OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・ 作:ラルク・シェル
テュカのトラウマ治療の為にナザリックにやって来た伊丹達。そこで残りの階層守護者と戦闘メイドと挨拶をして、ユリとナーベラルにナザリックの案内をしてもらう。
「では、伊丹殿。それから他のお3人。リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンは付けましたね?」
「ええ、もちろん」
今伊丹達4人とユリとナーベラルはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを指にはめていた。
「これさえあれば、本当にナザリック内や周りの外を自由に行けるんですよね?」
「当然です。ただし、終わったら返していただきます。では、行きましょう」
さっそく6人がリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンでナザリック見学が始まった。
最初に来たのはシャルティアが管轄の1~3層・墳墓。それはまるで迷路のような作りで、まさに墳墓という単語が似合いそうな空間。
「シャルティア様が守護をしている墳墓です。この迷路にはデストラップも多数仕込んでいます」
「へ~~~まさにダンジョンのような場所だな?」
「なので、すぐ別の所に行きましょう」
「えっ?もう移動しちゃうの!?」
いきなり次に行くなんて早すぎると感じた伊丹。
「いやいや、せっかく来たんだしもうちょっとこの階層の説明をしてくださいよ?これさえあれば、罠を通らずに行けるでしょ?」
「出来るには出来ますけど…ここには五大最悪の1つ、恐怖公の住居がありますので」
「五大…最悪?」
五大最悪とはナザリックの中でも醜悪な外見や役職や住処を持つ5人。ちなみにグループ名ではなく、ナザリックメンバーからそう呼ばれているだけ。
「ええ、アインズ様からSAN値というのが下がるかもしれないと言われてますが、どうしてもというなら」
「いや…別に良いですから…次にしてください」
とても不気味なぐらいに無表情なユリとナーベラルの顔に、少し恐怖を感じる伊丹である。
次に到着したのは巨大な地底湖が広がる第4層・地底湖。
「ここが第4階層で、今から階層守護者のガルガンチュア様を呼びます」
「ガルガンチュア?」
すると地底湖から泡が噴出してくると、そこから30m以上ある巨大なゴーレムが現れた。しかも体で胸から赤い光と鼓動が発せられている。
「なっ!なんだこりゃ!?」
「ゴーレム?」
「大っきいわねぇ?」
「もしかしてこれが?」
「はい、第4階層守護者のガルガンチュア様です」
その圧倒的な巨体の第4階層守護者のガルガンチュアに度キモを抜く伊丹達。だが、隣でナーベラルがなにかを用意していた。
「さぁ、伊丹殿。これを」
手渡したのは防寒用コートと赤い色の手袋。
「これは?」
「次に向かうのはコキュートス様の守護階層で、これ位の防寒装備でないとアナタ達は耐えられません。と言っても耐えられるかどうか分かりませんが?」
「耐えられないって…どういう?」
「いいから、早く着てください」
言われるままに伊丹とテュカとレレイとロゥリィ、さらにユリもナーベラルも防寒着と手袋型の防寒用アイテムを着込んで移動する。次についたのは北極か南極と同じぐらいの氷山で埋め尽くされた、第5階層・氷河。
「なんだよ…ここは…寒すぎるだろ!!?」
防寒具と防寒アイテムを纏っているが、それでも寒いのか体を振るえながら伊丹は叫び。他の3人も必死に寒さを耐えたりした。
「言った筈ですが、耐えられるか分からないと」
「ちなみにここにも五大最悪のニューロニスト・ペインキルが住み、さらにアルベド様の姉の二グレド様もいますけど?」
「分かったから、早く次!身がもたないから!!」
のん気に説明するユリとナーベラルにツッコミを入れながらも次に移動した。それから今度はアウラとマーレが管轄の第6層・ジャングル。ちなみに今伊丹達が立っているのが、ローマのコロッセに似た円形闘技場の
「今度は大分マシな所だな?」
安心した伊丹が5人と一緒に防寒具を脱いだ。
「…地下なのに太陽が昇っている!」
「それがこの階層の特徴です」
「ここにはそれ程危険な所はない筈ですので、案内しましょう」
「それは助かるよ」
さっそく伊丹達は
「あの巨大樹がアウラ様とマーレ様の住居になっております」
「うわ~~~なんだか、少し故郷と同じ匂いがする…」
どうやらこの階層からテュカの故郷に似た雰囲気を感じて少し寂し気な顔になった。これはマズイと感じて伊丹が、すぐ2人にお願いする。
「あの!もう、この場所の事は分かりましたから次に!」
「別に構いませんが、次は暑いですけど?」
「とにかくすぐに!」
「はいはい、分かりました」
こうして次に向かった。到着したのはデミウルゴス管轄の第7層・溶岩。
「なんだこれ…」
「だから言った筈ですよ?暑いって?」
「暑いというより、熱いだろ?」
汗だくに言う伊丹。なぜならマグマが川のように流れているため、とんでもない熱気に包まれていた。そして廃墟になったギリシャ風の遺跡が立っていたが、この暑さで伊丹は見る気にもなれず。当然、テュカもレレイもロゥリィも暑さには勝てずに汗を流してダウン。
「次に行った方が良いですか?」
「早く!次々!」
これ以上いると脱水症状になる可能性も高いので、次に向かう。今度はヴィクティムが管轄の第8層・荒野の筈だが、そこは現在立ち入り禁止になっているので特別交流室に戻った。
「ただいま、戻りました」
「ふむ、ご苦労。どうでしたかな?ナザリックの階層は?」
そこでアインズ達が伊丹達を出迎えてくれた。
「ええ、ちょっと疲れました…」
「そうですか…」
「だけど、少しスリルがあったわねぇ」
様々な階層に伊丹達は言えるだけの感想を言い出す。
[ん?あれは…]
するとレレイは部屋の隅に箱を見つけたので駆け寄って開けてみた。そして中に入ってた物に興味を持ったのか、手に取り伊丹の所に戻る。
「伊丹、これなに?」
レレイが持ってきたのはパーティークラッカーみたいなもの。
「これって、クラッカー?」
「クラッカー?」
「ああ、この紐を引っ張ると」
伊丹はさっそくクラッカーの紐を引っ張ろうとした。するとアインズが伊丹の持っているクラッカーを見た途端。
「ああっ!それはっ?!」
慌てたアインズが伊丹を止めようとしたが、時すでに遅し。
「え?」
紐を抜いた途端、“パーン!”と大きな爆音と一緒に紙吹雪が辺り一面に巻き上がる。そしてこれが大きな騒動の火ぶたになってしまった。
伊丹達のナザリック案内です。第8層・荒野は許可を得なければ入れないので行かれないという事にしました。そして次回は伊丹達を含んだ「ぷれぷれぷれあです」の特別版をやりますのでお楽しみに。