OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・   作:ラルク・シェル

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地震と伊丹の怒り

アインズがリザードマン達を支配下にして、ザリュース達を生き返させる代わりに監視するようにとクルシュに命じた頃。セクフィア帝国の悪所にいるナザリックの一般メイド、テホラとミュームは町の様子を見て不安を感じる。

 

「やっぱり…地震が起きるかもね」

「たしかに、あの自衛隊の人達も警戒しているみたい」

 

その不安が的中して地震が起きた。

 

「うわっ!本当に起きた!?」

「まさか…テホラの予感が当たるなんて!?」

 

2人は地面に伏せながらも自信が収まるのを待った。そして揺れは3分で収まる。

 

「なんか…やんだみたいだね」

「いや、まだ余震があるかもしれないわよ」

 

警戒しながらも、とりあえず隠れ家に戻った。隠れ家は倒壊はしなかったが、棚のモノがぶちまけられて散らかっていたけども、それらは無視してテホラとミュームはメッセージで地震のことをデミウルゴスに報告。

 

《なるほど、じつは私達も揺れがあったのですよ。まぁ、規模は小さかったのですが》

「はい…ですが、こっちはかなりの被害に…わわっ!また余震が!?」

 

ここで余震が来て驚く2人。なんとか収まったが、隠れ家は今にも倒壊するかもと心配した。

 

《…となれば、セクフィア帝国の内部もこの状況をほっとく訳にはありませんね》

「ええ……そうなりますね」

《とりあえず、少し待ってください」

 

一度メッセージを切るデミウルゴス。そしてアインズにこの事を話した。

 

「なるほどな……やはり、セクフィア帝国が一番の被害が」

「はい、当然自衛隊もなにかしらの行動をとる可能性があります」

「ですがアインズ様。所詮、私達には関係ない事。まずは一度、ナザリックに帰還しますか?」

 

アルベドは一度、ナザリックに帰った方が言う。実はこの砦にはアインズとアルベドとデミウルゴスしかいない。他は全員、シャルティアとアウラとマーレはナザリックに帰って、コキュートスはリザードマン達にナザリックの説明をしていた。

 

[……普通だったらほっとくけど、まさかリザードマン達と繋がっていたのは驚かせた。だから、ここは]

「とりあえず、無駄だと思うが一度様子を見に行こう。もちろん、お前達も一緒に」

「「え!?」」

 

などと様子を見に行くと言い出した。当然、これにはアルベドもデミウルゴスも驚く。

 

「なぜ、どこで伊丹達がリザードマンの事を知ったのかは、後でコキュートスに彼らを問いただすとして、今の帝国の様子も多少だが気になる」

「……たしかに今回の地震で自衛隊の行動も気になりますしね」

「当然、私達も同行します」

 

こうしてアインズはさっそくゲートを出して、3人はゲートを潜った。そこにはすでにテホラとミュームは、メイドの恰好で跪く。

 

「我らの主、アインズ様……」

「このような所に来られるなんて、誠に…」

 

隠れ家が酷い状態なので謝罪するテホラとミューム。

 

「落ち着け、私達はこれから自衛隊の様子を見に行く。恐らく、伊丹達はこのことをピニャ殿下と一緒にいるだろうからな」

「分かりました。では、此処の掃除をいたしますので」

「どうかご無事で」

 

テホラとミュームはお辞儀をする。それからデミウルゴスがスキルを使って下級悪魔を5匹召喚させた。

 

「ここに自衛隊と伊丹という男がいるはず。だから、見つけたらすぐ連絡するように」

 

命令をすると悪魔達は探しに行った。それから5分も立たないうちに、悪魔の1体が飛んできてデミウルゴスに伝える。

 

「どうやら伊丹達は、ピニャと一緒に皇宮へ向かったの事」

「やはり…今回の地震の事を皇帝にでも話すのだな」

「アインズ様、我々はどのように」

 

伊丹達が皇宮に行ったと報告したので、アインズは考えた。

 

「では、デミウルゴス。お前の悪魔にこの千里の視聴を渡そう。そして潜入させて内部の様子を我々で見て、さらに聴けるようにと聴覚受信の魔法もかけさせよう」

「なるほど、それはいい考えですね」

 

デミウルゴスはこの提案に賛成。さっそく残りの悪魔を呼び戻すと、2匹を消して3匹には青の千里の視聴を着けて、聴覚受信の魔法をかけるとすぐさま皇宮に向かった。そして3人はテホラとミュームによって、大分片付けられて隠れ家に入ると赤い千里の視聴を付ける。

 

「では、始めるとするか」

「「はい」」

 

さっそく千里の視聴で悪魔達の視覚に入ったものがアインズ達に見えて、さらに会話も聞けるようになる。

悪魔達が皇宮に潜入して入ったのは諸見の間。そこには伊丹と栗林と富田と菅原、そしてピニャと兵士数名と彼女の父で皇帝のモルト・ソル・アウグスタスが玉座にいた。

 

「あれが、皇帝のようだな」

「そのようですね」

「静かにしてください。何か話しているようです」

 

デミウルゴスの言う通り、モルトはピニャに地震の事と伊丹達の事を聞いてきた。

 

「ピニャ…そなたが二ホン国の仲介役としていたが、一体こんな時にお連れしたんだ?」

「父上、彼らの話ではまたこの揺れがなんどか起きるようです」

「なんだと!?」

 

また余震が起きる可能性があると言うのでモルトは驚愕する。だが、その時。

 

「父上!ご無事でしたか」

 

そこにゾルザルとうさ耳のヴォーリアバニーという種族の女王で、今は彼の奴隷のテューレと部下2人が諸見の間に入って来た。

 

「兄上、居たんですか?」

「ピニャか…早く皇宮から出るぞ!また揺れが起きるんだろ!」

「え?なぜそれを」

 

なぜかゾルザルが余震が来ると言って来たので、それを知っているのか聞いてみるピニャ。だが、その理由がとんでもない事。

 

「ノリコが言ってたんだ。門から連れてきた黒髪の生き残りのな!」

「なっ!?」

「「「はっ!?」」」

 

その時、伊丹達は驚愕する。ゾルザルが鎖を引いて連れてきたのは、手枷と首輪にボロきれを着せられて顔や体中に傷や痣の痕がある日本人女性。

門から誘拐されて奴隷にされたノリコという女性がいたことに伊丹は怒り。

 

「このクソ野郎!!」

「ぐっ!?」

 

伊丹は大声を出しながらゾルザルをぶん殴った。ゾルザルが殴られたので2人の部下が伊丹を斬りかかろうとしたので、素早くパンチをやってすぐにノリコに近づく。

 

「大丈夫か?」

「う…」

 

弱弱しくも目を開けるノリコで、栗林と富田も駆け寄る。

 

「私達は自衛隊です。安心して」

 

それから菅原が上着を彼女に羽織させて、モルトを睨みながら叫んだ。

 

「皇帝陛下!これはどういうことなのか、詳しく聞かせてもらいたい!当然、ピニャ殿下は、この事を知っていたのですか?」

 

普段の菅原とは打って変わって高圧な態度を取るのでピニャは戸惑っていた。だが、いつの間にか兵が集まってこのまま敵に回してはまずいと感じ。

 

「待った!両方、武器をおさめよ。妾に免じてここは!」

「もう遅い!」

 

しかしここでゾルザルが起き上がった。

 

「これは貴様が撒いた種だ。ここまで来た以上、奴らを皆殺しにするだけじゃない…そのまま奴らの国も殺し焼き払う!」

 

声を上げると同時に、ゾロゾロと兵士が入って来て武器を構える。するとやっぱりこうなったと伊丹は頭をかきながらため息を吐く。

 

「各自、独断での発砲を認める。当然、彼女を護衛する形で」

「OK」

「廃棄にするなよ」

「なんとか、努力します♪」

 

栗林は暴れられると笑いながら銃剣装備の64式小銃で兵士を刺したり、またはグリップ部分を鈍器にしたり。さらには蹴りつけたりして倒していく。

 

「何やってる!隊列を組め!近づかないように、槍で突き刺しにしろ!」

 

ゾルザルの指示で兵士は横一列で盾を構えた。しかし栗林と富田は小銃を構えて撃つ。

 

「「「ぐおっ!!」」」

「「「がっ!!」」」

 

小銃から放たれた弾が盾と鎧を貫通して、次々と兵士は倒れていく。当然この光景にゾルザルとモルトは驚きを隠せない。

 

「やる気がないなら武器を捨てて立ち去りなさい」

 

栗林の言葉に生き残った兵士達は武器を捨てて逃げ出す。

 

「おい待て!逃げるな!腰抜けどもめ……」

「さて、皇子。アナタは彼女を生き残りと言いましたね」

 

すると銃をゾルザルに向けた伊丹が近づきながら質問し始める。

 

「それはつまり、他にも連れて来たって事になりますね?」

「答える義務はない。いや、それが皇子に対する聞き方か?」

 

それでも未だに高圧な態度を取り続けるゾルザル。

 

「兄上!ここは言う通りにした方が」

「黙れ!これはお前が招いたことだと忘れるな」

 

ピニャは何とかしようとしたが、無理だと判断すると伊丹は栗林の耳元で言う。

 

「栗林、アイツが喋れるようにしろ」

「……了解♪」

「なっ!?」

 

栗林は指を鳴らしながらゾルザルに近づくと

 

「それでは」

「おっ…おい!まさか…ぐおっ!」

 

それから栗林は徹底的にゾルザルを殴り痛め続けた。

アインズ達はただ悪魔からの視線で、この様子を見ている。

 

「まっ、自業自得だな」

「あのような器が小さな人種…死んだほうがよさそうですね」

「我々には関係ありませんがね」

 

アインズ達は当然の事だろうと感じる。

 

「とりあえず、この辺にするか。デミウルゴス」

「分かりました。撤収させます」

 

すぐにデミウルゴスは悪魔達を呼び戻して千里の視聴を外して消した。

 

「それでは、テホラとミューム。一般メイドでありながらも、またしばらく潜入調査を頼む。しばらくしたら交代が来るからな」

「「了解しました」」

 

テホラとミュームは頭を下げるとアインズはゲートを開いて砦に帰った。

砦に戻って来た3人。

 

「それにしても、日本からさらって来た者がいたとはな」

「まっ、我らには関係のない事」

「たしかにな。では、私はまたしばらく…冒険者モモンとして行って来る」

「「はい」」

 

それからアインズはモモンの姿になってナーベラルの居るエ・ランテルにゲートを開いて突入した。




また何ヶ月ぶりに投稿しました。
今回は地震で伊丹達がモルトとゾルザルと出会う話で、アインズ達はこっそりと悪魔を使って盗み見をしてました。次回はセバスの話と、炎龍の話を交代交代でやってみたいと思いますが、ちゃんと出来るかは分かりません。

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