鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

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……なんか今年中に大規模作戦が終わりそうに無い………………

来年受験で書く時間がさらに減る……どうしよう

とりあえず投稿します……(;_;)




大規模作戦 再会

 

12/4 16:30

船団はついに旧MSF本部に所属していた隊員たちが、

そして何より副司令であるカズヒラ・ミラーがいる島に到着しようとしていた。

 

 

目標の島は一見すると単なる無人島であり、木々が鬱蒼(うっそう)と生い茂る山があるくらいで何の取り柄も無い島、だがそこが全世界から仕事を請け負い 国家に帰属しない軍隊として、

伝説の英雄が真の英雄の理想を実現させるための思想を彼の考えで実現させるために組織し、

様々な世界の裏側で活躍を見せ、世界を救った部隊……Militaires Sans Frontieres, 通称MSF

 

その存在は陽の目を見ることは無い、だがその戦力・実績は“存在を知る者達”にとっては見放す事が出来ない存在、その本部の場所も当然ながら数多の欺瞞情報とデコイがパッケージングされ悟らせない様にしていた。

 

ある機関は南アメリカ沿岸の小屋だと、

 

別の機関はアラスカにある洞窟だと、

 

またある組織は……カリブ海沖だと、

 

それぞれの諜報機関がそれぞれの情報から本部を特定しこの軍隊を支配しようともしていた。

 

 

 

だがそれは海から来た存在…………深海凄艦によって実行不可能となった

 

 

 

各国の軍隊は自国の領土を阻止するのに躍起になり、領海の防衛はもちろん遠洋航海など実質的に

不可能になった。

また、とある組織はこの事態に対処する事に追われおもだった活動が困難になった。

 

だが諜報活動はむしろ活発化した。

深海凄艦の存在が確認された直後、日本に現れた“艦娘”という存在、

島国でありながら領海はおろか他国の防衛まで担い、アジア・太平洋の一部地域での制海権を確保している日本、そしてそれを実現している“艦娘”が唯一深海凄艦に対抗できる手段だと世界中が思った

そして各国は大使館・領事館を通じて何とか接触しようと試み、何らかの情報を得ようとした。

 

 

しかしどの国も失敗し、めぼしい情報を得ることは出来なかった

 

 

理由としては日本という国家が珍しく情報統制・彼女たちの保護に全力を出し、自衛隊基地から一歩も出す事がなかったこと。

マスコミを使い彼女たちが「いわれもない状況下で管理されている」と煽らせたものの、効果は全く無かった。もっとも基地から一歩も出なかったのは日本や自衛隊が強制的に出させなかったのではなく、ただただ忙しくわざわざ街に出て休暇を取れる程暇が無かったためで、いくら民衆を煽っても彼女たち自身がそもそも基地にいない事の方が多かったためだったりする。

 

また、日本での活動はせいぜい技術関係の情報を得るか他国の諜報機関の動きを気にする程度だったため、腕が立つ諜報員や工作員は必要な時に派遣される位で基本的には武官が1人2人各大使館に居るだけだったため、そもそも情報戦を渡り合える状態で無かった事も原因だった。

 

それでも軍事衛星などを用いた情報収集は活発化した

 

しかしそんな状況下でもこの一年間艦娘の情報が流失したことはないのだが

 

同時に旧MSFに所属していた人間がどこに行ったかもわかっていなかった

 

衛星がより使われている状況でなぜ存在が認知されなかったのか?

 

それは…………………………………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

時間を少し遡り16:00

船団はメディックことクロードによる誘導の元、島に接近していた。

先ほどまでいたであろう戦艦と軽空母はあの後、島からの砲撃で追い払ったという。

だが、戦力を整え再び襲ってくる可能性が高いため最上と三隈の指揮のもと引き続き周辺警戒を

行っている。

そして船団の司令塔である捕鯨船“平和丸”の食堂には現在、戦闘員と技術者全員、先ほどまでスネークと共に行動した艦娘10人と珍しくこの船の艦長である沖田と書記の山田がいた。

 

「全員いるな、これからの流れを確認する、大体把握してるだろうがもう一度頭に入れておけ。

特にこの船に運び込む機材は絶対に間違えるな、人員は本部の方で受け持っているらしいから俺らは限られた時間で物資の補給・機材の調整と一部改装を終わらせる」

 

そう言ってルイがiDroidで情報を映し出す。

なにやらルイが周辺海域と各隊員の名簿を取り出し指示を出していた。

 

その言っていた情報をまとめるとこうだ。

・周辺状況に変化はなし

・現状本部に給油、物資に不足はなく人員の致命的な消耗もない

・本部の物資、人員を全て載せるのには1日はかかるだろうとの事

・島には改装自動車専用船であるタンクトップ、シェーパー、チョッパーが最深部に入る

・島の外に兵員輸送船として運用するトランスシップ3隻を配備、警戒しつつ補給する

・補給や資材の運搬に関しては一旦全員が本部の班と合流しそこの指示に従う

・また島に上陸後、今後の作戦会議を各班の代表者と艦娘全員で行う事になった

 

 

「……以上だ、何か質問はあるか?」

 

「あのー」

 

そう言って手を挙げたのは白露。

先の戦闘で負傷したが帰艦後すぐに手当を受けたため今はすっかり元気だ。

 

「ん、どうしたの白露ちゃん?」

 

「いや気になったというかツッコまざるを得ないと言うか…………島の最深部って何?」

 

「いやそのままの意味だけど」

 

「……えっと、あんなでっかい船が島にしかも3隻も入るスペースがあるの?」

 

「そうだよ、貨物船10隻なら停泊できる場所が島にあってね。

中側ならもう何隻か停泊できるみたい、あと漁船くらいならドックも使える」

 

「……それ秘密基地じゃん!!」

 

『・・・確かにそうだ!!』

 

そう、某地球救助隊並みの秘密基地と化した島の中で篭っていたため宇宙からではわからないのだ

そしてその基地は技術者・科学者(己の趣味を突っ走る)精鋭が集まるMSFが軍隊として成り立っている理由でもある研究開発班の総力を結集しているため、正しく要塞と化している。

そのため嘘偽りなく、小学校低学年男子が考える〈ぼくのひみつきち〉が大人の本気によって実現ししかも運用して四面楚歌の状況を半年以上乗り切ったことを彼女たちはまだ知らない。

 

「……まあ残念だけど基地を案内する時間も必要も無くなっちゃうんだ。多分戦闘班と指令本部がある区画しかみんなは見れないと思う」

 

「他にもあるの!?」

 

「そうだよ〜クロードが言うにはマザーベースとほとんど変わりないって言ってたから射撃演習場に研究室、医務室、検査室、情報解析部、資材調達・運用区画、加工場、石油採掘場、食堂、

たぶん横須賀鎮守府くらいの広さに色んなものがひしめき合ってると思うよ」

 

『……………………』

 

この場にいる艦娘全員の口が開いて塞がらなくなった瞬間だった

 

それどころか艦長の沖田と書記の山田ですら、なんじゃそらと言わんばかりの表情で苦笑しスネークを見ていた。

そのスネークは溜息を吐き説明を続けた。

 

「あのなぁ、そうは言っても規模は小さくなってる。

確かにあの鎮守府よりは密度が高いだろうが機能はほとんど同じだ、無人島にそれがあるってだけで他は珍しくも無いからな。

それよりそろそろ島も見えるだろう、全員最低限の装備を整えておけ」

 

『了解っ!!』

 

「なら以上で解散だ。

船が停船し島の上陸が完了次第各班ごとに合流しろ、ラバウルまでは各班の班長の指示に従え!」

 

『YES、BOSS!』

 

そう答え 敬礼し、それぞれ部屋に戻り上陸準備に入った。

そして残ったのはルイとパッツィー、艦橋メンバーの沖田と山田、そしてスネークと艦娘である10人

 

「あっみんなは島に着いたら俺とBOSSについて来て。

付き添いはパッツィーがしてくれるから、そのことを他の娘にも言っておいてね」

 

『はーい』

 

「沖田さんたちは1人代表者を出してください、話し合いに参加してもらうので」

 

「なら私が行く、船の補給に関しては山田に任せる」

 

「わかりました、なら呼びに行くのでお二人は艦橋へ」

 

「そうだな、そろそろ赤松さんも寂しくしてそうだし」

 

「どうでしょう、あの新しく来た人と上手くやれてるかが心配ですよ」

 

「そうか?とりあえず戻るか」

 

「そうしましょう」

 

そう言って2人は食堂から出て行き艦橋に向かった。

しかし赤松さんがクロードと言い合っていることは無いだろう。

 

「さて、みんなは荷物は大丈夫だから心の準備だけしといて」

 

「心の準備って……」

 

「そうね、多分みんなびっくりすると思うわよ?」

 

「それって秘密基地のこと?」

 

「……それもあるけどねぇ」

 

「……じゃあパッツィー、この娘たち頼むわ」

 

「ええわかったわ、少ししたらみんなで甲板にいるわ」

 

「わかった、じゃあみんなまた後でね」

 

そしてスネークとルイも出て行く。

後ろの食堂からは賑やかな声、どうやら腹ごしらえをするらしい。

確かにこの食堂の飯は美味い、きっと彼女たちの心とお腹を満たし気分を和やかにしてくれるだろう

 

 

その声は本当に明るい、パッツィーもやり易く親しみやすい人柄だ、上手くやってくれる

 

 

「……ルイ」

 

「ロワゼルが急いで来いって帰って来てからうるさいんですよ……………行ってきて下さい、

BOSSじゃなければ意味無いんですから」

 

「……そうか、お前ももうしばらく頼む」

 

「なに言ってんですか、これでも日本支部の長ですよ」

 

そう言って笑うルイ。

いつもヘラヘラと笑っている彼だがそれは彼の一面に過ぎない、これでも伊達に責任を持つものとして立っている訳ではないのだ。

 

・自分が出来ること、自分ができないこと

・介入してはいけない禁忌が存在すること

 

それを見極めることが出来る人間だからこそ他人にも関わらず、自分の部下として、駒として扱い

指示を出し、ここまで生き残ってきたのだ。

 

「……ならお前も準備しろ、他の船の連中にも指示を出しておけ」

 

「了解ですBOSS」

 

そう答えた彼は敬礼した後、艦橋に向かうため階段を駆け上がった。

一方でスネークは階段を上がりきらず、中途半端な所にあるドアを開ける。

それは船の4階と5階の間にあり、艦橋の右下に取り付けぶら下がったかの様にある部屋へのドアだ。

 

その外から見ても狭そうな部屋に1人の通信士……ロワゼルがいた。

 

「どうもBOSS、お待ちしてました」

 

「待ってたのはお前じゃ無いだろう」

 

「まあそうですが。

このインカムを使って下さい、ボリュームはここで調節を、すでに調整は済ましてあります」

 

「わかった……すまないがしばらく借りるぞ」

 

「自分の荷物を用意するんでまた戻って来ます」

 

それだけ言い、ロワゼルは通信室から出て行った。

随分と素っ気ない対応だったがそれを気にするスネークでもなく、むしろ彼の配慮だと察しさっさと済ませる事にする。

あの無愛想な通信士の腕は確かだ、自分は何も弄らずただインカムを掛けるだけで良い。

普通の無線とは違い、話しかければ勝手に無線が開き相手に聞こえる様になっている、だから後は

自分が喋るだけで良い。

 

 

 

 

 

・・・さて何と話せば良いか

 

 

 

 

 

 

「……こちらスネーク、聞こえてたら返事をしてくれ」

 

だがまずは相手が居るかの確認だろう

相手がいなければ無線に話しかけても無駄なだけだ、何事も基本を忘れてはいけない

 

《こちらHQ、要件をどうぞ》

 

「……そっちの司令官に繋げてくれ」

 

《了解です……それとお帰りなさい、BOSS》

 

「ああ」

 

そう言って一旦無線が途切れる

 

……もっとも今日であの島に行く事になるのは最初で最期だろう

 

 

 

《ボス》

 

 

 

無線から声が聞こえた

 

 

いつも部下たちが言うような英語の“BOSS”ではない

 

 

日本語のアクセントで発せられる“ボス”という言葉を

 

 

その声をスネークはよく知っている

 

 

共に民間の軍事組織を創設し

 

 

良くも悪くもパートナーとして 信頼できる戦友

 

 

スネークは総司令として組織の士気と戦力の土台、決して揺らぐこと無い地盤だ

 

 

ならば彼は組織運用の屋台骨

 

 

しっかりとした土台の上で様々なものを支え 様々なものから家族を守る

 

 

MSFの副司令として部隊の予算・運営の中枢を担っている男

 

 

そして他の隊員と同じようにBIGBOSSに忠誠を誓う1人の戦士

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりだな、カズ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そして16:30

船団はついに南から島に接岸、侵入した。

予定通りシェーパー・タンクトップ・チョッパーの3隻は島内にある埠頭に。

貨物船3隻のうちの2隻を島の内部の港湾施設に、小型一隻をキャッチャーと共に横付けし島の出入り口とも言える洞窟の前に停泊、兵員輸送船の3隻は北・西・東に配置させた。

 

島の中にいる5隻はまだしも、残りの隻は潜水艦の脅威にさらされる。

そのため事前に停泊付近には研究開発班が製作した対潜ネットが仕掛けられている。

このネットは電磁ネットを応用したもので、兵器を抑え込める効果を無くした分強度が高く魚雷程度の炸薬量なら傷1つ付かない優れもの。

赤道より南下した場所に島はあり、まだ空爆の可能性がある艦載機に対しては島にある対空兵器

(MSF隊員)で対処、迎撃する。

 

「……ってどんだけでかい島なのよここ」

 

「何を言ってるの、どこにでもある島でしょう?」

 

「いやっ島そのものの大きさはそうだけど……」

 

島の大きさは周囲約5km、面積0.4㎢、標高約80m。

大きさそのものは江ノ島より一回り大きい位、島は形の崩れた月の様になっており南側が三日月の

様にへこみ、そこに中へ進入できる空間が存在する。

そこを抜けると中は綺麗な浜と吹き抜けになった空が見える空間が広がる。

 

・・・まあ簡単に〈○の豚〉に出てきた隠れ家になっている島を巨大化した物を想像して良い

 

そしてその吹き抜けになっている場所に貨物船3隻とスネークが乗るキャッチャーが停泊している。

その光景は隠れ家に相応しく、南の綺麗な海と島内の美しい砂浜が相まってちょっとしたリゾートに見えるのだ。

もっとも貨物船がいるおかげで台無し感はあるが、逆に貨物船が入れる程度に広いことが遠近法で

強調されているのだ。

また島の中の左右に物資を船から補給するための簡易的な港湾施設が上からは絶対に見えない島の中にある、そのため仮に空爆されても攻撃を直接受ける事はない。

 

そして浜の奥に洞窟が存在する。

その洞窟が中が極めて広い、強度は今まで艦砲射撃に耐えただけあり丈夫らしい。

 

「パッツィーさん達が居た“マザーベース”もこんな感じだったんですか?」

 

「もっと広かったわ、もっとも今はもう無くなったけれど」

 

「あっ……すいません」

 

「吹雪ちゃんは気にしないでいいの、それに私はそんなに本部に長く居なかったし。

それにまた皆に会えるんだからこっちはお礼を言わなきゃいけないんだから」

 

「はぃ」

 

「……それにしても随分良い立地ねぇ」

 

「確かに、まるでリゾートホテルでも立てそうな場所よね」

 

「五十鈴ちゃんの言う通りだよ〜。

ここは元々別荘地だったんだけど、いらなくなった所をウチが買い取ったの。

それで中継基地にしようとしてた所に深海凄艦……まっその時はまだ未確認だったから原因不明

だったけどあいつらのせいで海で事件が起きたからねぇ」

 

そう口を挟むのはマーリン。

停泊したキャッチャーこと平和丸は現在上陸するための準備が整い、他の船の隊員や船員が島の中に入るまで待機することになった。

 

要するに完全に暇な状態である

 

艦娘である彼女達も護衛する必要はなくなり、潜水艦の脅威はヘリコプターが投下したソノブイで

対処できるため、即応行動が取れるよう気を引き締めていれば自由にして良いとルイに言われたため21人全員が久しぶりに互いに顔を合わせ、甲板で和気あいあいと会話を楽しんでいる。

ちなみに金剛とその一部は遅めのティータイムを取り、残りの軽巡や駆逐艦が付添人となるパッツィーと荷造りが終わったマーリンと話している。

 

「ロシア船籍の船が沈没した辺りからこっちにある程度人員と資材を搬入してたの。

そしたらハワイで大規模衝突、それでまあ私たちも動くことになってね。一部じゃなくて大部分の戦力をこの島に動かすことにしたんだけど……その途中でマザーベースが襲撃を受けてねぇ」

 

「副司令自身はこっちに、BOSSはマザーベースに居たんだけどマザーベースにいた隊員とはバラバラになって実際BOSSは中南米に不時着したの」

 

「まあ大部分の戦力をこの島に動かしてたから致命的な消耗は無かったんだけど……それでも

亡くなった仲間も少なくないのよ」

 

『……………』

 

「……あれ、ならどうやってパッツィーさんやマーリン達は日本に来たんだい?

深海凄艦が出て来る前から日本にいたの?」

 

「まあルイやウェーバーはそうなんだけど、ほとんどはマザーベースを失った後日本に行ったわ」

 

「元々、マザーベースで収容できない位に世界各地に私たちの仲間はいてねぇ。

私たちもある場所に居たんだけどは例の大規模衝突のあと、私たちも依頼を受けてねぇ……」

 

「……ああ、僕たちのことを」

 

「そういうこと、時雨ちゃんや皆のことを世界が知りたがってたから私たちは日本に派遣されることになったの」

 

「けどどうやって?いくら僕たちがあの直後やっと動けるようになったからってどこの海も深海凄艦がうようよしてて船が出せる状況じゃなかったよ?」

 

「そりゃあ……こんな感じの船団に紛れ込んで」

 

「・・・それって不法入国じゃない!?」

 

「大丈夫よ、偽装パスポートに偽の名前、ビザまで用意してあったから」

 

「……そうだった、この人達そういう人たちだったわ……」

 

「けっけど、皆さん見た目が日本人じゃ無いですよね。

いくらなんでも市役所の人とかおまわりさんに見つかりそうですけど……」

 

「ん〜各都道府県でバラバラに帰化した国籍を作ったし、元々日本人が怖がるような面子は選ばれなかったし、そもそも警察に厄介になるような事はしなかったし、まず海岸沿いに人が来ないし」

 

「……なんか、凄すぎて何もいえません……」

 

「ちょっ名取!どこに行くのよ!?」

 

そう答えた名取はトボトボと歩き出す、そのあとを追うように五十鈴が走り出す。

五十鈴が付いていれば大丈夫だろう……きっと……多分…………メイビー

 

「なんか悪いこと言ったかなぁ……」

 

「あんたは元気すぎるくらいがちょうど良いのよ、名取ちゃんとは少し相性が悪いけど」

 

「そうなの!?」

 

「だってあなた金剛とは仲イイでしょ?」

 

「そりゃあ同室だし」

 

「……それだけかしらね」

 

そう言ったパッツィーの言葉をもとに駆逐艦娘達は想像した

「デースッ!」「ヤァー!」

「デーースッ!」「ヤァーー!」

「デーーースッ!」「ヤァーーー!」

「………………………………」

そこには訳のわからない言葉と共にテンションが高い金剛と、何故かそれに合わせて合いの手を

入れるマーリン、そしてそれを遠い目で部屋の隅で見ている吹雪。

 

・・・あっなんか吹雪ちゃんがかわいそうに思えてきた……あれぇ目が霞むなぁ

 

「ちょっとみんな?なんで私の方を見るの?」

 

「大丈夫だった?」

 

「えっ?」

 

「よく頑張ったね」

 

「えっええ?」

 

「……今日はみんなで一緒に寝よう」

 

「は 初雪まで……」

 

「なんか……ごめん」

 

「叢雲ちゃん!?皆さん!?謝るんですか?!」

 

「今日まで構ってあげられなくてっ」

 

「なんで涙ぐみながら!?別に今まで普通に接したじゃ無いですか!」

 

「これからはみんなで一緒だから……」

 

「私、いやっ一度はみんな沈みましたけどっ!なんで感動の再会みたいになってるんですぅ!?」

 

「おめでとう」パチパチ

「おめでとう」パチパチ

「吹雪ちゃん頑張ったぽい」パチパチ

「私からも称賛するわ」パチパチ

 

「白露さんたちまで!?一体どうしちゃったんですか!!?」

 

吹雪はなんとも思っていないみたいだが、他の娘なら間違いなく一週間はおろかそんな環境下で3日も自分を保つことはできないだろう、その苦労を考えれば拍手だけでは足りない。

せめて今夜だけでも楽にさせてあげたいという ささやかな気配りだ。

 

「ねえパッツィー、なんでみんな吹雪ちゃんを慰めてるの?」

 

「……何故かしらね」

 

「おーって何だこれは」

 

「気にしなくて良いわよルイ」

 

「……まあそうするか、他の船の乗組員が全員入ったらしい。迎えが来るから準備しておけ〜」

 

『はーい!!』

 

「……やっぱり慣れないなぁこの感じ」

 

「それは時期慣れるわよ、所でBOSSは?」

 

「あ〜多分もうすぐ来ると思う、とりあえず先に他の連中が乗る手筈だからそれだけよろしく頼む」

 

「あれ、ルイは先に行かないの?」

 

「ああ、もう少しやりたい事があるからな」

 

「……わかったわ、他の隊員には伝えておくわよ」

 

「ああ、頼む」

 

そう言って再び船内に入って行った、どうやら本部と無線でやり取りでもしているらしい。

すると今度は後ろにある甲板のドアが開いた。

 

「いや〜久しぶりって言っても初めてだけど本部だわー」

 

「あら、あんたが一番乗りなんて珍しいわね」

 

「確かになぁ、ていうか俺らが一番最初に上がりっていうのが珍しいか」

 

「あっティムさん!」

 

「おっ秋月ちゃん、元気だね」

 

「えっと……だれ?」

 

「マーリンさんと同じように横須賀鎮守府でスネークさんと一緒に働いているティムさんです」

 

「まぁ働いってるていうか補助って感じだけどね」

 

「ティムさんは工廠でよく夕張さんと色々してるんです」

 

「あっ技術者さんなんだ」

 

「正しくはガンスミスだけどね、まあ今更だけどよろしく」

 

「……そう言えばここの所全然見ませんでしたけど?」

 

「ああちょっと作業が必要でね、しばらく手が離せなかったんだよ」

 

「そうだったんですか」

 

「あんた、他はどうしたの?」

 

「もうすぐ……あっ来たきた」

 

そう言って後ろを見ると、中央のドアからぞろぞろと男達が現れた。

その姿は確かに隊員達が着る服なのだが、今まで一度も見たことがない顔ばかり。

それに、全員揃って工具箱らしき物を持っている。

 

「えっと……あの人達はどこから出て来たの?」

 

「そっか!みんなは機関室には一回も行ってないもんね」

 

「あの人達もじゃあ技術者の人たちなの?」

 

「今までこの船のエンジンを面倒見てたんだよ。おーい!迎えが来るまで後ろにいろってさ!」

 

『うぃーす』

 

「……本当にいろんな人が居るんですね」

 

「まっ初めて見るとやる気なさそうに見えるだろうけど、ああ見えて全員良い腕を持ってるんだよ?

こう見えて俺もちゃんとした技術屋だし」

 

「……胡散くさ」

 

「・・・はい?」

 

「イイぞぉ!叢雲ちゃんもっと言えぇ!!」

 

「……お前の銃、そう言えばそろそろ焼損で銃身交換する時期だよなぁ」

 

「…………あ」

 

「まあ俺が関わることじゃ無いから別に良っk——」

 

 

「すいませんでしたっ!!」

 

 

瞬間、マーリンは集団の一歩前に出てスッという風を切る音を立てながら90度に体を曲げる。

いわゆるお辞儀という物で、誠心誠意を持ってティムに謝罪をしているのが良く分かる。

ティム本人もそれを受け取ったらしく、ため息を吐きながらマーリンの頭を上げさせる。

 

「……はぁ、お前も懲りないなぁ」

 

「ははははは……」

 

「……まっ胡散臭いのは否定しないよ、けど傷つくからあんまり本人の面に向かって言わないで。

せめて俺の前だけでは止めてくれ、わかったかなお嬢さん?」

 

「わ 分かったわ」

 

「……ほんじゃ俺は向こうに行くわ〜、また今度なぁ〜」

 

そう言って手をヒラヒラさせ技術者達がいる船の後方にぷらぷら〜と歩いていった。

その格好はスネークと違い、全く気迫もなくルイのような何処とない鋭さも無く、ただボケェと

している様で、駆逐艦の全員の第一印象が“頼りない”だったがマーリンが唐突に謝ったことから

その印象がガラッと変わった。

 

「た、助かったぁ……」

 

「えっと……何が助かったんですか?」

 

「マーリンの代わりに教えて上げる。

吹雪ちゃん達も艤装の整備とか、壊れる前に主砲の交換とかするでしょう?」

 

「えっええ、まぁ」

 

「あのティムっていうのはガンスミス、言い換えるなら銃の専門家なのよ」

 

「専門家ですか?」

 

「そう、銃の鍛冶屋さんっていうのがガンスミスの意味なんだけどティムの場合は銃の知識と技術がとんでもなくてね、特に整備に関しては1人で何十人分の銃を1日で完璧に仕上げたりするくらい」

 

「へぇ……」

 

「言っておくけど、完璧っていうのは銃を綺麗にするって意味じゃないからね?」

 

「違うんですか?」

 

「……1つ1つの銃が全部サイトを覗いた時にズレる事なく当たるのは当たり前。

しかも使い手に合わせて癖とか好みを全部合わせてあるのよ」

 

「えっ……1個1個?」

 

「そうよ」

 

「何十人分のを1日で?」

 

「そう、しかもマーリンはその手の作業が苦手だからね」

 

「……なるほど」

 

相変わらず、ふらぁ〜と歩いているティムを再び見る。

……何処からどう見てもそんな作業ができる人間には見えなかったが、マーリンが必死に謝るあたり本当の事なのだろうと全員は思う事にした。

 

 

ちなみにパッツィーは彼女達には言わなかったが、ティムには師匠とも言えるガンスミスがいる。

その技術者は全ての銃のパーツの形状・特性・耐久度を熟知しており、本来不可能だと言われていた西側と東側の武器の交換性を実現させ、さらにジャンク品からさらに精度の高い銃を作り出すというとんでもない腕を持ち、使用者に合わせてどの様なカスタマイズが必要なのかをたった一発の射撃で見抜く事ができるという。

そんな凄腕がこの世界にはいるのだが、それはまた別の機会に触れるだろう。

 

 

「あっ!迎えが来たみたい!!」

 

『(復活するの早いなぁ(ぽい)』

 

「……あら、随分な出迎えね」

 

「私は金剛さん達呼んでくるわー」

 

「よろしく」

 

そう言ってマーリンは反対の艦首の方に向かう。

艦首の方にあるテーブルで随分と遅いティータイムを軽巡や重巡・水母と楽しんでいるだろう

 

「……あの、1つ聞いて良いですか」

 

「ええ吹雪ちゃん、どうしたの」

 

「・・・あれって明らかに車ですよね?」

 

「ええ、正しくは装甲兵員輸送車、まあ名前の通り人を運ぶ装甲車よ」

 

「じゃあ特二式内火艇みたいな物ですか?」

 

「That's not true! ですよ、ブッキー」

 

「金剛さん?えっけど水陸両用戦車じゃないんですか?」

 

「No!アレは水陸両用ではありますガ、さっきもパッツィーが言ってた様にアレは装甲車デース。

戦車の様に強力な武装はありませんガ、代わりに人を運ぶんデス。

私が生まれたBritishでもWWⅡで開発されてまシタ」

 

「……そう言えばそんなのがあったわね、英国面が前面に押し出されたやつ」

 

「……Ya」

 

「まあ私たちの車両にはせいぜい多くて20人くらいしか乗れないわ」

 

「まあ他にもゴムボートとか普通に来てるから案外早く島に行けるかもね!」

 

「そうなんですか?」

 

「まぁ気長に待とっ?」

 

「ではみんなでティータイムはどうデース?」

 

「それよりさっさと片付けた方が良いと思うわよ?」

 

「ウゥ……」

 

「なら皆さんで片付けましょうか」

 

「Oh!Nice idea デース霧島!」

 

そんなこんなで女子勢で片付ける事に。

もっとも大半が金剛の私物のためケーキスタンドを畳むくらいであとはカップをキッチンに置いて

くるだけだった。

その間に他の隊員達は次々とゴムボートと水陸両用車で島に送られていく。

フォレストは諜報班に現在は所属しているため、別の船で先に島に行った。

またウェーバーはトランクスーツを抱えた集団に混じりながらゴムボートで島に上陸した後歩いて行ったのが船の上からでも見えた。

 

「よーし、ほぼ全員降りたな」

 

「船の留守番は私と赤松さんに任せて下さい」

 

「そうは言うがよぉ〜私としては少し後悔してるぞ……」

 

「艦長が行かなくてどうするんです?」

 

「言っただろ、私は人見知りなんだ」

 

『(あれって冗談じゃ無かったんだ……)』

 

「艦長は人見知りなんじゃなくて面倒くさいだけでしょう?」

 

「はぁ……」

 

そう言って艦橋の階段から降りてきたのはルイと艦長の沖田。

どうやらやる事を終えたらしい。

 

「船には赤松さんと山田さんが残るの?」

 

「流石に空にするのは万が一の時対応に遅れるからね。

それに山田さんには物資の搬入に関してそれぞれの船と連携してもらう事になってるし」

 

「……なら早く島に行きましょうか、先にこっちのボートで行ってください」

 

そう言って近づいてきた小さいゴムボートに艦長を乗せる。

どうやら艦長は別の場所らしい。

 

「おいおい、私は人見知りなんだぞ?」

 

「問題ないですよ、そいつがあんないそいつがしてくれるんで、じゃあ後は頼む」

 

「任せて下さい、では出しますよ」

 

そう言ってボートが船から離れていく。

同時に島から大きなゴムボートがやって来るのがよく見えた。

 

「そうだなぁ……おいマーリン!彼女たちは全員いるか!?」

 

「いるよぉ〜!はいっ全員点呼!!」

 

 

「高雄です」

「摩耶様だぜ」

「秋月です」

「金剛デース!」

「霧島です」

「白露だよ!」

「時雨っ」

「村雨よ〜?」

「夕立っぽい!」

「最上」

「三隈です」

「長良です」

「五十鈴よ」

「名取ですぅ」

「千歳」

「千代田!」

「吹雪ですっ!」

「白雪います」

「……初雪」

「深雪だよっ!」

「叢雲よ」

 

 

「ほら、全員いるよ?」

 

「……一人一人の返事を聞くと結構な人数がいるなぁー」

 

「何言ってんの!私たちの方が多いじゃない!!」

 

「いやっそうだけどよ」

 

何というか……小学校?

いやとにかくこんなに女の子ばっかりいる状況っていうのがそもそも珍しい。

しかもそれが一人一人返事をして点呼を取るから早々軍事集団ではなく遠足に来た団体さんの人数

確認にしか見えない。

 

「……まあ良い、なら次のボートで島に向かうぞー」

 

「ちょ ちょっと、スネークは良いの?」

 

「Oh! そういえば見てませんヨー?」

 

「それにクロードさん、だっけ? あの人もいないけど……」

 

「?五十鈴ちゃんも金剛さんも、それに白露ちゃんも何言ってんの」

 

「何って——」

 

「後ろにいるじゃん、さっきから」

 

『・・・・・・えっ?』

 

 

 

「気付かなかったのか?」

 

「私はそんなに影が薄いのか……」

 

「まあ俺たちは出来るだけゴーストが望ましいがな」

 

「そうですか」

 

 

 

『・・・・・・・・・・・・えええぇぇぇぇ!!??!!!??』

 

「……マーリン、収拾つけて」

 

「無理かな!」

 

「おいぃぃぃ」

 

「……BOSS」

 

「・・・ほらお前ら、迎えが来たから乗るぞ」

 

「いやいやいや!一体どこから現れたのよ!?」

 

「ルイが言ってただろう、後ろに居たんだ」

 

「い いつからデスッ?」

 

「いつからってウェーバーが出て行くところは俺も一緒だったが」

 

「そんな前から居たんデスカ!?」

 

「ていうか全然気配を感じなかったんだけど……」

 

「白露ちゃんがこの人の気配を感じ取れたら一流だよ〜」

 

「そうなの!?」

 

「……まあマーリンの言うとおりね」

 

「多分どんな状況でも冷静に判断できる力が身につくね!」

 

「そうなんだぁ」

 

(((まぁその気配を感じる前にやられるんだけど)))

そう心の中で白露に語りかけるマーリン・パッツィー・ルイの3人、だが彼女にその言葉が届く事はしばらく無い。

 

 

「……そろそろ迎えが来る、ルイ」

 

「了解です、よーし皆聞いてくれ!これから本部に行くけど中は凄く広い、とにかく広い、はっきり言ってはぐれたら迷う!!だから絶対ハグれるなよ?」

 

『わかりました!』

 

「じゃあ順番に乗ろうか、マーリン!ボートに乗って彼女たちを支えてやってくれ!」

 

「了解っ!」

 

そう言ってマーリンは島からやってきたゴムボートに甲板から直接飛び乗る。

そして簡単にボートを操る隊員に挨拶すると縄梯子の下までボートを誘導し、安全を確認。

最初にパッツィーがハシゴを伝って降り、それから彼女たちをどんどん下ろしていく。

 

「はーいゆっくりね」

 

「………………………」

 

ちなみにそのままだと、その・・・彼女たちの服装のほとんどがスカートのため、ボートの操縦者が眼p……とにかく彼女たちの女性としての、女子としての尊厳がかかっているためマーリンが下で安全を確保しつつ、パッツィーがその操縦士を監視するという二段構えである。

無論、ルイやクロード・スネークは一番最後に乗る。

 

 

$「……どうでしたBOSS」

 

$「とりあえず受け入れ体制は整えているらしい、実際マロイやクロードが日本語を喋れているのはあいつが日本語教室を開いていたからだそうだしな」

 

$「……本当ですか?」

 

$「……あの人がやった方が良いと言ったからな、実際ほぼ全員日本語は話せる様になった」

 

$「すげえなぁ」

 

$「実際300人以上をたった1人で教えたに等しい、まあカセットテープをフル活用したのが大きい」

 

$「そうだったんですか……で、他は?」

 

$「今のところ別動艦隊に関する情報は無いらしい、もっとも相当なことが起きなければ艦隊そのものから情報は発信されんだろうからな」

 

$「願わくはそのまま俺たちが日本に帰るだけで済めば良いんですけど……」

 

$「どうだかな、それより今は俺たちだ。

詳細に関しては島に着いてから詰めると言われた、その時彼女たちを全員連れてな」

 

$「全員ですか……それはまた」

 

$「それなりのやり取りをするって事だろうな」

 

$「……おそらく副司令としては“依頼”の件をどうするかが一番重要な事でしょう。

もっとも俺はBOSSの考えについてとやかく言うつもりはありませんが」

 

$「しかし副司令の事ですからね……こちらの利益も無いと厳しいんじゃ」

 

$「……まぁどうにかなる」

 

「BOSS!全員乗りました〜!!」

 

「乗って下さい」

 

『わかった』

 

最後まで残った3人がそう答えて甲板から飛び降りる。

男3人 しかもゴムボートが落下地点なら結構な被害が出るはずなのだが、3人とも静かに着地しボートが弾むこともなく、ただの地面に着地したかのように何事もなく立ち上がった。

本来ならボートが揺れそうな物だが揺れる事も一切なく、ただ浮かんでいた。

 

「……あんた達、本当に何者なの?」

 

『人間だが?』

 

『………………』

 

この場にいた全員が思った、((((((((((んなわけがあるか))))))))))と。

BIGBOSSと呼ばれた男、接近戦で蛇と渡り合うメディック、意外とスペックが高いルイ

普通できない事を平然とやってのけた3人にそう突っ込んだ。

 

「全員乗った、出してくれ」

 

「……了解しました」

 

同じく突っ込みを入れていた操縦士もスネークの言葉に答えボートを出す。

ゴムボートは直進した後すぐに右にターンし浜を目指す、そしてその先にある本部を目指す。

 

「ボートが着き次第BOSSは俺が案内します、ルイは彼女達を案内してやってくれ」

 

「おいおい、俺はここ初めてだぞ?」

 

「彼がナビゲーターをやってくれる、問題無い」

 

「わかった」

 

「…………ルイ、しばらくあいつらの面倒を頼む」

 

「……了解しました、誠心誠意務めさせて貰います」

 

「まあ心配いらないさ、少なくとも最悪の事態にはならない」

 

「今のところはな……そうならないためにも俺がどうにかする」

 

「そろそろ着きます!」

 

「……ならBOSSは俺とついてきて下さい」

 

「ルイ、頼むぞ」

 

そう言って真っ先にスネークとクロードが浜に乗り上げながら進むボートから下り 同時に走りだす

その速さは異常で、100mを13〜14秒台をキープしたまま遠ざかっていく。

足元は砂で海水も混じりあまり速く走ると足元を取られかねないのだが、そんなことお構い無しに

猛スピードで洞窟へ向かっていった。

 

「……さぁて皆はゆっくりと降りてね、別に急ぐ必要ないから」

 

「えっと……あの2人は?」

 

「BOSS達はどうせ打ち合わせだよ!」

 

「あっそういう事ですからか」

 

「そういう事そういう事!ほら足元気を付けてねぇ〜」

 

そんなこんなでマーリンを先頭に艦娘が続き、中にパッツィーが混じり一番後ろをルイ。

何となくそんな感じで並び洞窟へ向かって歩いて行く。

 

「……おいマーリン」

 

「なーに!」

 

「……お前道わかるのか?」

 

「・・・あっ」

 

「……すまんけど、案内頼むわ」

 

「了解しました、皆さんこちらへ」

 

「……………」

 

マーリンが黙り、代わりにボートを操縦していた隊員が先行する。

それに続いて団体はぞろぞろと洞窟へ進んで行く。

 

「あんた……元気なのは良いけど皆を巻き込まないでよ」

 

「すいませーん……」

 

「それがマーリンさんらしいですけど」

 

「本当ね、みんなおかげでついて行くし」

 

「……頼もしい」

 

「……ありがとねぇみんな」

 

「いえ、私が思った通りですし」

 

「けどちょっと早とちり過ぎるよねー」

 

『深雪(ちゃんが)言うなっ!!』

 

マーリンは吹雪達に励まされ回復。

そんなマーリンに茶々を入れようとした深雪は他の姉妹から見事な総攻撃を受けた。

ちなみにパッツィーは金剛や高雄らと話し、ルイは後ろで五十鈴達の相手をしている。

 

「……ところで随分狭くないですか、この洞窟」

 

「確かに……他の人が居ないけど?」

 

「みんなに私言ったでしょ?ここは秘密基地だって」

 

そんな会話をしているうちに目的の洞窟に入った。

……が、叢雲が言った通りそこに人がいない、一応明かりはあるが施設が沢山あると言っていた割にはそもそも洞窟が狭く、そんなに奥域が無いように感じた。

実際、ある程度進んで行くと行き止まりになった。

 

「まあ予想通りだわな」

 

「ええ、これ確実に頑張ってるわね」

 

「全く……うちの技術班は本当に驚かせてもらう」

 

「えっと……ルイさん?」

 

「すまんが引き続き案内頼む」

 

「わかってます、皆さんそこで待っていて下さい」

 

そう言った案内人は真ん中に全員を立たせると、そのまま洞窟の行き止まりとなっている岩壁に

突然その壁に手をペタッと貼り付ける

 

「What are you doing? ドウしたんでカ?」

 

「金剛、驚かないでね」

 

「どうしてデス?」

 

「……見てれば分かるわ」

 

すると突如壁から液晶が現れた。

しかもその液晶は案内人を包むかのように現れ、青い光でスキャンしている様だ。

 

《All infor conformity, another people recognition who guest. Standby……Standby……all clear. Please threw this way.》

 

そのまま機械音声が答えると単なる岩壁が、スシャァという機械音と共に横にスライドした。

そう、もうすでにこの島は人の手が加わっているのだ。

 

「先に入って下さい、私が先に入るとドアが閉まるので」

 

「だってさ、ほらみんな入ったはいった!」

 

マーリンが勝手に突如開いたドアにポカーンとしている彼女達を追い立てる様にドアを通させる。

いくら彼女たちでも、自動ドアを見るのは初めてだったのだ。

そして中にはまるで研究所の様に真っ白なタイル(の様なもの)で綺麗な通路があった。

 

「全員入りましたね、では奥に」

 

「ちょっえ、何これ……」

 

「言ったでしょ?ここは秘密基地だって」

 

見るもの全てが摩訶不思議に見え、あたりをキョロキョロ見る彼女たち。

もっとも、この通路にはすごく綺麗な白い通路と蛍光灯しか無いのだが。

 

「さあ入って」

 

『……………………』

 

更に奥に突如病院にありそうな広いエレベーターが現れた。

恐らく夕張がここにいたら

「レーザーとか出てきませんか!アリスとかが壁を蹴ってジャンプしたりとかしてません!?」

とでも言いそうだ。

MSFは決してアン○レラの様な組織ではありません。

 

「……ルイさん、この子達にこの施設の説明は?」

 

「いいや全く、ていうか俺も詳しくは知らないし」

 

「なら到着するまで簡単に説明します。

皆さん知ってるとは思いますが、ここはMSFと呼ばれていた組織が現在本部として利用している要塞です、概要としては島の上部に対空兵器を配備し周辺の海上をモニタリング、また対潜ネットも広げてあります。また、この島は書いて火山が大昔噴火したことで隆起したことでできた島のため強度は十分、戦艦の砲撃にも耐えます」

 

「まるで昔の……」

 

「ええ、旧日本軍が太平洋諸島での防衛戦で天然の洞窟などを使用したのと発想は同じです。

もっとも私たちの場合は補給が外部から得られないので自分たちで自炊出来るようにしましたが」

 

「という事は食糧の確保は出来ているんですか?」

 

「ええ、水耕栽培でレタスやトマト・フルーツ類 小麦は最低限確保出来てます。

また飲み水も海水をろ過して確保してます」

 

「本当に秘密基地なんですね……」

 

「はい、また全ての施設を地下に設置してあります。

皆さんには今、地下100mほどにある司令部フロアに案内します、そこでカズヒラ副司令やBOSSと会う手筈になってます」

 

『地下100m!?』

 

「この本部の大半は島の地下、ほぼ海中に存在してます。このエレベーターもすでに海の中です。

もっとも構造上、海中をお見せすることは出来ませんが」

 

「ていうか100mも潜ったらほとんど暗いと思うけどな?」

 

「揚げ足を取らないでくださいよルイさん」

 

「ワルいわるい」

 

チーン

 

「……着きました」

 

そしてドアが開く

 

そこには……人がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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本部に属す精鋭達300名、そして今回船でやって来た隊員達約100名

 

計400名以上の隊員が整列し前をただ向いていた

 

 

彼女たちがエレベーターから降りた場所はその後ろ、彼らを上から見下ろせる通路上だった

 

下は広場の様に広い

 

下にはズラッと並んでいる隊員達、誰1人乱れていない

 

彼女たちそれぞれの鎮守府では一個中隊規模、約200人が毎朝国旗掲揚のため整列する

 

しかしここまで綺麗かと言われればそうだと二つ返事は出来ないだろう

 

それ位この整列には迫力があるのだ

 

彼女たちはこの場所が地下空間だという事を忘れて

 

下に広がる光景に目を奪われた

 

 

 

「ちゅうもおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉく!!!!!」

 

 

ザッッ

 

 

400人が一斉に姿勢を正す

 

体を正すというその僅かな動作に音が付く

 

その音は当然彼らの上で観ている艦娘たち

 

 

 

そしてその上で全員を眺めている2人にも届いていた

 

 

 

「敬礼ッッ!!」

 

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

 

一旦訪れる静寂

 

下の隊員達はもちろんルイやパッツィー、付き添いのマーリンや案内人も敬礼している

 

それにならって軍艦とはいえ軍属である彼女達も海軍式の敬礼をする

 

すると正面上にある高い建物(と言っても地下にあるが)様なものから男が1人現れた

 

その男は彼女たちがいる場所からでも金髪にサングラスをかけているのがわかった

 

「全員よく聞いてくれ、ついに俺たちのBOSSが戻って来た。

今からBOSS直々にここにいる全員に向けて話がある、心を持って聞いてほしい」

 

そう言うと彼は見えなくなり、代わりに見慣れた男が現れた

 

「……久しぶりだな」

 

ザザッッッッ

 

「楽にしてくれ、もっとも今から俺が言う事は俺たち……いや世界にとって重要な事になる」

 

 

そう言うと隊員たちは休めの形に

 

それでも気は張ったまま上にいる自分たちのBOSSを見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まずこの300日間、俺はお前達の力になれなかった、お前達のそばに居られなかった。

家族として信用しているお前達に無理な負担をさせたのは俺の責任だ、すまない。

 

だが今この世界は冷戦とは関係なく平和とは言えなくなった。

俺たちの稼ぎも、マザーベースも、仲間や家族も犠牲になった。

太平洋に浮かぶ島や大陸沿岸部のほとんどから人が消えた、それはお前達を置いていった300日たった今でも変わらない。奴らは……深海凄艦は全てを変えた、

 

俺たちを

 

国を!

 

世界を!!

 

……奴らは全てを変えた、それをお前達自身よくわかっているはずだ。

だがここにいる俺とってお前達の存在は変わっていない、お前達は戦士であり家族だ。

そんな家族からの助けを俺は無下にしない、カズも同じだ。

そして俺は彼女たちの手を借りてここまで来れた、お前達の後ろにいる彼女たちのおかげでな」

 

そう言われ下に隊員達は自分たちの上にいる艦娘たちを一斉に見上げる

 

「……俺たちは国家に帰属しない軍隊だ、俺たちは国を 母国を 故郷を捨てた。

俺らには後ろ盾は存在しない、だから自分たちの身は自分たちで守るしか無い。

だが俺たちの後ろには何も抱え込んでいない訳じゃない、武力を行使するにはそれ相応の責任と覚悟の元に世界を相手にする。

俺はお前達に言った、力の無いもの達のための抑止力に俺らはなると、

俺たちの存在意義は時代が判断する、時代が必要とすれば俺たちはしつこく存在し続け そうでなければ世界そのものが俺らの事を排斥すると。

 

 

だが今の世界はどうだ?

 

俺たちは必要とされているか?

 

依頼人はいるか?

 

 

 

……確かに金を出してくれるクライアントはいない、

だが俺たちの力を必要としているもの達が少なくともいまお前達の近くにいる。

俺は彼女たちから“依頼”を受けた、内容は俺たちの輸送を引き換えに彼女たちの仲間を“全面的”に支援してほしいという内容だ。

俺個人としてはこの依頼を引き受けたい、だが“全面的な支援”を実現するにはお前たちの力が必要だ

俺たちの存在価値は歴史が判断するだろう、だが訳のわからない連中から勝手に駆逐されるのをただ傍観する気に俺はなれん。もし奴らの目的が俺たちの存在を否定しているなら俺は全力でそいつらに立ち向かいたい、関係の無い場所でただ廃れる気は俺には無い。

 

それでも俺1人ではどうする事も出来ない、だからお前たちの力を借りたい

 

……これはお前たちのBOSSとしてじゃない、1人の傭兵として仕事を“紹介”している。

当然この島からは全員撤退する、だがその後はお前たちの自由だ。

お前たちが望むならユーラシア大陸に行く手筈も俺が整える」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それで彼の演説……いや、言いたいことは言い終えた

 

 

家族だから助けに来た

 

だがその後は隊員達が個人で決めることだ

 

それが全隊員を束ねるMSF総司令でもあり、1人の戦士としてスネークが判断した結論だ

 

彼の話が終わるとその場は静かになる

 

同時に緊張が空気を支配する

 

 

 

それを破ったのは再び上にいる男からだった

 

 

 

「全員聞いたな!俺たちのBOSSは奴らに、深海凄艦にただ好きにやられる気は無いと言った!

そして俺らに力を貸して欲しいと言った。

俺たちはたかが一端の傭兵だ、戦争屋としてしか生きる術が無い。

 

だが俺たちはBOSSに忠誠を誓った!

 

俺たちは1つだ!

 

BOSSの意思を俺たちが助けないで何が出来る!

 

俺たちが為すべきことはひとつ!違うか!?」

 

 

 

「…………そうだ、俺たちが今ここにいれるのはBOSSのおかげだ」

「俺たちもBOSSのために役立てる」「俺たちが動かないで誰が動くんだ!」

「それに他にやることも無いしな」「言えてる、それにただ放浪するのは逃げるのと同じだ」

「副司令の言う通りだな」

「……俺は決めたぞっ!」「俺もだ!」「俺もっ!」

「何言ってる……皆最初から決まってるだろ?」「あぁそうだ!」

「俺たちはBOSSについて行く!」

 

「BOSS!」

 

「「BOSS!!」」

 

「「「「俺たちのBOSS!!!!」」」」

 

「……BOSS」

 

「BIG BOSS」

 

「「「BIG BOSS」」」

 

「「「「BIG BOSS!」」」」

 

「「「「「BIGBOSS! BIG BOSS!」」」」」

 

「「「「「「「BIG BOSS! BIG BOSS! BIG BOSS!」」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「「BIG BOSS!BIG BOSS! BIG BOSS!」」」」」」」」」」」

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……スネークは彼らがやさぐれているか戦いから離れようとしているだろうと思っていた

 

 

だがそれは杞憂だった

 

 

彼らの決心などとっくに決まっていたのだ

 

 

自分たちのBOSSがわざわざ協力してくれと言ってきた

 

 

それを断ろうと思う隊員がこの場にいる訳がなかった

 

 

大豪声をスネークの隣で聞いているカズヒラ・ミラーもそれは一緒だった

 

 

「……全員覚悟はいいな?」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「ハイッ!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

スネークは再度眼下にいる全隊員に聞く

 

その答えはその返事で十分だった

 

・・・なら後は動かすだけだ

 

 

「なら決まりだ!俺たちは艦娘の全面的な支援に入る!!

各班長は30分後ブリーフィングルームに集合、各員は事前に決められた通りに行動しろっ!」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「YES BOSS!!」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

覚悟は出来ている

 

 

相応の計画も立ててある

 

 

そしてGOサインも出た

 

 

なら後は自分たちが動くだけだ

 

 

《各員に通達、各班長は30分後ブリーフィングルームに集合せよ繰り返す——》

 

「よしっ全員よく聞け!俺たち戦闘班はこの島を出るまでの警備と運搬だ!!

AとB分隊は地上で対空警戒に就け、C・D・Eは諜報班フロアから——」

 

「俺たちは機材を全部取り付けるぞ〜ここが俺らの腕の見せ所だ!!

全員決められた船に乗船次第作業に入れ、17:00には乗船しておけ、何かあればすぐに呼べ」

 

「我々は各船に医薬品と医師の配置を、医療機器は技術班が自分たちの船に運び入れるので問題

ありません、全員のカルテは処分——」

 

「まず先に食料を船に配る!

とにかく暇な奴がいたら手伝いをさせろ、あと島にいる間も一回は食わせた方がいい。

ここでの最後の飯だ、気合入れろ!!」

 

「とりあえずこの島に残すものは一切ない、やる事をやれ。

30分後のブリーフィング用の資料は用意してある、それと情報分析は引き続き行え。

今後の天気は——」

 

それぞれの歯車が噛み合わさり働力を全体に伝えていく、その働力はただ1つ

 

 

BOSSのために

 

 

彼らを支えるにはそれだけで十分だった

 


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