鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

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投稿遅れてすいませんm(_ _)m

次回分のお話は現在作成中です、三週間ほどお待ち下さい(._.)

✳︎えー今更なのですが12/20に2話分も欠損している箇所が発覚いたしました……

現在、《宴会》の前と《対空訓練》の後の中間の話が抜けおりましたのでそちらを最新話にしています。
しかも伏線成分を含んでおりますのでお手数ですが《対空訓練》の後である《反省》と
明日投稿する《意見具申》を読んで頂けると幸いですm(_ _)m

また、大規模作戦に関しても今週5話ほど投稿いたしますのでご容赦下さい





大規模作戦 contact

14:50 目的の島から北東約60kmのところに輸送船団は位置していた。

現在船団は島を中心に周回する航路を取っており、円を描くように航行している。

そしてこの船団を指揮する一隻の捕鯨船……その食堂では作戦会議が開かれていた。

 

《……んで、BOSSは行ったのか?》

 

「ああ、20分前に軽巡2隻、重巡2隻、駆逐艦4隻、あと水母2隻を連れてな」

 

《BOSSを止める…………なんて無駄か》

 

《だろうな、それに俺らの中でそんな手段を取れる代わりは居ないしな》

 

「そういう事だ」

 

《それで内容は?》

 

 

iDroidを介して作戦会議に参加するのは

・輸送船であるトランスシップワン、トランスシップツー、トランスシップスリー

・自動車専用船を改装したタンクトップ、シェーパー、チョッパー

・貨物船であるジェネラル ワン、ジェネラル ツー、ジェネラル スリー

計9隻に搭乗している各代表者数名、

そしてこれら9隻を束ねる改造捕鯨船 平和丸に乗る指揮官……いや、分隊長であるルイに加え平和丸に乗っている全ての戦闘員、そして通信室に籠っているロワゼルがいる。

 

ここで突然出てきて誰だよと思う方にも説明しよう、

彼、ロワゼルはティムと同じく研究開発班上がりの諜報員。

彼は研究開発ではなく専門的な技術を持つ技官で、彼の場合は通信機器やレーダー調整に長けている

これまでも艦娘用のインカムのセッティング、

南西諸島沖での日本の情報の更新、さらに現在、本部との通信を試みてもいる。

言うのは簡単だが海上で深海凄艦による原因不明のジャミングの中 通信を行う技術は中々の物、影ながら本作戦を支える重要な役回りを請け負っている隊員だ。

 

 

「まず現状だが船団全体の残存燃料は27%、仮に過剰分を分け合ってもラバウルから200km沖で漂流することになりそうだ」

 

《だろうな、タンカーは足かせになるからって理由で居ないからな》

 

《もっともあの副司令の事だ、必要なら用意するように要請やら根回しやらしてるだろう》

 

《……だがBOSSがそれに関しては解決してくれると信じるしかない》

 

「その通りだ、俺らがすべき事は別だ」

 

「ああ、長良ちゃんが言ってた依頼ね」

 

「何だマーリン、知ってたのか?」

 

「その長良ちゃんが先からあっちこっち走り回ってたからね」

 

《……おいおい、まさかBOSS個人が依頼を受けたのか》

 

「そのまさかだ、そのための作戦会議だ」

 

《大方、彼女たちの支援ですか》

 

「ああ、それも“全力で” だ」

 

《…………なるほど》

 

《そのための会議ですか》

 

《いつ振りだぁ?戦闘だなんぞ》

 

「おーい気が早えぇよ、まだ戦闘をおっぱじめるなんて決まってねえから。

そもそも誰と戦う気だお前ら?」

 

()()()()()()() () ()()()()()()()()()()()()() () ()》》》》》》》

 

「……まぁそうかも知れんが、とりあえず落ち着け。

まずは戦力状況の整理、武器・弾薬 、それと増援が見込めない場合の対策だ」

 

『了解っ』

 

そう答えると彼らは自分の仕事を迅速に……というより勝手に割り振り始める。

彼らもただ守られているだけでは体がむず痒かったらしい、話はトントン進む。

 

《なら俺らは対空警戒に当たるか、対空機関砲も積んでるしな》

 

《こっちはアンチマテリアルはあるが……あいつらに効くかねぇ》

 

《それも含めた話し合いだろうに》

 

「ならさっさと決めて準備に取り掛かる——」

 

 

 

《ビーーービーーービーーービーーービーーービーーービーーーーーーーーーーーーー》

 

 

 

だがその話し合いのリズムは警笛音によってかき乱された

 

同時に全員が臨戦態勢に入り体を動かす準備を始める

 

「っ状況!!」

 

《対空電探に感ありですっ!数は不明ですがこっちに向かって来てます!!》

 

「それは敵機か!?」

 

《いま僕の瑞雲がそこに向かわせてる》

 

「なら方角と機数がわかり次第逐一報告してくれっ」

 

《わかりました!》

 

「全員聞いたな!?今は俺たちの身を守る!何としてもBOSSが戻ってくる場所は確保する!!

各自即応態勢、対空警戒及び対潜警戒、場合によっては各船による武力の使用も許可する!」

 

『了解っ!!』

 

一旦iDroidの通信は切れ、各船の担当者は各船の指揮官として戦闘準備に入る。

食堂内にいた隊員も慌ただしく、それでも綺麗に出て行き各自の持ち場に着く。

その間にも警戒に当たっていた艦娘、特に防空駆逐艦である秋月から無線越しに情報が上がってくる

 

《現在、不明機はそれぞれ船団の東側と北東部から約50km程を恐らく……時速200km位で航行

してます》

 

「時速200km……随分遅いなぁ、深海凄艦の艦載機はそんなに遅いのか?」

 

《いえ、どんなに遅くても300kmくらいはあります。それと機数は不明です》

 

「そんなに機数が多いのか!?」

 

レーダーに映っているのにも関わらず機数が不明

それは詰まる所、数える術が無いほどの機数である事を本来なら意味する

 

《いえっそうじゃ無いんです、というか私も少し戸惑ってまして……》

 

「おいおいここで怖気つかれちゃ——何か変なのか?」

 

《……まずここまで接近された事です。

海面ギリギリを飛んでいたとしても深海凄艦の艦載機は私の電探なら100kmから確実に探知できます

それなのにここまで接近されたのは初めてですそれに加えてこの不明機……どれも妙に反応が大きいんです》

 

「反応が大きい……爆撃機か?」

 

《いままで観測されてませんがそうかも知れません、だとしても反応が大きいんです。

けどっそんなに大きい機体ならもっと早く探知出来ていてもおかしく無いんです。

それに加えて私たちの電探はスコープですから……》

 

「波からじゃ機数がわからないか……ならこっちも呑気にしてられないな。

わかった、確か最上さんの水上機が接触しようとしてるんだよね?」

 

《はい、すでにこの事は最上さんに伝えてあります。

反応からして何百機もいる事はありえませんが警戒するように言いました》

 

「わかった、何かわかったらよろしく」

 

《はいっ!》

 

「全員よく聞け、現在不明機は北と東に展開している。

それと彼女たちのレーダーの反応からして未知の爆撃機の可能性がある、以降全ての兵装の使用を

許可する、絶対に爆撃させるな」

 

()()()()()()()》》》

 

 

こうして輸送船団はスネークがいない中、分岐点に立たされる事になった

 

 

誰もこの不明機が彼らにもたらす物がどれほどの物か知る由も無く、一抹の不安を背負いながら

 

 

やがてやって来るであろう東と北をそれぞれが睨んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈同時刻、同海域にて〉

 

一方、そのスネークは10人の艦娘を引き連れ目的である島に向かい、現在はその島から北西40km過ぎの所にいた。

スネークの予想では一般の戦艦の最大射程である30km前後から何らかのトラップが仕掛けられていると考えていた。

そんな海域に無闇に鈍足である輸送船、ましてや民間人を突っ込ませる訳にはいかないため掃海も

兼ねてスネークは島の状況調査……という名の偵察を行う事に決めた。

 

五十鈴を旗艦に名取・白露・時雨・村雨・夕立が先行しながら高雄・摩耶・千歳・千代田そして

スネークが後ろに連なり、全体として広がった複横陣を取りながら航行していた。

 

「……静かね」

 

「そうだな」

 

「今の所潜水艦は見えないわよ、もっとも罠は空からじゃ全然見えないけれど」

 

「だが警戒してくれ、すでに40km圏内にはいる、何が起こるかわからん」

 

「そ そう」

 

「摩耶、電探に反応は」

 

「あぁ 別に……無いな、今の所空襲の心配は必要無い」

 

「……………」

 

そう言ってスネークは黙り全神経を集中させる。

海中にあるであろうトラップの作動を感じ取るためだ。

彼の天性の才能と経験によって得られる研ぎ澄まされた集中力はたとえ戦場でステルス迷彩を使っていたとしてもその相手の居場所を悟るほどのものだ。

 

そしてその集中力をいつでも引き出す事が出来るのも彼が生き延びてきた理由の1つとも言える。

そんな中で、周りでスネークを護衛している艦娘たちは戸惑っていた。

 

〔な なんか気まずいね〕

 

〔ここまで空気がピリピリしてるのを感じるからね……〕

 

〔私、さっきの言葉ちょっとたじろいたもの〕

 

〔夕立はちょっとビビッてきたっぽぃ……〕

 

〔夕立は普通にビビっただけでしょ?〕

 

〔そんなことっ……無くは無いぽい〕

 

〔……まぁ私も少し身震いしたけどさ〕

 

それは駆逐艦の4人も同じで、4人全員近くに居る事とスネークから距離もあるという事もあり

こそこそと先ほどから話をしていた。

 

彼女たち4人と軽巡である五十鈴と名取が先行している訳は掃海のためだ。

未だに機雷等は見つかっていないが、そもそも単純な機雷がただプカプカ浮いてる訳が無いのは

想像出来たため、念のために掃海具を装着しているものの むしろ何らかのトラップを作動させてしまう可能性もあるため今は使用しておらず、また4人は水中聴音機も今回は装備していない。

 

結果的にいま4人は電探と周辺を警戒する以外やる事が無い。

このような事は遠征でもよくある事で、この様にお互い喋りながら気を紛らわし時間を潰しつつ

集中力を切らさずに周りを警戒する事には慣れていた。

もっともいつもの遠征と違い、状況は乗組員の生死に直接関わり 護衛である自分たち自身も下手を

すれば敵主力とかち合う可能性もある。

さらに後ろからは蛇が睨んでおり、いつもの様にお気楽に とはいかない。

事実、別に悪い事をしてる訳でも無いのにコソコソと話しているのが証拠だ。

 

〔僕もあの言葉にはちょっと……ね〕

 

〔あれ珍しいね、時雨が威圧されるなんて〕

 

〔威圧っていうか……なんか別の物を感じたよ、というより未だに後ろから感じるけど〕

 

〔あの金剛さんですら構えてましたからねぇ〕

 

〔……なんで村雨は少し上から目線なのさ?〕

 

〔そんな事無いって〕

 

〔ふーん〕

 

〔……そう言えばスネークさん達の仲間ってどんな感じっぽいかなぁ?〕

 

〔どうしたの、いきなり?〕

 

〔みんなは気ならないっぽいの?スネークさんが助けるっていう仲間のこと〕

 

〔あぁ……気にならなくは無いけどさぁ……〕

 

〔?〕

 

〔……関わったら消されそうです〕

 

〔えぇ〜?夕立はそんな風には見えないっぽい……〕

 

〔まぁ気にならないって訳じゃ無いけどね〕

 

〔……じゃあさ、どんな人たちか想像してみない?〕

 

〔……スネークさんの仲間のことっぽい?〕

 

〔そうよ〕

 

〔〔〔うーん〕〕〕

 

村雨の提案を合図に白露・時雨・夕立が唸る。

そして数秒後、彼女達が得た結論は………………

 

〔ゴツい〕

〔つよい〕

〔コワイ〕

 

〔……どれもネガティブよねぇ〕

 

〔どうせ村雨もそんな感じでしょ?〕

 

〔……まぁそうよ、あんな得体の知れない人の部下なんて得体が知れない訳で〕

 

〔……その日本語正しいっぽい?〕

 

〔言いたい事は……わかるけどね〕

 

艦娘である彼女達は元はと言えば軍艦であり、現在も形としては軍属として深海凄艦と戦っている。

そして彼女達のほとんどは言葉の通り一度海に沈んでいった、つまり一度死んでいる。

そんな彼女達は艦娘としてまた海で戦いにその身(艦)を投じているわけだが、一度死んだ事がある彼女らは早々怖気付く事は無い。

もちろん緊張はするが、それでも精神面で追い込まれるほど柔なメンタルは持ち合わせていない。

 

だが、さっきのスネークの言葉にその場に居合わせた全員が威圧されたのだ

 

駆逐艦の4人も当然ながら、主力としてこの1年はもちろん 様々な海域を縦横無尽に駆けずり

回り、

戦場を切り抜いてきた戦艦金剛・霧島ですら自然と身構えた。

13人もの艦娘に囲まれた状態で突然 あろう事か1人の人間が彼女達にそれほどの圧力をかけたのだ。

 

似た様な経験が今までに無いと言えば嘘になる。

何せ先の大戦の後半で彼女達が置かれていた状態のほとんどが八方塞がりで、

圧倒的な物量と戦力の差の前に抗うのが彼女達と彼女達に乗った乗組員の運命で、

戦闘では当たり前の様に全力でぶち当り、最後は…………様々なもの の想いを乗せたまま海に没した

 

その時、種類はあれど背筋が凍る様な思いをしただろう。

だがそれは命のやり取りの中で感じたものだ、実際その後沈んでいる。

それに加え当時はそんな事を考える余裕も状況も許されなかったが……どうにもならない戦場だった

そんな状況下での戦闘でなら見えないプレッシャーは当然感じる。

 

だが先ほどの威圧はそれと同等……それ以上のものだった

 

言い方はおかしいが、人数でも立ち位置でも艦娘の方が有利だった。

周りを囲み人数差もあった、例え彼が化け物じみた兵士だろうとも無理やり拘束する事も不可能じゃなかっただろう、むしろスネークの方が多少なりとも緊張していたはずだ。

 

それなのに周りを囲んでいた全員が威圧され 怯んだ

 

何故かはわからない

だがその瞬間、何か見えないものに飲み込まれる様な感覚に襲われたのだ。

その後はすぐに出撃となり、スネークは水上バイクにまたがり彼女達も急いで艤装を展開し現在に

至るが、それ以降誰も形式的な会話以外スネークと話していない。

いや、出来ないでいる。

 

〔あの人って何者なんだろうねぇー?わざわざ危険な海域に私たちを連れてまで自ら出向くなんて〕

 

〔正気の沙汰じゃない……とまではいかないけど、そんな事を平然とやるなんて僕は信じられない〕

 

〔五十鈴さんや摩耶さんも同じだと思うわよ?

普通に考えて思いつくことじゃ無いし、そもそも思い付いてもやろうとなんて思わないわよ。

それが指揮官ならなおさら〕

 

〔……実はバカっぽい?〕

 

『……………あるかも』

 

夕立のまさかの結論に姉妹全員が納得した、納得してしまった。

普通は考えつかないことを平然とやる指揮官……それは単にお頭が足りて無いのでは?

そんな思考が彼女達の頭の中で制圧された。

 

《ぁあ……言っておくが前で航行してる駆逐艦4人、全部聞こえてるぞ》

 

『・・・えっ?』

 

《俺が考えなしみたいに聞こえるんだが?》

 

『…………………』

 

この時4人を襲ったのは寒気か、殺気か、絶望か

 

何がどうなったのかわからないが、4人は一斉に黙って顔を青く染め震えだした。

 

その姿はまるで寒さに震える子犬でした、と後に隣で航行していた名取は語った

 

《……いや、気にしなくていい。

海を渡っているだけで集中力を切らさずいろと何ぞ言わん、変に緊張してもらっては困るんだが》

 

《いやっその他愛の無い話を全部聞かれてる身からすればちょっとした恐怖だぜ……》

 

《そうですよ、ましてや年頃の女の子なんですから、そういうのは結構デリケートなんですよ?》

 

《というかその距離からよく聞こえましたね?》

 

《……まさか盗聴!?》

 

《ちょっと千代田?なに人聞きの悪いことを言ってるのぉ?》

 

《いやっだって!》

 

《……普通に聞こえただけだ、戦場では五感から得られる情報は貴重だ。

どこに敵が 味方がいるか、何をしているのか 考えているのか、自分がどうするべきか。

あらゆる状況において情報は重要だが、その場の状況を理解するにはその場にいる人間がどんな人間かが何よりも重要な情報だ。

例え難しく無い任務でも、敵が優秀なら自分の取るべき行動は変わってくるからな》

 

《……だからってその地獄耳は驚異よ》

 

《だが役に立つだろう?》

 

《そうだけどっ》

 

《…………それに俺もただ単に人の話を聞いてる訳じゃ無い》

 

《どういう事よ?》

 

《……全員俺の合図と同時に舵を切れ、お互いぶつかるな》

 

《ちょっと?どういう意味?》

 

《すまんが説明は後だ・・・よし切れ!》

 

そう言うが早く速度を上げ右に舵を切る

それに連られて他の艦娘も舵を切った

突然の事ではあったが流石に練度も高く、誰もぶつかる事なく舵を切った

 

切ったは良いが・・・

 

《……何も無いわよ?》

 

《どうだかな》

 

《何を言って——》

 

 

 

ドガアアアアアァァァァァァァァァン

 

 

 

《…………なにアレ》

 

今までに見たことが無い光景を見て誰1人喋らなかったが、最初に復帰したのは千代田だった。

何せ突如先ほどまで直進していれば居たであろう海が“消えた”

正しくは一瞬海に“穴が空いた” しかもご丁寧に自分たちの陣形通りに10個の穴が出来た

 

白い柱を立たせながら出来たそれは大きな波もついでに作り、また海に戻っていった。

だがもしそこに自分たちが居れば……恐らく海と共に戻って逝ったに違いない。

そして、千代田に答えられるのは今いるメンバーの中では1人しか居なかった。

 

《おそらく魚雷だ、しかもうちのな》

 

その言葉に全員が呆然とした表情から目覚めた。

そんな魚雷を見た事などなかった、深海凄艦以外の攻撃で恐怖を抱いた事など一度も無い。

 

《……て言うことはアレが罠?》

 

《多分な》

 

《けど一体どこから魚雷が?》

 

《そうよ、あなたの味方の潜水艦なら私たちを助けてくれるだろうし、そもそも魚雷の注水音も聞こえなかったわよ?》

 

《…………やっぱりな》

 

《なに?》

 

《あーお前たちも近接信管は知ってるな?》

 

《えっと……次元式じゃなくて近ずくと勝手に作動する信管ですよね?》

 

《それを応用して海中に沈めた魚雷がセンサーで敵を探知した後に発射したって所だろう》

 

《……それって勝手に魚雷がいきなり私たちを狙って撃たれるってこと!?》

 

《ああ》

 

《ああって……》

 

《そ それって自動なんですか?》

 

《わざわざいつ来るか分からないのを相手にするための物だ、当然だろ?》

 

《…………じゃあどうやって見切ったの、僕は全然わからなかったんだけど》

 

時雨の言い方が先ほどまで姉妹と話していた声音と変わる。

姉妹では無いスネークが相手なので当然だがその言葉には疑いの意味が込められているのに姉妹たちは察した、彼女からすれば状況証拠にもなり得る、だがそれを理解したのかして無いのかスネークはあっさりと答えた。

 

《あぁ直感だ》

 

『……はい?』

 

その言葉は見事な和音で壮大に周辺海域に響き渡った、要するにハモった。

あまりにも突飛押しも無いその答えに全員が耳を疑った。

もっとも最初から多少なりとも疑ってはいたがその返事は予想外だったらしい。

質問した時雨本人も苦笑しながら、先まで疑っていたことを忘れ全員の代表として質問を続けた

 

《えっと……嘘だよね?》

 

《嘘を言ってどうする、何となく海中から嫌な予感がした、だから全員転舵しろと言っただろ?》

 

その答えに最早全員裏切ったのではという疑いを通り越して呆れた。

 

……この場の全員信じていないが彼の直感は戦場を生き延びてきた術だ

その直感力によって伝説のスナイパーの狙撃を回避し、初見の無人AI兵器の動きを見抜き、

挙げ句の果てにモンスターまで狩った。

更にはどこからか見ている敵の視線まで察知し、敵のある程度の位置や方向もわかる。

いま回避できたのもこれに近い。

 

《……それで、この罠の対策は?》

 

《ほぼ無い、だがこの罠ははっきり言って値が高く付く。

それに加えてこの手の罠は設置した後も出来ればメンテナンスが必要だ。

それを考えれば短くて5km間隔、それか10km間隔である程度サークル状に設置されてるだろうな》

 

《……要するに回避する方法は無いってこと》

 

《安心しろ、すぐに回避するように言うからな》

 

《何とも言えない保険ね……》

 

五十鈴が頭を抱える。

何せ自分たちの装備じゃ感知できず、頼れるのは他人の直感なのだ、安心できるわけが無い。

 

 

だがそれを心配する余裕は摩耶の報告によりなくなる

 

 

《っ水上電探に感あり!……ヤバイな》

 

《どうした?》

 

《……反応からして戦艦ル級、重巡リ級2隻、軽巡へ級、駆逐イ級2隻だ》

 

『…………』

 

《位置と距離は》

 

《……ここから南西約30km、すでに向こうの射程圏内だ》

 

《小島の陰にでも隠れてたか、で 何が危険なんだ?》

 

《……あんたなら既に分かってるだろうけど ここを抜かれればすぐに敵は私らの輸送船団を発見する

それと同時に攻撃するに決まってる、それに今回は……こっちの武が悪い》

 

《撃破は?》

 

《……備え付けの装備でも出来なくはねぇ、けどこっちの被害も覚悟の上でだ。

普通の任務や護衛なら迷わず迎撃する、だが今回はしばらく入渠も補給も受けられない。

……はっきり言って最悪のタイミングであいつらと鉢合わせちまった》

 

そう言って摩耶は苦虫を噛み締めるかのような表情を明らさまに見せる。

どちらかと言えばイライラしてるとも捉えられなくも無い、だがそれだけ追い詰められた状況であるとも言える。

他の艦娘までもが黙って自分たちがどうするべきか真剣に考えているのも状況の深刻さを物語る。

 

スネークは知らないが、深海凄艦にもノーマルのものからéliteやflagshipと呼ばれる上位種がいる。

そして奴らがはびこっているこの周辺海域に出現した6隻の敵艦が単なる敵であるとは到底考えにくい、それに先日のPT小鬼群の撃破を踏まえて差し向けられていれば尚更だ。

もしかしたら自分たちを護衛の前衛部隊と判断し自分たちを無視して船団に接近される可能性もある

仮にこちらを先に潰しにきたとしても、対空戦と対潜及び掃海を前提とした彼女たちの装備では本来の力を出すことは難しく、確実に苦戦を強いられる。

船団には戦艦である金剛や霧島が残ってるとはいえ船団がいる以上動きはどうしても制限される、それに砲撃を受ければ足の遅い輸送船なら多くの人命が犠牲になる。

 

そのまま自分たちは補給を受けられず、損傷が酷いまま海をたださ迷い……後の事は考えたくも無い

出来れば会いたくなかったタイミングで敵を捕捉してしまった、だが放っておく訳にもいかない。

 

 

 

ここの舵取りで全てが決まる、それは誰もがわかっている、だがどうすればいい?

 

 

・・・彼女たちからは誰一人どうすれば良いか判断できなかった・・・

 

 

 

 

 

そう “彼女たち”からは、誰一人………………

 

 

 

 

 

「お前たちが取れる手段は何だ」

 

その言葉は海の上のはずなのに

 

無線機越しのはずなのに

 

彼の声としてはっきりと聞こえた

 

「このまま野放しするか?だが戦艦を含んでいる敵艦隊を船団に向かわせる時点でダメだろう。

自分たちが立ち向かうか?対潜と対空戦を前提とした装備のまま艦隊戦で殴り込んで勝てるのか」

 

「だが今対応できるのはお前たちだけしかいない、幸いこちらは数では勝っている。

相手は戦艦と重巡二隻、火力で押し切るには確かに武が悪い、だがこっちが取れる手段は何だ?」

 

彼は既に対応策をいくつか考え出している、だがそれを口に出すことは無い

なぜなら実行するのは本人たちであり、本人自身が把握出来なければただ死ぬだけだからだ

 

 

それに自分は艦隊戦は知らない

 

彼女たちの方が経験も、知識もある

 

ただ精神的に成熟していない

 

ただ、それだけだ

 

 

「……どうだ、何か考え付いたか?」

 

《…………千歳さん、周辺に潜水艦は》

 

《・・・居ないわよ、昼間は哨戒機を出せるから夕方までは問題無いはずよ》

 

《……白露、魚雷は持ってきてるわね?》

 

《えっぁあうん、それでも全員一回分しか無いけど……》

 

《私も同じ、それに一回あれば十分》

 

《えっ》

 

《五十鈴ちゃんっ!まさか突撃するつもり!?》

 

《落ち着いて名取、あとみんなも。

私はそんなに死に急ぐ気は無いし、そもそも生身の人間がいる状況で殴り込みなんてしないわよ》

 

《……おいおい、スネークが生身の人間かよっ》

 

《何か言ったか摩耶》

 

《っいや 何も》

 

《そうか》

 

《……それで、一体どうする気だぁ?

私は突撃するのは構わねえけど千歳や千代田も居る、それに私らが抜かれたら輸送船団に少なくない被害が出ちまうぞ?》

 

《大丈夫、もちろん仕掛けるけど突撃はしないわ、それに被害も最小限に済ませる》

 

《……どういうこと、五十鈴ちゃん?》

 

名取の疑問はこの場にいる全員……いや、全“艦娘”の中での疑問だ。

攻撃はするが突撃はしない、しかも被害は抑える。

そんなうまい話があるのか?

 

《いい?まず私たちが置かれてる状況は……まぁ言ってみれば最悪ではあるわ。

けどそれは相手を“撃破する”前提でのはなし、相手を容赦なく叩きのめさなきゃマズいならこの状況はだいぶヤバイけど、見方を変えればまだ十分戦える状況ってこと》

 

《……全然わからないっぽいぃぃ》

 

《……つまり、輸送船さえ守れれば良いってことですか?》

 

《まぁ高雄さんの言い方だと誤解を招きそうだけど、そんな認識であってる》

 

《あぁそういう事か》

 

《……なるほどねぇ》

 

《ちょっと千歳お姉?わたし全っ然わからないんだけど……》

 

《私もわからないっぽいぃ……》

 

《えっ?私はわかったけど》

 

《私もわかったよー》

 

《僕もわかったけど》

 

《うそぉ!?》

 

……スネークは思った、ここは戦場なんだよな? と

だが天性の朴念仁である彼自身があまり人のことを言えたものではない自覚がある訳がない

《えっと早い話、撃破を目的とするんじゃなくて撃退するのを主観に置くの》

 

《何が違うの?》

 

《……千代田、いくら深海凄艦でも毎回毎回全部の敵を倒せる訳じゃないでしょ?》

 

《ま まあそりゃ当然でしょ、毎回倒し切れる訳ないし向こうだってある程度損害が出れば——あ》

 

《そういうこと》

 

《えっと・・・?》

 

《……相手を撤退させるのが目的ってことよ、ワンコ》

 

《夕立はワンコじゃないっぽい!!》

 

《あら、けど最後までわかんなかったじゃない》

 

《……千代田さんも人のこと言えないくせに》

 

《何ですって!?》

 

《ほら千代田、言い合いはあとよ、状況が芳しくないのに変わりは無いんだから、夕立ちゃんも》

 

《……………》

《……………》

 

髪付き合っていた両者は千歳の仲介により休戦

同時に艦隊全体に静けさが戻り緊張が走り出す

 

《とりあえず、みんな把握した?》

 

《まぁ私もわかったしっ》

 

《んけどよ、ここは訳のわかんねぇ機雷がある海域だぜ……突撃して敵も巻き込んで撃破する気か?》

 

《それは勘弁してほしいなぁ》

 

《それなら俺に考えがある》

 

ここでスネークが口を開く

彼も敵を撤退させることが最良の選択肢だと既に導いていた

他にはこのまま島に強行突入し支援を求める、船団と合流し態勢を立て直すという選択肢もあったが

彼女たちの判断からこれら2つは消えた、なら自分が生き残るためにも助言くらいは問題無いだろう

 

《その考えって?》

 

《このまま直進すれば奴らもこっちを確実に捕捉・攻撃をしてくるはずだ》

 

《近づいてきた敵を放っておく訳がありませんしね、ましてや向こうには戦艦がいますから一方的に攻撃することも可能ですから》

 

《もっとも、的が小さいから早々当たらないと思うけどねぇ》

 

《そこでお前たちに頼みたいんだが、奴らを出来るだけ島に引き寄せる様に攻撃してくれないか》

 

《島ってあなたの仲間が居る?》

 

《居るかもしれないと言った方が正しいかもしれないがそうだ》

 

《どうして わざわざ島の方に誘導を?確かに敵を船団から引き放せますが……》

 

《島の周辺の方がトラップは格段に多いはずだ、それに俺の部下がまだあの島に居れば支援も望める》

 

《支援って当てに出来るの、それ》

 

《……わからん、だがもし居れば心強い》

 

《あっそう》

 

千代田は適当に答えた。

なぜなら単なる人間が深海凄艦を相手にできる訳が無いからだ。

そんな前例は一度も無いし、そもそも奴らにダメージを与えられる兵器を単なる人間が運用できる訳が無いとこの時は思ったからだ。

 

《……で、出来るか?》

 

《……牽制射と回避を主にしていれば思い通りに誘導することは難しく無いわ。

それに船団に被害を出させないためにもあなたの考えはアリだと思う、けど……》

 

《安心しろ、お前たちに罠の被害を出させない策はある》

 

《……どんな》

 

《こいつだ》

 

そう言ってスネークは1つの端末、iDroidを取り出す

同時にそれを起動し全員にスクリーンを見える様にする。

 

《こいつは今オフラインだが島にあるデーターとリンクさせれば自動で罠の場所が表示されるはずだ

それに仲間とのやり取りも可能になる》

 

《それこそ当てに出来るの、あの島にあんたの仲間が居るかわかんないんでしょっ》

 

《千代田っ——》

 

《心配はいらない、俺らは全世界の各基地にデーターリンクを形成させる様にしている。

本部なら半径10kmが電波圏内のはずだ、仮に本部が蒸発していてもこのデーターリンクは生き残る》

 

《……戦艦の砲撃にも耐えるってわけ?》

 

《ああ》

 

《……一体どんな攻撃を想定してるのよ》

 

《………さあなぁ》

 

千代田の問いにスネークは素っ気なく返答したが、本当の答えは彼自身よく知っている。

 

そこまでデーターリンクが強固に設置されているのは核攻撃を想定しているためだ

 

攻撃してきた敵、被害状況、損害、被曝量、あらゆる情報を全世界に共有する。

仮にEMPによって共有システムがダウンしても半径10km圏内にあるiDroidに自動転送する様になっている。

答えるのは簡単だが内容が内容だ、そう簡単に答えるにはまだ彼女たちとの信用はない。

ましてや千代田が噛みかかっている今の状況はあまり好まれた条件とはいえない。

 

《……だが情報を共有出来るのは確かだ、その情報の中には罠の設置場所も必ず含まれている筈だ》

 

《……けど10km圏内までは罠の位置がわからないのよね?》

 

《そうだな》

 

《全員が敵の砲弾を回避してる中、どうやって罠を掻い潜るつもり?》

 

《……五十鈴、千歳と千代田の2人がわざわざ攻撃する必要はあるか》

 

《ないけど……まさか》

 

《2人が俺と一緒に先行して罠を無理やり作動させる、それが俺の考えだ》

 

《なっなんであんたと心中しなきゃいけないのよ!?》

 

《……妹の言い方には謝罪するけど、考えは同意するわ》

 

名前を出された千歳と千代田が考えに異議を唱える。

全員の為だとはいえ、理屈がわからない方法を当てに罠を作動させるお役なんて誰でも御免だ。

千代田に関してはスネークのことをあまり信用していない、わざわざ道ずれ同然の考えに賛同できる訳が無い。

 

《悪いがこれが最善だ》

 

《なっ あんた——》

 

《なら聞くが・・・お前らの考えはなんだ?》

 

《……え》

 

《俺らや船団が生き残るためにも敵を引きつけることは決まった。

だがこの海域は罠だらけだ、その海域を敵と一緒に俺は心中する気は無い。

俺はここで全員が被害に遭うより一部に被害を集中させなければそれこそ心中する事になると考えたがお前らはその考えを否定した、ならどうする気だ?》

 

《どうするって……》

 

《考えも無く反論したのか、それとも考えはあるのか》

 

《…………》

 

《ちょっと千代田は確かに考え無しで言いたい事をすぐに言うけれど私の妹よ。

その言い方は無いんだけど?》

 

《……わかってると思うがここは戦場だ、ただ力を持ち合わせていても知恵がなければ生き残れない

俺の言い方が気に食わないのは仕方ないがこのままだと手遅れになる、悪いが俺につき合ってくれ》

 

スネークの物言いは端からみれば横暴だ、だがこの場の全員が戦場を知っている。

彼の言っていることが正しいことも千代田自身理解できている、だからこそ突然付き合ってくれと

言われて困惑している。

 

《……千歳、千代田、私も旗艦としてスネークの意見に賛成よ。

確かにこいつの言い方は腹たつし 部外者が何言ってんのって思うけど言ってることは正しい。

あんたが言うなって思うけどこの策が最善なのは私も思う、だから手伝ってあげて》

 

《五十鈴……あなた……》

 

五十鈴の言葉に何かを思い出したかのように驚く千代田

そして五十鈴の顔を見て吹っ切れたのか……その顔は先ほどまでの重く堅苦しい顔では無くいつも

見る彼女のハツラツとした顔になっていた

 

《……あなた、生きて帰れるの?》

 

《えっ》

 

《五十鈴》

 

《………な なによ》

 

《船に戻ったらお前にはいい事を教えてやる、とりあえず感謝する、ありがとな》

 

《・・・》

 

《……なぜ顔を俯かせている?あと少し紅いぞ》

 

《スネークさん、それ危ない発言に聞こえます》

 

《五十鈴ちゃん、大丈夫?》

 

名取が五十鈴に声をかける。

スネークの言う通り少し顔が紅くなっており、少し過呼吸気味だったがすぐに治った。

 

《……ていうか散々言われたあんたが感謝してんのよ?》

 

《あのまま進めていれば生き残れていない、士気はそれだけ重要だ。

下っ端の俺があれこれ言うより旗艦の彼女が単純に事実を言った方が全員がまとまる、

お前も何か吹っ切れたみたいだが?》

 

《……そうね、ちょっと目が覚めた》

 

《そうか、なら俺は構わん……それより五十鈴の方こそ大丈夫か?過呼吸気味だったが……》

 

《……誰のせいだと思ってるのよ》

 

《……よくわからんがまあ良いだろう、それより状況はどうなっている》

 

《敵はまっすぐ向かっ来てるからこっちを補足してるらしい、相対速度は32ノットだぜ》

 

《会敵まであと30分も無いか》

 

《そうだ》

 

《……旗艦の判断は》

 

そう言って名取よって復帰した五十鈴に言葉を投げかける。

全員の視線が旗艦に集まり、その答えを待っている。

 

《……1つだけ約束して》

 

《なんだ今さら》

 

《私の指示には必ず従って》

 

《当然だ、海上ならお前たちの戦場だ、俺は口出しする気は無い》

 

《……なら千歳と千代田を連れて艦隊前方を警戒して》

 

《了解だ、何かあれば無線を通す、2人とも付いて来い》

 

《……さぁてお姉さん頑張りますか》

《付き合ってくれって言われたしもう とことん付き合うわよ!それに千歳お姉も一緒だしねっ!!》

 

そう言ってスネークが前にいた軽巡と駆逐艦の6人を一気に追い抜き、艦隊前方を先行する。

それを見て、旗艦である五十鈴は隷下の艦娘に指示を出す。

 

《全艦複縦陣!

高雄さんと摩耶は前方へ、8人とイレギュラーだけどここが正念場よ。

白露たちは名取と一緒に敵を引きつけるために突撃して、私は電探と聴音機で索敵するわ。

高雄さんと摩耶は突撃の援護、何か意見は?》

 

《雷撃はどうするの?》

 

《今はしない、あと煙幕も使わない。

あくまで敵を引きつけるのが目的、島に誘導した後スネークの仲間が居ても居なくても派手に暴れる》

 

《……そりゃ派手だ》

 

《じゃあとりあえず回避が優先なのかな?》

 

《時雨の言う通りよ、まだ最大射程前後だから撃ってきて無いけどもうすぐ攻撃が始まると思う。

けど私たちは構わず突撃、10km位から砲撃開始と同時に転身して島に誘導。

けど誘導って悟られないように徹底的に撃っちゃって》

 

《わかった》

 

あとはもう彼女たち自身がやる事しか無い。

武器の最終確認をし安全装置を解除、初弾を薬室に送り込む……のは彼女たちではなくスネークだけだが、それぞれの武器を構える。

 

《私の許可があるまで発砲は禁止、私の合図とともに砲撃開始よ》

 

『了解っ!!』

 

《露払いは任せろ、お前たちに被害は出さない》

 

《お願いよ、千歳と千代田も変な役回りだけどよろしくね》

 

()()()()()

 

ここで初めて艦隊が出来た

 

不穏な空気は消えた、あるのは切羽詰まった状況と高い士気を持った艦隊

 

状況は芳しく無い、だがこの時誰もこの戦いに負けるとは思っていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【同時刻、同海域、輸送船団旗艦〈平和丸〉通信室に】

 

 

《…………ォー…、…………せよ、…り……、……らピ…………、おう…………》

 

 


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