穂乃果の奇妙な冒険 ミューズオブヘブン 作:マキシマムダンガル
前回、希が知っている全てを話すと言い全員ホテルのテーブルを囲み、座った
「ほな、皆準備出来た見たいやし、話そかな」
希がそう言った瞬間
「そもそも、スタンドって一体何なの?」
にこが真っ先に希に聞いた
「スタンドは、本来、強い精神力を持った人に表れる生命エネルギーの集合体「幽波紋体《スタンド》」とも言うな」
「じゃあ、ここにいる全員強い精神力を持っているってこと?」
穂乃果が不思議そうに言った
「せやな、まぁ、別の要因もあるかもしれへんけど、まだ詳しくはわからへん」
その時、希の背後から
「私なら説明できるわよ」
聞きなれた声が聞こえ全員が振り向くと
「お久しぶり」
そこには綺羅ツバサの姿があった
「ツバサさん!?」
穂乃果は立ち上がり目を点にしながらそう言った
「皆ここにいたのね、探すのに苦労したわ」
ツバサは余った一脚の椅子に腰かけた
「どうしてここに?」
「状況説明・・・と言いたいところだけど、今回が穂乃果さんに用があってきたの」
「ほな、ツバサさんは穂乃果ちゃんに説明して、他の皆はうちが説明しとくわ」
「それじゃあ、お願いするわ」
ツバサはそう言うと穂乃果の手を取って部屋を出た
「どうしたんですか、何で部屋の外に?」
「ここから先の話は他のメンバーには酷な話になるかもしれないから、でも、穂乃果さんは知っておかなければならない話なの」
「酷な・・・話?」
穂乃果はその言葉を聞いてドキッと、心臓が高鳴った
「まずは・・・そうね・・・」
ところ変わって
「まずは、スタンドの定義について話そか」
「スタンドって、強い精神力で生まれるって言うけど、凛は怒ってパワーアップしたわよね?」
「スタンドは使用者の精神状態で変化する、せやから、凛ちゃんが一時的に強くなったって訳やな」
「他にもそういうことってあるの?」
花陽がそう聞くと
「強いストレスを感じたときなんかはスタンドが暴走したりするかな?」
腕組をしながらそう言った
「暴走、危険そうな響きね」
真姫が肘をつきながらそう言った
「まぁ、そこまで危険な訳やないんやで、大体は過剰な自己防衛だったり、能力をやったらめったら撃ったり、とかやし」
苦笑いをしながら希はそう言った
「他には?例のあのお方とか、聖なる遺体とか」
にこが少し食い気味に言うと
「あのお方については覚えてへんけど、聖なる遺体やったら」
「実際何なのあれ?」
にこは不思議そうに希に聞いた
「聖なる遺体が誰の遺体なのかは分からへんけど、あれの力とスタンドは繋がっているのは確かやろうな」
「つまり、詳しいことは分からないってこと?」
「せやねぇ、取り敢えず遺体自体は順調に集まってる訳やし」
「あの、その聖なる遺体とは一体いくつあるのですか?」
急に海未が話し出してきた
「全部で9個、心臓、頭、両眼、両耳、右手、左手、胴体、両足、そして、脊椎」
「9・・・思えば、私たちμ'sメンバーも9人いますよね?」
「なにか関係してるんかもしれへんなぁ」
その頃、穂乃果とツバサは、外にあるテラスで話をしていた
「取り敢えず、聖なる遺体の事については理解してくれたかしら?」
「はい、でも、何でこんな事に」
「それは・・・今から話すことは他言無用、誰にも話さないで、いいわね?」
ツバサは真剣な目付きで穂乃果を見た
「は、はい!」
穂乃果はその目に圧倒され大きな声で返した
「事の発端は、今から2ヶ月ほど前の話。音ノ木坂で行方不明事件が多発していた、しかも、行方不明になっていたのはμ'sのメンバーばかり」
その話を聞いて穂乃果の顔から血の気が去っていった
「そして、私たちは独自に調査をしていた、すると、調べていると黄金の矢というものを見つけた。あなたはそれを自分の胸に突き刺した」
「えぇ!?私が!?」
「流石にあの時は穂乃果さんの正気を疑ったわ。でも、突き刺した部分から光が漏れだし、スタンドμ'sが生まれた」
「そんな経緯が」
「そして、私も矢を使ってスタンドを発現させた、名前はDirty deeds done dirt cheap(いとも容易く行われるえげつない行為)略してD4C、能力は平行世界を行き来する事が出来る」
そう言って、ツバサはスタンドを出した
「そして、穂乃果さんと私はμ'sメンバーを探して平行世界へ飛んだ。すると、何が起きたのか、穂乃果さんとはぐれてしまって」
「それで、私は杜王町に一人取り残されてたんだ」
「あれは申し訳なかったわ、探し回っていたんだけど、中々見つからなくて」
「い、いえいえ、大丈夫ですよ」
穂乃果は苦笑いしながらそう言った
「それと、これは穂乃果さんに伝えるか否か、悩んだのけれど。覚悟は良いかしら?」
穂乃果はツバサのその真剣な目付きに言い様のない恐怖感と緊張感を感じた、しかし
「大丈夫です!」
「良い返事ね、この世界は言ってしまえば私たちが居てはならない世界。でも、他のメンバーは違う」
「それは・・・どういう・・・」
「落ち着いて聞いてね。私と穂乃果さん、それ以外の人はこの世界に元々いた人物、つまり・・・」
「穂乃果たちがいた世界の皆は、この世界には、いない」
穂乃果は自分の口で言ってみるが、声と共に出てくる息が重く苦しい物になっていた
「そう、言いたくはないけど。私たちがいた世界の穂乃果さん以外のμ'sメンバーは、もういない。殺されたか、もしくは・・・」
「すみません、その・・・一人にしてくれませんか」
穂乃果は体の奥底から気持ちの悪い物が、まるでシャワーを浴びているように、体を駆け巡った
「そうね、これは餞別として、持っていて、それじゃ」
ツバサは手をヒラヒラとさせて手を振り、スタンドを使い消えた
「皆はもう・・・」
小さく声にすると、心の中にある何かが音を立てて崩れたような気がした。それと同時に膝をついた
「う、うぅ、そんなのやだよぉ・・・」
穂乃果は遂に涙を流した、涙を拭いても拭いても枯れてしまいそうなほどに涙が流れた
「みんなぁ・・・・私を・・・置いてかないでぇ」
自分の中の最後の砦が崩れぬように精一杯声を抑えるが、今にも崩れてしまいそうだった、すると
「なぁに泣いてんのよ」
顔をあげるとそこにはにこの姿があった
「にこ・・・ちゃん・・・」
にこに顔を向けるが涙は止まらず目の前が滲んでにこの顔はよく見えていない
「何でも、何でもないの・・・何でもないからぁ・・・」
笑顔を出そうとするが表情が一切変わらず泣き続けた
「全く、泣きながらそんなこと言われたって説得力無いわよ」
そう言って、にこは穂乃果を優しく抱き締めた
「あんたに何があったのか、ツバサさんに何を言われたのかは知らないけど、何があろうと、私は、いや、私たちはあんたの味方よ。安心して、私の胸で泣きなさい」
「うぅ・・・にこちゃゃぁぁん!!うわぁぁぁーーん!」
にこのその一言に崩すまいと堪えていた最後の砦が崩れていった。
穂乃果はにこに抱きつき三十分泣き続けた、十五分経つ頃には涙は枯れて流れなくなった、しかし、穂乃果は泣き続けた
そして
「ごめんね、にこちゃん、穂乃果の我儘に付き合わせちゃって」
穂乃果は泣きすぎて赤く腫れた目を開けながらそう言った
「大丈夫よ、こころやここあに抱きつかれて泣かれたことあったし」
少し笑い穂乃果の頭を撫でた
「そう・・・だね・・・」
ツバサの言葉を思いだし胸が傷んだ
「ねぇ、にこちゃん」
「ん?」
穂乃果は迷いながら
「もしも、穂乃果がこの世界にはいない別の世界からきた人だったら、にこちゃんはどう思う?」
穂乃果の質問ににこはクスッと笑い
「それは御免こうむるわ、あんたは一人で十分。だから、私たちの側から勝手に消えたりしたら、本気で怒るからね」
にこはそう言って、振り向いた
「さ、帰るわよ。皆待ってるわ」
「うん!」
穂乃果はツバサから衝撃的な真実を告げられ動揺するも
にこの言葉とμ'sメンバーの事を思いだし、また、立ち上がった
しかし、それを良く思わない人物が穂乃果を付け狙っていた
次回「最強のスタンドを持つ鳥」