OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・ 作:ラルク・シェル
ナザリック案内が終わって特別交流室に戻って来た伊丹達。するとレレイがクラッカーを見つけると、慌てて止めようとしたアインズだがうっかり伊丹が紐を引っ張ってしまう。そして大きな音と紙吹雪が部屋中に舞う中、ロゥリィに異変が起きる。
「な…なんだか、普段とは違う感じに感じちゃうぅ…」
「ロゥリィ?どうしたんだ?」
「触らないでぇ!」
心配した伊丹がちょっと肩を触れた途端、振り払ってロゥリィは少し離れた。
「ロ…ロゥリィ?」
「こんな露出の高い格好で…恥ずかしいし、おまけにこんな大きな斧を振り回して…」
なんとロゥリィが少しおしとやかになって恥ずかしがる素振りを見せる。普段から好戦的で戦闘狂なロゥリィとは全くの逆な性格に変わっていた。
「ロゥリィが可笑しい!?」
「たしかにな…一体どうなって!」
「ほんと、バッカじゃないの!」
「「え?」」
すると普段のテュカとは全く違った口調に2人の中で凄い衝撃が走った。思わず振り向くといつもより強気な表情のテュカの顔。
「いつもいつも無茶ばっかりしてるから、そのツケでしょうが!でも、体調の方は大丈夫そうね?」
純粋で優しさが漂うテュカも、少しツンデレが入ったコギャル風な口調と性格に変わっていた。この異変に驚く伊丹はすぐに原因はこのクラッカーだと確信しアインズに尋ねる。
「アインズさん、これは一体?!」
「これは…完全なる狂騒・改といって、アンデッドだけでなく他の種族にも精神が狂騒状態にし。心の壁を外す効果となる」
「狂騒状態にする?」
本来、完全なる狂騒とはアンデッドのみ精神系の魔法が効くというアイテム。じつはちょっと前にアインズがうっかり自分に使ってしまって、ちょっとした事で動揺する体質になって大変な目にあってしまっていた。
「じゃあ、これはその改良版って奴?」
「そうなんだ。元々は守護者に使う予定だったけど…あっ!?」
その時、アインズは気づいた。このアイテムはこの前のシャルティア暴走の時に踏まえて、守護者の精神支配に対する強化の為にと使おうと考えて用意。それが今度は伊丹がうっかり使ってしまい。その結果
「うう…なんだか…体が火照ってしまう気分でありんす……」
「あらあら、普段からビッチの癖にもっとビッチになったのかしら?」
普段から色気=ビッチ感があるシャルティアはそれが大きく出ていた。しかしアルベドは変わっていない様子。アインズはすぐに様子を分析する。
[……恐らく、俺の前だからこそ起きる効果かも知れないな?もしくは俺と同じ一度掛ったから効かないのかな?そして普通だったら…ここはコキュートスが止めるところ…]
そのコキュートスはシャルティアの様子を見ていた。
「ビッチトハ…ドレ位ノビッチカ気ニナッテシマウ…!」
[うわっ!?これがコキュートスの本音なの?!]
激しく鼻息をして興奮するコキュートスを見て、色んな意味で恐怖を感じるアインズ。これには伊丹も引いていた。
「うわ~~~なんだか性に敏感な思春期の中学生みたいな反応……」
「ふむ…まぁ、言われてみればそうだな」
〔いやいや、そんなの私には関係ないし…〕
「「ん?」」
アインズと伊丹が声をした方に振り向くとダラっと横になるヴィクティム。
〔もぅ、めんどくさいし…大体、いきなりそんなアイテム使うなって話だし…アインズ様、そろそろ帰ってもいいっスか?〕
なんともヴィクティムは怠惰な態度でアインズに半分タメ口な忠誠心が空っぽになっていた。
「ヴィ…ヴィクティム…これがお前の本音か…」
「つまり忠誠心が強い者ほど、本音はめんどくさがり屋というゾナモシ」
「「ゾナモシ!?」」
いきなりデミウルゴスが変な語尾を使うので2人は驚く。
「そしてこのアイテムというのは、前回のシャルティアのような精神攻撃に踏まえてのものデシ」
「「デシ!?」」
「「デシ!」」
「つまり、このような精神になりながらもコミニケーションを取れるかの訓練ですモジャ!アインズ殿?」
「「モジャ!?殿!?」」
「「モジャ!殿!」」
いち早く完全なる狂騒・改の使い方を理解したデミウルゴスだが、その変な語尾で色々と台無しになり。アウラとマーレも本当の子供のような感じて無邪気に真似をする。これが2人にとっての本音だと思う伊丹だがあることに気づく。
「てか、なんで俺達はいつものままなんだ?!」
「たしかに、おかしい?」
そうなぜか伊丹とレレイは普段通りの性格だった。
「多分…まだ人間に対しての効果は出てこないのかもしれないな?」
「そうなんスか?じゃあ。なんでアインズさんも?」
「ん…きっと、前に使ったから耐性が付いたのかな?」
「では、私達も?」
するとプレアデスが横一列に並んでユリがアインズに尋ねる。
「そういう事になるな。という訳で、これは実験に近いもの。これからお互い気軽に接しようと思う。プレアデスと、それから悪いが伊丹さん達には私のやることを手伝ってもらえないか?」
プレアデスだけでなく、伊丹とレレイにも少し手伝ってくれないかと頼んだ。
「別に良いですよ。そもそも、今回は俺のせいみたいだからね」
「私も少し興味を持ったからやる」
「ありがとう。そしてプレアデス達には、何時ぞやの砕けた感じで接して見せろ」
その言葉を聞いてユリは顔色を悪くして少し震える。この前にユリが完全なる狂騒の影響で、頭をボウリングのように投げ転がしたりしとはっちゃけてしまった。そして今となってはトラウマになっている様子。
「ああ、頭は投げなくていいから!!」
「そうですか…」
それでもまだ顔色は変わらずにいるユリ。
「してアインズ様、まずどの様な事を?」
「そうだな?では、今の段階で皆と面談してみるか?」
「畏まりました。部屋を準備しておきます」
アインズの命令に従って部屋を出るセバスに、伊丹とレレイは少し気になり始める。
「あの、セバスって人。あんまり変わっていなかったな?」
「もしかして、私達と同じ影響を受けないのかな?」
完全なる狂騒を受けたアインズとアルベドとプレアデスが普段通りだが、セバスはいつもと変わらずにいるのに疑問を持つ。
「それにしても、テュカとロゥリィは彼らと比べてマシな方じゃないかな?」
ツンデレな態度のテュカと恥ずかしがるロゥリィに対して、未だに激しく騒いだりする守護者達と見比べたりする。
「まぁ、本音は人それぞれですし…」
「それにしても…セバス様が発動しないなんて?」
「案外!セバス様も心の中じゃあ、スンゲェ狂騒なのに必死で抑えているかもしれないっスね!」
笑いながらルプスレギナが大声で喋ったりする。そして部屋の外ではなぜかセバスがいて、体を震えさせながら。
「あぁぁぁぁぶなかったぁぁぁぁあああああ!!あの瞬間に私の中の花火みたいなのがハジケ飛んで、アインズ様に肩を組んじゃったりしようと思っちゃう程に!!」
じつはルプスレギナの言った通りセバスもちゃんと受けて、とてつもなくテンションの高い本音であった。しかし自分の立場や役割やキャラの為にグッと我慢していたらしい。
「とにかく、アインズ様の要望通りに会談出来る場所を作らなければな!」
そのままスキップしながら準備をするセバスであった。
完全なる狂騒・改でシャルティア達だけでなく、テュカとロゥリィの本音がさらけてしまいました。とりあえずテュカはツンデレでロゥリィは内気にしていきますが、まだ人間には効果がないという設定にしました。
次回はなんとか○○の部屋風にしていきます。