OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・   作:ラルク・シェル

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園遊会と戦況

ザリュース達がナザリックの軍勢と戦っている頃、セクフィア帝国の帝都郊外にある皇室庭園。そこで伊丹達はと言うとピニャの園遊会に参加していた。

来客は日本の食べ物を堪能して、日本の遊びや護身術や化粧などを楽しんだりする。

ピニャは菅原と一緒に来客の人たちに挨拶をした。

 

「菅原殿。アナタの考えた園遊会は素晴らしいものですな」

「いえいえ…実質フォルマル家のメイド長に任せきりですし…」

「スガワラ様!」

「え?」

 

すると金髪のツインテールをした少女が菅原の所に駆け寄った。

 

「酷いですの!従姉妹が真珠の首飾りを見せびらかして、わたくしくやしくって!」

「コラ、シェリーお止めなさい!」

 

などと少女は怒りながら菅原の腕を掴んだので、すぐに彼女の親が迷惑だと感じて引き離した。

彼女はシェリー・ノール・テュエリという元老院の重鎮の類縁者。なにやら菅原の事を気に行っている様子。

 

「まぁまぁ、そんなに叱らないでくださいよ。シェリー様、ご両親を困らせてはいけません。きっと良い贈り物が届くかもしれませんので、いい子にしてくださいね」

 

優しく言いながら彼女の頭を軽く撫でる。その瞬間、シェリーは惚れたかのように顔を赤くして両親と一緒にこの場から離れた。

 

「あの娘、貴殿に惚れたぞ?」

「そんなお戯れを…」

 

軽く菅原に冗談を言ったピニャと一緒に伊丹の所に向かった。

その伊丹が来客の貴族たちに銃の実戦体験をしたり、L16 81mm 迫撃砲のデモンストレーションをしている最中。

 

「相変わらずの威力だな…」

「ピニャ殿下、菅原殿」

 

武器の威力に改めて度キモを抜くが、そこに元老院のメンバーらしき初老の男が2人近づいた。

 

「今回の園遊会は素晴らしいですな。ところで、なぜ日本は協和を求めるのか教えて下さらぬか?」

 

元老院議員はこれ程の武器と力があるならば、簡単に帝国を落とせるのに、協和をする訳を尋ねてきた。すると菅原は口を開く

 

「それは我が国が求めているのは…平和のためにですよ」

「平和…ですか…」

 

菅原はそのまま元老院議員達にこれからの条件に付いて話を始めた。そんな時に、伊丹の通信機から声がする。

 

『こちらアベンジャー!』

「ん?こちらアーチャー!どうした?」

『招待客には見えない騎馬の集団が8騎。どうしますか?』

「…監視を続けろ」

 

通信を終了して話の最中だった菅原に声をかける。

 

「騎馬の集団が此処に接近中です。だから、VIPの方々を」

「…分かりました」

 

とりあえずこの場をピニャ達に任せて、伊丹と菅原と一部を除いた自衛隊員と元老のメンバーを73式大型トラックに乗せて離脱。

それから監視の言った通りに、騎馬に乗った8人の男達が皇室庭園に入って来ると、全身に鎧を纏った傲慢そうな男が周りを見渡す。

 

「あら、ゾルザル殿下!」

「ご機嫌麗しゅう♪」

「ふん!ピニャはいるか!?」

 

じつはこの傲慢そうな男がピニャとは異兄妹で皇帝第1子のゾルザル・エル・カエサル。するとすぐにピニャがゾルザルの所に走って来た。

 

「兄様!この園遊会に何か?」

「なんだ?俺が此処に来ちゃ悪いのか?」

「いえ…ただ、こういうのには無関心でしたので…ですが、折角ですのでならか食べて行きませんか!」

 

なるべく日本の使節団と元老院が来ていない事を悟られないように、料理とかで誤魔化そうとする。

とりあえず、ゾルザルはさっそく骨に肉を巻いたマ・ヌガという料理に手を伸ばす。

 

「マ・ヌガ肉には、このマスタードとかいうソースをかけて召し上がってください」

「黄色いソース?マズそうだが…まっ、試してみるか?」

 

半分騙されたつもりでマスタードをかけて豪快にかぶりつく。

 

[これは…辛さと酸味が効いて…ブツブツと種みたいなものも妙に合う!]

 

初めてマスタードを体験した結果、気に入ったゾルザル。だが、すぐに別の話に入る。

 

「そういえばピニャ、たしかアインズと呼ばれる魔法使いと知り合いと言ったな?」

「ええ、ですがこれだけは言いますけども、兄様達でも絶対に太刀打ち出来ませんよ。アインズ殿と、その部下達は」

 

はっきりと宣言するピニャ。しかしゾルザルは何か別な事を考えた。

 

[たとえ何者だろうと…利用するか殺すかだな。なんだって俺には、あのアイテムが!]

 

良からぬことを考えながらも、マ・ヌガにもっとマスタードをかけてまた食べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ザリュース達は殆どのアンデッド兵を倒して、怪我人の手当をした。

 

「いいか、重傷者から順番に村へ運べ!動ける者はそのまま進軍だ!」

 

怪我人を村に移動させながらも、無傷や軽い怪我の者はそのまま前線に進んだ。しかしその瞬間、突然火の玉が飛んできて湿地の精霊(スワンプ・エレメンタル)に直撃、そのまま燃えて崩れてしまう。

 

「なっ…はっ!?」

 

戦士頭が飛んできた方向に目を向けると、ローブを纏った死者の大魔法使い(エルダーリッチ)がいて、再びリザードマン達に向けて火球(ファイヤーボール)を発射。

 

「貴様らは、このイグヴァが滅ぼしてやる」

「「「「「ぐわあぁぁぁぁ!!?」」」」」

 

火球の爆発を受けてリザードマン達が吹っ飛んだりした。すぐに戦士頭が相手の死者の大魔法使い(エルダーリッチ)改めイグヴァが強いと把握。

 

「逃げろ!奴は今までのと違う!」

「すぐに族長とザリュースに伝えろ!俺達で時間を稼ぐ!」

 

何人か残って戦おうとする者と、ザリュース達に報告する者に別れた。

だが、イグヴァは勝った気でいるような不気味な笑みになって、向かってくるリザードマン達に火球(ファイヤーボール)を発射し続ける。

 

「なっ!」

 

容赦なく火球(ファイヤーボール)で攻撃して次々とリザードマン達を殺していくイグヴァに言葉を失うザリュース。するとゼンベルは軽く笑って声をかける。

 

「こりゃあ、俺達の出番だな?」

「ああ、奴がこの軍の指揮官か切り札の可能性が高い」

 

シャースーリューもすぐに相手のイグヴァが強敵だと確信する。

 

「問題はどうやって近づくかですね?射程距離は100メートルだと思いますので、自衛隊から貰った爆弾では届かないかと」

 

クルシュは相手の距離ではスリングショットを使っても手榴弾が届かないと理解。けれども、そんな時にロロロがザリュースに近づいて何かを伝える目をした。

 

「ロロロ…そうか」

 

ザリュースはロロロの4つの頭部を撫でながら決意を知った。それからイグヴァの攻撃が続いた。

 

「ふあはははは!我が軍に勝利を…ん?」

 

するとロロロが勢いよく突進して近づく事に気が付く。

 

「ヒュドラが1匹で、そんな鈍い脚で走り切ると思ったか!」

 

そのままロロロに火球(ファイヤーボール)を放った。しかし火傷を負いながらも、勢いは止まらずに突進し続ける。

 

「く…死ね!」

 

何発か撃ち続けたが臆せずに走って続ける。この姿にイグヴァは驚きと混乱が襲う。

 

「なぜ止まらんのだ!?」

 

今までよりも大きな火球を発射した。だが、次の瞬間。ロロロの背中に隠れていたザリュースがジャンプして現れて

 

氷結爆散(アイシー・バースト)!」

 

技名を叫びながら凍牙の苦痛(フロスト・ペイン)を大きく振るうと、そこから冷気の壁が現れて火球(ファイヤーボール)を防いだ。

さらに後ろからクルシュとゼンベルが走って現れたので、一緒にイグヴァの元に向う。

 

「ありがとう、ロロロ」

 

全身に火傷の跡が出来るまでがんばってくれたロロロに感謝するザリュース。

 

「バカな!我が火球(ファイヤーボール)を打ち消すだと…ならばこれならどうだ、雷撃(ライトニング)!」

 

今度は雷撃(ライトニング)を放ったが、ゼンベルが前に出る。

 

「俺に任せろ!抵抗する屈強な肉体(レジスタンス・マッシブ)!」

 

修行僧(モンク)による肉体硬化スキルで雷撃(ライトニング)を自ら受けて防いだ。

 

「俺達なら絶対にいけるな」

「当然だぜ!」

「ええ」

「どうやら、ただのトカゲではないようだな?」

 

改めてイグヴァはザリュース達が強いと確信したが、ここで引き下がるわけにはいかないと魔法を発動。

 

第4位階死者召喚(サモン・アンデッド4th)!」

 

イグヴァの前に6体の戦士姿のスケルトンの骸骨戦士(スケルトン・ウォーリアー)を召喚してザリュース達に声をかけた。

 

「我は偉大なるに仕える死者の大魔法使い(エルダーリッチ)のイグヴァ。頭をたれるなら苦痛なき死を与えよう」

 

どっちにしろ死ぬというむちゃくちゃな選択肢をザリュース達にするイグヴァ。そしてザリュースの判断は

 

「断る!」

「慈悲を拒絶するか…ならば苦痛に塗れて死ぬがよい!」

「それはこっちの台詞だ!」

 

さっそくイグヴァは骸骨戦士を嗾けた。だが、ゼンベルが骸骨戦士を殴り倒す

 

「進めや、ザリュース!」

 

自分がスケルトンを相手している間にザリュースはイグヴァに近づく。

 

「恐怖を知れ!恐慌(スケアー)!」

 

しかし恐慌(スケアー)という相手に状態異常にする魔法をかけた。これによってザリュースは動けなくなる。

 

「ザリュース!獅子ごとき心(ライオンズ・ハート)!」

 

けれども、クルシュの恐怖を癒す魔法で解除された。

 

「煩わしい真似を…雷撃(ライトニング)!」

「きゃっ!」

「クルシュ!?おのれ!」

 

クルシュを攻撃されたが、その怒りを抑えてイグヴァに斬りかかる。

 

「魔法詠唱者でも、この距離ならば使えないだろう!」

「舐めるなよリザードマン!」

 

だが、イグヴァは近距離でも魔法の矢(マジックアロー)を撃って攻撃。それからゼンベルは骸骨戦士が、思った以上に厄介だと感じる。

 

「たく…骨の癖にかなりやるなんてよ…」

 

しかしザリュースも相手に手こずってる様子を見るので思い切った行動に出た。それはまず残りの骸骨戦士3体を、タックルして地面に押さえつけ動けないようにする。

 

「さてと、俺の硬化が勝つか…コイツの威力が勝つか勝負だ!」

 

すると手榴弾を2つ手に持って安全ピンを抜いた。その結果、爆発して大きな爆音と爆風が起きる。

 

「ゼンベル!?」

「なに、じ…自爆したのか!?」

 

これにはザリュースもイグヴァも驚いた。そして辺りには骸骨戦士の残骸が散乱していたが、ゼンベルは全身黒焦げになりながらも立っている。

 

「どうやら…俺の硬化が強いみたいだが…後は頼んだぞ」

 

やっぱり骸骨戦士との戦いと手榴弾の爆破で、相当なダメージを受けたのでこの場で倒れてしまう。それからザリュースはイグヴァの魔法の矢(マジックアロー)で、小さいがに大量の傷を負ってしまう。しかしクルシュは雷撃(ライトニング)でのダメージを負ったままだが

 

「ち…中傷治癒(ミドル・キュアウーンズ)!」

 

なんとかザリュースの傷をある程度まで治癒した。

 

「俺は…負けない!」

「舐めて貰っては困る!」

「この距離で火球(ファイヤーボール)を?いや、これは!」

 

イグヴァが自分も巻き込まれるかもしれないのに、火球(ファイヤーボール)を放とうとした。だが、それはザリュースじゃなく気絶したクルシュとゼンベルに向けて撃つと気づく。

 

「マズイ、氷結爆散(アイシー・バースト)!」

 

慌てて凍牙の苦痛(フロスト・ペイン)を地面に突き刺して氷結爆散(アイシー・バースト)を発動。これによって広範囲で冷気が広がり霧と霜が広がる。

 

「我には冷気が通用せぬ。それにこれでは、自分も無事でなかろう」

 

などと独り言を吐きながらも濃い霧の中を探すイグヴァ。だが、後ろに気配を感じて振り向く。

 

「うおぉぉぉぉ!」

「ぎゃはっ!?」

 

ザリュースは凍牙の苦痛(フロスト・ペイン)でイグヴァの左目を突き刺したる

 

「バカな!あれほどの冷気で…なぜ」

「俺にはすでに冷気耐性を持っているのさ」

 

普段から凍牙の苦痛(フロスト・ペイン)を所持したおかげで冷気の対する耐性が出来ていた。だが、イグヴァは痛みに耐えながらザリュースに近づく。

 

「我は…御方に生み出されたシモベ…滅んで溜まるか!」

「うぐっ!」

「死ぬぇぇぇリザードマン!」

 

そのままイグヴァが執念と少し呪い効果を加えた手でザリュースの首を絞め始めた。まさかの絞殺というやり方に、ザリュースは焦りながらも段々意識が薄れていく。

 

[ロロロ…ゼンベル…クルシュ…]

 

ここまで一緒に頑張って戦ってくれたクルシュ達を思い出して活力を取り戻す。

 

「バカな…なぜ動けるのだ、この化け物め!」

 

まさかの復活にイグヴァが怯んだが、ザリュースは拳を掲げ。

 

「これで、終わりだぁぁぁぁぁぁ!」

 

そのまま拳で凍牙の苦痛(フロスト・ペイン)の柄の部分を、強くぶつけてイグヴァの頭部を貫いた。

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!アインズ様ぁぁぁぁ!おゆ…るし…を」

 

イグヴァはアインズに謝罪の言葉を上げながらも消滅して、ザリュースもこの場に倒れて気絶。

それから雲が消えて太陽の光がこの地を照らされ、この様子を見たリザードマン達は喜びと勝利の声が鳴り響く。

当然、戦いの様子を見たコキュートス達。

 

「コキュートス様、アインズ様がお呼びみたいです」

「承ッタ」

 

エントマがアインズが呼んでると言うのでコキュートスは立ち上がるが、もう一度遠隔視の鏡でリザードマン達が喜んでいる姿を確認。

 

「惜シイ…実ニ勿体ナイ」

 

などと呟いた。




ピニャの園遊会とザリュース達の戦闘を別々に書いてみました。ゾルザルも登場して、ピニャがアインズという存在と知り合いだと調査済みでした。
そしてゼンベルの手榴弾の使い方は、無理あるかもしれませんが勘弁してください。

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