穂乃果の奇妙な冒険 ミューズオブヘブン   作:マキシマムダンガル

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水と氷の狙撃手&雪原と黄金色のスタンド使い

一面砂だらけの砂漠の中、にこに声をかけたのは

 

「真姫ちゃん?」

 

振り向くと真姫の姿があった

 

「何してんのよ」

 

「それはこっちの台詞でしょ」

 

「別に、周りを歩いてたらにこちゃんが砂煙の中座ってるのが見えたから」

 

真姫はそっぽ向き髪を指でクルクルと巻き始めた

 

「まぁいいわ、行きましょ、こんな所にいたら干からびちゃう」

 

そう言って、にこは持っていた水筒のふたを開け口に寄せると

 

「危ない!」

 

真姫がいきなりハーミットパープルで水筒を弾き飛ばした

 

「ちょ!ぬぁにすんのよ!」

 

「こっち!」

 

真姫は怒れるにこを無視して、手を取り走り出した

 

「どうしたのよ!?」

 

手を取られ訳がわからぬまま走り続けた

 

「あらら、やっぱり真姫先輩は気づいちゃうか」

 

ある、遠い岩石の上に少女が座っていた

 

「じゃあ、後はよろしくね」

 

「分かったよ!雪穂!」

 

「ちょ!何で言っちゃうの!Σ( ̄□ ̄;)」

 

「( ・・)?」

 

ところ変わって

 

「はぁはぁ・・・」

 

「な、何で走るのよ・・・」

 

二人は息を切らし小さな町に着いた

 

「ここなら安心ね」

 

「説明しなさいよ、急に水筒を弾き飛ばしたり」

 

「気付かなかったの?水筒の水にスタンドが仕込まれていたのよ」

 

「す、スタンドがぁ!?」

 

にこが大声でそう言うと

 

「真姫先輩の言う通りだよ」

 

何処からともなく雪穂の声が聞こえてきた

 

「この声は雪穂ちゃん!?でも、どこから?」

 

「私はどこにでもいるよ、にこ先輩と真姫先輩の姿もよく見える」

 

にこが周囲を見ていると、水道の水が垂れている事に気づいた

 

「まさか、あの滴り落ちている水が・・・」

 

「流石にこ先輩!もうバレちゃった」

 

すると、水がスライムのように動き地面に着地した

 

「う、ウッソぉ・・・」

 

「アリサ!行くわよ!」

 

雪穂が叫ぶと水道の後ろからアリサが飛び出てきた

 

「フッフッフッ、私が相手です、にこ先輩、真姫先輩」

 

アリサは不敵な笑みを浮かべた

 

「ゴールドエクスペリエンス!」

 

「雪穂ちゃんにアリサちゃんも敵の手に落ちちゃうなんて」

 

「雪穂!私に続いて!」

 

アリサはそう言って飛び上がろうとすると、足を滑らせ水道の上から落ちた

 

「い、痛い( ;∀;)」

 

地面に顔面からダイブするように落ちた

 

「「「えぇ・・・」」」

 

3人とも思わず声を揃えた

 

「うぅ、グスッ」

 

「あぁ、もう!泣かないの」

 

にこが呆れて近付いていくと

 

「射程範囲内!」

 

急に顔を上げた

 

「ゴールドエクスペリエンス!」

 

スタンドが一気に距離を積めほぼゼロ距離まで近づいてきた

 

「アリアリアリアリ!!」

 

ゴールドエクスペリエンスの拳が当たる瞬間、にこの体が吸い込まれるように後ろに引っ張れた

 

「全く、少し位は注意してほしいわ」

 

ハーミットパープルがにこの体を引っ張った

 

「た、助かったわ」

 

「クッ!流石に一筋縄じゃあいかないか」

 

アリサは砂を払い落としながら立ち上がった

 

「絵里に似て策士って、ところかしら?」

 

「これでも、ギャングスターですから」

 

アリサは胸につけた金色の天使が彫られたバッジを見せ付けた

 

「ギャング?まさかぁ、あんた中学生でしょ?」

 

「あっ」

 

雪穂が小さく声を漏らした

 

「い、今・・・何て言った・・・」

 

「へ?だから、中学生でしょって」

 

「こ、この体型の事を言ったのかぁ!?」

 

「ヴぇ!?何よ」

 

アリサが髪を逆立たせ、鬼の形相になった

 

「この体型を貶す奴ぁ!許さねぇ!!」

 

「アリサを怒らせちゃった・・・知ーらない」

 

とたんにアリサはにこ向かって走り出した

 

「ゴールドエクスペリエンス!」

 

「えっ!ラ、ラブデラックス!」

 

一気に詰め寄り拳を飛ばしてくるゴールドエクスペリエンスに、にこはラブデラックスで受け止めた

 

「ぐっ!お、重い!」

 

G.Eの拳を髪で受け止めるが、ズルズルと後ろに押され壁に背が着いた

 

「そのまま、壁と共に砕け散れ!」

 

「くぅ、この技だけは使いたくなかったのに・・・」

 

片方のテールを外し、髪をまとめ始めた

 

「そして、形を変えれば。ヘアーアーム!」

 

髪の毛が拳の形になった

 

「食らえ!」

 

髪の毛で作った拳でG.Eを弾き飛ばした

 

「にこちゃん、それ・・・」

 

真姫は驚愕の目できいた

 

「何よ」

 

「著作権的にどうなの?」

 

「どぅわから!使いたくなかったのよ!」

 

「トラ・・・」

 

「言うなーーー!!」

 

急に雪穂のスタンドが飛び込んできた

 

「ヴぇ!?」

 

顔スレスレで避けた

 

「あ、危ないわねぇ」

 

「危ないはこっちの台詞!偉い人に怒られたらどうするんですか!」

 

「別にいいでしょ、それに偉い人とかイミワカンナイ!」

 

「分かんなくても、ダメなものはダメなの!」

 

水のスタンドが地面に蒸発するように消えたと思うと、急に地面から飛び出てきた

 

「くっ!」

 

これもギリギリで避けた

 

「思えば、スタンドはいるけど、本体がいない。一体どこに」

 

真姫が周囲を警戒しながら見ていると

 

「クスクス、生憎、私は盲目で目が見えないの、だから、遠いところから狙撃するようにしてるの。あっ!今ハーミットパープルを出したでしょ」

 

「!」

 

ハーミットパープルを右手に出した事を、見えない筈の雪穂が言い当てた

 

「目が見えないのも変だけど。それ以上にどうして私がスタンドを出したことに気付いたの?」

 

「驚くなかれ、私のスタンドを使えば真姫先輩がどの方向に顔を向けているのかも分かるんだよ」

 

「なんですって?」

 

「あっ、今南南西を向いてるけどそっちに私はいないよ?」

 

真姫は怒りでまぶたをピクピクと震えさせた

 

「面白いじゃない、私を相手にしたことを後悔させてやるわ」

 

「わぁ、怖い、でも、後数分もしないうちに私が総攻撃しちゃいますよ?」

 

「出来るものなら・・・」

 

すると、真姫の頬にポツリと水滴が落ちてきた

 

「?」

 

不思議に思い上を向くと、さっきまで晴れていたのに、今はまるで曇天のように曇っている

 

「まさか・・・」

 

真姫は雪穂の言った言葉の意味を理解し、青ざめた

 

「やっぱり真姫先輩は頭がいいなぁ、でも、そろそろ」

 

雪穂がそう言うと、次第に雨脚は強くなってきた

 

「まずい!」

 

真姫は急いで建物の中に入っていった

 

「困ったわ、土砂降りじゃない、当分は止みそうにないわね」

 

「その通り、この雨は年に一回来るか来ないかの豪雨、丸一日は降り続けるよ」

 

建物の中で雪穂の声が響いてきた

 

「ど、どこから!?まさかこの家の中に?」

 

「いえいえ、私はここですよ。真姫先輩のウ・デ」

 

急いで自分の腕を見てみると、そこには雪穂のスタンドがいた

 

「い、いつのまに!」

 

「さっき雨に打たれたときに、少しでも水があればどこにだって、それに、私のスタンド、ゲブ神なら、花を摘み取るように、真姫先輩の首を刈る事も」

 

雪穂のスタンドゲブ神が鎌のようなものを出してきた

 

「だったら、こういうのはどう!」

 

真姫は自分の体にハーミットパープルを巻き付け左手でハーミットパープルに触れた

 

「おっと、危ない、水のスタンドに電流とは危険だなぁ」

 

触った瞬間、電流のように流れるが、ゲブ神はスルリと避けた

 

「やはり、スタンドとは言え性質は水と同じのようね」

 

「頭のいい人だねぇ、まぁ、今真姫先輩は私の中にいるようなものだし」

 

止む所か一層に雨量は増えるばかり

 

「でも、どんなに頭が良くても、私のスタンドを倒すなんて到底無理だろうけど」

 

「だったら、試してあげる!」

 

ハーミットパープルを鞭の様にしならせゲブ神に当てようとするが、もぐらたたきのもぐらの様に浸水した水のなかに逃げた

 

「残念、私はそこまで単純じゃあないの」

 

「あら、でもこれで貴女のスタンドの特徴がわかったわ」

 

「何?」

 

「ゲブ神は水があればどこにだって出現する、つまり水すべてがスタンドと考えて差し支えない訳よね?」

 

「それが一体・・・」

 

「今部屋の中は大雨が原因で浸水している、つまり、私は今、貴女のスタンドの中にいるようなもの、そして」

 

真姫は右手を顔の高さまであげ奇妙な呼吸をすると、殺虫蛍光灯のような音がした

 

「まさか、そんな事をしたら真姫先輩も巻き添えに!」

 

「あら、知らない?」

 

真姫はこれ以上無いくらい不気味な笑みを浮かべ

 

「自分の攻撃は、自分には食らわないって」

 

「ま、待って・・・」

 

「次に貴女は」

 

「「止めてそれだけは」と言う」

 

「う、嘘・・・」

 

「雪穂ちゃん、先輩を甘く見たら痛い目に遭うわよ、こんな風に!」

 

真姫は、自分の右腕を水のなかに入れて

 

波紋疾走(オーバードライブ)!」

 

と叫ぶと、不思議な形の波紋が水面に上がり、電流の様なものが流れた

 

「「ギャーーー!!」」

 

なぜか二つの叫び声が聞こえてきた

 

「ん?向こうからも声が」

 

声のする方へ向かってみるとアリサがアフロ状態で倒れていた

 

「何で?」

 

「真姫ちゃん!」

 

にこがスタンドを使って天井にぶら下がっていた

 

「なにやってるのよ」

 

「アリサちゃんと戦ってて、吹き飛ばされた勢いで壁に叩き付けられそうになって天井に捕まったら、いきなりアリサちゃんの体に電流が走って」

 

「・・・」

 

真姫は呆れ顔でにこを見た

 

「干されてるみたい・・・」

 

「誰がよ・・・」

 

二人は呆れ顔で言い合った、二人は黙った、雨は止んだ・・・




止んだ雨、静まり返る小さな町に
一人の娘がひとつの思いを胸にやって来た

次回「黒い太陽」

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