OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・   作:ラルク・シェル

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リザードマンの意志

ヤオは自分の故郷の森を自衛隊に助けて貰おうとしたが、場所が問題あって行けない事が判明。ショックを受けてしまうが、しかしザリュースとの約束通りに、伊丹達と一緒に鋭き尻尾(レイザー・テイル)の集落にやって来た。

集落に集まったリザードマン達は初めて見るヘリに触ったり中に入って見学したり、武器をまじまじ見たりする。伊丹とレレイとヤオと富田を含んだ自衛官達は、小屋でザリュース達の話を聞いていた。

 

「つまり…アナタ方の村に雲のモンスターが現れて、それぞれ順番に滅ぼすと言ったのですか?」

「そう言う事になる。そして、今いる鋭き尻尾(レイザー・テイル)が一番目…明日、奴らが襲いに来る」

「はぁ……」

 

ザリュースの話を聞いて伊丹は思った。もしかしたらこれはアインズが仕組んだものだと少し不安になる。そうなったら色々と面倒だから。

 

「伊丹?」

「隊長?」

「えっ!ああ…なんでもない」

 

レレイと富田に声をかけられたのですぐに切り替えた。

 

「それで…今の状況は?」

 

するとヤオはザリュースにどれぐらい侵略者達と戦う戦力が整っているのか尋ねてみた。

 

「はい、今は防壁の補強と武器の手入れと製作を進んでいますけど…」

 

それでもまだ戦力が相手の方が上だとクルシュは心配そうに説明する。

これは仕方のない事だと伊丹も少し思ったが、とりあえずこんな提案をしてみた。

 

「これも何かの縁かもしれませんが…もしよろしければ、我々も少し協力しますけど良いですか?」

「え?」

「なん…だと?」

 

伊丹から協力してくれると発言してきた。これにはザリュースは勿論、シャースーリューやクルシュ達は少し驚きながらも話し合う。

そして彼らの出た答えは

 

「嬉しいが、これは我々の問題。助太刀は無用」

「俺もだ。リザードマンとしての誇りを持っての戦いだからな」

「それにアンタらのスゲェって武器で戦ってもつまらなそうだし」

「彼らに同意見ですので」

「おなじく。われらの、たたかいはわれらがつける」

「私も皆さんの意見に従います」

 

ヤオの時と同じでザリュース達は自分達の問題は自分達で解決すると宣言。そんな彼らの決意にこれ以上は無駄だと感じる。

 

「そうですか…じゃあ、せめて」

「「「「「ん?」」」」」

 

それから数時間が経つと、伊丹達はヘリに乗って飛び立ち。鋭き尻尾(レイザー・テイル)の集落を後にした。

 

「ねぇ、伊丹」

「なんだ?レレイ」

「その侵略者って、もしかしてアインズ達かも」

 

レレイも侵略者がアインズ率いるナザリックかもしれないと少し気づいていた。

 

「だろうな」

「分かっていたんだ。だったら、すぐに連絡して止めるようにとお願いした方が」

「それが出来ないんだよな」

「え?」

 

なぜか頼むのは無理だと断言する伊丹。

じつは伊丹はナザリックから駐屯地に帰る前にアインズと約束していた。

 

「伊丹さん…ここからは私と約束してください」

「約束?」

「ええ、これからは私達のやる事と進む道に口出しと手出し無用でお願いします。その時は、自衛隊改め日本に容赦なく襲う上に宣戦布告を覚悟してください」

「あ…はい…分かったよ」

 

アインズの本気に伊丹はつい承諾してしまう。けれども、ある意味ナザリックと戦わなくて伊丹はちょっと安心したりする。

そして一緒に乗ったヤオは

 

[それにしても、この男が伊丹だったのか…]

 

じつは昨日、柳田から「伊丹ならなんとかしてくれる」と呟いていた。もしかしたら彼に頼もうと思ったりしたが、どうやって協力してくれるのか考え中。

しかし自衛隊のヘリ2機はリザードマン達から見えなくなるほど飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、リザードマン攻略の為に建てた砦にはコキュートスがいた。今回の作戦の指揮を任されている。

会議室では配下の蟲モンスターとエントマと一緒に遠隔視の鏡でリザードマン達の様子を見ていた。当然、自衛隊が来たことも知る。

 

「奴らは何かを渡して説明していたみたいですけど、一体何だったのかしら?」

 

エントマは自衛隊とリザードマン達の行動を気になっていた。

 

「ソレハ分カラン。ダガ、奴ラハソノママ帰ッタノモ気ニナルナ…」

「アインズ様に一応報告しますか?」

「ソウダナ。頼ンダゾ」

 

さっそくエントマはメッセージでアインズに報告し始めた。

 

「アインズ様、アインズ様」

《どうしたエントマ。何かリザードマン達に動きが?》

「じつは、私達が最初に進撃する予定筈でしたリザードマンの村に、自衛隊が来たみたいですの」

《なんだと?!》

 

ナーベラルと宿屋で一緒の部屋にいたアインズが、まさか自衛隊がリザードマンの村に来ていたのに驚く。

 

「どうしましたか?」

「ああ…自衛隊がリザードマン共の村に来ているというんだ」

「そうでしたか。やはり、あの連中は先に始末すべきですね」

 

なにやらおっかない事を口走ったナーベラルを無視してエントマと会話を続ける。

 

「それで、彼らは?」

《リザードマンに何かを渡して帰っていきましたですわ》

「何かを渡した…一体何だったのか分かるか?」

《そこまでは分かりませんでしたわ》

「ならば、コキュートスに伝えろ。相手の警戒を厳重に」

《了解ですわ》

 

メッセージが終了したエントマにコキュートスは声をかけた。

 

「アインズ様カラナンダト?」

「警戒を厳重にしろと言っていましたわ」

「ソウカ…ソレハ当然ノ事ダガ、アインズ様ノ命令タイトルダ。ヨリ警戒スベキダ」

 

コキュートスは明日に向けての準備を急がせる。

 

 

 

 

次の日。

ついに約束の4日になって、見張り台では見張りを任されたリザードマンが辺りを監視していると、突然雲がかかって森の奥地からスケルトンとゾンビの軍隊がやって来た。

 

「奴らが、来ました!」

「分かった」

 

それからシャースーリューとザリュース達は用意した舞台に上がって開戦と激励の言葉を発した。

 

「聞け!全てのリザードマン達よ!認めよう敵は多いと…しかし恐れることはない!我ら5つの部族は歴史上初めての同盟を結んだんだ」

「この同盟で、1つになった5つの部族の祖霊が見守ってくれている筈です!」

 

シャースーリューとクルシュは同盟を結んだ各部族の戦士達に勝利すると宣言。

 

「敵を倒して、祖霊に勝利を捧げるぞ!」

「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」

「出陣!」

 

こうしてリザードマンの軍とアインズの軍勢の戦いが始まった。




リザードマン達は自衛隊の手を借りない事になりましたが、伊丹はアインズと今後から口出しはしないでと約束してしまいました。
もしかしたらアインズ達と自衛隊が戦う展開になるかもしれません。

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