OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・   作:ラルク・シェル

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残念ですが、ンフィーレア後の話になります。さらにシャルティア暴走はさらに後にしています。
現在シャルティアはセバスと合流する前に、ほかの集落などを調査してるという設定です。


伊丹の危機

エ・ランテルに戻ってきたアインズとンフィーレア達。だが、ンフィーレアが何者かに誘拐されて、漆黒の剣が全員殺されてニニャ以外の3人がゾンビとなってしまった。だからリィジーはアインズとナーベラルにンフィーレアを救ってくれと依頼をした。

ナーベラルの魔法でンフィーレアの居場所を見つける。敵が潜伏している墓地でアインズ達は、ズーラーノーンという組織のクレマンティーヌとカジット・デイル・バダンテールを倒して、見事ンフィーレアを救出した。

そして一度ナザリック地下大墳墓に戻ったアインズとナーベラルだった。

 

「長旅お疲れ様でした。アインズ様」

「ああ、留守中すまなかったなアルベド」

「そんな。勿体無きお言葉♪」

 

自分の部屋に戻ってきたアインズは、骸骨の顔で紫のローブを纏った本来の姿で、羊の角と黒い羽の白いドレスを着た美女が出迎えてくれた。

この美女はナザリック地下大墳・階層守護者統括のアルベド。

 

「うむ…それでセバス達はどうなっている?」

「はい、明日になったらシャルティアと合流すると言っております」

「そうか…では、セバスから出た情報を」

「こちらに」

 

アルベドはナザリック執事のセバス・チャンと、戦闘メイドで捕食スライムのソリュシャン・イプシロンからの情報資料をアインズに渡した。

資料によれば、なんでもバハルス帝国とは異なる国家・セクフィア帝国が大分離れた場所に存在して、どうやらリ・エスティーゼ王国とは遠いが少し友好関係にあるらしい。かなりの覇権国家で、さまざまな所で侵略戦争を続けて奴隷狩りをし続けている。

 

[伊丹さんから聞いた話じゃあ…銀座に軍勢が現れて、そいつらがセクフィア帝国の兵という可能性があると言ってたな?てか、たしかカルネ村の村長もたしかセクフィア帝国の説明もしていたっけ?しまった!うっかりしていた…]

 

思い出して少し恥ずかしがるアインズだったけども、資料を読むのを再開した。そのセクフィア帝国領土に、イタリカと呼ばれる都市は帝国の食料供給地。

 

[たしか…伊丹さんはこのイタリカに向かうって言ってたような…]

「あの、アインズ様?」

「え?ああっ!悪い、つい考えていた」

 

アルベドに声をかけられて、すぐ我に帰ったアインズだった。

 

「そういえば、セバスの話では緑の人と呼ばれるもの達が現れたと?」

「それならすでに会ったぞ」

「あら、そうでしたのですか」

「彼らは見た事のない武器と乗り物を使っていたからな。まぁ、その内の1人とはなんとか友好関係をとることに成功した」

[といっても…半分抵抗していたな…]

 

伊丹が少し自分の骸骨顔に引いていた事を思い出していた。だが、アルベドはなにやら安心した表情になっていた。

 

「でも、本当に良かった…」

「ん?」

「アインズ様がご無事で…もしアインズが緑の人に傷付けられたときには、奴らを皆殺しにしますから!!」

 

とてつもなく強い殺気を放ち始めるアルベド。そして今にも眼光からビームを発射しそうなまでに輝いていた。

このままでは色々マズイと思い、すぐにアインズが止めに入る。

 

「落ち着けアルベド!こうして私は無事なんだから」

「たしかに、そのとおりですわね」

「まぁ、ところであれは?」

 

するとアインズは自分の姿がプリントされた抱き枕が置いてあったので尋ねて見た。

 

「すみません、片付け忘れて。これはアインズ様が出かけられた時に作ったものです。ほかにもほら♪」

 

さらに手編みの服と靴下を取り出して見せた。

 

「こ、これは?」

「もちろん!生まれてくる子供の為にと作っておいた服です!男の子用のと女の子用も用意してますわ!なんでもデミウルゴスの話では、男の子にも女の子の服を着せても良いって言ってましたわ!マーレもその1人ですし!!」

[いや…それはぶくぶく茶釜さんの趣味なんだが…]

 

ここまで真剣でアインズは引いてしまった。しかしアルベドがここまでアインズLOVEなのには訳があった。

 

[は~~~ゴメンなタブラさん…]

 

それはアルベドを作ったのがタブラ・スマラグディナという設定マニアで、本来アルベドの設定では【ちなみにビッチである】とされていた。しかし最終日にアインズがこれで最後なので、その設定を消してふざけ半分に【モモンガを愛している】と変更した。

そのせいでアルベドはアインズに惚れてしまった。

 

「まぁ、とりあえず…イタリカはどんなものか見てみるか」

 

アインズはマジックアイテムの“遠隔視の鏡”で伊丹達がいるとされるイタリカを覗き込んだ。

そこで映し出したのは、上空から見たイタリカの様子だった。破壊された塀と建物が目立っていた。

 

[なにやら戦いの後みたいだな?さて、伊丹さん達は?]

 

伊丹達を探していると自衛隊がイタリカから離れているのがわかる。

 

「もしかして、あの乗り物に乗っているのが緑の人でしょうか?」

「ああ、そうだ」

[撤退しているのか?まさか、伊丹さん達が襲ったわけじゃあ…ん?]

 

すると前方に馬に乗った集団が走ってきていた。そして集団の一人が伊丹に話しかけると、いきなり殴りかかった。

 

「え!?」

 

当然アインズは驚いてしまうので、もっと拡大してみてみる。

すると伊丹が残りの自衛隊を逃がすが、リーダーらしき者が怒ったのか、伊丹を縛って馬に引きずられてた。

 

「伊丹さん!」

「あ、アインズ様?」

「あっ…な、なんでもない。その、少し1人にしてくれ」

「はぁ…アインズ様がそう言うならば」

 

納得しないままアルベドは部屋を後にした。そして1人残ったアインズはなぜ伊丹が捕まったのか考えた。

 

[まさか…本当にイタリカを攻撃して捕らえられたのか?しかし、仮にも自衛隊は侵略的な行為はしないはず…]

 

しばらくするとつい忘れていたことを思い出す。

 

[そうだ!こんな時こそ、伊丹さんに渡しておいた“千里の視聴”があるじゃないか!]

 

じつはアインズが伊丹に渡した2つのマジックアイテムの1つ。バッジ型のマジックアイテムは“千里の視聴”と呼ばれる“遠隔視の鏡”のようなもの。それは赤と青のがあって、それぞれ持っている者の目で見たものが見えるという物。

さっそく赤のバッジを額に掲げながら目を瞑ってみると、それは甲冑に包まれた足で蹴られる光景だった。

 

[なんだこれは…]

 

いきなりこんな光景でアインズは引いてしまう。そしてしばらくすると女だけの騎士達に連れられて玉座の間のような所に連れてこられた。すると玉座に座るピンクの髪をした美女が伊丹の隣の金髪の美女に向けてコップを投げた。

なにやら取り返しのならない事になってしまった感じに悩みだした。

 

[どうやら、この彼女が彼らのリーダーのようだが…]

 

それから2人が話をしながらも、最後は伊丹がメイド達に連れられてどこかに行った。

 

「う~~~ん。この様子だと、なにやら誤解を受けて謝罪した感じになるな?」

 

アインズはどうして伊丹がこんな目にあっているのか気になって仕方がなかった。

 

「良し、これを使おう!」

 

すぐにアインズは伊丹に渡したもう1つのペンダント型マジックアイテム、“テレパウィンド”を使うことにした。これは所謂電話のようなもので、ナザリックの関係者はある程度なら通話が出来るが、通話の出来ない距離や種族でもこれがあれば出来る。

 

「しかし、まさかこれが役に立つとはな…」

 

かつてユグドラシルの時にテレパウィンドは、なんの役にも立たないアイテムらしいが、こうして役に立つ日が来たのだった。

さっそくテレパウィンドを首にかけて、千里の視聴を持ちながらそのまま伊丹に話しかけた。

 

《伊丹さん!伊丹さん!》

「ん?この声って…アインズさん!?」

 

伊丹は耳元でアインズの声が聞こえた。

 

《聞こえるってことは、ペンダントを持っているのですね》

「え…と…もしかしてこのアイテム?」

 

偶然なのか幸運なのかは不明だが、伊丹は常にテレパウィンドと千里の視聴を身に着けていた。そのおかげでアインズが伊丹は今部屋のベッドに寝込んでいるのを確認した。

 

「やっぱり、このマジックアイテムの効果ってやつですかね?」

《ええ、ところで一体どんな状況なんですか?なんか捕まったみたいでしたけど?》

「いや~~~なんか敵だと間違えられて」

 

話によればイタリカは盗賊に襲われており、セクフィア帝国王女で薔薇騎士団の団長ピニャ・コ・ラーダと一緒に盗賊を全滅させた。そしてピニャと交渉することが出来たが、その帰り道で薔薇騎士団と遭遇し、隊長のボーゼス・コ・パレスティーに敵だと思われたので、伊丹は仲間たちを逃がして自分が身代わりになり今に至る。

 

《なるほどね…》

「ええ、でもなんとか誤解が解けましたので」

《それはそれは大変でしたね。では、また後で連絡いたします》

「そうしてください」

 

伊丹との通信が終了したアインズ。そしてアルベドを部屋に入れた。

 

「あの、一体誰かとお話ししていましたけど?」

「いや…なんでもない」

[なんでもないって、まさかアインズ様が浮気を!]

 

勝手に妄想し始めるアルベドをすぐにアインズが止めた。

 

「落ち着け!少し親友と話してただけだ」

「親友というと、まさか!至高の御方達が見つかったのですか!?」

「そうではない。緑の人だ」

「もしや、先程アインズ様が言っていた緑の人のうちの1人ですか?」

「そうだ。だが、今は今後についてだ」

 

再びセバスや他にも調査に向かわせた一般メイド達の調査表に目を向けた。

それから夜になって伊丹からの連絡が来なかった。

 

[おかしい…これを使っても何も見えないってことは、持っていないってことか?]

 

心配になってきたアインズはこんな事まで考え出す始末。

 

[…伊丹さんいた部屋は、すでに千里の視聴で見て確認したからな。ゲートでちょっとだけ見て帰っていくことにしよう。まぁ、ほんの少しなら…]

 

そんな事を企みだすアインズだったがすると

 

「アインズ様。何を考えているのですか?」

「え?」

 

いつのまにか後ろに現れたのは、オールバックにメガネにスーツの少しマフィア風の男。

彼は第7階層守護者のデミウルゴス。一番最初にアインズの発言を誤解して、世界征服に乗り出そうとしたのが彼であった。

 

「アインズ様。お尋ねしますけど、もしかしてどこか出掛けるつもりですか?」

「ああ…少し友の様子を…」

「いけません。アルベドから聞きましたが、いくら緑の人と友好関係を持ったとしても、奴らはいずれ我らの野望の障害になる存在!油断はできないもの!!」

「そんなことは分かってる!だか、ほっとく訳にもいかないものだ」

 

やってきた時代が違っていても、アインズにとっても同じ日本人と会えたのだから。どうしてもほっとく事が出来ずにいた。

 

「頼む。なるべくすぐに戻ってくる。だから…」

「では私も同行します」

「え?」

「そのアインズ様が友として認めた者の顔を一度見てみたいので、それならばいいでしょうか?」

 

なにやらとんでもない事になってしまったアインズ。しかしこのままでは話が進まなくなると思った。

 

「…じゃあ、なるべく殺気を抑えるようにしておけ?」

「承知」

 

デミウルゴスが付いて行くことになって後悔し始めるアインズ。

しかしもう後戻りはできないので、さっそくアインズはゲートを展開して伊丹のところに向かった。ただし、ゲートを使うには目にした場所にしか移動できないのだが、遠隔視の鏡や千里の視聴を使えばなんとかなるのだ。

 

「さてと、待っててくださいよ!」

 

ゲートを潜ってアインズとデミウルゴスが見たのは、ベッドの上で横になる伊丹の周りで、テュカと栗林達が亜人のメイド達と仲良く話し合っているのがわかり。さらに色気のあるネグリジェを着込んだ、あの金髪美女のボーゼスも居た。そして周りはアインズとデミウルゴスの姿を見て沈黙が漂ったが

 

「て、敵だ!!」

「「「「きゃあああああああ!!」」」」

 

ボーゼスは声をあげると同時にメイド達も叫び出す。それから素早くメイドの持っていたナイフを手にして、ボーゼスはそのままアインズに向かって刺そうとした。

 

「まっ、待て!?」

 

伊丹の言葉を無視してボーゼスが、アインズの胴体に突き刺した。だが

 

「やれやれ…いきなりこれとは。まぁ、これが当然の反応だな?」

「なぜ死なない?!」

「当然だ。私は死者なのだからな」

 

アインズは何事もなかったかのように、ナイフを奪い取って投げ捨てた。

 

「貴様…至高の御方にナイフで突き刺すとは!」

「ひっ!?」

 

アインズを傷つけた事にデミウルゴスはボーゼスに殺意を見せる。その殺気にテュカと栗林達は警戒し始めたが、アインズがすぐに落ち着かせる。

 

「止せ!約束した筈だ。殺気を出すなと」

「申し訳ありません。しかし、この者は」

「そう!この女は私の大切なアインズ様に攻撃したのよ!」

 

すると展開し続けていたゲートから声が響きながらも、そこからアルベドが現れた。

 

「アルベド…なぜここに?」

「勿論、今後のためにもアインズ様の部屋の前にいました。ですが、アインズ様がデミウルゴスと共にゲートでどこかに行こうとしたので、すぐさま後から追いかけたのですよ!なのにその下等生物の女がアインズ様にナイフを、ナイフを!!」

 

怒り狂うアルベドに周りからは引いた視線が出て

 

[こんな事なら、来なければよかった…]

 

改めて後悔するアインズに伊丹は同情する。




アインズがイタリカへ伊丹の顔を見に行くという展開と、オリジナルマジックアイテムの設定ですが、少し無理があったでしょうか?
そしてピニャの住む帝国の国名をセクフィア帝国にしてみました。

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