OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・   作:ラルク・シェル

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ナザリック全員集合

なんとかアルベドを落ち着かせたアインズは、伊丹の計らいで王女兼団長のピニャと出会う事ができた。

 

「オーバーロード…死の支配者とは…」

「お初にお目にかかりるピニャ王女殿下。我が名はアインズ・ウール・ゴウン」

「私はアインズ様に仕えるアルベド」

「同じくデミウルゴスと申します」

 

ピニャに挨拶するアインズ達。しかし完全に異形な存在のアインズ達にいささか戸惑いを見せた。それから栗林達も。

 

「本当にアンデッドだったなんてね…」

「てか、あれってスケルトンっスよ」

「なんか本当に不気味」

 

そんな感じであった。もちろんテュカ達も同じ反応だった。

 

「あんなにスラスラと喋れるアンデッドがいるなんて」

「それも、5位階を超えるって…」

「まさか…ハーディの手下なんかじゃないでしょうねぇ?」

 

ロゥリィはアインズが冥府の王ハーディと繋がりがあるのかないのか気になっていた。

 

「で、私に何か用なのか…」

 

ピニャは冷や汗をかきながらもアインズに尋ねた。もしこのアンデッドがこの領地だけでなく、セクフィア帝国を狙う事になったらまるで歯が立たないと既に分かっていたからだ。

そして盗賊からイタリカを守ってくれた伊丹達自衛隊でも、彼らを倒せるかどうか分からなかった。

 

「お前は、なにか勘違いしているのでは?」

「ん?」

「私はただ…友の伊丹殿が心配になって会いに来ただけだ。争う理由などない…寧ろ驚かせたこっちに非がある」

 

軽く頭を下げてピニャ達に謝罪するアインズ。アルベドとデミウルゴスは殺気を出しながら続いて言った。

 

「下等生物共、アインズ様が貴様達に態々頭を下げたのだ。感謝する事ね?」

「そういう事です。もしも今度このような事が起きたら覚悟してください」

 

2人の強烈なまでの威圧にこの場の全員が引いたり怯えたりする。しかしピニャはこのままアインズ達が本当に何もせずに帰ってくれるかどうか心配していた。

 

「あの…すみませんが、もう隊長を連れて帰りたいんですけど?」

「我々はもう帰りたいと言っている」

 

通訳のレレイが富田の言っていることをピニャに伝いえると、彼女はもっと困った顔になって引き止めようとする。

 

「ちょっと待った!朝食を用意してやるからもう少し此処に!!」

 

もしもこのまま帰られたら、セクフィア帝国と薔薇騎士団の信用に関わるかもしれないと感じていて。さらにもしかしたら自衛隊と戦争になるかもしれないと焦ったピニャは、なんとしても伊丹達を引き止めようとする。

 

「大変うれしいのですけど、伊丹隊長は国会の参考人招致を任せられて…」

「国会の参考人…」

 

その言葉にアインズは興味を持った。

 

「お尋ねしますが、伊丹さんはなんの参考人として国会に?」

「それは、炎龍の犠牲者とかセクフィア帝国の事とか色々」

 

するとアインズは考え始めた。

参考人という事は一度、日本に戻るという意味に。つまりなんとか自分もその関係者に入れば、日本に行ける可能性が高いと。

 

「アインズ様?どうかしましたか?」

「えっ!いや、別に何も…伊丹さん!!」

「はい?」

 

さっそくアインズは伊丹に小声で相談し始める。

 

「あの、参考人って事はアナタ方の世界に戻るって意味ですよね?」

「え……っと、そういう事になりますけど…まさか?」

「はい、私も日本に連れてってくれませんか?」

 

伊丹に自分も日本に行かせてくれとお願いするアインズ。しかし、いきなりそんな事を言われて戸惑う伊丹。

 

「いや~~~どうしよっかな…」

「お願いしますよ。一応、私の世界でもありますから…」

「じゃあ、なるべくその姿を隠せば良いと思いますけど…」

「分かった。では、決まったら連絡を」

 

相談が終わるとアインズはすぐにゲートを展開した。

 

「では、我々はこのまま帰るとしよう」

「え?もう帰るのですか?」

「そうだ。元々…伊丹さんの様子を少しだけ見に行きたかっただけだからな。そんなに留まる必要はない」

「たしかに、長居は無用ですね」

 

そしてアインズは全員の前で

 

「では、皆さま。またどこかで会いましょう」

「下等生物共。今度またアインズ様に手を出したら許さない!」

「という訳ですが、それでは」

 

アルベドが念入りに脅しをかけながらも、アインズはそのままゲートからナザリックに戻ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼時のナザリック。

アインズが自室で色々と調べごとをしていた。

 

[とりあえず、これだけ見ればいいかな?後は、伊丹さんからの連絡が来れば…]

 

その時、普段から身に着けることにしたテレパウィンドから伊丹の声がしてきた。

 

《アインズさん、聞こえていますか?》

「ええ、聞こえてますよ伊丹さん」

 

返事を返すアインズ。そして本題に入った。

 

「あの…それでアナタ達の世界に行くのは、いつ頃に?」

《明日ですけど》

「明日!随分といきなりですね?」

《いや~~~初めから決まっていた事なので》

「分かりました…では、こちらも何人か連れていきますので」

《ええ、では明日》

 

連絡が終わって伊丹の声が聞こえなくなった。明日には日本に行くことになったアインズは、すぐにナザリックの全員に通話をし始める。

 

「ナザリック地下大墳墓に残っている階層守護者及び、戦闘メイド達に命ずる。至急玉座の間に集結せよ!」

 

さっそく現在ナザリックにいる階層守護者と戦闘メイドを呼び出す。そして10分程で玉座の間には、集結させた階層守護者と戦闘メイドが待機していた。

扉が開いてアインズが中に入ると、全員が一斉に2列でひれ伏せていた。

 

「我らがオーバーロード」

「アインズ・ウール・ゴウン様に…」

「「「「「栄光あれ!!」」」」」

 

アルベドとデミウルゴスの後で敬礼し始める。そしアインズはそのまま歩いて玉座に座った。

 

「ふむ…全員見事に集まったな」

「当然デ、ゴザイマス」

〔なぜなら私は…モモンガ様改めアインズ様のシモベですので〕

 

かなり片言で返事するのは、巨体で背中に2つの氷の結晶が突き刺さった昆虫型のモンスター。第5階層守護者のコキュートス。

さらにエノグ語という言語を使って喋ったりするのは、天使の輪と枯れ木型の羽の胎児の姿をした天使。第8階層守護者のヴィクティム。

 

「もしかして、この前の緑の人達の事ですか?」

「たしか、アインズ様は会いましたよね?」

 

さらにアウラと一緒に現れたのは、金髪でオッドアイのミニスカートをした男の娘のダークエルフ。アウラの双子の弟で同じ第6階層守護者のマーレ・ベロ・フィオーレ。

ちなみにアウラとマーレの製作者はぶくぶく茶釜っていう、エロゲーからギャルゲーまでやる売れっ子女性声優で、趣味として2人がそれぞれ男装と女装する設定になっていた。

 

「それで、ナーベラルも緑の人と出会った筈ですね?」

「んで、どんな人達だったっスか!?」

「なんでも…少し変わった武器を持っただけで、下等生物には変わりない」

「武器…見て…みたい」

「シズ、どうやら緑の人の使ってた武器に興味持ってございますね」

 

本来の黒いメイド姿のナーベラルに尋ねるのは、メガネをかけた真面目という言葉が似合いそうなデュラハン。戦闘メイドリーダーのユリ・アルファ。

それから赤髪で小麦色の肌をして明るく声を上げて質問する女は、人狼で戦闘メイドのルプスレギナ・ベータ。

自衛隊の武器に興味を持っている眼帯の無表情で無口の少女は、自動人形(オートマトン)の戦闘メイドのCZ2128・Δで通称シズ・デルタ。

蟲のような髪とまるで仮面のような顔してシズの言ってることを理解した少女は、蜘蛛人(アラクノイド)の戦闘メイドのエントマ・ヴァシリッサ・ゼータ。

現在ナザリックにいる階層守護者と戦闘メイドで第1〜第3階層守護者の吸血鬼、シャルティア・ブラッドフォールンはセバスとソリュシャンと合流するまで調査中。

 

「さて、アルベドとデミウルゴスにはすでに知っているが、明日どうやら異世界からやってきた自衛隊と呼ばれる者たちの代表が、一度元の世界に戻るようだ」

「それは昨日彼らの会話で知りましたけど…それが一体?」

「じつはな…私も行くことにしたのだ!」

 

そんなアインズの言葉に全員は驚いた。

 

「それは本当ですか!?」

「ああ、昨日約束したんだ」

「なるほど、これを機にその異世界も征服という事ですね?」

「いやいや…そんなのではない」

 

デミウルゴスの意見を否定という名のツッコミをしながらも話を進んだ。

 

「とりあえず、明日には自衛隊代表の伊丹さん達と門の前で待ち合わせする事になったが、何人か私と同行することを認めよう」

「「「「「はっ!」」」」」

[と言っても…まともな姿をしてるのは少ないからな…]

 

とりあえずアインズはまず誰を連れていくか考えた。かなり人間離れしているコキュートスとヴィクティムは除外して、デミウルゴスも連れてくのを外そうか悩んだ。しかし、アインズが気になるのは強い眼力で、連れてってと心の中で叫ぶアルベド。

そして悩んだ末に、行くメンバーを決めた。

 

「では、まずはアルベド」

「はっ!」

「続いてアウラとマーレ」

「はい!」

「あ…はい!」

「そして、ナーベラルだ」

「はい」

 

日本に行くのはアルベドとアウラとマーレとナーベラルとなった。

 

「中々の組み合わせですね。たしかその異世界は人間が多いとか」

「まぁな、なるべく人間に近いものなら大丈夫だとな」

「ウウ…モシ我ガ人間ノ姿ナラ…アインズ様ト行ケタ筈…」

 

アインズの決めた選抜にデミウルゴスは納得したが、行けない事を悔しがるコキュートス。

 

「では、明日の為に4人とも準備するように!」

「「「「はっ!」」」」

「それでは、残りは再びナザリックの防衛に尽力を尽くすように」

「「「「はっ!」」」」

 

話が終了して各自それぞれやるべき事に入った。そしてアインズも自室で支度を始めた。

 

[まずは服装だが…このローブはもちろんモモンの姿じゃダメだよな。それにこの顔も隠さないと…後は資金だけど…]

 

もしも日本に行くとなれば、お金も必要だと分かっていたが、どうやって手に入るか考え始めた。すると何かを思いついたアインズはある場所に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

日本に行く為の門と自衛隊の拠点があるアルヌスの丘。その門の前に冬服の伊丹が立っていた。すると車が到着すると、栗林と富田とさらにテュカとレレイとロゥリィが出てきた。

 

「2人共遅いぞ」

「すみません。色々と支度して」

 

さらに今度は別の車が止まると、そこから派遣部隊幕僚の柳田明がピニャとボーゼスと一緒に出てきた。

 

「おい、柳田。なんだよこれは?」

「なにって、ピニャ・コ・ラーダ殿下とボーゼス・コ・パレスティー公爵公女閣下も一緒に行きたいと行っておりましたので」

「聞いてねぇぞ?」

「仕方ないでしょ?彼らはどうしても…ん?」

「え?」

 

その時、伊丹達の前にあの時と同じゲートが出てくる。そこから現れたのは、アインズとアルベド達4人。今のアインズの姿はデミウルゴス風のスーツに、アイテムの嫉妬する者たちのマスクだった。

ただし、アルベドとアウラとマーレとナーベラルはいつもと同じ格好で来た。

 

「アインズさん、来てくれましたか。その恰好は?」

「もちろん、怪しまれないようにとね」

「ええっと…アナタが、アインズさんですか?」

「はい、アインズ・ウール・ゴウンといいます」

 

アインズは初めて出会う柳田に挨拶した。

それから栗林と富田は改めてアルベドとナーベラルに話しかける。

 

「どうも。一度しか会ってないけど、こんにちは。それにしてもまさか、アナタがメイドだったなんてね」

「それがなにか?」

「言っときますけど、アインズ様に手を出すつもりなら容赦しませんからね」

「そんな、殺気を出さないでくれませんか?」

 

などと2人は冷たい目で返事を返したりする。ついでにテュカはダークエルフのアウラとマーレに話をしてきた。

 

「じゃあ、アナタ達。ずっとアインズさんに仕えているんだね?」

「まぁね!」

「でも、この世界にエルフがいるって事は、ダークエルフもいるかもしれないね?」

 

するとレレイとロゥリィはマーレに声をかけて質問してきた。

 

「ところで、なんでアナタは女の子の服を着ているのぉ?」

「え?それってどういう…」

「だって、彼って男な筈でしょ?」

 

ロゥリィとレレイがマーレの本当の性別を当てた。その事実に伊丹達はしばらく沈黙が続いたが、アインズがすぐに切り替えようとした。

 

「あの、気持ちは少し分かるかもしれませんけど…早く行った方が?」

「え?あ…はい、そうですね。では行きますよ」

 

こうして伊丹の指示に従って、アインズはアルベド達と一緒に門を潜って日本に突入した。




せっかくですので、シャルティアとセバスとソリュシャンを除いたナザリックの守護者と戦闘メイドを登場させました。
ちなみにヴィクティムのエノグ語はさすがに分かり難いと思いましたので、少し「」を変える形にしてみました。
次回の日本来日編をお楽しみに。

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