーを殺せるということだ。

だが、それを理解してなお、那月は首を振った。

 

「そうだな。 だから無駄なのさ。 ガルドシュの目的はナラクヴェーラだ」

 

「ナラクヴェーラ……?」

 

聞き慣れない言葉に雪菜は眉を寄せた。

雪菜の知識には無い単語だったらしい。

そこで、悠斗の解説が入る。

 

「南アジア、第九メヘルガル遺跡から発掘された先史文明の遺産だな。 かつて存在した、無数の都市や文化を滅ぼしたといわれる、神々の兵器だよ」

 

古城と雪菜は、なんで知ってるの?と聞きたそうだったので、悠斗はこう答えた。

 

「俺がここに来る前は、様々な国を転々としてたんだ。 こういう知識は嫌でも覚えるよ」

 

古城と雪菜は、なるほど。と納得したようだった。

古城は、猛烈に嫌な予感を覚えた。

 

「神々の兵器……って、ヴァトラーが言ってた兵器じゃないのか? やっぱり、絃神島にあるのは事実だったのか?」

 

この問いに、那月が答えた。

 

「表向きには、もちろんあるはずがない物だが、実は、カノウ・アルケミカルという会社が遺跡から出土したサンプルの一体を非合法に輸入してたらしい。 もっとも、そいつは少し前にテロリスト共に強奪されたんだがな」

 

「やっぱあんのかよ!? しかも、盗み出されたあとなのかよ!?」

 

「古城、ナイスツッコミだ」

 

と、悠斗は称賛を送る。

 

「九千年も前に造られた骨董品だ。 お前は、なにを焦っているんだ?」

 

慌てふためく古城を眺めて、那月が蔑むように言う。

 

「奪われたのは、遺跡からの出土品だと言ったろ。 とっくに干からびてガラクタだぞ。 仮に動いたとしても、それをどうやって制御するんだ?」

 

「……制御する方法に心当たりがあったから、黒死皇派は、その古代兵器に目をつけたのではありませんか?」

 

雪菜が冷静に指摘し、那月は少し愉快そうに口角を上げた。

 

「ふん、さすがにいいカンをしてるな、転校生。 たしかに、ナラクヴェーラを制御するための呪文、術式を刻んだ石板が、最近になって発見されたらしい」

 

「だったら、その兵器が使われる可能性があるってことなんじゃねーかよ」

 

「世界中の語言学者や魔術機関が寄ってたかって研究しても、解読の糸口すらつかめていない難解の代物だぞ。 テロリスト如きが、ない知恵を振り絞った所でどうにもならんよ」

 

不安げに唇を尖らせる古城を、那月がやる気のない口調で突き放す。

 

「石板の解読に協力していた研究員は捕まえた。 黒死皇派の残党が見つかるのも時間も問題だ。 密入国した国際指名手配犯たちが、馬鹿でかい骨董品を抱えて潜伏できる場所は限られてるからな。 特区警備隊(アイランド・ガード)は、今日明日にもガルドシュを狩り出すつもりだそうだ」

 

「狩り出す……って。 もしかして、那月ちゃんも助っ人に行くのか?」

 

古城が顔をしかめて言った。

ガルドシュの協力者を捕まえた、ということは、那月は既に今回の事件に深く関わっているのだろう。

まあ、悠斗もこの事件には少しだけ関わったのだが。

 

「私をちゃんづけで呼ぶな! とにかく、あの蛇遣いがなにか言った所で、お前たちの出る幕はない。 強いて言えば、追い詰められた獣人どもの自爆テロに気をつけることだな」

 

「自爆テロ……」

 

思いがけない那月の警告に、古城は顔色を変えた。

たしかに自爆テロは、ヴァトラーにダメージを与える数少ない手段でもある。

古城たちも、それに巻き込まれる可能性も決して低くない。

 

「それから、もうひとつ忠告してやる。 暁古城、ディミトリエ・ヴァトラーには気をつけろ」

 

紅茶を啜りながら、那月がこう呟いた。

 

「奴は自分より格上の“長老(ワイズマン)”――真祖に次ぐ第二世代の吸血鬼を、これまでに二人も喰っている。 神代悠斗のことは心配してないがな。 ヴァトラーのやつを半殺しにしてるんだ」

 

「……同族の吸血鬼を……喰った?あいつが?」

 

昨日出会った貴族の青年を思い浮かべながら、古城は呻いた。

雪菜も驚愕の相を浮かべている。

 

「奴が、“真祖にもっと近い存在”、と言われてる所以だよ。 精々、お前も喰われないようにするんだな」

 

那月が不敵に笑いながら言い、古城は無言で頷いた。

那月は、古城と雪菜に帰れと言い、悠斗は話しがあるから残れ、と言った。

 

「さて、神代悠斗。 昨夜、無茶な力の解放をしようとしたな。 あれでお前の存在は、真祖だけではなく、旧き世代にまでバレただろうな」

 

悠斗は言い淀んでから、

 

「……あ、ああ、そうかもな。 あれはすまないと思ってるよ。 反省してる。 姫柊が居なかったら、この島に被害を及ぼしてたな。 姫柊には感謝してるよ」

 

那月は、ふん、と鼻を鳴らした。

 

「お前がそうなった原因は大体予想できる。 お前の大切な人で、挑発されたんだろ?」

 

那月はどういう経緯で、悠斗が凪沙と出会ったかを知っている。

悠斗にとって、どれだけ大切な存在なのかも。

 

「ああ、そうだ。 ヴァトラーがその子に手を出すと思ったから頭に血が上ってな、ほぼ無意識に封印を解こうとしてた」

 

「そうか。――暁凪沙は、お前の抑止力であり、弱みでもあるのか」

 

「かもな。 俺も自覚してるよ。 今後は力を暴走させないように、細心の注意を払うよ。 だが、彼女が傷つけられたら、俺はどうなるかわからない。 その時は頼んだ、那月ちゃん。――じゃあ、俺は戻るわ」

 

そう言って悠斗は、那月の執務室から出て行った。

 

「教師をちゃんづけで呼ぶな。――お前が暴走したら、私の手には負えないぞ。 神代悠斗」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

那月の部屋から出た古城と雪菜は、重い足取りで自分たちの教室へ向かう。

その途中で立ち止まり、雪菜が聞いた。

 

「南宮先生の話、本当でしょうか?」

 

「人格的に少し問題はあるけど、基本的に嘘はつかない人なんだよな」

 

まだ痛みの残る頭を押さえながら、古城は曖昧に感想を洩らす。

なんとなくわかります、と雪菜も微苦笑を浮かべた。

だからこそ彼女の言葉には、それがどんなに突飛な内容でも信用できる。

ヴァトラーが同族を喰った、という情報についてもだ。

 

長老(ワイズマン)ってのは、第二世代の吸血鬼だって言ってたな」

 

古城は自信なさげな口調で雪菜に確認し、雪菜は、はい、と頷いた。

 

「真祖に認められて、彼の血を与えられた者たちです。 必ずしも、真祖の実の娘や息子というわけではないんですけど」

 

「――弟子と後継者ってことか」

 

真祖から直接血を与えられた、もっとも旧き世代の吸血鬼たち。

その能力は、当然、普通の吸血鬼と比べもにならないはずだ。

 

「ヴァトラーは、そういう意味では、第一真祖と直接繋がっているわけじゃないんだな」

 

「そうですね。 純血の貴族とはいっても、長老(ワイズマン)たちの遠い子孫ですから。 もしアルデアル公が長老たちを本当に捕食したのだとしたら、特殊な能力を持ってるのかもしれません。 なにか、血の濃さを覆す特殊な能力を――」

 

不老不死の吸血鬼とって、血は魔力の源であり、眷獣を召喚する為の媒体でもある。

長く生きた吸血鬼は、より多くの血を吸うことによって、より強力な魔力をその血の中に蓄える。

旧き世代の吸血鬼が、若い世代よりも強い力を持つのはその為だ。

それが、長老(ワイズマン)と呼ばれる吸血鬼なら尚更だろう。

だが、彼らの魔力を奪う方法も存在する。

吸血鬼が、他の吸血鬼の血を奪う――。 所謂、同族喰らいだ。

 

「そういや、あいつはやたら血にこだわってたな」

 

昨夜の会話を思い出しながら、古城は呟く。

 

「たしかに、あの方の先輩に対する執着はちょっと異常でしたね」

 

「オレへの執着じゃねぇよ。 あいつがこだわっているのは、第四真祖の血だろ」

 

「でしたら、やはり南宮先生の助言は当たっていたのかもしれませんね。 あの方に捕食されないように注意しろ、というあの言葉は――」

 

ヴァトラーは、自分よりも格上の長老を二人喰っている。

つまり、ヴァトラーは長老たちよりも遥かに強い魔力を持つ。

真祖といえども、絶対に捕食されないとは言い切れない。

だよな、と古城が弱気な声で言った。

 

「あいつが本気でオレを殺そうとしたら、今のオレじゃ多分勝てないだろうな……。 せめてオレが、もう何体か眷獣が使えたら話は違ってくるんだろうけど」

 

「眷獣、ですか……」

 

思い詰めたような表情で、雪菜が呟く。

古城が制御できる眷獣は、獅子の黄金(レグルス・アウルム)だけだ。

そして、獅子の黄金(レグルス・アウルム)を攻撃に使っている間、古城自身は無防備になってしまう。

ヴァトラーの持つ九体の眷獣を同時に相手にした時、獅子の黄金(レグルス・アウルム)だけで勝てるという保証はない。

 

「――先輩。 もしかして、またああゆうことしたい、と思っていますか?」

 

古城は、雪菜の言葉の意味が解らず首を傾げた。

 

「ああいうこと……ってなんだ? また?」

 

「あれです。 その……私の……を……吸ったりとか……」

 

雪菜が眼を逸らして、少し怒ったような、照れたような早口で言った。

古城は、雪菜の発言の真意を理解する。

古城が獅子の黄金(レグルス・アウルム)を掌握できたのは、雪菜の血を吸ったからである。

だとすれば、再び雪菜の血を吸えば、新たな眷獣を掌握できるようになるかもしれない。

雪菜はそう言っているのだ。

 

「いや、違う! 今のはそういう意味で言ったわけじゃないからな! べつに、姫柊の血なんかでどうこうしようとは、これっぽっちも思ってないから!」

 

古城は必死に否定する。

雪菜の血を吸ったのは、絃神島が崩壊するかもしれないという非常事態である意味仕方なかったが、今回は全く状況が違う。

恋人でない雪菜の血を、無理やり吸うわけにはいかない。

 

「……べつに、わたしの血なんか、ですか。 これっぽっちも……ですか」

 

雪菜が古城を見上げる無感情な瞳は、どこか凍てついた刃を連想させた。

 

「とにかく、そっちはなんとかなるんじゃないかな。 なんとなくだけど、ヴァトラーの奴も、今すぐオレを喰おうとは思ってないと思う。 下手にオレを追い詰めたら、オレの眷獣が暴走するかもしれないし。――それよりも、悠斗のことだ。 昨日のあれはなんだったんだ。 オレの眷獣より、強力な気配がしたのは間違えないぞ」

 

雪菜は真剣な表情になり、古城を見上げた。

 

「あれは、神代先輩の血に眠る眷獣だと思います。 あの眷獣に対抗できるのは、獅子王機関の三聖、アルデアル公、真祖たちだけだと思います」

 

「でも、なんで力が暴走しようとしたんだ? 悠斗は、その眷獣を制御できるんじゃないのか?」

 

雪菜は、おそらくですけど、と前置きをし、

 

「神代先輩はなんらかの事情があり、眷獣を封印してると思います。 昨夜は、その封印した眷獣を、無理やり叩き起こそうとしたんです」

 

「ああ、そういえば聞いたことがあるな。『俺は他の眷獣を封印してるから、朱雀しか使役できない』、ってな」

 

「今までの情報から、それは嘘ではないと思います。――それに、朱雀といわれた眷獣を残したのは、誰かを守護する為ではないでしょうか?」

 

「……凪沙か」

 

雪菜は無言で頷いた。

そう。 悠斗は全ての眷獣を封印しようとしたが、凪沙を守る為、朱雀だけは残したのだ。

古城は頭をがしがしと掻いた。

 

「ヴァトラーを半殺しに出来て、真祖と渡り合える。 それにあの歳で、持ってる知識もハンパない。――悠斗は何者なんだ?」

 

「……わかりません。 ですが、私たちの敵でないことは確かです」

 

「そうだな。 オレもそれは断言できる。 悠斗はなにがあっても、オレのダチだ」

 

「そうですね。 私にとっては先輩ですけど」

 

古城は、さて、と言ってから言葉を続ける。

 

「ナラクヴェーラを密輸したのは、絃神市内の企業だって言ったよな?」

 

古城は、那月が言っていたことを思い出す。

 

「カノウ・アルケミカル・インダストリー社ですね。 錬金素材関係の準大手企業だったはずです」

 

古城は腕を組んで考え込む。

 

「もしかしたら、そっちの線からなにか調べられるかもしれない。 悪いけど、姫柊は中等部のほうに戻ってくれないか? あとでまた連絡するから」

 

「先輩がなにを考えてるか、薄々想像がつきますけど――」

 

どことなく拗ねたような表情で雪菜が何かを告げようとするが、途中で言葉を切り上げて、ゆっくり周りを見渡した。

感覚を研ぎ澄ますように沈黙する雪菜に、古城が困惑して呼びかける。

 

「ひ、姫柊。 どうしたんだ?」

 

「いえ」

 

雪菜は静かに息を吐き、首を左右に振った。

 

「誰かに見られていたような気がしたんですけど、気のせいだったみたいです」

 

それから古城は高等部へ、雪菜は中等部へと歩き出した。




今回は、説明回でしたね。
物語が動き出すのは、次回くらいかな。

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!

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