OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・   作:ラルク・シェル

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アインズ一行日本へ・温泉編

山海桜閣という温泉旅館に到着した伊丹達は、まず男性と女性に分かれた。しかしそれに納得しないのがアルベドだった。

 

「なぜ私が、アインズ様と別々なのよ!」

「いやいや…ここはさすがに…」

「そうだ。郷に入っては郷に従うという事だ」

「しかし……」

 

アルベドのウルウル目と離れたくないオーラがアインズの心にビンビンと響き始めた。

 

「まぁ、もしもなにかあったら…いつでも私達の所に尋ねてくればいいから…少しはガマンするんだぞ」

「…はい」

 

アインズがなんとか説得するが、それでも納得しない様子のアルベドだった。とりあえずさっそく温泉なので、それぞれ男湯と女湯に向かった。そして密かに防衛省の特戦群が、旅館の周りで監視をしている。

脱衣所では女性陣が服を脱いでいると、ロゥリィとアルベドにナーベラルとアウラが、視線を感じたので窓から外をのぞいた。

 

「4人共、どうしたの?」

「視線を感じる…」

「ええっ?!」

「なっ!」

「まさか…隊長が!」

 

なぜか伊丹が一番疑われたが犯人は監視中の特戦群で、ロゥリィと目が合った事から一度この場から離れた。でもアルベドが窓から顔を出して辺りを見回す。

 

「私の体は、アインズ様だけの物…それは即ち万死に値する!」

「同意!」

 

同じ意見をするナーベラル。そんな様子をただアウラやレレイは見ているしかなかった。

 

「たしかに、勝手に覗きをされるのは本当に嫌だよね」

「でも、私は普通に村の井戸で水浴びしているけど、気にしなかったよ」

「そ…そうなんだ」

 

少しレレイのマイペース差と羞恥心の無さに引いたりする。

そしてアルベドとテュカ達が初めての露天風呂に驚いたり興味を持ったりした。

 

「これが…露天風呂!」

「泉がお湯になってる♪」

「こんなたくさんのお湯、どうやって?」

「まさか、こんな画期的な浴場が存在するとは!」

「殿下、ここは異世界です」

 

するとロゥリィとアウラが体に巻いたバスタオルを取って、そして2人が顔を合わせるとにやけた表情になり。そのまま湯船に入ろうとした瞬間。

 

「コラ!」

 

2人の後ろから栗林とナーベラルが抑えた。

 

「まずは、体を綺麗に洗ってから!」

「だそうですね」

 

仕方なく2人は一度体を洗うのだった。そして男湯では、久々の温泉に伊丹と富田もまったりと浸かっていた。

 

「あ~~~本当に温泉は良いな」

「ですね~~~」

「ここには男2人しかいないな」

「ですね~~~僕は、普通に女の人が好きなんです!!」

「勘違いしてんじゃねぇよ!」

 

否定する富田に伊丹も否定し返す。するとそこにマーレが女の子みたいに体をバスタオルで隠してってきた。これには2人も本物の女の子が来たのかと思って驚く。

 

「うわぁ、本当に大きなお風呂ですね。アインズ様!」

「そうだな。でもマーレ、あんまりはしゃぐと危ないぞ」

 

さらに腰にタオルを巻いて胸には赤い水晶が輝く、全身骨格姿のアインズもやって来た。アインズの姿を間近に見た伊丹と富田は、今度は違う意味で驚き湯船に入るアインズ達から少し離れ始める。

 

「あの…もしも怖かったら、もっと離れても大丈夫ですから」

「いや…なんかすみません」

 

気を遣うアインズの言葉に2人は少し気まずくなってしまう。それから肩まで漬かるアインズだったが、伊丹は少し近づいて尋ねてみた。

 

「ところで、風呂に入る必要はあるのですか?」

「気分ですよ気分」

「なるほどね…たしかに何事も気分が大事ですからね」

「はい…」

[隊長、随分と打ち解けてますね…]

 

オタク同士気が合うのか温泉に浸かりながら会話し続ける2人を、ただ見続けるしかない富田。そしてマーレはゆったりと温泉を満喫していた。

その頃、アルベド達もゆったりまったりと温泉に浸かっていると

 

「ねぇ、みんなで面白い話をしよう♪恋話とか?」

 

葵が全員に恋話しようと提案した。

 

「恋話ねぇ…そういえば、アルベドさんはなんでアインズさんの事が好きになったの?」

 

栗林がいち早くアルベドとアインズの関係について聞いてみた。

 

「勿論、あのお方の全てです。我が絶対的な支配者にして、私が最も愛する人…」

「ふへ~~~そういえば、富田ちゃんがボーゼスさんを?」

 

すると今度はボーゼスにターゲットを変えてきた。さらに興味を持ったのかピニャも入って来る。

 

「なに?それは聞いていないぞ。どうなのだ」

「いえ…騎士団では交際は禁止な上に、身分とかも」

「無粋なことを言うな。白状するがよい!」

「うひゃ!お止め下さいお姉様!」

 

ピニャが後ろからボーゼスの胸を鷲掴み揉み始める。なんとも百合的な光景ながらも、アウラは葵に質問し始めた。

 

「ところでさぁ、なんでアンタは伊丹って人と結婚したのに離婚しちゃったの?」

「え?」

「たしかにねぇ。結婚したのになんでぇ?」

「そうそう!私もそこが聞きたかったのよ?!」

 

ロゥリィも栗林もなぜ伊丹と結婚したけど、離婚したのか気になっていた。そしてついに葵と伊丹の関係を話し始めた。

 

「元々、“先輩”とは中学が一緒で高校も一緒なんだ。それで先輩は公務員だから、安定した収入を貰っていて眩しくて…〔養ってください!その代り結婚してあげます!〕って言ったらすんなりと…」

「なのに…なんで離婚を?」

「銀座事件が始まりですね」

 

なんでも銀座事件の後、特地に向かう伊丹だったけども危ないと感じていた葵。しかし伊丹は(もしも自分が何かあっても、保険金が出るから生活は大丈夫さ)と言ったらしい。

 

「アタシが好きなの、先輩全然気づいてなかったから…仕切り直そうと思ったの」

 

これが伊丹と離婚した理由であった。

そしてしばらくすると、全員が湯船から上がって夕食を楽しんで、各自の部屋で過ごしている。

 

「あーーー!このまま年末まで休みたい!仕事忘れたい!!」

「そうはいかんでしょ?」

 

休暇を満喫した伊丹はずっと休みたいと駄々をこね始める。これにはアインズも呆れてマーレも苦笑いをする。ちなみにアインズは今、嫉妬マスクを着けていない髑髏顔のままだった。

するといきなりアウラが襖を開けて入ってきた。

 

「失礼します…」

「お姉ちゃん?」

「どうしたアウラ?」

「いや、ちょっとここに居ていいかな?」

 

まるでなにかに逃げてきたかのような感じだった。その時、勢いよく襖が開き現れたのは

 

「なに逃げてんのよ?ほら男共、ちょっとツラ貸せやぁ!」

「「貸せやぁ!」」

 

なんとかなり酔っぱらったアルベドと栗林とロゥリィ。

 

「お前達、なに…酔っぱらって…」

「お姉ちゃん…これに怯えて?」

「うん…」

 

それから無理やり連れてこられた男性陣が見たのは、浴衣がかなりはだけたピニャとボーゼス。さらに酒をグビグビと飲んだりする葵とゆっくりと飲むレレイ。おまけに飲み過ぎたのか、お互い抱き合いながらも眠るテュカとナーベラル。

 

「こ…これは」

「はい、全員お酒が入ってから暴走しちゃって…」

「そもそも逃げ出すなんて、アナタ守護者としてどうなの!ねぇ、アインズ様?」

 

アインズに抱き着きながらも喋り続けるアルベド。おまけに浴衣がはだけ胸や下着が露出していた。

 

「アルベド、少し頭を冷やした方が…」

「そんな事より!子作りの予行練習をいたしましょ!」

「ええっ!ちょっと!?」

 

そのままアインズを押し倒し始めるアルベド。これは危険な予感を感じ逃げようとしたマーレだが。

 

「うひっ!?」

「つーーーか、アンタって本当に男かよ?本当は女の子じゃないのか?」

 

すると栗林がいきなりマーレを抱きかかえると、セクハラ当然に胸を撫で股間を触ろうとした。

 

「おいおい、それはセクハラ…「てか、隊長!お願いがありまふ!」え?」

「特戦群の人を紹介してください!」

 

栗林はこの状況で伊丹に特戦群から結婚相手を紹介してとお願いし始める。最早、カオスな状況となってしまった。

その頃、特戦群はアメリカと中国とロシアの特殊部隊と交戦していた。この3つの国も特地を狙っていて、交戦中に特戦群は一度撤退する事になってしまい。今、アメリカ・中国・ロシアは旅館に近づいて来る。

そんなピンチにどんちゃん騒ぎの後、アインズ以外の全員は眠っていた。

 

「やれやれ、本当に参った…ん?」

 

アインズは1人で酒をのんびりと飲むロゥリィを目にする。ロゥリィはそんなアインズをそばに来てと誘ってきたので、仕方なく近づいた。

 

「なんだ?」

「一杯、どう?」

 

コップをアインズに渡したが首を横に振って断った。

 

「残念だが、私はこの通り食べる事も寝ることも必要ないからな。すまないと思っている」

「あらそぅ?もし私が肉体を捨てたら、姿形が自由に変えられるけど肉の欲求が消えちゃうのよねぇ」

「なるほど…」

 

どこかしら寂しい目をするロゥリィ。自分もアンデッドになってからそういった感覚がなくなって、少し寂しいと思った頃があった。だが、ロゥリィは何かを感じていて、そわそわと落ち着きのない様子になっていた。

 

「ところで気づいていた」

「え?」

「この近くで、戦いが起きているのよ」

「なに?」

 

アインズは少し隠れながら外を覗くと何人か人影が確認した。

 

「いつのまに…」

「さっきまで戦っていたみたいよぉ。おかげで全然眠れなかったわぁ」

「そうか…いや、そんな事より」

 

すぐに伊丹を起こし始めたアインズ。

 

「起きてください、伊丹さん!」

「あれ、アインズさん…なにか?」

「なにかじゃなくて!」

 

丁度、伊丹の携帯がなったので開いてみると【太郎閣下】の文字が。これは伊丹の友人で内閣防衛大臣兼務特地問題対策大臣の嘉納太郎からだ。

 

「閣下からの?」

「閣下って…たしかアナタの友人の?」

「ええ、そうだけど」

「とりあえず、全員を起こしてくださいね」

 

伊丹に頼んでアインズが戸を開けて中庭に出た瞬間、3ヶ国の特殊工作員達が待ち構えていた。そしていち早く驚いたアメリカ側の工作員が撃った弾丸が、アインズの胸を貫いてしまった。




ついにアインズ達、初めての温泉体験となりました。
そして次回はアインズと工作員の戦闘となりますのでお楽しみに。

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