OVERLORD 自衛隊彼の地にて・・・ 作:ラルク・シェル
伊丹達が未だにシャルティアの見張りをしている頃、少し離れた場所でゲートが展開された。そこにかつてギルドを作る前の装備姿のアインズが、
「2人共、ここからは別れるが」
「はい、我々はシズと伊丹さんの所に向かって、一緒に偵察と見張りをしておきます」
「もちろん、なるべく離れてですよね?」
「うむ。もしも別の敵が同数体発見したら、伊丹さん達に任せてシズと共にナザリックに撤退する事だ」
「「はい」」
2人に命令をするアインズは最後に別れの言葉を言う。
「では、よろしく頼むぞ…」
寂しそうに発言したアインズはそのままシャルティアの所に向かって、アウラとマーレも指示通りに伊丹達の所に急いだ。
その頃、ナザリックのアインズの自室にやって来たデミウルゴス。そこには既にアルベドとコキュートスがソファーに座ってたので、さっそくデミウルゴスも腰を掛けた。
「お伺いしましょうか?なぜ…アインズ様をお1人で行かせたのですか?」
デミウルゴスは少し不機嫌な様子でアルベドに尋ねた。
「当然、アインズ様がお決めになった事よ?」
「ではなぜ、アインズ様が守護者を引き連れずに
どうやらデミウルゴスはアインズがたった1人で、シャルティアを倒しに行ったのが納得いかなかった。ここは守護者全員でシャルティアと戦うのが安全だと言ってきた。
「私達が考え付くような対策を、アインズ様が思いつかなす筈がありません。だから、アインズ様はあえて嘘をついたのでしょう」
「そこまで分かっていながら…なぜアインズ様を行かせたのですか?」
「数日前のアインズ様と今のアインズ様は、まるで別人に見えて男の顔をしてらっしゃったわ」
アルベドは頬を少し赤く染めながら語り始めた。
「惚れた殿方がその意志を貫こうしている時に、横から口を挟むのは無粋というものよ?それに、アインズ様は私と約束してくだっ「甘い!」
突然、デミウルゴスがアルベドの話している途中で彼女の考えを否定した。
「甘すぎるぞアルベド!理性でなく感情で判断とは、アインズ様はただ1人の最後の至高の御方なのですぞ!たとえ命令に背く事になろうとも、命を守る為に動くべきでしょうが!」
するとソファーから立ち上がって部屋を出ようとする。
「何処へ」
「決まっている。すぐに私の部下を連れてアインズ様を」
だが、コキュートスが斧を片手にデミウルゴスの前に通せんぼした。すぐに避けようとしたが斧をかざして部屋から出させないようにする。
「…なるほど、私を呼び戻すと同時にここに来るように厳命したのは、こういう事ですか?アルベド」
「そうですけど、なにか?」
「なんてアナタは愚かな!もしアインズ様がお亡くなりになったら、一体その責任はどうやって取るつもりですか!?」
「アインズ様は、お戻りになるわ」
「そんな保証はどこにある!?」
デミウルゴスが眉間にしわを寄せて、宝石のような両目を輝かせながらも叫んだ。
「……もしも、アインズ様に何かあった時には、守護者統括の地位を降りて貰いますよ」
「至高ノ御方々ガオ決メニナッタ地位ヲ降リロト言ウノカ?デミウルゴス、ソレハサスガニ」
「良いでしょう。アインズ様がお亡くなりになったら、地位を降りることも罰を受けることも構いません。コキュートス、アインズ様の勝算はどの程度か判断するかしら?」
そんな無茶な約束をデミウルゴスと交わしながらも、コキュートスにこの戦いはどうなるのか尋ねてみる。
「…三体七デ、アインズ様ガ三ダ」
「そうですか…だけど、その不利をはねのけてくれるでしょう」
アルベドは勝利を信じながらもただ遠隔視の鏡を見続けた。
それからシズと伊丹達が未だにシャルティアの見張りをし続けていた。
「今日も…全く動く気ゼロ…」
「まさか、死んでたりして?」
「そんな筈…ない」
こんな感じて暇を感じ続けていた時に、アウラとマーレがやってきた。
「ヤッホー!シズにみんな」
「こんにちは」
「あ、君達」
「アウラ様、マーレ様」
また歓迎ムードに入った雰囲気だったけども、すぐにアウラが本題をこの場の全員に話す。
「伊丹さん達、いきなりだけど少しここからは離れてくださいね」
「え…と、それはなんで?」
「じつは……アインズ様が1人でシャルティアと戦うんです」
「アインズさんが!?」
「だから、少しでも安全なあの丘に移動をね」
アウラが安全だという丘を刺しながら説明する。すると富田が伊丹に声をかけ始める。
「どうしますか隊長?このまま彼女の言う通りにしますか?」
「そうだな…万が一ってこともあるし…だけど」
「隊長!?」
伊丹は考え始めた。
アウラの言う通りにするのか、それともこの場所で見張りを続けるか、もしくはいっその事アインズの助太刀に全員で向かうか。しかしもしもアインズとシャルティアの戦いで、部下が巻き込まれるかもしれないと思って考えた結果。
「仕方ない…移動するぞ!ヘリにも撤退の指示を!」
「了解!」
すぐに上空のヘリに連絡し撤収させて、それから機材を片付けて伊丹達は移動を始めた。
そして移動中に伊丹はテレパウィンドで、森の中を歩いているアインズに連絡をした。
《アインズさん》
「伊丹さん、アウラ達とは?」
《合流しましたよ。今指定した場所に移動中ですが…》
「なにか?」
《本当に1人で大丈夫なのですか?相手は強いって》
「だからですよ。これは我々…いや、俺の問題ですから」
《しかし…》
「心配してくれるのは嬉しいのですが、私の立場を懸けた戦いでもありますので」
《分かりました。どうかご無事で》
「もちろん、では」
伊丹との通信が終了した瞬間、アインズはようやく目的の場所に到着した。
[さてと、始めるかな]
さっそく戦う為の準備を入り始める。
「
まずは自分の防御魔法をかけた。これで大抵のダメージを低下させる。
「
続いてアインズはさらに自分自身の強化魔法や、周りに魔法の罠をかけたりした。
「では、行くか!」
するとアインズの全身が光り始めて、移動した場所に到着した伊丹達にも見えるように。
「あの光って?」
「超位魔法よ」
「超位魔法⁉」
その単語にいち早く反応したレレイ。超位魔法というものなんて今初めて知ったのだからだ。
[やっぱり超位魔法を…だけど]
その超位魔法は発動開数に制限があるので、切り札として使いたいがそうはいかない状況でもある。それからアインズはマジックボックスから時計を出して腕に巻いて、そのまま時間の設定し始める。
『モモンガお兄ちゃん!時間を設定するよ!』
すると時計からロリボイスがなった。じつはこの時計を作ったのはぶくぶく茶釜であった。
「やれやれ、ぶくぶく茶釜さんのボイス付きだったけな」
少し呆れながらも仲間達の装備が入ったプレートを、取り出しやすい所に入れて準備は整った。
「超位魔法、
発動した途端、シャルティアの立った場所全てが超高熱による大爆発が起きた。それによって発動した範囲の木がチリも残さず焼かれて、地面も真っ黒に溶かされてしまった。
「なっ、なんだあれ!?」
「爆発のようですけど……」
「てか、なにもかもなくなっている!?」
観察を再開した伊丹達もあの爆発の威力に度肝を抜かしてしまう。
だが、その溶かされた大地には血のように真っ赤に甲冑を纏って、背中には白い羽が生えている無傷のシャルティアが立っていた。
「カハハはははアアははあああははは!!今のはなかなか痛かったでありんす♪」
しかもダメージは少ししか聞いてない様子。だが、ここからが本当の戦いの始まりでもあった。
ついに始まったアインズとシャルティアの戦い。バトルの描写をちゃんと書けるか不安ですが、期待していてください。