OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・ 作:ラルク・シェル
アインズの用意した切り札。それは至高の四十一人による装備を使う事。建御雷八式を振るうアインズに対して、シャルティアは片腕を犠牲にして動きを止めて攻撃する。だが、今度はナーベラルの製作者の弐式炎雷の、天照と月読という双剣を構えた。それでシャルティアを斬りつけたら、今度はユリの製作者のやまいこの女教師怒りの鉄拳という巨大なガントレットで殴りつけた。次々と繰り出される武器の攻撃にシャルティアは混乱してしまう。
そして今度は弓矢型の武器だが、シャルティアにとっては見覚えのある装備だった。
「まさかそれは…ペロロンチーノ様の!?」
「そうだ。流石に気づいたか?」
この弓矢はゲイ・ボウというペロロンチーノの武器で、属性ダメージの塊を与えることが出来る。
[MPがあれば防げたのに…しかしなぜ?]
シャルティアは何度も出てくる武器・アイテムに疑問を持ち続ける。
「その武器をどこに隠し持ってた!?」
「手品のネタを簡単に教えるわけないだろ?」
「その手品でペロロンチーノ様の武器を出せるはずが!」
しかしある事に気づいた。それはアインズが天照と月読を使う前に、アイスの棒と同じ形のプレートを取り出して折ったのを。
「まさか…」
「ふっ、課金アイテムだよ」
じつは全て課金アイテムだと宣言する。プレート型の課金アイテムを割る事で自在に武器を取り出していた。そしてゲイ・ボウによる魔法の矢を放ち、MPが少なくなったシャルティアは強いダメージを受けた。さらにアインズが今度は血ヲ啜リ肉ヲ喰ウという赤い結晶の斧を振りかざし、負けずにシャルティアもスポイトランスで攻撃する。
そしてその様子を見続けるアルベドとデミウルゴスとコキュートス。
「コレハ、確実ニアインズ様ノ勝利ダ」
「いや…まだ勝敗が決まった訳ではない。体力勝負ならシャルティアの方が上」
この戦いでどちらが勝利するのか緊張感を漂わせながらも、デミウルゴスは未だにシャルティアが上だと判断してしまう。
「シャルティアハ、防御ヲ捨テ攻撃ニ特化シタ。私モソウサセルカモシレンガナ?」
「とにかく信じましょう。至高の御方…アインズ・ウール・ゴウンの名において、勝利を宣言してくれたのですから」
アルベドはあの時にアインズが言った言葉を信じながら祈る。それからアインズとシャルティアの戦いは続いて、何度かスポイトランスで突いて体力を回復していた。
「あははははは!どうやら、体力が尽きているかもしれませんね!」
「それはどうかな?」
『予定してたお時間が経過したよ?モモンガお兄ちゃん!』
するとアインズが戦う前にセットしていた、ぶくぶく茶釜製腕時計から時間経過の音声が流れる。シャルティアは驚くがアインズは血ヲ啜リ肉ヲ喰ウから、たっち・みーの純白の盾を装備。
「何の時間だと思う?それは決着の時という事だよ」
じつはアインズは初めから超位魔法で決着をつけるつもりだった。だけど、超位魔法の一撃ではシェルティアには効かない。しかし今までの戦闘は、その膨大な体力を消耗させる為のものだった。
一度ならず二度までもアインズの掌に踊らされたシャルティア。
「う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
自棄を起こしてスポイトランスで攻撃し始めたが、アインズは純白の盾で身を守った。
「今の防御力は私が上だ。行くぞ、超位魔法!」
そしてさっきのローブ姿に戻って片手に、時間を短縮できる水晶型課金アイテムを持ちながら超位魔法の魔法陣を展開。だが、シャルティアも最後の抵抗をするが、突然背後から誰かの視線を感じる。
[スキル!いや、まさか!?]
シャルティアが目を逸らせた隙に、再びアインズの
「これって、あの時と同じ!?」
戻って来た伊丹と自衛隊は二度目の
「アインズ・ウール・ゴウン様…至高の御身にして…まさにナザリック最強の御方……ちび」
この最後の一言はアウラに対する皮肉だった。じつは先程の視線は吐息というアウラのスキルで、強化と弱化を同時に発動させ感情をコントロール出来る。
「ばーか…」
聞こえたのか、なんだか気に食わない顔になったアウラの口からシャルティアへの皮肉を吐く。そしてアウラとマーレとシズは何も言わずに去っていった。
「ちよっと、3人共!?」
栗林はこれからの事情聴取の為に引き留めようとしたが3人は行ってしまう。
「……とりあえず、任務は終わったって事だな?引き上げるぞ」
「それが良いですね…」
「テュカもレレイも、そしてロゥリィも戻ろう」
自衛隊も任務が終了して撤退。
そしてナザリックの玉座の間では、今からパンドラズが運んできた金貨5億枚を全て費やしてシャルティアを復活させようとする。しかし万が一復活しても精神支配が続いている可能性が高いので、全員は気を引き締めていた。
「準備は良し…では、さっそくシャルティアの復活をさせる」
「ですが、またシャルティアの精神支配が続けているならば、我々が対処いたします」
「…分かった。守護者達よ、その時はお前たちに任せよう。シャルティアよ…復活せよ!!」
さっそくアインズはスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを掲げ、復活の魔法を発動させた。すると金貨5億枚が溶け始めて、人の形に形成されて全裸のシャルティアとなる。それからアルベドはNPCメニューを開いて、シャルティアが今どんな状態か確認。
「ご安心ください。シャルティアの精神支配は解除されています」
「そうか」
安心したアインズはマジックボックスから、黒いシーツのような布を出してシャルティアにかける。それからゆっくりと抱き起す。
「シャルティア、シャルティア?」
「アインズ…様?」
アインズに呼びかけられてシャルティアは目を覚ます。
「良かった。そしてすまなかったな、私の失態だ」
「ふぇっ!いきなりどうしたのでありんすか?私のアインズ様が失態など…」
全く理解できなかったシャルティアだが、これを気にアインズに抱き着いて甘え始める。しかしこれを気に入らないのがアルベドだった。
「アインズ様?シャルティアは疲れているみたいですので、休ませた方が良いかと?」
「はぁ?」
喧嘩腰に言うアルベドに気に入らないのかシャルティアはメンチを切る。
「それよりもお前に尋ねたいが、最後の記憶は何だ?」
「はい、ええっと…たしか?」
シャルティアは今覚えているのを話した。あれはアインズ達が日本に行ってからの頃、シャルティアはセバスとソルシャンと合流。その後、死を撒く剣団という野党集団と交戦したが、別の冒険者集団と出くわした。
「それから…その後の事は思い出せませぬ…」
[5日分の記憶が途切れてるようだな…]
どうやらその冒険者集団に洗脳されたらしいが、とにかく今はシャルティアの体の方が心配。
「では、体に異常はないな?」
「別に何も…ああっ!」
「ど、どうした!?」
「胸が…なくなってるでりんす!!」
胸を見ながら衝撃的なショックを受けるシャルティア。これには全員が、“そんな事かよ”と呆れた。
「そんな間抜けな事を!」
「全くよアンタ、驚かせないでよ!」
「えっ、ええ?」
下らない事にアルベドとアウラはシャルティアを怒鳴る。しかしアインズはこのやり取りを見て懐かしいと思う。するとアルベドはそんなアインズの手を握った。
「では、アインズ様。ナザリックの長として、シャルティアを厳しく叱ってください」
「ああ、そうだな。今回はこの私の責任となる…シャルティアに罪はないが、今後とも気を付けるんだぞ」
「はい…」
「そして全員も聞け。今回、私達に被害を及ぼしうる未知の敵がいるという事になる。早急にナザリックの強化を開始する…気を引き締めろ!」
「「「「「はい!!!」」」」」
アインズの宣言に守護者達の敬礼が響き渡る。
アルヌスの自衛隊駐屯地。伊丹は今回に関する調査報告書をまとめていると、テレパウィンドからアインズの声が聞こえた。
《伊丹さん、聞こえてますか?》
「あっ!アインズさん。それで、シャルティアさんは?」
《さっき蘇生しましたよ。洗脳も解けたみたいですし》
「それは良かったですね」
少し安心しながらもそのままアインズと話を続けた。
《ロゥリィの様子はどうですか?》
「傷は治りましたけど…未だに眠っていますよね。そうとう体力を消耗したみたいですからね?」
《たしかに…では、私の方からですが、こんなことになって申し訳ありません》
アインズはテレパウィンド越しで、巻き込んで迷惑をかけた事を謝罪する。
「いえいえ、そんな謝らなくても」
《全ては私の責任ですからね。では、また》
「はい、また」
会話が終了して伊丹はコーヒーを飲み。
「さてと、早く報告書をまとめて寝よう…」
そして軽くストレッチをしながら急いで仕事を再開した。
これにてシャルティア篇は見事に終了。
しばらくはゲート側に進んで行きたいのですが、じつは伊丹とテュカとレレイとロゥリィも加えたぷれぷれぷれあですをやろうと考えてます。