騎士王が兜に王位を譲る話   作:VISP

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番外編その2 FGO編その2 オリキャラ&ネタバレ注意

 召喚時

 

 

 召喚陣から眩い魔力光と共に現れたその姿は、他の多くの英霊達と比較してなお、本当に鮮烈だった。

 

 「ランサー・アルトリア、召喚に応じ参上した。我が愛馬が雷雲を呑むように、我が槍はあらゆる城壁を打ち破る。あなたの道行きを阻むもの、全てを打ち砕こう」

 

 漆黒の鎧と槍、魔獣が如き乗馬、そして掠れた金の髪と同色の、しかし誰よりも激しい感情を宿した瞳。

 

 「先日ぶりだな、カルデアのマスターよ。今日より共に歩ませてもらう。」

 

 そして、父性と母性を併せ持った様な、暖かな微笑み。

 この時から、自分はきっとこの誰よりも優しく厳しい王様に魅せられたのだ。

 

 

 

 …いやさ、初めてのセイバー顔だってこともあったけどね?

 

 

 

 

 ………………………………………………

 

 

 クリスマスイベント編

 

 

 

 「起きろマスター。」

 

 ゆさゆさと、未熟な魔術師(成ってから1年未満)の惰眠を誰かが妨げる。

 誰だてめェ畜生。

 後生だから寝かせてうちの腕白共の後始末でマスターガチで疲れてるの。

 

 「致し方ない。本意ではないが…3、2、い」

 「はい起きた今起きただからカウント止めてっ!?」

 

 しかし生存本能の猛烈なアラームには流石に飛び起きざるを得なかった。

 このカウントが0を刻んだら、一体何が起こるのか考えたくも無い。

 

 「おはようマスター。早速だがこれに着替えよ。直ぐ出発だ。」

 「」

 

 起き抜けに刺激の強すぎる光景だった。

 セイバー顔としては珍しく、メリハリの効いた大人の肢体が、真っ黒という違いこそあれ、ミニスカサンタコスに包まれ、目の前に存在しているのだ。

 しかも、前屈みなので豊かな胸部が強調される様に目の前にあります。

 更に視界の端にはメドゥーサともタメを張れる程のキュッと締まったウエストと大き過ぎず、しかし確かな張りと柔らかさを想像させるヒップまであります。

 思わず生唾を飲み込んだボク(♂18歳)無罪。

 

 「起きろ。」

 「あいた」

 

 そして現実に戻れとばかりに小突かる。

 割と痛い。

 どう見ても軽くつついただけなのに、結構な威力で目の前に星が散った。

 

 「起きたな。では直ぐ出発する。」

 「何に?」

 「…本当に寝ぼけているな、貴様。今日は何の日だと思っている?」

 

 心底蔑んだ視線を向けられ、ついゾクゾクしてしまったが、その言葉で思い出した。

 今日は確か…

 

 「そう、今夜はクリスマス。世界中の子供らに年に一度のプレゼントの日だ。」

 

 あぁそうだ、今日はクリスマス。

 カルデアでも、マシュ達が結構気合入れて準備してたっけ。

 

 「では行くぞマスター。我が愛馬に乗るがいい。」

 「はいはい。ってアレ?いつもの馬じゃないの?」

 

 この手の展開には逆らうよりも流された方が色々都合が良いので従う事にする。

 いや、素材とか限定サーヴァントとか美味しいからとかメタい事を考えてしまう。

 が、ソリに乗ってから気づいた。

 何だか何時もの馬よりも覇気がないって言うか、大人しい?

 

 「あぁ、今日は荒いラムレイは休みだ。アレは戦好きだから、こうした催しは好かんのだ。」

 「じゃぁこの馬はなんていうの?」

 「オーバギュだ。どんな場所でも乗り心地が良いぞ。」

 

 やっぱり普通の馬じゃなかったんだ、と言いそうになるのをぐっと抑えて、ソリの縁を掴めば準備完了。

 さーて、一体今回の騒動は何時終わるのかな?(遠い目

 

 「さて、行こうかオーバギュ。子供らのため、かっ飛ばしてくれ。」

 

 そしてこのソリは一体マッハ何くらい出るのかな?

 目的地まで、ボクは無事なのかな?(震え

 

 「最果てにて輝ける槍、点火開始。第1段から第5弾まで順次点火。」

 「あのこれ安全性は」

 「安心しろマスター、」

 

 そして黒の騎士王様はにっこりと笑って

 

 「マッハ8は余裕だ。」

 「それ全然安心できる要素じゃな」

 

 まともに発音できたのはそれが最後だった。

 

 

 

 

 ……………………………………………………

 

 

 

 

 「さて、遂に最後の一軒だ。」

 「ウンソウダネ」

 

 ぐったりとしながら何とか片言で返す。

 もう休ませてくださいお願いします。

 そんな事が言える筈もなく、ボクは結局最後まで黒い騎士王様(槍)のクリスマスプレゼントの配達に付き合っていた。

 

 「とは言え、今から行く所は戦闘になる可能性は低い。あの氷上のアザラシが如きローマ皇帝もいないからな。」

 「マジで傍迷惑だったね、アレは。」

 

 あの禿デブ皇帝のせいで、行く先々で戦闘に突入する羽目になったのだ(ジャンヌオルタ除く)。

 いい加減、普通のプレゼント配りを満喫したいと思っていた所だ。

 

 「着いたぞ。」

 「あれ?ここって…。」

 「カルデアだ。」

 

 着いたのは今や人類史最後の砦にして自分達の住処であるカルデアだった。

 つまり、これが意味する所は…

 

 「そらマスター、ついてこい。」

 「あ、うん。」

 

 以前も通った入り口からてくてくと通路を歩いていく。

 はて?ここに子供っていたっけ?

 …まぁサーヴァント連中に散々プレゼント配ってたしいいか!(吹っ切れ

 

 「此処だ。」

 「あれ、この部屋って…」

 

 細部まで知りはしないが、此処は以前誰かを案内した…

 

 「入るぞ、モードレッド。」

 「ち、父上!?」

 

 そこにはタンクトップとパンツだけの金髪普通乳のヤンデレファザコンツンデレ構ってちゃんにしてオレっ娘のモードレッドがいた。

 

 「室内とは言え薄着が過ぎる。もっと着なさい。」

 「いや個室なんだからオレの勝t「ん?」あ、はい。今着ます。」

 

 弱いなぁ…。

 流石の貫禄に逆らえなかったのか、いやそもそもこの子が父に逆らうとか余程の事じゃなけりゃ無いな、うん。

 いそいそと着替え始めるモードレットに生暖かい視線を向けてしまう。

 

 (おいマスター。助けろ。)

 (無理。プレゼント渡せば終わるから。)

 (くそ、何なんだ一体…。)

 

 モードレッドと念話でこそこそと話すも、我がカルデアの何人目かも分からない暴君にとっては眼中にないらしく、ゴソゴソと袋の中を漁っている。

 

 「これだ。受け取るが良い。」

 

 差し出されたのは、概念礼装「騎士の矜持」

 遠き未来に生きる筈の老騎士、その在り方を示したもの。

 

 「これは…。」

 「努々忘れる事なかれ。まぁ、私が言えた義理ではないがな。」

 

 厳かに、しかし寂しげに告げられた言葉に、モードレッドは恭しくそのプレゼントを受け取った。

 

 「いえ、ありがとうございます父上。金言胸に刻みます。」

 「うむ。では間もなく宴だ。遅れず来るように。」

 「はい!」

 「マスターも、マシュ達を待たせぬように。」

 「あ、はい。」

 「では先に行くぞ。」

 

 そう言って用は済んだとばかりに暴君は去っていった。

 

 「オレさ…。」

 

 ぽつりと、モードレッドが黒槍の騎士王が去っていた扉を見続けたまま零した。

 

 「父上から、直に何か渡されたの、初めてなんだ。」

 

 それにマスターである自分は、何も言えなかった。

 ただ、礼装を大事そうに抱える彼女を見つめ続けるしかなかった。

 そして、こんな形でしか親として在れないもう一人の事も、自分ではどうしようもなかった。

 

 

 

 

 …………………………………

 

 

 

 

 「そりゃおめー踏み込むべきじゃねぇよ。」

 「ですよねー。」

 

 クリスマスパーティの片隅で、マスターとその第一の槍の騎士はもそもそと喰いながら人生相談をしていた。

 

 「親と子、それも殺し合いをした仲だ。他人が踏み込むべきじゃねぇ。」

 「まぁ解ってたけどね。」

 

 槍の騎士ことクー・フーリン。

 彼もまた子殺しの業を背負いながら、ケルト神話最高峰の戦士であり、このカルデアでも古参に属し、その常在戦場ぶりから最も長く一軍筆頭であり続けている。

 幾体も存在する彼の英霊の中でも、20代の成人の姿である彼は時折こうしてマスターの相談も承ったりする。

 

 「ま、あの王様達は憎み合ってる訳じゃないし、オレみたいに勘違いでって事も無い。ほっといても丸く収まるさ。」

 

 むっしゃむっしゃと鶏もも肉を頬張りながらの言葉には威厳は欠片もないが、こうして空気を軽くしないと年若いマスターが余計に落ち込んでしまうという配慮だろう。

 

 「にしても美味いなこの肉。なんで味付けてんだ?」

 「ってやっぱ普通に味わってたのね兄貴殿。」

 

 でもまぁ

 

 「あれ見る限り、問題は無さそうだよなぁ。」

 「だろう?」

 

 

 「こらモードレッド。肉ばかりでなく野菜も取りなさい。」

 「うおおお!?父上盛り過ぎです!」

 「このポトフはマルタ達が作ったもので、野菜も一緒に取れて栄養満点ですよ。ほら、こっちの野菜の肉巻きはキャットが…。」

 「多い!流石に多いですってばぁーー!!」

 

 

 「流石飯マズの国の人。飯への関心が強い。」

 「オレの時代じゃそうでもなかったんだがなぁ…。」

 

 何はともあれ、今日もカルデアは平和です。

 

 

 

 

 ……………………………………

 

 

 おまけ

 

 

 クリスマス当日(12月25日夜)

 

 「すみません、待たせてしまいましたね。」

 「構わぬ。待つのもまた甲斐性だ。」

 

 そこは何処とも知れない時代。

 カルデアとも違う、何時かの果ての黄金の都にて。

 その都の王とその妃が聖者の生誕日を理由にちょっとした酒宴を開いていた。

 

 「どうだ、お前の娘は?」

 「王としての責務は果たしていますが…やはりまだまだ子供ですね。」

 

 私のせいではありますが…。

 そう呟いて遠くを見る妃に、しかし、王は妃の顎を掴んで自分に向けさせる。

 

 「アルトリアよ、オレは貴様の感情の全てを我に捧げよと言ったぞ。」

 

 ギラリ、と身体に四分の三も流れる神の血、その濃さを示す様な真紅の瞳が妃の金の瞳を射抜く。

 そこに込められた苛立ちと確かな独占欲に、妃の直感が警報を鳴らした。

 あ、これアカンやつや、と。

 

 「まぁ良い。今は宴故、酒を注げば多少の手心は加えよう。」

 (手心だけで取り消しじゃないんですねわかります)

 

 酒宴が終わった後、妃が王の下を辞したのは三日後だったそうな。

 

 

 

 

 「? 父上、お疲れなのですか?」

 「いや…何でもない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




私の主力は以下の通り

1番…五次槍兄貴
2番…ハロウィンエリー
3番…サンタオルタ
4番…ノブノブ
5番…ジーク
6番…呪腕ハサン
7番…ヘクトール

星5は現在オリオンのみ(育成中)
星4はイベント鯖除けばジークにデオン、キャットにエミヤの4名。

乳上は…出なかったよ…初課金までしたのに…Orz

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