ハリー・ポッターと生き残りのお嬢様   作:RussianTea

48 / 48
カプカプ様よりイラストを頂戴いたしました!

【挿絵表示】

ラーミアの儚げな可愛さ、セフォネの大人な感じ、エリスの快活さを非常に良く表現してくださっています。個人的に星が輝いているようなエリスの瞳がとても好きです。素敵なイラスト、本当にありがとうございます!


THE ORDER OF THE PHOENIX
騎士団との邂逅


 ラーミアのメイドとしての朝は、午前5時の起床から始まる。主人であるセフォネは朝早いと言うが、元々孤児院で暮らしていた頃は6時起床が原則であり、当時は孤立していた為にそれよりも早く起き、誰にも会わないようにしていたという過去があることから、この起床時間は10年近く習慣となっていた。

 ベッドを整え、運動着に着替えて屋敷を出る。今年から始めた体力作り、その為のランニングだ。7月のロンドンは気温の上下が激しく、肌寒い日もあれば暑いと感じるような日もあるが、今日は冷涼な丁度良い気温だった。グリモールドプレイスを後にして、テムズ川沿いを一定のリズムを刻みながら駆けてゆく。

 

「――はぁっ、はぁっ…!」

 

 ラーミアが身体を鍛えようと考えたのには訳があった。それは、自分の主であるセフォネを守ることが出来るようになりたい、という思いからだ。単純に魔法を極めるのであれば、自分はセフォネに遠く及ぶことはない。おそらくは、この先一生追いつくことなどできないだろう。であれば、セフォネがあまり得意としていないフィジカル面でサポートが出来るようになれば、自分は彼女の役に立てるのではないか。そう考えたラーミアは、朝の時間をトレーニングに充てるようになった。

 ランニングを終え、他のメニューも一通りこなしてシャワーを浴びると、再びラーミアは装いを変える。足首まで届く黒いロングドレスの上に白いエプロンという、オーソドックスなヴィクトリアン式のメイド服。ホワイトブリムの代わりに黒いリボンをカチューシャ風に結び、作業の邪魔にならないように髪を抑えて完成だ。

 支度を終えたラーミアは部屋から出て階段を下っていく。そして1階についた時、踊り場にある物を見て、首を傾げる。そこは、かつて屋敷しもべ妖精の首が飾られていたらしい場所なのだが。

 

「うーん……」

 

 そこに今飾られているのは、 ヘブリデス・ブラック種の首の剥製。このドラゴンを管理しているマクファスティー家から直に仕入れたらしい。

何でも、去年ホグワーツで開催された3大魔法学校対抗試合でドラゴンに興味を持ち、そして帰りのホグワーツ特急で偶々ラーミアがマグル界に鹿の剥製を飾る家があるという話をし、それが組み合わさって今の状態になっている。

 

「でも、何でドラゴンの首を飾るっていう発想に繋がるのかな……」

 

 マグル界での暮らしが長いラーミアには、いまいち魔法界の感覚が掴めない時がある。もっとも、魔法界においてもドラゴンの首を飾る家はそうそうないが。

 

「私もまだまだってことかな」

 

 しかし真面目なラーミアは、セフォネを見習い魔法界に順応しようと、こうしてまた1つ新たな知見を得た。もっとも、魔法界においてもややズレた感覚であり、これをセフォネの友人たちは"魔改造"と呼んでいるが。

 ドラゴンの剥製から目を放し、ラーミアは玄関から外へ出た。そしてそこにあるポストの蓋を開け、周囲に誰もいないことを確認してから、呼び寄せ呪文で郵便物を手元に集める。このポストは外見は普通だが中は小部屋1つくらいの広さで、とてもではないが底まで手が届かない。

 本来、夏休み中は魔法の使用が禁じられていることは分かっているが、仕事上仕方がないことだった。仕事上というよりは、この屋敷にいる間は魔法は使い放題、セフォネが作った匂い消しのおかげでどこであっても使い放題。実質、縛りは何もない。

 手紙の回収を終え、屋敷へ戻ると、リビングのテーブルの上に回収した郵便物を並べ、厨房に下りる。時計の針が7を示し、1階の置時計から時報が聞こえた。

 

「おはようございます、クリーチャーさん」

「おはようございます、ラーミア嬢」

 

 そこでは、使用人としてラーミアの先輩にあたる屋敷しもべ妖精のクリーチャーが、食料庫の在庫チェックを行おうとしていた。

 

「キャンディとキーマンの在庫はまだありますか?」

「キャンディがそろそろ無くなるかと。お嬢様が好んでお飲みになりますから。キーマンにはまだストックが。それ以外には、特にございません」

「じゃあ、今日の買い出しはお野菜と茶葉でいいですか?」

「ええ。よろしくお願いいたします」

 

 ラーミアが雇われてから、この家の買い出しは殆ど彼女が担っている。というのも、掃除において、その魔法の技量は断然クリーチャーのほうが上だからだ。そもそも、屋敷しもべ妖精に家事魔法で敵う者はそうそういないので、クリーチャーが主に掃除でラーミアはその手伝いをし、今は研鑽を重ねている。その代わり、種族としてやはり人間界に溶け込むことが難しいクリーチャーよりも、買い物や外向きの用事はラーミアの方が適している。よって、これと決めたわけでもなく自然と仕事分担が成立していた。

 7時半頃。セフォネが起床し、身なりを整えて1階リビングに下りてきた。本来であれば主人の身繕いもメイドの仕事ではあるが、自分でやることが当たり前となっているセフォネは自身で身支度を済ませている。ソファに腰かけたセフォネの下に、ラーミアがモーニングティーを差し出した。

 

「おはようございます、お嬢様」

「ええ、おはようございます」

 

 まだ完全に目覚めてはいないのだろう。少しぼんやりとした目つきのセフォネに、ラーミアは紅茶を給仕する。そしてセフォネはいつものように礼を言い、それを口に運ぶ。

 セフォネは自分やクリーチャーに必ず礼を言う。生まれた頃から純血貴族のお嬢様として育ってきたのだから、何かをやって貰うのが当たり前のような環境なのに、それでも感謝を忘れない。

傲慢でも不遜でもなく、常に優雅に。しかし、一族の長としての威厳を放つ。そういう所に人望が集まるのか、とラーミアは思っている。

 

「朝食はどちらで召し上がりますか?」

 

 どちらで、というのはこのリビングか、すぐ近くのダイニングでか、ということ。それは気分で決めているらしく、毎朝尋ねるのが恒例となっていた。

 

「こちらにお願いします」

「かしこまりました」

 

 そして一旦厨房へ戻り、朝食をプレートに載せて運んできた時。

 

「あぁ……」

「どうなさいました?」

 

 セフォネが手を額に当てて唸っていた。こういう時は大抵、好ましくない相手からの招待状か、魔法省からの召喚状か、週刊魔女の取材かだが、週刊魔女はセフォネの手によって一時的に発禁に追い込まれていたことがあるので、その可能性は低い。

 というか、そこそこ人気がある週刊誌を発刊停止処分にするとは、一体どれ程の権力がセフォネにあるのか。自分の主ながら末恐ろしいものである。

 

「協力するとはいいましたが……これは……」

 

 セフォネは何か嫌なものを見たとでも言わんばかりに頭を振り、ラーミアに手紙を差し出す。ラーミアは何があったのかと、それに目を落とした。

 

「え? ……えと……これはどういう?」

 

 差出人はアルバス・ダンブルドア。その内容は、不死鳥の騎士団本部設置場所をブラック邸にという依頼だった。そのことについて話したい、と今夜不死鳥の騎士団が会合をする場所が最後に記載されていた。

 

「ラーミア、今夜はお供をお願いできますか?」

「え、あ、はい! かしこまりました、お嬢様(Yes, My Lady)!」

 

 セフォネのお供など命じられることは初めてのことである。"不死鳥の騎士団"が何かも知らないが、ラーミアは張り切って返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は夜11時半。イングランド南西部に位置するデボン州、オッタリー・セント・キャッチボール村。果樹園や畑が広がる長閑な田舎町の一角に、その奇妙な家は建っていた。通常の建築方法では不可能な形状は、住人が魔法族であることを意味している。

 この家、隠れ穴に住むウィーズリー家の子供たちは母親のモリーに追い立てられ、上階の自室へと向かい、1階では10名程の大人達が狭い室内で長テーブルを囲んで座っていた。

 

「――見張りを」

「魔法省は――」

 

 彼らは不死鳥の騎士団。ダンブルドアが創設した、ヴォルデモート陣営に対抗する秘密組織である。ヴォルデモートが復活してから、こうして大勢で会議をするのは初めてであり、基本的な打ち合わせを行っている最中だった。ここ隠れ穴は安全性にやや欠けるが、今この時だけはダンブルドアの手により、防犯・防諜の結界が張られている。

 しかし、そんな大層なものを一般家庭に張り続ければ魔法省に怪しまれかねないので、ここに集まるのは今夜限りとなっており、明日からは別の拠点に腰を据える算段となっていた。

 

「しかしダンブルドア、本気であの家を?」

 

 シリウスが顔を顰めながらダンブルドアに問いかける。家出した生家に戻るのが嫌なのだろう。

 

「ああ。あそこ程ベストな場所はないじゃろう」

「それはそうかもしれませんけど……ブラック家の当主はまだロンと同い年の未成年でしょう。ただの女の子を、こんな危険なことに巻き込むのは」

「私に言わせればね、モリー。100体の吸魂鬼(ディメンター)を全滅させた魔女を、ただの女の子と呼べはしない」

 

 シリウスの発言に他の者は固まる。冗談だ、と続くのを待っているのだが、シリウスはいたっては真面目な表情であり、それが事実であることを示していた。

 

「とはいえ、彼女はあの"ブラック家"の現当主だ。シリウスやドロメダとは違うだろう」

 

 マルフォイ家と繋がりが深いブラック家を陣営に引き入れることに抵抗があるのだろう。セフォネと面識がない団員から反対の声が上がる。

 

「そこに関しては問題ないと思うね。彼女は――」

 

 ルーピンが自身の見解を述べようとした時、赤赤と燃えていた暖炉が突如エメラルドに変化した。

 

「時間か。来たぞ」

 

 シリウスがそう呟くと皆が一斉に話を止め、暖炉に視線を移す。直後、暖炉から2人の少女が姿を現した。1人は漆黒のローブを羽織った黒髪の少女。その服についた灰をもう1人のメイド服を着た銀髪の少女が払う。

 

「こんばんは、騎士団の皆様」

 

 スカートの端を摘み、優雅に一礼する少女こそ、今話題に上がっていたブラック家当主、ペルセフォネ・ブラック。その後ろに控えているのは彼女の従者、ラーミア・ウォレストンだ。

 どちらも成人に満たぬ少女であるはずなのに、騎士団の面子はその雰囲気に少し圧倒される。主人と従者の組み合わせは、一般家庭であるウィーズリー家には全く似合わない。完璧なる異物である。にも拘わらず、彼女らはこの場の空気を塗り替え、支配しようとしていた。

 その雰囲気を、暢気そうなダンブルドアの言葉が打ち消す。

 

「おお、待っておったよ、セフォネ。さあ、お座り。温かいココアでも飲むかね? 7月とは言え夜は冷えるからの」

「あら、そのように歓待を受けるとは、嬉しい限りですね。ですが、ココアはご遠慮させていただきます。長居するつもりはございませんから」 

 

 セフォネが椅子に座ると、ラーミアはその斜め後ろに立ち、居住まいを正す。その様子を見たセフォネはフワリと微笑むが、騎士団に視線を戻した時には、常のアルカイックスマイルに戻る。

 

「夜分遅くに呼び立てて申し訳ない」

「お気になさらず」

「うむ。では、まずは騎士団の紹介をしよう。もっとも、知っている顔が殆どじゃろうが」

 

 ダンブルドアが自ら、セフォネに騎士団員を紹介していく。

 セフォネの血族である、シリウス・ブラック。

 素性をある程度知っている、リーマス・ルーピン。

 一応の面識はある、アーサー、ビル、チャーリー・ウィーズリー。

 初対面に近い、モリー・ウィーズリー、キングズリー・シャックボルト、ニンファドーラ・トンクス。

 そして、因縁の相手であるアラスター・ムーディ。

 ムーディと目が合ったセフォネは一瞬動きを止めるが、ごく自然と目線を外し、ダンブルドアを真正面から見据える。セフォネは机の上で手を組み、それを交渉の始まりの合図だと認識したダンブルドアは、ゆったりとした動きで紅茶を口に含んだ。

 

「さて、前置きはこのくらいにしておいて、本題に入ろう」

「本題、とはこれのことでしょうか」

 

 セフォネは懐から便箋を取り出してテーブルの上に置く。それは今朝届いた、ダンブルドアからの手紙だ。

 

「そうじゃ」

「何の冗談かと思っておりましたが、まさか本気だとは」

「ブラック邸には、君の祖父母の手によりあらゆる保護呪文、そして忠誠の術が掛けられおり、さらに君がそれ等を改良、発展させた。それにより、今やブラック邸はホグワーツやグリンゴッツと同レベルの安全が保証されておる。その上、魔法省はブラック家に対して深く干渉することが出来ない。我々の本部にはうってつけじゃろう」

「私が言いたいのは、貴方は何故我々がそこまでの防備を整えたのかをご理解なさっているのか、ということです」

「おお、勿論じゃとも。それでもなお、じゃ」

 

 ブラック家の防衛における仮想敵は、魔法省と不死鳥の騎士団である。

 闇払いと吸魂鬼をブラック家に派遣した魔法省から、徹底的にすべての情報を隠匿すること。そして、騎士団員でもあった闇払いですら敷居を跨ぐことが不可能なこと。それらを目的として、大部分はヴァルブルガによって施され、それにセフォネが手を加えたことで、ブラック邸は魔法的な要塞と化している。

 経緯だけを見れば、むしろ死喰い人の本拠地とするほうが正解と言えるだろう。それをダンブルドアは、セフォネを味方に引き込むという目的で、騎士団本部の設置という提案をしたのだ。

 常であれば、この要求を跳ね除けただろうセフォネだが、既にダンブルドアとは密約を交わしている。その上、ヴォルデモートや死喰い人が表に出てこず地下に潜っている現状、情報源として騎士団の価値は非常に高い。現実的な問題と感情的な問題を天秤にかけた結果として出る結論は、1つしか無かった。

 

「相変わらず、喰えない狸ですこと」

 

 ため息と共にそう呟いたセフォネは一枚の羊皮紙を取り出し、それに杖を押し当てた。するとインクが滲み出るように浮かび上がり、次々と文字を形成してゆく。セフォネは出来上がった契約書を、机の上を滑らせるようにしてダンブルドアに渡した。

 

「何か異論は?」

 

――この契約は来年の6月30日をもって終了する。

――不死鳥の騎士団にはブラック邸1階、及び2階の一部を本部施設として貸与する。

――騎士団員がブラック家に危害を加えた場合は、当該騎士団員の立ち入りを禁ずる。

――対価として騎士団はブラック家に噓偽りなく情報を提供する。

――ブラック家は騎士団から提供された情報を第三者に提供・漏洩することを禁ずる。

 

 その他、細かい決まり事が記された文書を読んだダンブルドアは、思わず苦笑を抑えた。魔法法よりも詳細かつ厳格な内容である。基本的に決まり事に関してはファジーな魔法界らしからぬ契約内容であった。それに加え、契約書に施されている魔法は、魔法契約の中でも上位に位置する代物であった。"破れぬ誓い"や"血の誓い"のように代償が生命ではないものの、契約反故によって受ける呪いは、ダンブルドアですら解呪に1年は必要とされるだろう。

 

「これが妥協点かの」

 

 セフォネの直接的な支援は、この契約に盛り込まれていない。その部分は契約としては縛らず、自由意思による決定を行う、ということだ。その部分はダンブルドアにとって妥協点であるが、それでも良いと思っていた。胸襟を開いた人物に対しては気を許しやすいセフォネのことだ。騎士団と接する内に情が移り、ここぞという時には手を貸してくれるに違いない。

 ダンブルドアが契約書に杖を押し当てると、途端に燃え上がって灰となった。

 

「契約はここに成立した……くれぐれも」

「ええ。それはこちらの台詞です」

 

 "裏切るな"と双方が言外に交わし、セフォネは席を立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て、小娘」

 

 これまで沈黙を守っていた騎士団員から、声が上がる。その声の主を一瞥したセフォネは、何の興味もない、と主張するかのように背を向けた。

 

「貴方とお話することは何もありませんよ。偽物が語ったことが全てでしょう?」

「……そうだ」

「で、あれば。貴方にとって私は組織のスポンサー以外の何者でもありません。私にとって貴方は出資先の構成員に過ぎない。違いますか?」

 

 この会話の意味を、ラーミア以外の全員は理解していた。だからこそ、誰も口を挟まない。口を挟むことを許されていない。

 

「……だが」

「全ては過去。終わったこと。そう、"全て"は終わった――」

 

 勢いよく振り向いたセフォネは杖を抜き、ある一点に狙いをつける。それ見た他の騎士団員は、警戒するように立ち上がり、皆一様に杖を握った。セフォネの後ろでは、ラーミアも杖を抜くことができるように、姿勢を落としていた。

 

「それでもなお、貴方が望むというのであれば。ご希望にお応えしましょうか、ミスター・ムーディ」

 

 杖を向けられた当のムーディは何も言わずに座ったまま、セフォネと視線を交える。

 張りつめた空気の中、セフォネが口を開く。その瞬間、騎士団員とラーミアが杖を抜いた。しかし、それは誰にも向けられることなく、宙をさまようこととなる。

 

「――油断大敵」

 

 そう言ってクスリと笑ったセフォネは、杖を下ろした。

 セフォネにとって、あの事件の後始末はもう終わっている。復讐を遂げた今、ある程度の感情的な禍根はあるものの、既に気持ちに区切りをつけていた。たとえ去年の彼が偽物であったとしても、あの時"許そう"と思ったことは事実であり、それは今も変わらない。もう既に彼を許してしまい、復讐の空虚さを知ってしまった今、彼に害意を持ち続けることなどできなくなっていた。

 ムーディ本人はセフォネとまともに話したことなどなく、罪悪感を抱き続けているままなのかもしれないが、セフォネにとってはもう過去のこと。彼には悪いが、自分で折り合いをつけてもらう他ない。

 

「こんな小娘に杖を向けられるなんて、"マッド・アイ"が泣きますよ」

「……ああ、そうだな。油断大敵。貴様のような小娘に言われるまでもないわ」

 

 罪悪感から自分らしさを失っていたことを、自分自身の口癖で指摘されたムーディは、普段のようにぶっきらぼうに言い放つ。鼻を鳴らし、そっぽを向いた彼を後ろ目に、セフォネは暖炉に向けて歩き出した。杖を仕舞ったラーミアは慌ててセフォネに付いていく。

 

「帰りますよ、ラーミア。明日からは多くの来客が出入りします。貴方にも少し負担を掛けてしまいますが、許してくださいね」

「そんな、私はお嬢様の従者です。思うが儘、何なりとお命じください」

「では、帰ったら甘いものでも作ってください。少し疲れましたので」

「朝昼晩と3食、ケーキを召し上がっていたではないですか。流石にダメです。体に悪いですよ」

「前言撤回が早すぎません…? 今日くらい良いではないですか」

 

 そんな、暢気な主従の会話を残し、彼女らは隠れ穴を後にした。




筋トレラーミア………フィジカル系魔女メイドという新たな属性が付与されました。

騎士団本部………ダンブルドアがブラック邸を賃貸契約

支援絵をいただくだなんて光栄なこと、本当にあるんだなぁ、と喜びを噛み締める今日この頃。多くのコメントも頂き、ハーメルンに戻ってきてよかった、としみじみ感じます。できれば毎週、最低でも月1は更新していきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。