OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・ 作:ラルク・シェル
アインズとシャルティアの戦いに乱入した自衛隊とロゥリィ。しかし自衛隊のAH-1コブラでは歯が立たずに撤退し、ロゥリィも最初は互角な戦いになっていたが、シャルティアのスポイトランスで腹部を貫かれ血が吸われていくのだった。
「先程の威勢はどうしたのかな?」
笑い出すシャルティアに対してロゥリィは唾を吐きかけながら笑い返す。
「貴様…」
「うふふふふ、アンタが強いのは分かったわぁ。でも、まだたまだよぉ!」
ロゥリィはハルバードの柄でシャルティアの胴体を着くと、力を振り絞って自身の腹部に突き刺さったスポイトランスを抜き取った。そして再びハルバードを構えて大きく振って斬りかかる。
「はあっ!」
「ぐっ?!」
ロゥリィのハルバードがシャルティアの首に直撃し斬り落とした。だが、斬られた勢いで吹っ飛んだ頭部はまるで時間が巻き戻ったかのように、頭部と首が繋がって再生。何事もなかったかのように首元を軽く動かす。
「へ~~~首を斬られても死なないんて、面白いわねぇ?」
「そういう貴様も、腹を貫いて血を取られたのでまだピンピンしてるとは」
2人が不気味に笑いながらも再び武器を構えて混じり合う。それはお互いの獲物がぶつかり合うと同時に、火花が出る程で肉眼では確認できるのは難しいぐらい。2人は素早く力強く戦っていた。
[……ふむ、なるほど。伊丹さんの言ってたとおりだな?しかし、シャルティアのスキルと魔法にどう対処するのか?]
アインズの予想通りにシャルティアはスキルを発動させる。
「不浄衝撃盾!」
「おおっ!?」
それは1日2回までしか使えないスキルの1つで、赤黒い衝撃波を放った。すぐにロゥリィは避けて一度距離を離れたが
「
「っ!あぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!」
しかしシャルティアの魔法でロゥリィは紅蓮の炎に包まれてしまう。炎が消えるとロゥリィは服がボロボロで、体に火傷と焼け爛れが出来ていた。
「どうしたのかしら?今のは強化無しでやったんだけど、ダメージは大きすぎたらしいかしら?」
「くっ…」
最初のスポイトランスで血をかなり取られた上に、さっきの
最早立っているだけで精一杯の状態だったが、それでもハルバードを手に戦いを続けようとしていた。
「まだやる気かしら?」
「止せ!いくらお前でも彼女には勝てない!!」
アインズが止めようとしても、再びシャルティアに立ち向かった。
「なるほど…では、徹底的に相手しますよ!」
「上等よぅ!」
またハルバードとスポイトランスの打ち合いが始まった。次第に腹部の傷と火傷が再生してきた。だが、受けたダメージが大きかったので体力は未だに回復していなく。次第にロゥリィが苦戦しているのが分かる。
[これはまずい…ロゥリィを助けたいがタイミングが、ん?]
しかしその時、どこからか弾頭が飛んできた。
「ん?あれは…!」
驚いたシャルティアは
「アインズさん、ロゥリィ!」
さらに声がするので振り向くと、パンツァーファウスト3を持った伊丹がいる。さっきの弾頭は伊丹のパンツァーファウスト3による攻撃だった。
「伊丹さん!」
「伊……丹…」
「おいおい、ロゥリィ!」
安心したのかロゥリィは力が抜けてこの場に倒れようとしたが、アインズがすぐに駆け寄って抱きかかれた。
「…随分と派手な花火だ事?」
[あれ?なんか…俺、獲物にされたの?]
しかしシャルティアはターゲットを変更したのか伊丹に視線を変える。獣を狩る目と殺気に気付いたのか、無駄だと分かっていたが銃を構えた。
「おやおや、そんなおもちゃで私を倒そうと?」
「無理だとは分かってるけどな…この状況だ。やらなきゃいけないだろ」
「随分ご立派な事。では、まずアナタから殺してあげましょうか?」
シャルティアがまた
「シャルティア!!」
アインズが
「さぁ、早く逃げてください」
「アインズさんは?」
「もちろん、俺はシャルティアを倒します」
「……では、ご武運を!」
すぐに伊丹は敬礼をして、ロゥリィを背中に担いだままXLR250Rに乗って離れた。
[アインズさん…これしか出来ないが、無事でいてくださいね]
心の中で祈りながらもXLR250Rを走らせる伊丹。そして伊丹が遠くまで逃げたと確認したアインズは、改めてシャルティアに目を向けた。
「アインズ様…あのような下等生物風情を逃がすとは。随分と甘くなられましたね?」
「残念ながら彼らは私の友人なのだ。それに本気で行きたいと思ってな」
「なるほど…では、こちらもいきましょうか!」
シャルティアは光の3m位ある槍を出した。
「スキルの召喚?」
じつはロゥリィの時に使った不浄衝撃盾と同じスキルであった。
「はい、ご存じないので教えておきます。これは清浄投擲槍といいます!」
清浄投擲槍と呼ばれる光の槍をアインズ目掛けて投げ飛ばし腹部を貫いた。
「がはっ!」
どうやら清浄投擲槍が効いたのかアインズは苦しそうに声を出した。
「きゃはははは!さすがは神聖属性の魔法武器。これはさすがに効くみたいですね!」
「舐めるな!
魔法の斬撃でシャルティアの右肩から胴体を次元と一緒に、切り裂いたがシャルティアの時と同じ時間が戻って再生してしまう。
「さっきのもそうだが、ただの回復ではないな!?」
「もちろん、これも時間逆行スキルですのでね。しかし2回使ったのであと1回となりましたが!」
また清浄投擲槍をアインズに向けて投げると、今度は左肩を貫かれてしまう。
「卑怯だなんて思わないでくださいよ。ペロロンチーノ様が与えてくださった力ですので、アインズ様よりあの御方の方が優れているって証明では?」
なにやら自分を作ってくれたペロロンチーノを感謝するかのように自慢し始める。しかしアインズにとってはそんなものは関係なかった。
「…どうやら本音のようだな?」
「ん?」
「行くぞシャルティア!貴様のスキルが上か、私の魔法が上かはっきりさせようぞ!」
2人は最初動かずに黙ってどう動くかお互い確認したりする。アインズはさっきから魔力を消費しまくっての魔法をし続けたが、これは短期決戦を狙っていると睨むシャルティア。
そして2人は一斉に動いて魔法を発動させた。
「「
「
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それぞれ光系と闇系の魔法攻撃を受けるがなんとか耐えた。とくにアンデッドのアインズは、光系や神聖属性は致命的な弱点になっているが、万が一のために防御魔法をかけていたのでダメージは低い様子。
[さすがに私もダメージは大きい…だが、またこれで回復を]
じつはロゥリィの時もスポイトランスで血を奪って回復していた。今度はアインズから生命力を奪って回復を企む。
するとアインズの口からこんな言葉が出てきた。
「…なんて不利な戦いなんだ」
「アインズ様?なっ、ならば、撤退すれば……」
「確かにそうなんだが、ワガママで逃げたくないんだ」
さらにアインズは話を続ける。
「ギルド長だった頃の私の仕事は、メンバー間の調整だけ。私…俺はこうして先頭に立って戦っている。今この瞬間が、俺が今ギルド長としての満足感を得ている!」
一見すれば自己満足に見えるかもしれないが、それでもアインズにとっては矜恃となっていた。
「つまらない話をしたが、再開しよう」
「そうですね…ご主人様」
話が終了して、再び2人の戦いが開始しようとしていた。
さすがのロゥリィもシャルティアに敗北してしまいましたね。そして次回からアインズの切り札は出すか考え中です。