OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・ 作:ラルク・シェル
夕方頃。
沼地にはクルシュを除いたザリュース達代表5人を前に、リザードマン達が武器を構えていた。
さらにアインズ側は武装スケルトン部隊と、愛用の断頭牙を持って両腕と胸に金色の鎧を装備したコキュートス。両者はにらみ合っていたが、コキュートスが前に出る。
「……コキュートス」
思わず5人は息を飲む。恐怖を打ち消す魔法をかけたリザードマン達は、流石にそのオーラに負けて少し震える。
そして当の本人は、相手の戦意などをある程度把握。
「サテ、アインズ様ガゴ覧ニナッテイルカラナ…マズハ、
するとコキュートスは魔法を発動して氷の柱を四か所に設置し、巨大なバトルフィールドみたいな形となった。
「戦士トシテ、此処ニ来タ者達ニ無礼ダガ告ゲサセテモラオウ!コノ氷柱ヨリコチラ側ハ死地。超エタ者ニハ、死ガ待チ受ケルト知レ!
氷柱を囲んだ場所が命をかけての戦いと警告する形でリザードマン達に言う。
「へ~~~随分と良い奴っぽいな」
ゼンベルはコキュートスなりの優しさだと感じてバトルフィールドに進んだので、ザリュースとスーキュとキュクーもついて行く。それからリザードマン達も進もうとしたけども、シャースーリューは全員に向けて言う。
「無理しなくていいから、此処に待って…いや、村に帰れ」
気遣って帰らせようとした。だが、全員の答えは
「そんな!戦わせてくれよ」
「緑の人達から貰った爆弾だって、残りは4つだろ?!」
「いや、逃げるのは臆病だけの言葉じゃない。生きて帰る為の言葉でもある」
「だけど」
リザードマン達を説得させるシャースーリュー。それでも引くはずはない。
「そうだ。若造共は帰れ」
「こういうのは、年寄りの仕事だ」
だが、リザードマンの年長者戦士達も説得に当たった。これには流石に参ったのか、若い方のリザードマン戦士はザリュース達と
そしてついに決戦の時。
「行くぞ。コキュートス!」
「突撃!」
シャースーリューの掛け声と共に、リザードマン達は一斉にコキュートス目掛けて突撃した。
「マズハ、数ヲ減ラスカ…フロストオーラ」
ここでコキュートスはスキルのフロストオーラを発動。すると強い冷気が発生して、リザードマン達はザリュース達を残して、寒さで動けなくなり倒れてしまう。
「少シ威力ヲ落トシタガ、コンナトコロカ?」
ある程度まで威力を少なくしたらしいが、ここでザリュース達の攻撃。
まずはスーキュがスリングショットで石を飛ばし、キュクーは2本の剣を構えて素早くコキュートス目掛けて走る。
「我ラ守護者クラスハ皆、飛ビ道具ナドニ対スル耐性ヲアイテムデ獲得シテイル」
すると石はコキュートスの前で砕け散った。しかしキュクーは剣を合体させて槍のようにして斬りつけようとしたが、コキュートスはアイテムボックスからなにかを取り出す。
それはコキュートスを作った武人建御雷の大太刀型装備の斬神刀皇で、容赦なくキュクーを
[
コキュートスの戦闘力と武器に強く警戒するザリュース。しかしその隙に、肉体強化したゼンベルがパンチしようとしたが、素早くコキュートスの斬神刀皇で右腕を斬り落とした。
「ぐおぁぁ!!」
「おのれ!」
ここでザリュースが
「悪クナイ剣ダナ」
「く!」
すぐこの場から離れようと蹴り付けるが、効果はなくコキュートスは尻尾を振ってザリュースを飛ばした。
「
ここでシャースーリューが治癒魔法を発動。ゼンベルの右腕が再生して、
「無駄ダ」
手榴弾はコキュートスの前で爆発したが、煙が漂うだけで本人は無傷のまま。
「煩ワシイ
「おご!」
今度は太い氷の柱を発射してスーキュを貫いて倒れた。
「…野郎!」
「待て、まだ右腕が!」
シャースーリューの言葉を聞かずに再び殴りかかったゼンベルだが、容赦なくコキュートスが斬神刀皇で首を斬り落とした。
ザリュースも苦しそうに胸を押さえながらも立ち上がり睨み付ける。
「残ルハ2人…アインズ様カラ伺ッテハイタガ、オ前達ガ最後ニ残ッタカ」
コキュートスは5人の内、生き残るのがザリュースとシャースーリューだとアインズから聞かされていたらしく。改めて実感していた。
そして2人はお互いのダメージを確認しながらも、まだ行けると覚悟を決める。
「オ前達ハ兄弟ラシイナ。名ハ?」
「シャースールー・シャシャ」
「ザリュース・シャシャ」
名前を尋ねたコキュートスに2人はそのまま名前を言う。
「覚えエテオコウ。オ前達トイウ戦士ノコトハ…本来ナラバ全ノ手ニ武器ヲ持チタイトコロダガ、コノ一刀ヲ相手ニスルコトヲ詫ビヨウ」
本気で全ての武器で勝負したいが、そんなことをしたらすぐに終わると思って斬神刀皇だけで十分だと言うコキュートス。
「そうか、それは残念だな!」
「全く、そうだな!」
2人はそろってコキュートスに向けて走る。まずは手榴弾1つを投げて爆破させてみた。当然、ダメージはないが爆発の煙が漂ってその隙に、シャースールーは
泥の触手がコキュートスに向けて伸びたがすぐに割れてしまう。しかしそこにザリュースが
「爆弾デノ土煙ニ加エ氷ノ粒デ視覚ヲ絶ツ。ナカナカ考エタミタイダガ、無駄ナコトヲ…」
するとコキュートスの右側に
だが、目の前にシャースールーが大きく剣を振りかざし。
「終わりだ!」
「ナルホド、ザリュースハ囮カ…シカシ、静カニヤルベキダ」
「ぐおっ!?」
そのまま不覚にも斬神刀皇で斬られてしまうシャースールー。だが、ザリュースは最後の手榴弾2つをコキュートスの顔面に押し付けた。
「ン?!」
「さぁ、一緒にぶっ飛びな」
そのまま2人そろって爆発し、大きな爆風が漂ってぶっ飛ばされた
「最後ノ最後デ自爆トハヤルデハナイカ…ハッキリ言ッテシバラシイ」
「……お前の勝ちだ」
「タシカニ、貴様ノ負ケダ」
そのまま斬神刀皇がコキュートスの首を斬りつけた。
一方その頃、駐屯地近くの森で自衛隊を動かせる方法はないのか考えていたヤオは一匹のトカゲの死体を見つける。
「ん…ザリュース」
とても不安な気がしていた。もしかしたらザリュースの身に何かあるかと思う。
[ザリュースは心配だが、私には私のやるべきことがある]
するとテュカが森の中を歩いているのが分かると、通せんぼするかのように前に出た。
「ヤオ…悪いけど、今から大工の棟梁の所に」
「貴様、父親を探しているようだな。本当に見つかると思っているのか?」
「え?」
その夜、コキュートスが改めてリザードマンの全滅は待ってくれというので、クルシュがリザードマン代表としてアインズの前にやって来るのを待った。
「では名を」
「偉大なる至高なる死の王、アインズ・ウール・ゴウン様。私は
アインズは感じた。クルシュの体から出ている緊張と恐怖を。
「と言う訳でだ。お前達リザードマンは我が支配下となり、今後はコキュートスが代理として統治してもらう。以上」
「え?もう終わりですか?」
呆気なくそういいわたされ、拍子抜けしてしまうクルシュ。
だが、そんなクルシュに近づいて肩に手を置きながら言う。
「とにかくだ。お前には特別な事をしてもらう。その報酬として、ザリュースを生き返らせてやる」
「そっ、そんなことが!」
「私は生と死を操れる。使者を生き返らせる魔術を使える」
「…では、特別な事とは、私の体ですか」
その瞬間、アルベドもシャルティアも強い殺気を出して睨み付ける。
「いやっ!そうではなくて…監視をしてもらう」
慌ててクルシュに今後、リザードマン達がアインズに反乱をしないのか監視役になってくれないかと慌てて説明。
「とにかくザリュースや他の者達を復活させて特別な魔法をかける。裏切ったら即座に死ぬ魔法だ」
そんな魔法はないが、はったりとして言ってみた。けれども、クルシュの決断は
「分かりました。内部監視をなんとかしてみせます。ですので、生き返らせてください」
「よろしい」
こうしてクルシュはザリュースを生き返らせる条件として監視をすることになった。
「あの…少し関係のない事ですが」
「ん?」
クルシュはセクフィア帝国の方向に指をさす。
「自衛隊と呼ばれる緑の人達がいるあの方向に、大きな大地の揺れ。地震がもうすぐ起きるのですが」
「地震だと?」
「それは、本当」
アウラが不思議そうにして尋ねてみる。
「はい、それも大きな」
すると突然、本当に地震が起きて揺れ始める。しかし立ってられない程ではなかった。
「本当に揺れたね…」
「でも、それ程大したことじゃあ」
「なにを悠長なことを、震源地とは遠いためここでは大したことはありませんが…今、セクフィア帝国は」
「ふむ…大変なことが起きてるな」
アインズとデミウルゴスの言う通り、震源地のセクフィア帝国の帝都は大打撃となっていた。
大分、時間がかかりましたが投稿出来ました。
次回は伊丹達を中心にやってみたいと思います。