OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・   作:ラルク・シェル

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それぞれの出来事

ヤオと別れたザリュース達。しばらく川を進んで行くと、鋭き尻尾(レイザー・テイル)の集落に近づいてきた。なぜなら鋭き尻尾(レイザー・テイル)が一番目に襲うとされているから。

そこでは集まった各部族のリザードマン達による護りの強化が進んでいる。

 

「良く帰って来たな」

 

シャースーリューが村の前で出迎えてくれた。

 

「兄者!いい知らせを持ってきた」

 

ロロロから降りたザリュースはクルシュを丁重に降ろす。

 

「そこの植物系モンスターは?」

「俺の惚れたメスだ。結婚も考えっ、いっ!」

 

クルシュは恥ずかしさのあまり自分の尻尾を、思いっきりザリュースの尻尾に叩いて黙らせる。

 

「なんだ。自分は結婚できないと言っていたが…惚れた相手がいなかっただけではないか?」

 

まさかザリュースに恋人が出来たので、少しからかったりするシャースーリューだった。

 

「その事は…忘れてくれ」

「ふっ、緑爪(グリーン・クロ―)族長のシャースーリュー・シャシャだ」

朱い瞳(レッド・アイ)族長代理のクルシュ・ルール―といいます」

「俺は一応、竜牙(ドラゴン・タスク)族長のゼンベル・ググー。んで、状況は?」

「今、斥候に出た者が戻ったところだ」

 

すぐに彼らは用意された小屋で会議が始まった。

小屋の中ではザリュースとシャースーリューとクルシュとゼンベルはもちろん、少し黄色い鱗で舌を出している小さき牙(スモール・ファング)族長のスーキュ・ジュジュと、全身に四至宝の1つ白竜の骨鎧(ホワイト・ドラゴン・ボーン)を纏った鋭き尻尾(レイザー・テイル)族長のキュクー・ズーズーもいた。

 

「斥候からの話では、敵の本陣は森の中で数は5千弱でしょう」

「構成はどのような形ですか?」

「スケルトンと動物系ゾンビなど、アンデットが殆ど…さらには巨大な肉塊のモンスターもいたようなのですが、ボスかどうかまでは…」

 

スーキュは偵察・斥候からの情報を全員に話す。

 

「こちらの戦力は1300。明らかに相手はその3倍だな」

「んなもん、1人で5体ぐらい倒せば余裕じゃねぇのか?」

「もしも相手の増援が来たらどうするの?」

 

などと相手のナザリック側戦力が有利なので、色々と意見を言い出したりする。

 

「しかも敵は攻めづらい森林を切り開いた場所に、砦を立てていますし」

「ならば、籠城戦をすればいいのですかね?」

「まもるのむずかしい。しっち、とてもあしばわるい…おまけにかべが、かんたんにこわさける」

 

白竜の骨鎧(ホワイト・ドラゴン・ボーン)の影響で上手く喋れないキュクーも籠城戦は無理だと発言。

 

「いや、それでも籠城戦も検討すべきだろう」

「壁の補強は朱い瞳(レッド・アイ)でやっておきますから」

「後は、指揮系統の構築だが…」

「ならば、族長達で部隊を作るべきだ」

 

ザリュースは別動隊を用意した方が良いと提案した。

 

「せいえいぶたいをつくる…すんぽう?」

「敵は数が圧倒的に多い。となれば、最大戦力をもって敵の親玉を狙うべきです」

「しかし…こちらの指揮官が不在になるのでは?」

 

もしも別働隊を作ったら指揮する者が居なくなってまとめるのが難しくなるとスーキュは心配になる。

 

「では、こうするのはどうですか?敵の本陣と親玉が見つかるまでは、別動隊は後方から指揮するのは?」

「それならいいんじゃねぇか?ところで、別動隊はザリュースも含んだここにいる6人って事か?」

「いや…敵の親玉を討つ隊と守備隊を引き連れる隊の2つに分けよう」

「約束された期限は4日。それまで準備をしなくてはな」

 

会議が終わって全員は小屋から出始めた。

 

[ヤオ…今頃無事に到着したかな?]

 

ザリュースは無事にヤオが目的地に到着したのか少し心配になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

ザリュース達と別れて川を進んで行くヤオは、ついにアルヌス近くの森に到着。小舟を降りて歩いて行き、夕方になった直後にアルヌスの駐屯地に到着。

そこはすでに立派な街になっていたので、色々とあって珍しかった。

 

「ほ~~~まさかこんなに大きいとはな…これじゃあ、緑の人がどこにいるのか探すのは大変だな?」

 

などと呟きながらも歩いて行くヤオだったが、目の前に大きな酒場らしき店を見つけた。

 

「酒場か…ここなら緑の人の情報を知れるかもしれない!」

 

胸に期待を寄せてさっそく酒場に入ってみると、奥の席で伊丹とロゥリィがビールを飲んでいた。するとヤオには男が無理やり少女に酒を飲ませて酔わせているように見えたので。

 

「おい、店主!この店ではガキに酒を飲ませてもいいのか!」

 

大声で叫んだ。これには周りの客は冷や汗をかいて離れたりする。そしてロウリィ本人はと言うと

 

「私をガキ呼ばわりして…おまけにこれからの予定をむちゃくちゃにしようとしてぇ…」

「予定ってなんだ?」

 

どうやらこのまま飲んで伊丹と一緒にベッドにGoと考えていたらしい。

 

「ダークエルフの女…300歳前後みたいだけど、アナタは何者?」

「ヤオ・ハー・デュッシ。シュワルツの森のデュッシュ氏族がデハンの娘だ。緑の人を探している」

「緑の人?」

「ああ、だがその前に…そこの男。少女を酔わせて何か卑劣な事をさせるつもりじゃないか?」

 

するとロゥリィは何かを企んだかのように怪しく口元に笑みを浮かばせる。

 

「お願い助けてぇぇぇぇ!その人が無理やりあたしにお酒を飲ませるのぉぉぉ!」

「え…俺がっ!?」

 

大きくウソ泣きしながら叫んでヤオの後ろに隠れるロゥリィ。どうやら邪魔した腹いせのイタズラのつもり。

 

「おのれ…こんな幼気な少女に手を出す獣欲に塗れた不埒者め…断じて許さん!この場で成敗してくれる!」

 

腰の剣を抜いたヤオは伊丹に向けたが、その本人はいなくなっていた。

 

「あばよ~~~とっつぁん!ツケで!」

 

店の人に言いながらもそさくそと走って逃げていた。

 

「なんだアイツは、立ち向かおうとせずに臆病者が。しかし、悪は去ったぞ」

 

後ろに隠れていたロゥリィもいなくなっていた。

 

「女も出てったよ」

「ん…礼儀知らずなガキだな」

「それで、何か飲むの?冷やかしなら出て行ってくれる」

 

酒場で働くヴォーリアバニーの女性デリラは、ヤオに注文するか帰るのか尋ねた。

 

「ん…じゃあ、一杯貰おう。そして話を聞いてくれないか?」

「話?」

 

ヤオはさっそく酒場にいる店員と客に緑の人改め自衛隊について話をした。しかし誰も炎龍退治と自衛隊に頼むのは無理だと思う。

そして次の日の朝。森の中で一夜を明かしたヤオ。

 

「う…ん、そうか、宿はないから野宿を…はっ」

 

その時、ヤオが目にしたものに驚愕する。それは自衛隊のF‐4EJが上空を飛んでいたから。それも見事なアクロバティックを決める程に。

この光景を目の当たりにしたヤオは涙を流しながら確信した。

 

「本当だったのだな。空飛ぶ剣と方舟…待ってろザリュース。お前達も助けてくれないかかけあってみるからな」

 

さっそく駐屯地に行くヤオだったが、そこで彼女は予想しない現実を目の当たりにする。




ザリュースとヤオの2人それぞれの路線で話を作りました。次回はヤオの交渉と新しい展開となります。

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