OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・ 作:ラルク・シェル
リザードマン達が住む
ザリュースはとりあえずヤオをロロロに乗せてどこに旅をしている訳を尋ねた。
「なるほど…古代種の火龍が故郷の森を襲って来たのか?」
「そうだ。だから、私は緑の人に助けて貰おうと旅をしている」
「緑の人?」
なんでも数か月前に、ヤオの故郷のシュワルツの森を片腕のない炎龍に襲われた。このままでは部族が滅びるかもしれないので、緑の人という存在に助けて貰おうとヤオが使者になって旅にでた。
当然、緑の人は紛れもなく伊丹達自衛隊。
「噂によれば、何でも破壊する武器を持って空を飛び回る乗り物を使うと」
「……俺も色んな所に旅していたけども、そんなのが存在するとは」
少し緑の人改め自衛隊に興味を持つザリュース。
「それで、お前は何の旅をしているのだ?」
ここでヤオも同じ事をザリュースに質問した。
「じつは…俺の村を襲う侵略者が現れたのだ」
「なにっ!?」
「8日後に襲うと宣言してな。だから俺は、他の部族に同盟を結ぼうと使者になったんだ」
などと少しは信頼できそうだと思い経緯を語る。するとヤオは何かを思いついてザリュースに提案した。
「だったら、お前も緑の人に頼んで見たらどうだ?」
「緑の人に…だと?」
「ああ、きっと彼らの力なら侵略者を倒す事が出来るかもしれない!」
などと自衛隊に侵略者を倒してもらおうと提案したヤオ。だが、その侵略者はアインズ率いるナザリックで、色々と面倒な事が起きるのが間違いない。そしてザリュースが出した答えは
「いや、その緑の人とやらがスゴイ武器や乗り物を持っているか分からんが…これは俺達の問題だ。人間の手は借りん」
あくまでもリザードマンの問題は自分達で解決したいとのこと。
「そうか…では、その同盟が出来るか一緒について行っても良いか?」
「まぁ…それは構わない」
こうしてヤオは少しの間だけザリュースと行動した。それからザリュースとヤオはロロロに乗って川を進むと目的地の1つ。
「俺は
ロロロから降りて門の前で族長の面会を頼んだ。すると門が開いて長老らしきリザードマンが前に出る。
「
[族長か?]
それからヤオもロロロから降りてザリュースと一緒に村に入ろうとしたが、門番のリザードマン2体が入らせないように武器を構える。
「なにをする!私は彼の付き添いで」
「悪いが、人間だろうとエルフやダークエルフだろうと、村に入れないようになっている」
「すまない。なんとか早く終わらせるからロロロと一緒に待ってくれ」
「分かった」
仕方ないのでヤオはロロロの背の上に昼寝しながら待った。ザリュースは長老達に連れられて、辿り着いたのは小さな小屋。
「ここに、族長がいるのか?」
「部族をまとめ上げる者は。1対1の話し合いを望んでいる」
ザリュースに説明すると離れていったので、気を引き締めて小屋の外から挨拶を始める。
「俺は
「どうぞ」
[女?]
小屋から女性の声がしたので、少し驚きながらも入ってみる。中は窓も明かりもなく暗いがメスのリザードマンがいた。
「なっ!」
それは全身に呪文のような模様が描かれているのを除けば、真っ白な鱗で赤い瞳をした所謂、アルビノのリザードマン。ザリュースはその姿に驚愕する。
「うふふふ、かの四至宝の1つ。
どうやら彼女はアルビノの体にコンプレックスを持っていたが、ザリュースはこの場に座り込み。
「キュクェェェェ!」
「えっ!」
いきなり奇声を放つと少し彼女の顔が赤くなって動揺した。じつはこの声はリザードマンにとって求愛の意味。
「あっ!すまない!」
「いえいえ…私は
「えっと…さっきも言ったが、
お互い、恥ずかしくなりながらも自己紹介する。それでもクルシュ・ルール―はザリュースに此処に来た理由を尋ねた。
「アナタがお尋ねになった理由は?」
「えっと……それは……」
「もしや、先日現れたモンスターの事?」
「結婚してくれ」
「はぁっ!?」
いきなりのプロポーズに驚くクルシュ。先程の台詞通りに彼女の村も雲のモンスターが、ザリュースの村と同じように伝言をづけに現れた。
なので、その事だと思いきやまさかのプロポーズなので混乱する。
「優先順位はおかしいかもしれないが…自分の気持ちに嘘は付けない!だから、今ここで言う事にした。返事は後日で構わない!」
しかし今のクルシュは混乱して尻尾を振ったりしていた。
「…この、白き体を恐れないのですか?もしかしてアルビノの私をからかって」
「山脈の雪のようだ」
「え?」
「綺麗だ」
「えええぇぇぇ!?」
さらに彼女の体の色を褒めたりする。その為か、2体はお互いの尻尾を床に叩いた。でも話が進まないので、ザリュースはなんとか本題に入る。
「まぁ、一目惚れって奴だ。今回の戦いで俺は死ぬかもしれん。後悔だけはしたくないからな」
「
「メッセージを告げに来たモンスターは見たか?精神をかき乱す絶叫を放ち、魔法の類は効かない」
ようやく真剣に本題に移り話を進めた。
「では、
「4番目でした。もしも逃げ出したとしても、避難できる場所は限りがありますので」
「もしも5つの部族が1つに纏まったら、確実に食料不足で奪い合いが起きるな」
「…まさか?」
万が一にも食料の奪い合いが起きそうなときは、そうなる可能性も高いと語る。ならば、一緒に侵略者と戦う方が良いと言う。
「2年前の事ですが…」
「ん?」
クルシュはその2年前に起きたことを話した。
だが、ある日。ついに反乱が起きて祭司の才能があるクルシュを旗印にされた。
「…その結果、部族が減って食糧問題は解決したのか?」
「皮肉な話ですが、その通りです。族長は…止めを刺された瞬間に綺麗な笑顔で…笑いかけました」
語りながらクルシュの目から涙がこぼれた。無理やり旗印になって族長を殺したことが、とても辛かったのかが分かる程に。そしてザリュースは泣き出すクルシュの肩に触れてなだめる。
「一体何が正しいのか分からないが、後悔して傷だらけになっても前に進み続けるしかないんだ。今はそれしか出来ない」
「なんか…無様な姿をお見せしましたね…」
「別に構わないが、
ここで本題の同盟の件については未だに言葉を積もらせる。
「1つだけ言わせてほしい。俺達は死ぬためでなく勝つために戦う!勝てば全て解決するからだ」
その真っ直ぐな目と意志にクルシュはザリュースになら信頼できると心に思った。
「……我々、
「感謝する」
こうしてザリュースは見事に
次回はザリュースとゼンベルの対決になりますが、じつはアルヌスとリザードマンの交代で話を進めようかと考えています。