穂乃果の奇妙な冒険 ミューズオブヘブン   作:マキシマムダンガル

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黒のスタンド 白のスタンド

にこはスパイスガールと共に黒い穂乃果に向かっていく、しかし

 

「遠吠えするくらいなら、私のためにファンファーレでも吹いててよ」

 

黒い穂乃果は冷酷な表情で飛んでくるスパイスガールの腕を掴んで地面に叩きつけた

 

「ガハッ!!」

 

にこは抵抗する間もなく叩きつけられた

 

「そうやって地面に這いつくばってればいいんだよ、雑魚が」

 

地面にめり込んでいるにこに冷酷な目つきでそう言うと

 

「なんてね☆」

 

ニヤリとにこが小悪魔のような笑みを浮かべた

 

「?」

 

黒いの穂乃果が疑問に思った次の瞬間

 

ガクン!

 

「何!?」

 

黒い穂乃果の足下が急にクッションのように柔らかくなった、その勢いで地面に目をやった

 

「騙しの手品よ!」

 

無傷のにこがまるでトランポリンの上でジャンプをしたかのように飛び上がった

 

「見た目、性格が違っても考えることは似てるようね!」

 

黒い穂乃果はにこに振り向くとスパイスガールの拳が目の前に来ていた

 

「にこぷり♡女子道ってね」

 

空中に浮きながら小悪魔の笑みでウインクした

 

「ニコニコニコニコニコォ!」

 

黒い穂乃果は避ける事が出来ずその強烈なラッシュを食らってしまう

その勢いで、吹き飛ばされ地面に突っ込んでいく

 

「まだまだぁ!」

 

地面に倒れている黒い穂乃果に追い打ちを掛けようと地面を柔らかくし飛び込んでいく、しかし

 

「にこっち!あかん!」

 

横から希が飛び込んでにこを押し飛ばす、すると

 

「調子に乗るな!!」

 

μ’sオーバーヘブンの拳が風を切りながら伸びて、希の横腹にめり込んだ

 

「ウグッ!」

 

希は押し飛ばした勢いと、殴られた勢いでそのまま吹き飛び地面に倒れた

 

「希!」

 

にこが急いで希に駆け寄る

 

「にこっち・・・考えもなしに突っ込んでいったらアカンて・・・」

 

虚ろな目でにこの頬を撫でた

 

「ったく、次々と邪魔ばっかりして。私、調子に乗ってる奴は嫌いなんだよね」

 

かすり傷一つない黒い穂乃果が立ち上がってそういった

 

「許さない!」

 

「だったら、どうするのさ?」

 

「あんただけはこの矢澤にこが仕留める!」

 

そう言って、にこは黒い穂乃果に向かっていき、拳を()()()()()()()()

 

「はっ?気でも狂った?」

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

そして、柔らかくした地面に全力で踏みつけ出来るだけ高く飛び上がった

 

「真上から攻撃、か。不意を突いてたなら良かったものを」

 

飛び上がるにこを眺めていると

 

「穂乃果ちゃんは、こんな言葉を知っとる?『油断大敵』ってね」

 

声のする方へ顔を向けると希がマジシャンズレッドを出して構えていた

 

S・F・H(スピリチュアル・フレイム・ハリケーン)!」

 

十字の炎が黒い穂乃果に向けて飛んでいった

 

「そうやって、私の注意を引いて上から攻撃、そこらのチンピラなら通用するんじゃないかな?」

 

黒い穂乃果がそう言うと、二人が瞬きした瞬間、希の前ににこが立っていた

 

「へっ?」

 

二人は呆気にとられ反応できず希の炎がにこを襲った

 

「きゃあ!!」

 

「しまった!」

 

一瞬にこに炎が引火するが、希がマジシャンズレッドで炎を消した

 

「黒い穂乃果はどこに!?」

 

二人が周辺を見渡すとすぐ近くにあった車の上に立っていた

 

「弱すぎない?私の予想の範疇で少し驚いてるんだけど」

 

「そう?なら、これは予想できた?」

 

希がそう言うと、黒い穂乃果が立っている車が浮き始めた

 

「今度は何かな?」

 

黒い穂乃果は一切表情を変えずそういった

 

「全く、なんで私がこんな重たいものを持たなきゃいけないのよ」

 

車にうっすらと紫色の茨が絡まっていて、その先には真姫の姿があった

 

「さぁ、行くわよ緋色の波紋疾走(スカーレットオーバードライブ)!」

 

左手に絡みつく茨に右手で触れると真紅の電流のようなものがハーミットパープルを通じて伝わっていき、車にその真紅の電流が伝わり、真っ赤に熱され爆発した

 

「おっとっと、危ない危ない、危うく巻き込まれるところだった」

 

爆発するよりも先に飛んで車から離れていた

 

「鬼さんこちら♪手の鳴る方へ♪」

 

黒い穂乃果が手を叩きながらその場の全員を煽った

 

「なら、そちらへ行かせてもらいましょう」

 

その聞き覚えのある声の方へ向くと、後ろの方に海未がエンペラーを出して千本の矢(サウザンド・アロー)を構えていた

 

「食らいなさい!」

 

「たったそれだけで私を倒せると?」

 

μ’sを出して構えると

 

「えぇ、そんなことは無謀だと分かっていますよ」

 

海未が微笑を浮かべながらそう言うと、黒い穂乃果の背後から凛が飛び込んできた

 

「背中ががら空きだにゃー!」

 

そして、前方と後方から矢と弾の嵐が飛んでくる

 

「この程度なら、朝飯どころか寝ながら対処できるね」

 

黒い穂乃果はμ’sオーバーヘブンの右手で凛の攻撃を、左手で海未の攻撃を弾いた

 

「軽い軽い、ヘリウムガスより軽い」

 

「まさか、腕一本で防がれるとは」

 

「ヘイコウ世界の穂乃果ちゃん、恐るべしにゃ」

 

軽口を叩く黒い穂乃果に対して、海未と凛は少し恐怖を覚えた

 

「これで終わり?つまんないよ」

 

「大丈夫、まだまだネタはあるよ」

 

花陽がそう言うと、ハーヴェストが集まりだした

 

「ハーヴェストは一体一体の攻撃力が非常に高いですから、数で責める!」

 

大量に召喚したハーヴェストを一斉に黒い穂乃果に向けて襲撃させた

 

「騒々しいのは嫌いなんだよね、潰れろ」

 

大量に押し寄せるハーヴェストを潰そうと地面に拳を振るうと

 

「針串刺しの刑、だよ」

 

潰そうとしたハーヴェストが途端に目の前から消え失せ、四方八方にナイフが突如として現れた

 

「しょうがないなぁ、私の技を見せてあげようかな」

 

すると、μ’sオーバーヘブンが縮こまると、一気に気味の悪い波動のようなものを解き放ちナイフすべてを弾いた

 

「これでよし」

 

「だったら、この高速斬りは避けきれるかしら!」

 

絵里がシルバーチャリオッツの甲冑を外した

 

「細切れにしてあげるわ!チッカァァァァァァ!」

 

5メートルほど離れた位置にいるにもかかわらず、その場で斬撃を放つ

 

「はいはい、ポンコツは大人しく・・・」

 

黒い穂乃果は呆れながらそう言うと、絵里が一瞬のうちに黒い穂乃果の目の前まで来た

 

「は?」

 

「粉微塵になれぇぇ!」

 

驚く黒い穂乃果に対し、絵里はまるで当然の出来事と言わんばかりに斬りつけてきた

 

「おっと、危ない、流石に一瞬焦ったね」

 

絵里の攻撃が当たる前にチャリオッツの腕を掴んだ

 

「おいたが過ぎるんじゃない、お仕置きが必要だね」

 

「それは穂乃果、あなたもじゃない?」

 

黒い穂乃果の言葉に対し、絵里は臆することなくそう言ってみせると

掴まれていないチャリオッツの左手で、黒いの穂乃果の頬をめがけて拳を振った

だが、黒い穂乃果は難なく避けるが、その勢いで掴んでいる手の力が緩まった

絵里はその一瞬の隙を見逃さずμ’sオーバーヘブンの手を振り払い、後ろに下がると

 

「一瞬の隙が命取りよ穂乃果、良く覚えておきなさい」

 

バックステップで後ろに下がり、地面に片足が着いた瞬間に

その地面に着いた片足で地面を全力で蹴り、一気に間合いを詰めた

 

「さっきと同じじゃん、芸が無いねぇ」

 

「いいえ、これこそ私の真の狙い、ってね」

 

黒い穂乃果かがチャリオッツの腕を掴もうと、μ’sオーバーヘブンの腕を伸ばす、すると

 

「行くよ、絵里ちゃん」

 

黒い穂乃果の背後から声が聞こえた

それは、平行世界からやって来た穂乃果に取って忌々しく、殺意すらも感じさせる声

その声の主は

 

「高坂・・・穂乃果・・・」

 

黒い穂乃果は顔を後ろに向けると、穂乃果は完全にμ’sの射程範囲に入っていた

 

「チッカァァァァァァ!」

「オラオラオラァァァ!」

 

前からも後ろからも目にも止まらぬスピードのラッシュが迫ってくる

黒い穂乃果はそのあまりの速さに追いつけず攻撃が顔面に直撃する寸前で

 

「ザ・ワールド」

 

途端に時間が停止し穂乃果と絵里の攻撃がぴたりと止まった

 

「私をバカにしてもらうと困るんだよなぁ」

 

黒い穂乃果のみ動ける世界の中でゆっくりと歩きながら横へ出た

 

「残念だねぇ、あと一歩で私を倒せたかもしれないのに」

 

そんな事を言う黒い穂乃果の笑みは恐ろしく歪んでいた

 

「さてと、じゃあその顔面ズタズタにさせてもらおっか♪」

 

満面の笑みでμ’sオーバーヘブンを出し、穂乃果の顔面に拳を飛ばした、すると

 

「させるかぁ!!」

 

横からザ・ワールドの拳がμ’sオーバーヘブンの拳を弾いた

 

「ハァハァ・・・危なかった」

 

「やっぱり元々時間を止める能力を持つスタンドを使ってるんだからこういうのにはすぐ対処できるか」

 

「時間を止めるスタンドがこんなにいっぱいいるとは思わなかったけどね」

 

しかし、ことりは見るからに疲労していた

時止め返しは相当なタイミングと体力を使うためことり的には相当な賭けであった

 

「まさか、穂乃果ちゃんは動けないようになってるとは思わ無かったけど」

 

「後付けの能力がオリジナルに勝てるわけ無いじゃん」

 

「だったら、黒い穂乃果ちゃんの時止めが切れるまで守ってあげるだけだよ!!」

 

ことりはザ・ワールドでラッシュ攻撃を放つ

 

「ハハッ、いいね、受けて立つよ」

 

黒い穂乃果もμ’sオーバーヘブンでザ・ワールドのラッシュの撃ち合いが始まった

 

「無駄無駄無駄無駄無駄ぁぁ!!」

 

「うるさいなぁ、普通に攻撃できないの?」

 

必死の形相で攻撃をすることりに対し、黒い穂乃果は余裕の表情で攻撃を繰り出す

すると、途端に黒い穂乃果のラッシュが緩んできた

 

(緩んできた!このまま押し切る)

 

ことりはその瞬間に勝機を感じた、しかし、次の瞬間、ことりとザ・ワールドが動かなくなった

 

「あ・・・あれ?」

 

「穂乃果も演技が上手いでしょ?勝てるわけ無いのに一瞬でも勝てるとかいう幻想を抱いて。はぁ~、笑うの我慢するの大変だったなぁ。プクク・・・」

 

ことりの時間は完全に停止しぴたりと止まってしまった

 

「じゃあ、ことりちゃんを殴ったらどんな声で鳴くのか試してみよう、検証動画でも撮ろうかなぁ」

 

ニコニコと不気味な笑みを浮かべながらμ’sオーバーヘブンを構えさせた

 

「んじゃ、いっきまーす!!」

 

μ’sオーバーヘブンの拳がことりの顔面に一直線に飛んでいき

 

バキッ

 

「っ!」

 

黒い穂乃果は確かにことりの顔面を捉えたその映像すらも自分の目に映っていた、そのはずだった

 

「させない、絶対に!」

 

穂乃果のμ’sがμ’sオーバーヘブンの拳にぶつかりそこで止まっていた

 

「いい加減にしろよ、高坂穂乃果」

 

黒い穂乃果は一層μ’sオーバーヘブンに力を込めμ’sの拳を押し返そうとする

しかし、μ’sも負けじと押し返す

 

「鬱陶しいんだよ!」

 

μ’sオーバーヘブンが拳での押し合いをしている状態で、μ’sの顔面めがけて蹴りを放った

その蹴りにμ’sはガードをするが、勢いに負け後ろにのけぞる

 

「イテテ、流石に強いね」

 

「その余裕そうな面をボッコボコにしてあげるよ」

 

穂乃果は今までにないくらい落ち着いていた、仲間のために勝たなければならないという使命感や、ことりを仕留めようとしたことへの怒りなど一切感じない、ただただ、仲間が傍にいるそう思うだけで自然と落ち着いた

 

「私は今、白の中にいる、正義という名の白の中に」

 

「だったら、その白を全部黒色に染め上げてやる!!」

 

黒い穂乃果は全力で接近し攻撃を繰り出した

 

「死ねぇぇ!!穂乃果ぁぁ!」

 

「オラァ!」

 

μ'sとμ’sオーバーヘブンの拳がぶつかり合った瞬間、周囲が揺れるほどの威力、そして、時間が動き出した

 

「ハッ、ほ、穂乃果ちゃん!」

 

ことりは周囲を見渡し穂乃果を探した、すると、二人の穂乃果が拳を交えていた

 

「月まで吹っ飛べぇ!」

 

穂乃果はμ’sの一撃で黒い穂乃果を吹き飛ばした、黒い穂乃果はギリギリでガードするが、大きく後ろに下がった

 

「このガキがぁぁ」

 

黒い穂乃果は怒りに身を震わせている、その瞬間、ことりが背後から攻撃を繰り出した

 

「今だぁぁぁ!!」

 

黒い穂乃果は待ってましたと言わんばかりにことりの方向へを向けて拳を開き、ことりの腹に指を刺した

 

「ガハッ!!」

 

ことりは驚きで一瞬何が起きたのかわからなかった、そんな状態のことりに黒い穂乃果は追い打ちのように

()()()()()()()()()

 

「クフッ、アッハハハハ!!スゴい、スゴいよ!馴染む、馴染むよ!!」

 

一瞬、穂乃果には何が起きているのか理解が出来なかった

しかし、みるみるうちにことりから血の気が去って行くのが目で見てわかった

 

「流石、幼なじみだと血も良く馴染むんだねぇ、今までにないくらい最高の気分だよ」

 

まるで初老のようになってしまったことりはその場に力なく倒れた

 

「ことり!」ちゃん!」

 

そして、誰よりも早く穂乃果が前に出た

 

「よくも!!ことりちゃんに!!!」

 

怒りで全く周りが見えていない状態だったせいか、穂乃果はそのまま反撃されてしまう

 

「ッつ!」

 

「アハハハ!!いいねぇ!これぞまさしく、最高にハイってヤツだねぇぇ!!!」

 

黒の穂乃果は不気味にも指を自分の頭に突き刺し声高らかにそういった

 

「さぁてと、残りのメンバーもサクッとやっちゃいますか」

 

さっきまでとは比にならないくらいの黒いオーラを放ちながら全員に目線を向けた

 

「やれるものなら、やってみなさい!!」

 

絵里が向かって行くと、それに続いてにこと真姫も飛び出して行った

 

「μ’sオーバーヘブン!」

 

次の瞬間には黒い穂乃果は消えてしまった

 

「なっ!?どこに!」

 

周りを見渡してもどこにもいない、すると

 

「まずは、三人」

 

その声がする方へ顔を向けた瞬間には絵里達は強い衝撃と共に吹き飛ばされ、再起不能になった

 

「呆気ない最期だねぇ」

 

やれやれとため息を吐きながらそう言っていると

 

「こっちのことを忘れてもらったら困るやん!!」

 

今度は、希、海未、凛の三人が突撃する

 

「そんな適当に突っ込んでくるだけじゃあ、私は倒せないけどね」

 

「焼き尽くしてやるやん!」

 

希はマジシャンズレッドで火を噴いた瞬間

 

「ばぁ」

 

黒い穂乃果の顔面が目の前にあった

そして、次の策を考える暇もなく地面に叩きつけられた

 

「よくも、希ちゃんを!!」

 

凛は、二機のエアロスミス飛ばし乱射する

 

「何それ?豆鉄砲かなにか?」

 

μ’sオーバーヘブンの人差し指だけで全弾弾くと

 

「遅すぎ」

 

一言そう言うと、凛の腹部をμ’sオーバーヘブンの拳が貫通していた

 

「凛、希、あなたたちの死は無駄にはしません!!」

 

「チャックメイトです!」

 

海未と花陽がそう言うと、黒い穂乃果の周囲に矢が並べられていた

 

「絶対に逃がしはしません!」

 

全ての矢には火が付いて、そして、上から大量のガレキが落ちてきていた

 

燃える千本の矢(フレイム・サウザンドアロー)!」

 

大きな物音と共に矢が中心に突き刺さる、しかし

 

「さっきも似たようなことしてたよね?馬鹿なの?」

 

海未と花陽の後ろに黒い穂乃果がいた

 

「!」

 

海未が素早く動くが、時既に遅し、二人の腹部からμ’sオーバーヘブンの拳が飛び出した

 

「よし、これで残りは高坂だけだね」

 

「・・・」

 

その時、穂乃果は噴火寸前だった、しかし、穂乃果は感情的に動くことはなかった。

何故かはわからない、しかし、必要以上に落ち着いた

 

しかし、今まさに穂乃果は動き出す、仲間達の意志をその背中に背負って


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