OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・ 作:ラルク・シェル
ナザリックの騒動から2日。ちなみにセバスとソリュシャンは任務に戻り、アインズもすぐに次の計画を始めようとしていた。それはナザリックの戦力強化計画。
自室ではアインズが今まで集めた各国の情報をアルベドに教える。
人間達の国家のリ・エスティーゼ王国とバハルス帝国とスレイン法国と、伊丹達がいるセクフィア帝国。さらに亜人の国家のアーグランド評議国や竜王国に海上都市と浮遊都市なども存在した。
「とりあえず、ナザリックの戦力強化として進んでいる」
「はい、リザードマンですね」
じつは今、アインズが狙っているのはリザードマンだった。
ここはリザードマンの村がある湖。一匹のリザードマンが歩いていたが、彼はザリュース・シャシャ。様々な技術を学ぶために旅し続けてきたが、村に帰って来て学んだことを伝えている。
そんな彼は魚の養殖場に来てみると別のリザードマンがいた。
「兄者!」
「お前、なんでここに?」
このリザードマンは族長でザリュースの兄のシャースーリュー・シャシャ。
「それはこっちの台詞だから、まさかつまみ食い?」
「うっ!飼育の様子を見に来ただけだ!兄をそんな目で見ているのか!?」
「冗談さ。だけど、脂が乗ってて美味く育っているぞ」
ザリュースは少しからかうかのようにしてシャースーリューに言う。
「しかし…最初いきなり村を出て旅に出たお前が、帰って来たと思ったらこんなことをするなんてな」
「いや……初めは失敗続きでバカにされてきたけど、兄者のおかげで成功したんだ」
「そっか、兄として鼻が高いぞ」
生け簀から離れたザリュースは村に戻った。村にはたくさんのリザードマンが、のんびりと暮らしているのが分かる。
だが、その時。
「ん?」
「あれは…」
「なっ、なんだ!」
突然、空が曇り始めた。さらに黒い塊が降りてくると、赤い目をした不気味な顔が何個か現れる。
『よく聞け…我は偉大なる御方に仕えるもの!先触れとしてきた』
[偉大なる御方?]
『汝らに死を宣告する!偉大なる御方は汝らを滅ぼす為に軍の準備をしている。されど…寛大なる御方は汝らに、無駄な抵抗をする猶予を与えになられる。本日より数えて8日。その日、この湖のリザードマン部族の中で汝らを二番目の死の供物にしよう』
すると黒い塊は次第に消えようとしていた。
『必死に抵抗せよ。そして8日後を消して忘れるな』
言い終ると黒い塊は消えて空も晴れた。
その夜、村の族長たちが集まって会議を始める。
「あの雲は恐らく、第4位階魔法の
祭司頭がさっきの曇りが魔法かも知れないとみんなに説明する。
「強大な魔法使いしか出来ない領域じゃ。わしでも第2位しか出来ん。だから、避難した方が」
「まだ戦ってもいないのに、諦めると言うのか!」
戦士頭は不満そうに祭司頭の考えに異議を唱えると、続けて狩猟頭も口を開いてシャースーリューに提案した。
「それに、奴は8日後と言った。時間がまだあることだから敵の様子を探った方が良な」
「ん…」
「族長、俺に意見を」
すると何か思いついたのかザリュースが意見を唱えた。
「旅人風情が口を開く事ではない!」
「そうだ。この場にいただけでも」
一度旅人になって村を去ったザリュースに一部の村人は認めようとしなかった。でもシャースーリューがバシッと、尻尾で床を叩いてこの場を鎮める。
「騒いでいる場合ではない」
「しかし、いくら族長の弟だからって…特別扱いは?」
「広い世界で知識を学んできた弟の意見も聞くべきだろう?」
それでもまだ半分が納得してないが、戦士頭は斧の形をした氷の塊みたいな武器を持ったザリュースを確認。
「たしかに、一応聞いてみる価値はある。あの
彼の言葉にこの場の全員も納得するしかなかった。
「それで、お前はどうする?」
「逃げるか戦うかならば…選ぶのは後者」
「…理由は?」
戦う事を選んだザリュースに、その理由を聞いてみた。
「それしか……道はない」
仮に逃げても、この先どうやって過ごせば分からない。ならば戦って勝つしかないという理由だった。
「勝てるのか?」
「勝ってやるさ!」
「いや、今は勝算が低い。相手はこちらの戦力を知っているからあのような態度をとっているのだろう」
相手がこの村をある程度調べて、その戦力を理解したうえで宣戦布告をしてきたとザリュースは考えた。
「ならば、敵の計算を狂わせようと思う。みんな、かつての争いを覚えているか?」
2年前、食糧不足で他のリザードマン部族と戦争が起きた。
ザリュース達の
狩猟が得意な
防御力の優れた
戦い好きな
穏健派が多い
剣が得意な
祭司の才能がある
「奴は、この村は2番目と言った。ならば、他の部族も順番に滅ぼすのかもしれない」
これには全員が納得した。
「そうか!だったら、奴らか攻め込む前に、他の部族と手を組み一斉に迎え撃つのか!」
「では、かつての盟友の
「いや、俺が言いたいのは全部の部族。つまり
とんでもない提案に今度は周りが騒めく。
「族長!
「無理じゃ!」
「
「それに
祭司頭も狩猟頭もこの提案は無理だと言い出す。そしてシャースーリューは別な事を考える。
「…仮にこの2部族とも同盟を結ぶにしても、誰が使者になるのだ?」
それは同盟の交渉をするための使者は誰にするか。ある意味、危険な任務だから。
「俺が行こう」
「旅人がか……」
この提案を言い出したザリュースが使者になると宣言。族長のシャースーリューは今後の為に忙しい身で、旅人と言う理由で話を聞かない相手なら組む価値はないと見極めるだと言う。
「良し、族長の印を持たせよう」
「感謝する」
こうしてザリュースは2部族と同盟を組むための使者となった。さっそく魔獣・ヒュドラのロロロを出して旅の準備をする。
「本当なら…お前が族長になるべきだと思っていたよ」
「兄者」
そこにシャースーリューが見送りに来てくれた。
「2年前の戦いが終わって、旅に出ると言った時は引き止めるべきだったんだ」
「何を言うんだ。兄者のおかげで、俺は魚の養殖の仕方を学んでこれたんだ」
「……これは族長ではなく兄として言っておく。生きて帰ってこい」
「当然だ。全て完璧にこなして無事に帰って来る」
ロロロに乗ってザリュースは旅に出た。
旅立って1日目の事。ザリュースの前に一隻の小舟が漂っていた。
「ん?なんだあれは…ロロロ!」
ザリュースは気になったのか、一度ロロロを停めると小舟も止まった。
「ん?リザードマン?」
小舟に乗っていたのはダークエルフの美女。それはアウラとマーレとは違い、この世界産のダークエルフ。
「ダークエルフか?」
「そうだが、貴様は?」
「
「私はシュワルツの森から来たヤオ・ハー・デュッシだ」
2人はそれぞれ名前と部族名と住処と一緒に挨拶をした。
リザードマン篇を開始しますが、ここでヤオ・ハー・デュッシを登場させました。少しの間だけヤオを出させようと考えます。