とある科学の無能力者【完結】   作:ふゆい

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 とりあえず、本編をどうぞ。


第四十九話 因縁、再び

 ――――ガインッ!

 

 夜の帳。漆黒の闇に吸い込まれる、激しい剣戟。拳戟。

 駆動鎧に身を包んだ少年が拳を振るえば、セーラー服姿の少女が刀身を靡かせる。飛び散る火花。響く金属音。何者かの手によって物言わぬ人形と化している民間人を他所に、二人の狂戦士は互いの武器をぶつけ合う。

 拳と刀。武器のリーチ、有利性は火を見るよりも明らかだ。無手は武器に比べると威力と殺傷性において著しく劣る。骨と鉄は、比べるまでもない。

 だが、それはあくまでも本人が生身である場合だ。

 学園都市警備員開発部が計画し、暗部研究班が総力を挙げて完成させた新型駆動鎧。従来のものに比べると機動性、俊敏性が上昇し、よりスマートな戦闘ができるようになった。かつては図体の大きさで力押しするだけだったが、人工筋肉の発達とバネの応用によってさらに効率的に威力を上乗せできる。

 まさに、人を殺すための鎧。

 

 民衆を守るために作られた兵器の、なれの果て。

 

 上段から振り下ろされた刀を右腕で防ぐと、振り払う勢いを利用して横腹への蹴撃。ミシ、と鈍い音と共に吹き飛んでいく桐霧。最新型の兵器が放つ攻撃は、彼女ごとレストランの壁を粉砕する。

 ゴッ! と、けたたましい粉砕音。

 突如開かれた風穴から、しとしとと雨が降り注ぐ。

 水が溜まったアスファルト。歩道の中心で、少女は膝をついていた。

 

「……クソが」

 

 思わず漏れ出る、苛立ちの声。

 しぶとい。しつこい。鬱陶しい。

 人間一人くらいであれば一撃で殺せるはずの兵器を操っていながら、目の前の少女一人殺せない事実に腹が立つ。たとえ彼女が奇妙な能力を持っているせいだとしても、自らの実力不足を痛感してしまう。

 弱い自分を。

 能力(チカラ)のない自分を、嫌と言う程自覚してしまう。

 

「……優しい、ね」

 

 不意にかけられた声に、佐倉は思わず顔を上げる。

 視線の先。先程まで片膝をついていたはずの少女が、日本刀を杖代わりにして荒い息をついている。

 

「キミ、は……本当、に、優しい……ね」

 

 ゆっくり、ゆっくりと。 

 まるで母親が我が子に言い聞かせるように、じっくりと。

 いやに透き通った彼女の声が、佐倉の鼓膜を震わせる。

 

「なんだ、と……?」

「佐倉、は……優しい、よ……?」

 

 何を言っている?

 ナニヲイッテイル?

 唐突な戯言だと思った。頭がおかしくなっただけかと思った。……いや、現に目の前の女は狂っているのかもしれない。

 だが、今この少女は何と言った?

 佐倉は優しい(・・・・・・)と、そう言ったのか?

 ありえない。馬鹿馬鹿しい。なによりもまず、意味が分からない。

 自分を殺そうとしている相手にぶつける言葉ではない。

 驚愕に目を見開く佐倉を前に、桐霧は立ち上がる。限界を迎え始めているのか、大仰に両肩を上下させながら。満身創痍な状態に似合わない、澄んだ凛とした瞳で。

 

「前に、も……言ったよ、ね」

「何……?」

「私と貴方、が……初めて、会った……あの日、に」

「……覚えてねぇな」

「本当、は……誰かを殺したく、ないんで、しょ……?」

「っ!」

 

 以前。九月前半の、大覇星祭前。

 カレッジとスクールが衝突した、第一学区での抗争。能力者データバンクの第四通路で巡り合せた佐倉と桐霧。美琴の為と自身に言い聞かせて戦闘を行う佐倉に対し、桐霧が言い放った台詞が前述のものだ。

 暗部に向いていない。

 そんなことをしても誰も救われない。

 我武者羅に、ひたすらに力を求める佐倉を、桐霧は無理をしていると評価した。

 無能力者故に力を求める道を選んだ佐倉に対して、やり方を間違えている、と彼女は酷評した。

 ズキン、と。

 佐倉の中で、何者かが叫ぶ。

 

「空しい、よ。力だなんて、そんなもののため、に……命を捨ててま、で……そんなの、空しい、よ……」

「……うるせぇんだよ、クソッタレが」

「佐倉……?」

「横からゴチャゴチャ口出してんじゃねぇよ、クソ」

 

 憐憫の視線を向けてくる彼女を見ていると、無性に苛立ってくる。何故か自分が、情けなく思えてくる。

 これ以上耳を貸したくなかった。無理矢理入り込み、説教じみた戯言を中断させる。勘違いした馬鹿女を黙らせるために、佐倉は自ら口を開く。

 向ける感情は、嫉妬と憎悪。

 

「テメェらに俺の何が分かる? 無能力者で、周囲から蔑まれて、社会の底辺で這いつくばっていた俺の気持ちを……大能力なんていう恵まれた能力授かったテメェが、どうして分かるってんだ?」

「人間の、価値、に……能力強度、は……関係、ない」

「いいや、関係あるね。研究所暮らしのテメェは知らねぇだろうがな、学園都市(この街)には、テメェが思っているよりも遥かに醜くてくだらねぇ能力差別が蔓延ってんだ! 上位能力者がデケェ顔して、無能力者が怯えて暮らすようなクソッタレな社会差別がよ!」

「社会、差別……」

「能力強度は関係ない? ハッ、よくもまぁそんなお子様レベルの綺麗事を吐いたよな。世の中を知らねぇ平和ボケしたガキの言い分だぜ、それはよ!」

 

 困惑の表情を浮かべる桐霧に向けて、ありったけの感情を込めた叫びをぶつける。自分の中で徐々に大きくなる【何か】を誤魔化すように……膨らみ続ける【違和感】を押し殺すように。佐倉望は、憤怒と嫉妬に心を預ける。

 彼が武装無能力者集団に入ることになったそもそもの原因は、低級能力者を格下に見た高位能力者による【無能力者狩り】だ。ただ無能力者であるというだけで襲われ、蔑まれる。自分達は何もしていないのに、ただ落ちこぼれと言うだけで迫害されてしまう。

 力が欲しい。何度もそう願った。能力を得る為に時間割もこなしたし、真面目に補習もやった。

 それでも、力は手に入らなかった。

 どうしようもなく追い詰められて、麻薬染みた都市伝説……幻想御手(レベルアッパー)にも手を出した。初めて明らかになった能力に興奮し、今まで自分を見下してきた能力者達に報復を行ったりもした。……だが、所詮は借り物の力で、夢のような日々は脆く崩れ去った。

 どれだけ求めても力は手に入らなくて。どれだけ望んでも平穏は離れて行って。

 不条理な人生を何度も呪った。その度に、力があればと世界を呪った。

 

 力があれば、幻想御手に頼ることもなかった。

 

 力があれば、一方通行や垣根帝督に負けることはなかった。

 

 力があれば、御坂美琴なんていう人間と知り合うこともなかった。

 

 力があれば、もっと平和に生活できていた。

 

 すべては力だ。力が必要。自らを確立させるために、佐倉望は全てを捨てて力を手に入れる道を選んだ。それがたとえ修羅の道でも、強大な力を手に入れるためならば、何も恐れはしないと。

 ……そう、決めたのだ。

 

「力がいる! 力が……どんな奴にも負けねぇ、絶対的な力が! 周囲から認められるためには、誰も手を出そうと思わなくなるぐれぇの無敵の力が必要なんだ!」

 

 無能力者だから、力が無かったから。落ちこぼれと蔑まれ、社会不適合者と罵られ。

 力があれば、もう誰にも傷つけられなくて済む。自分の意見を通し、大切な人達と一緒にいられる。

 被差別階級から、脱することができる……!

 

「…………」

 

 桐霧は無言で佇んでいる。日本刀に身体を預けたまま、疲弊した様子を隠そうともせずに。何を考えているのか、何を思っているのか。佐倉の言葉に顔を伏せたままの彼女は、その幼い心の中で何を感じているのか。

 静寂が辺りを包み込む。雨が降りしきる音だけが、二人を囲んでいた。

 しとしと、しとしと、と。

 降り注ぐ雨は、果たして誰の涙であるか。

 沈黙が続く。

 下着が透ける程に全身が濡れそぼった桐霧が、ようやくと言っていいだろう感覚で顔を上げた。

 そこに浮かぶのは、憐憫と同情の陰り。

 

「……一つだけ、聞かせ、て」

「……なんだよ」

「貴方は……いったい、誰から認められたいの?」

「誰から、だと……?」

 

 質問の意図が分からず、佐倉は首を傾げる。このタイミングで何故今の質問を行ったのか。どういう考えがあってのことなのか理解できない佐倉は、頭の上に疑問符を浮かべる。

 佐倉が力を欲するのは、周囲に認められたいから。だが、その周囲とはいったい誰だ?

 考える。そんな場合ではないことは分かっているが、どうしても無視することはできず考え込んでしまう。

 ――――その隙を、桐霧は見逃さない。

 杖代わりにしていた刀を腰だめに構え、道路を蹴りつけると佐倉との距離を詰める。街灯に照らされる刀身。銀色の煌めきが、闇夜を一閃する。満身創痍とは思えない剣速に、考察に気を取られていた佐倉は一瞬反応が遅れ、横っ腹に斬撃を食らってしまう。

 踏ん張る事すら間に合わず、腕力に負けて吹き飛ばされる。ソファとテーブルを巻き込むと、けたたましい騒音がレストラン内に響き渡った。

 

「がっ……!?」

「……このま、ま……イく、よ!」

「っ!」

 

 間髪入れずに飛び込んでくる桐霧。頭上から振り下ろされる日本刀を転がって回避すると、倒立の勢いを利用して倒れ込むように頭部を狙う。

 ビュオンッ! と風を切り裂く駆動鎧の脚部が、桐霧の側頭部を襲った。

 が、桐霧は左腕で跳ね除けると、大腿部を狙って刀を振るう。

 駆動鎧の防御を貫通できるとは思っていない。おそらく、彼女の狙いは殴打による行動の抑制。

 【限界突破】によって強化された攻撃が、華麗な軌道を虚空に描く。

 

「甘ぇんだよ!」

 

 駆動鎧のサポーター……機動性を重視した鎧の中で特に堅固な部位である膝をぶつけ、威力を相殺した。斬撃を跳ね返された桐霧はたたらを踏み、佐倉は後転の要領で再度立ち上がる。

 即座に放たれる斬撃。フローリング製の床を切り裂きながら無数の衝撃波が佐倉を襲う。刀が直接当たっているわけではない。人間離れした、化物級の腕力によって振り回された刀によって放たれる、飛ぶ斬撃(・・・・)。空気を衝撃波に変化させる程の威力。桐霧の身体にどれだけの負荷がかかっているのか、想像すらできない。

 飛来する無数の斬撃を横っ飛びで躱すものの、桐霧は既に次の動作へ移っている。

 床を踏みしめ、跳躍。弾丸の如き速度で距離を埋めると、切っ先を全力で突き出す。狙いは、露わになっている顔面。彼を止めることを目的としている桐霧が自分を殺すことはありえないだろうが、二度と動けなくなるくらいの重傷を負わせてくる可能性は否定できない。

 四肢による回避は間に合わない。だとすれば――――!

 首を捻る。咄嗟に頭を移動させ、突撃を寸でのところで躱す。

 ズドンッ! と。

 床を貫いた刀が、半分ほど地面に埋まったところで停止した。

 

「…………!」

 

 地面に倒れ込むような体勢になった桐霧は、状況を有効活用して佐倉の上に馬乗りになる。日本刀から手を放すと、両腕を巻き込みながら、佐倉の頭部を抱きかかえて自らの胸部に押し付けた。両脚部で締め付けるように彼の胴体を抑え込むと、能力を四肢に総動員して動きを完全に止める。

 柔道で言う縦四方固め。その劣化版。人並み外れた筋力で動きを止める、彼女なりの拘束術。

 抜け出そうともがく佐倉だが、斬撃と打撃を繰り返し受け続けたせいで機能の一部に異常が出ているらしく、思ったように駆動鎧が動かない。唯一動く両脚を赤子のように暴れさせるが、固め技の都合上攻撃が桐霧に届くことはない。その上、胸部による圧迫から呼吸さえ遮られ、意識を失う寸前だ。

 それでも、佐倉は脱出しようともがき続ける。

 

(クソッ! クソッ! なんだよ、なんだってんだ! こんなところで!)

 

 酸素欠乏によって徐々に遠くなる意識の中で、佐倉はただ叫び続ける。自らの弱さと、世の中の不条理さを呪いながら。

 ――――そんな中、先程の問いが不意に脳裏に浮かび上がった。

 

 

【貴方は、誰に認められたいの?】

 

 

「か……は……っ!」

(だ、れ……に……?)

 

 認められたい。認められたい。認められたい。

 それだけを思って生きてきた。それだけを願って戦ってきた。それだけが自分の支えだった。

 暗部入りした理由は、力を得るため。自分を見下してきた強者達よりも強い力、最強の力を手に入れて、彼らを見返すため。他者から尊敬され、敬われている彼らに、自分と言う存在を認識させるため。

 そして、〇〇を、守るため――――?

 

(あ、れ……?)

 

 もはや視界すらマトモに機能していない中で、佐倉は首を捻る。脳裏に浮かぶ姿。短髪で、常盤台中学の制服に身を包んだ、勝気な美少女。

 いつも佐倉の中心にいて、彼を気にかけてくれた少女。

 そして、自分の努力を踏み躙り、自分のすべてを否定した女。

 最低の超能力者だ、と佐倉は思っていた。かつて気を許していた相手とはいえ、自らの価値観すらも否定されるとは思っていなかった。今では、ただ唾棄すべき存在だと確信している。

 なのに。

 それなのに。

 

 どうして、自分の頭の中で真っ先にこの電撃姫が思い浮かんだのだろう?

 

 

(み、こ……と……)

 

 意識が途切れる。五感のすべてが消失し、闇の中へと堕ちていく。

 そんな中、唯一消えずに残っていたのは、あの少女の姿。かつて自分が守ろうとしていた、最強の超能力者。今では殺してやりたいと思っている、憎き強者の代表。

 彼女に対する好意は消失した、廃棄した。もう二度と蘇ることはない。

 そう、思っていたのに。

 佐倉の瞳が最後に映したのは、温かい表情で微笑みかけてくる、御坂美琴の面影。

 

 

 

 

 

                ☆

 

 

 

 

 

「こち、ら……第三女、王……。佐倉を捕縛したか、ら……今から、そっちに、向か……う」

 

 りょーかいよぉ、という伸びきった間抜けな返事を合図に、チョーカーの電源を切る。肉弾戦を主とする彼女が通信機の類を所持していると戦闘中に壊す恐れがあるとのことから、食蜂が用意した特注の無線機だ。トランシーバー型のものに比べてこちらの音が拾いにくいという欠点はあるものの、普通に使う分には問題はない。両手がふさがっていても使用できるという利点もある。

 そう、男一人背負っていても、容易に通信ができるのだ。

 

「…………」

 

 自身の背中で意識を失ったままの少年に視線を投げる。

 既に駆動鎧は外されていて、ウエットスーツのような衣服のみとなっている。装甲の類も一応は持って帰った方が良いのかと思ったものの、荷物になる上に桐霧自身も満身創痍なためにレストランに放置していた。あれが後に誰かに拾われようが、自分にそこまでの責任は持てない。

 雨に濡れた黒髪が顔に貼りついている。ストレスのせいか若干やつれている様にも見えた。

 心身ともに限界を迎えていることは、素人目から見ても分かる。

 

(どうして、こんな……)

 

 以前第一学区で対峙した時よりも、今回の佐倉は遥かに不安定だった。精神状態然り、その挙動も然り。彼がここまで薄く、危険な状態に陥ってしまっているのは、十中八九彼女の存在の有無だろう。

 御坂美琴。おそらくは佐倉の中で最も大きな位置を占める超能力者。

 上条との会話で本人は否定していたが、佐倉は今でも美琴のことを大切に思っているはずだ。一度愛した人間を完全に忘れ去ることはできない。それがかつて心酔していた相手ともなれば尚更だ。元々不安定な人間である彼が自らの核として認識していた彼女を、そう易々と見限られるわけがない。

 無能力者故の失墜に我を失っている佐倉だが、そもそも彼は他人を思いやる優しい人間だ。主人公ほどではないにせよ、それに準ずる素質を持っている。暗部なんていう暗がりが似合わない程の善良さを。

 このまま放っておくわけにはいかなかった。

 

(早く、美琴の元、へ……連れていかない、と……)

「そんな感じの事考えているだろう所悪いが、ちょっと邪魔させてもらうぜ」

「っ――――!?」

「おっと、無駄無駄」

「がっ!?」

 

 背後。しかも耳元で放たれた男性の声に桐霧は慌てて振り向こうとする。

 が、彼女が首を向けるよりも先に横腹に鋭い激痛が走った。まるで誰かに殴られたような鈍痛が、腹部から一気に全身へと広がる。咄嗟の出来事で【限界突破】による強化が間に合わない。

 体力も限界に達していた所に不意打ち紛いの打撃を食らい、抵抗もできずに倒れ込む。

 

「な、に……?」

「細かいことは説明すんのも面倒だ。だがまぁ、コイツを倒した褒章代わりに命だけは助けてやるよ。佐倉(コイツ)の成長に、たぶんアンタは不可欠だからな」

「…………?」

「クイーンズ、だっけか? まぁた面倒な組織立ち上げてくれたよなぁ、あの女王蜂は」

 

 指一つ動かせない桐霧の耳に入ってくる男の台詞。クイーンズ、という単語を知っている辺り、暗部の人間であることは間違いないだろう。だが、明滅する視界では彼の正体を見ることはできない。

 水溜りに沈む彼女の眼前に、ふと何かがひらひらと舞って落ちる。

 それの正体は、白銀に輝く一枚の羽根。()()()()()()()()()()()()()()、幻想的な雰囲気を漂わせる創造の象徴。

 

 まさ、か。

 

 桐霧の脳裏に一人の人物が浮かび上がる。佐倉を助ける可能性が最も高く、かつ桐霧を一撃で撃破できるほどの実力を持ち合わせた人物と言えば、誰か。

 答えはおそらく、一人しかいない。

 動揺が表情になって現れる。虚ろな瞳ながらに、桐霧は目の前に佇む人物の方へと視線を移した。

 ニィ、と。

 口元が吊り上っている。

 

「お前んとこの女王様に伝えておきな。後、第三位の腰抜けにもだ」

 

 右肩に佐倉を持ち上げると、青年は口を開く。赤紫のジャケットをはためかせ、桐霧に背を向けながら。

 その背中に六枚の白翼を湛えた垣根帝督が、女王達に宣戦布告を行う。

 

 

「佐倉を奪い返したきゃ、スクール(俺達)を潰すことだな」

 

 

 それ以上の言葉を聞く前に、桐霧の意識は闇の中に呑まれていた。

 

 

 

 

 

 




 お待たせして申し訳ありません。
 三か月ぶりの更新です。うん……感想で更新待ってくれている方々がいて泣きそうでした。こんなに待たせてごめんなさい。
 でも……「更新待ってます」だけの感想はちょっと精神的にきついです。本編についてとか、文章についてとか。そういう方面の感想をお待ちしています。批評、助言は大歓迎です。
 ……なんか久しぶりの更新なのに偉そうなこと言ってごめんなさい。
 次こそはできるだけ早く更新したいです。
 0930編も佳境を迎えつつあります。(あ、章の名前を暗部編から0930事件編に書き換えてありますのでご確認を)
 完結までもうちょっとかかりそうですが、最後まで付き合っていただけると幸いです。
 それでは。

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