穂乃果の奇妙な冒険 ミューズオブヘブン   作:マキシマムダンガル

5 / 19
炎のタロット占い師

「全く、失礼しちゃうチカ。KKEがポンコツなわけ無いチカ」

 

今現在、絵里とにこが戦った場所のすぐ近くにある店の中にいる

 

「ねぇ、にこちゃん、絵里ちゃんが次第にポンコツになっていってるんだけど」

 

「希がいないから気が抜けてるんじゃない?」

 

すると、絵里が立ち上がり言った

 

「こんな所でのんびりしててもラチが空かないチカ、一旦分散して聖なる遺体を集めるチカ」

 

そう言って、先々と進んでいった

 

「賢い絵里は戻ってくるのかしら?」

 

「希ちゃんを見つければきっと戻るよ」

 

そんな穂乃果の根拠の無い話を尻目ににこは少々不安に思っていた

 

(もし仮に絵里が希に出会したら、かーなーり、ヤバイわね)

 

そんなにこの不安を他所に、絵里は既に見えなくなっていた

 

「穂乃果、絵里を探すわよ」

 

「んぐ?何で?」

 

口一杯に物を含んで喋った

 

「とりあえず、口の中を空にしてから話なさい」

 

「ふぁーい」

 

一方その頃、絵里が一人で街を探索していた

 

「随分広いのね、エジプトには行ったことが無かったからいい経験になるわね」

 

呑気に街をブラついていると、小さな占い屋がポツンと置いてある

 

「タロット占い、希好きだったわね。ちょっとやっていこうかしら」

 

中に入ると占い師の格好をした女性にガラスの球体が置いてある

 

「ようこそ、占い屋 望みの夢へ」

 

「少し占ってもらえない?近い未来でいいわ」

 

「では、歳を教えてください」

 

「18」

 

「では、始めます」

 

タロットカードをテーブルの上で混ぜ、そして、シャッフルした

 

「・・・」

 

占い師は無言でカードを並べた

 

「これが現在、愚者の正位置、無邪気、自由、天真爛漫という意味です。次に未来、死神の正位置、死の予兆、終末、破滅という意味です」

 

「それって、私が誰かに殺されるってこと?」

 

「当たるも八卦当たらぬも八卦。どうなるかまでは分かりません」

 

「あら?この死神の隣のカードは?」

 

「これは魔術師のカード」

 

「意味は?」

 

「これは、少し違うカードです、これは炎の魔術師。そうマジシャンズレッド!」

 

占い師がそう言うと、物凄い熱風に店の外にある広場まで吹き飛ばされた

 

「ククク、まさか、ここまで簡単に誘き寄せられるとはなぁ、正直ビックリやで」

 

顔を隠すように被っていたローブを脱ぎ捨てると、そこには希の姿があった

 

「希!?」

 

「うちの名はモハメド・ノゾミ、あのお方の命により貴女達を再起不能にさせてもらうで」

 

ノゾミはスタンドを出し身構えた

 

「うちのスタンドは炎のスタンド、赤い魔術師《マジシャン・ズ・レッド》皮膚を溶かし骨だけにしてやるやん!」

 

ノゾミが行きなり飛び込んできた

 

「S・F・H《スピリチュアル・ファイヤ・ハリケーン》!」

 

十字の炎が絵里に向かって飛んで来た

 

「シルバーチャリオッツ!」

 

絵里がスタンドを出し十字の炎を切り裂いた

 

「希、残念だったわね、私のスタンド、シルバーチャリオッツはどんな物でも斬る事が出来るわ、貴女の炎も、ね」

 

「だったら、これなら!」

 

着地してから、一気に走り絵里の間近まで来た

 

「赤い荒縄《レッドバインド》!」

 

マジシャン・ズ・レッドの手から出てきた炎のロープが飛んで来た

 

「そんな物斬り刻む!」

 

炎のロープを細切れにして、絵里が少し下がろうとすると

 

「やっぱり、ポンコツやな」

 

気が付くとノゾミが絵里の懐まで入り込んできていた

 

「K・F・H・S《クロス・ファイヤー・ハリケーン・スペシャル》!」

 

ほぼ0距離からコンクリートも溶かす、強力な炎の十字が、まるで換気扇に吸い込まれる煙の如く絵里を襲った

 

「絵里、悪ぅ思わんといてな、これでもうち実力派やねん」

 

火だるま状態の絵里に吐き捨てるようにそう言って、その場から去ろうとすると

 

「クスクス・・・」

 

火だるまの絵里から笑い声が聞こえてきた

 

「な!?火だるま状態でもう動くことすら出来ない筈なのに!」

 

あり得ない状況に驚きを隠せないノゾミに追い討ちを掛けるように絵里の体が飛び上がった

 

「ハラショー!おぉ、ハラショー!」

 

空中で笑いながら拍手した

 

「空中で浮いている!?いや違う、あれはスタンド!」

 

「希、遅い、遅いわ!いや、私が速すぎるのね!」

 

絵里を支えるチャリオッツがまるでガラス細工のように透明に見える

 

「説明してあげるわ、私のスタンドシルバーチャリオッツはその甲冑を脱ぎ捨てる事で更なるスピードアップをすることが出来るのよ!」

 

地面に着地し勝ったと言わんばかりの表情でノゾミを見た

 

「そして、この光おもキャッチ出来るほどのスピードを持ったチャリオッツは更にこんな事も!」

 

チャリオッツが絵里の前に立つと途端にチャリオッツが三体に分かれた

 

「高速な動きで最高三体まで分身を作る事が出来る、まぁ、私が成長すればもっと速くなるでしょうね」

 

「せやったら、分身ごと焼き付くしてやるだけやん!」

 

ノゾミはスタンドを出し構える前に絵里がノゾミの懐まで入り込んできていた

 

「お楽しみはここからよ!」

 

三体に分身したチャリオッツはまるで一体一体に実体が有るかのようにハッキリと分かれて攻撃を仕掛けた

 

「今度の剣捌きはどうだぁ!」

 

目に求まらぬ連続攻撃になす術無く食らっていく

 

「止めチカァァ!」

 

最後の一撃を当てようとしたその時

 

「今や!赤い藁人形《レッドドール》!」

 

三体同時攻撃をするその刹那、ノゾミの体が炎に変わり斬った瞬間、ダイナマイトのような爆発を起こした

 

「な!?」

 

爆風に耐えてその場を見てみると

 

「絵里、今回は上手く行ったかもしれんけど、次こそは必ず仕留める」

 

そう言って、ノゾミは光に包まれ消えていった

 

「しまった!逃げられた」

 

絵里が悔しそうに地団駄を踏んでいると

 

「絵里!」

 

「絵里ちゃん!」

 

にこと穂乃果がやって来た

 

「絵里ちゃん、上着わ?」

 

「そこで灰になってるわ」

 

絵里の指差す方向には、既に灰となった上着があった

 

「敵?」

 

「希が炎のスタンドを使って襲ってきたわ」

 

「希ちゃんが!?」

 

「あと一歩の所で逃げられたわ、ごめんなさい」

 

悔しさに涙をにじませる絵里に、にこはそっと肩を叩き

 

「大丈夫、まだチャンスはある。それに希も満身創痍の状態だったみたいね」

 

「へ?」

 

にこの指差す方向に聖なる遺体が落ちている

 

「あれを使えば他のメンバーがいる場所へ行ける、その時に捕まえて直せばいいわ」

 

「えぇ、ありがとう、にこ」

 

涙を拭き聖なる遺体を手に取った

 

「これで、次の場所へ行けるのね」

 

絵里がそう言うと聖なる遺体が輝きだした

 

「どうやら次の場所へ行くようね」

 

「今度こそ希ちゃんを助けよう!」

 

絵里は目を擦り笑顔で

 

「よぉし!それじゃあ、行くチカァァ!」

 

「「ポンコツに戻った!!??」」

 

 

to be continue




ポンコツーチカの事はさておき
三人は希を追って次なる場所へ、その場所とは一体、そして、次に現れる刺客とは

次回「飛行機に乗ったネコ」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。