鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

33 / 65
お久しぶりです!

……だれか〜物理のちしきとじかんをください(´Д` )




完了

「他には無いか?」

 

「ええ後はこちらの対応次第ですから。では全員、各自の準備に入ってください』

 

全員が起立・敬礼し解散した

1番早く出て行ったのは議事録を書いていた奴だ

……恐らく会見などの文を書くのも彼女なのだろう

 

「それで、俺も残りべきか?」

 

「いや、スネークは戻ってくれ。鎮守府の警備と隊員の指導を頼む」

 

「1人で大丈夫か?」

 

「ふっ、私には敵は多くともここには協力者もいる。何とかなるよ」

 

「確かに、ここでは如何に書くというより話すかの方が重要そうだ。お前にはちょうどいいな?」

 

「……まぁ他にも色々とやりたい事がある

朝も言ったが明日まで留守にする、鎮守府の機能に関しては鳳翔に一任してるから問題無い。

だが何かあれば呼んでくれ」

 

「俺らは艦娘まで指揮する気はない、俺が言う言葉じゃ無いが……留守は任せてくれ」

 

……実際に留守を任されているのは艦娘や自衛官達だ

俺らは警備の改善をやっている傭兵、雇われた人間だ

だが、言ってやった方がお互い気が楽になる

 

「ああ頼む、車は行きと同じだ。そのまま駐車場に行ってくれ」

 

「了解だ」

 

そう言って提督に敬礼する

向こうも敬礼で返したあと、会議室を後にした

……俺らも帰るとしよう

 

「俺らも帰るぞウェーバー」

 

「ええ、何もする事が無くて良かったです」

 

「全くだ…………俺はカズの存在のありがたさを実感させられたがな」

 

「副司令ですか?……確かにBOSSがやらない部分を全部やってますね。

それも依頼の受付から事務手続き・裏工作の手配まで」

 

「今度会う時に礼でも言うか」

 

「……けどマザーベースにいたメンバーは____」

 

「大丈夫だと思うがな。

詳細はわからなかったが、少なくともマザーベースからの脱出時に欠員は出なかったらしい

まあ海上であんな出来事があれば俺らも対策はする、事前に脱出の手配もしていたからな

……俺の乗ったヘリはトラブルでニカラグアに不時着したが」

 

あの時はアマンダ達やFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)と協力していた事が幸いした

おかげで半年間、食料や情報不足になる事は無かった

それにメキシコに近かったのも幸いした、おかげでアラスカに行けた。

 

「しかし、いつまた会えるのか……」

 

「来月、あいつらの輸送作戦がある。何でも艦砲射撃をやられてるらしい、

その島から移動したいそうだ」

 

「……なら大丈夫そうですね」

 

「そういう事だ」

 

帰るまで1時間ほどだ

着いたら7時を過ぎているだろうが戻ったらあいつらにも来月の事は言うべきだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー15:30・鎮守府の出来事ー

 

工廠ではティムによる艦娘たちへのスネークのイメージ改革がなされていた

山中では川内・高雄らを中心とした巡洋艦たちとマーリン・エアーの戦闘員が接触しようとしていた

 

〔きたわよ〜〕

〔クマ〜〕

〔全員、やり過ごして〕

 

来たらまずはやり過ごして様子を見る

それが川内らの作戦であり、全員が決めた事だ

球磨・多摩の2人はスネークや部下たちと戦闘を交えた事は無いが

突入した後の彼らの行動を見れば彼らは強く・計画的に動ける人間だとわかる

 

 

犯人をすぐに無力化するのではなく情報を得ているし、民間人に聞かれないように麻酔薬まで使った

しかもどんなに相手が銃を隠し持っていても人質に銃弾が流れて来ないよう壁になった

さらに、素手で相手を1人で5人を相手にするような連中だ

……マーリンにいたってはショットガン持ち8人を1人でやっつけた

そんな人間にはいくら艦娘とはいえ、正面からの攻撃は全くの無意味だと誰の目にも明らかだった

ただでさえ艤装を使っても全く歯が立たなかった

 

鬼ごっこなら勝てる可能性があるのは確かだ

何せ31人もの人数をたった3人で全員見つけるのはほとんど不可能だ

向こうは電探や空中からの情報も無い

要するに隠れきれれば勝ちなのだ

 

 

だがそんな勝ち方を喜べるほど彼女たちは現実主義者ではない

 

 

何せ過去の産物とはいえ大日本帝国の艦艇だった彼女たちだ

勝ち方にも種類がある事ぐらいはわかっているし、大和魂もある

隠れて勝ったところでソレは何も得られないし喜べやしない、勝った気になれない

わざわざ相手を潰せる方法があるならやってやりたいのが彼女たち艦娘なのだ

 

ましてや今までやられっぱなしだ

一泡吹かせてやりたいという気持ちも自然と彼女たちには湧いていた

だが、ソレを実現させるには相手の動きを読みさらにこちらが有利に動かなければいけない

今回のルールでも単なる奇襲では失敗するのは、先ほどの駆逐艦たちが体を張って証明した

 

いま8人は草むらの後ろに隠れ、2人の兵士の動向を観察している

いくら2人でも草むらの裏に人や動物がいるかはわからない

 

 

だが

 

 

「あー……これ」

 

「居るわね……8人」

 

 

 

『何でバレてんの!?』

 

 

 

もちろん8人は誰1人言葉を発していないが、

心では、誰も一字一句、間違えず、盛大に叫んでいた

 

 

 

「……どうする?」

 

「どうしようかしら、多分コレも聞いてるんだろうけど___ 」

 

「GOGOGO!」

 

言うが早く2人は走り出し艦娘が隠れている方へ一気に迫った

ソレは明らかにハッタリではなく解っているものだった

なにせ1番近い川内のところに一直線に迫ってきたのだ

 

「全員走れ!!」

 

だが艦娘も言うが早く逃げた

 

彼女たちも馬鹿ではない、利口だ

すでに全速力で全員が一斉に山を駆け上がる

川内も自衛官から走って逃げ切っただけあり2人を引き離そうと忍者のごとく2人を撒こうとする

 

筋力もそうだが、基本的に身体スペックはとても高い

そのため訓練を受けた正規の兵士よりも良い動きをしたりする

海上で艦船として動いているだけあり、全員が隊形を保ったまま逃げていた

 

「さすが30ノット以上で航行できるだけあるね〜!」

 

「それ関係あるのかしら?」

 

「けど結構速いよね〜」

 

「確かに……」

 

だが彼女たち、いやMSFの兵士たちはそれを凌駕する

艦娘の全速力に普通に付いて行き、しかも追っている中でも会話をする余裕があり

 

 

 

 

修羅場も経験している

 

 

 

 

「止め!」

 

突然マーリンが叫ぶがエアーは驚きもせず当然のように止まる

エアーもわかっていた

 

「あら、てっきりこのまま突っ込むかと思ったわ」

 

「いくら私が突っ切るの好きでもこの位ヤバイのはわかるわよ!」

 

「……そうね、でなかったら生きてないものね」

 

「そういうこと〜」

 

いきなり見つかるとは思ってもいなかったが、見つかる事態は8人の巡洋艦たちは想定していた

事前に罠を張りバレたらそこに逃げ込む、要するに一種のセーフゾーンだ

 

だが今回の罠は転ばせるための物だ

 

1番バレにくく予算がかからない落とし穴は対象を生かすも殺すも1番効率的な罠の1つだが

作るのに時間がかかる。

ましてやいつ来るかわからない状況で穴を掘り、カモフラージュを施すのは難しい

そうなると、使える罠は限られてくる。

ピアノ線を走ってくるであろう所に張る、鳴子や草や枝で音を鳴らし場所の把握・誘導させる

そういった物しかない。

どれも分かりにくいが落とし穴より発見しやすい

普通なら見落とす様な痕跡も発見できない様な兵士では無い。

 

「じゃあここら辺で貼っとこうかしら?」

 

「だね、確実に引っかかるだろうし。じゃあ私がここに残る!」

 

「了解、なんかあったら呼ぶから」

 

「怪我しないでね?」

 

「いや、“させないでね”の間違いじゃなくて?」

 

「やめてよ!?BOSSに指導されるよ?!」

 

「……動揺しすぎ、そこまで私も死に急ぎはしないわよ……」

 

「う、うん」

 

「じゃあ頼んだよ」

 

「行ってらっしゃ〜い」

 

なんだかんだ言いながらエアーは山へ、マーリンはそこで待機した。

 

 

 

 

 

 

一方、山のふもととも言える鎮守府ではフォレストがいる中、赤城を中心とした空母達が作戦を必死になって考えていた。

今のところ分かっていて決めた事は3人別々に襲わなければ勝機は無い、

どうにかして3人をバラバラにする必要がある、という事だ。

 

「それでどうするの?」

 

「3組で別れるのが1番じゃ無いですか?」

 

「けどうちらはそんな早く走れんわ〜」

 

「あくまで逃げるのではなく分断だから問題ないよ。それでどう分けます?」

 

「五航戦と同じは嫌です」

 

「あんた、ここでも言う!?」

 

「じゃあ一航戦・二航戦・五航戦で分かれますか」

 

加賀と瑞鶴の言い争いを誰も意に返さず、飛龍の意見が採用され

⚪︎一航戦と祥鳳・瑞鳳

⚪︎二航戦と龍鳳・龍驤

⚪︎五航戦と大鳳 の3組で行動する事になった

 

《もし〜?聞こえる〜?》

 

「聞こえます、どうしました?」

 

《いやね〜、エアーとマーリンがこっちに来て捕まりかけて今撒いたところなんだけど……》

 

「つまり2人はそちらに居るんですね?」

 

《うん、だからそっちに確実に1人居ると思うから連絡したんだ》

 

「分かりました」

 

《そんじゃ〜》

 

通信は30秒以内

海上での無線封鎖は位置の特定防止だが、今回はさらに情報漏洩の防止もある

 

「それでは皆さん、行動開始です」

 

「見つけたら報告します!」

 

「さあ、行くわよ瑞鶴」

 

各自それぞれ探しに動いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ソレが失策だったのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて獲物はどこかしら〜

……いつもいつもマーリンばっか目立って私は空気みたいになってるけどね

まあコードネームは影が薄いからだけど

 

「マーリン、そっちは?」

 

《なんも、こりゃ頂上なんじゃない?》

 

「そうね……反応あったらそっちはよろしくね」

 

《当然!そっちもやられないでね〜》

 

……やっぱり頂上かな〜

できれば居ないで欲しいけど

大体急いで5分だから……10分かけますか

 

 

ー10分後ー

 

 

・・・はぁ

いたわ〜居ちゃったわ〜、な〜んで頂上に居るかな……

まあ手間省けるからいいけど、いいけどさ〜

 

数は………………………8人ね

軽巡と重巡がそれぞれ4人、まあ予想通りだしさっき見たのと同じ

残りの空母たちは下かねぇ

 

 

ならチャチャっと捌きますか

手前に2人、その奥に2人の重巡

右側に3人、奥に偵察しているオレンジ服1人

あら丁度いい!

 

「はいどーも」

 

『え!?』

 

まずは青服2人をまとめて拘束

もちろん声は出させない

 

 

え?どうやるって?

 

 

簡単よ

 

それぞれの片手をとって、一気に顔を地面に着けて、首を両膝でロック

 

そこまでやるのに1秒、あと4秒数えるだけ……2・3・4・5

 

経ったら少しアレだけど〜麻酔針を2本刺して〜……ハイ次

 

そのまま同じ要領で

 

「その胸少しよこしなさい!」

 

『!?』

 

うん、何も言うことが無いまま拘束

 

顔を地面に着けて、首を膝で押しつける……2・3・4・5

 

はーいおやすみ……

 

 

残りは4人

 

あら面倒、3対1で別れちゃってる……どうしようかし____あ!?

 

「!!!!!」

 

「………………」

 

なんかマーリンが容赦なく木曾を拘束しながら右の草木に移動してる……

 

「!?………」

 

「……………」

 

5秒経ったから絞めた!あの子何してんの!?

というか何でここで現れるのよ!?

 

 

 

……まあいいわ

 

アイコンタクト(あんた右、わたし左)

 

向こうも頷いた

 

一気に拘束

 

もうバレても問題無い、そのまま立って拘束

 

 

1・2・3・4・5

 

 

経ったから今度はその場に放置

 

そのまま突っ走る

 

気付いても遅い。すでに前後に敵がいる

 

マーリンが後ろからそのまま拘束する

 

1……声をあげようと必死に首を動かす

 

2……腕を動かそうと必死に手首をマーリンに当てる

 

3……足を使って全速力で逃げようとする

 

4……首を固められ何もできなくなる

 

5……力が抜けていく

 

6秒後、目がとろ〜んとなって倒れた………あ

 

 

「ちょっとマーリン!?何気絶させてんの?!」

 

「ん?何言ってんのエアー、6秒経ってから倒れたんだから問題無いわよ!」

 

「……ならティムに連絡して、引き取ってってね」

 

「うん」

 

返事をしてからマーリンが無線機を取り出す

艦娘は通信専門の要請もいる

海上では深海凄艦も無線を使うみたいで、同じように逆探知もしてくるらしい

……おかげで陸でもある程度の距離で無線を使うと警戒される

 

前に工廠に忍び込もうとしてティムにCALLしたら夕張が出てきて焦ったわ……

 

「ティム、今って動ける?あのさ〜8人運んで欲しいんだ……え?……あーまあ大丈夫だけど?

ならそれでよろしくね!」

 

「……何事?」

 

「なんか回収するのは良いんだけど、駆逐艦と一緒に回収するってさ〜」

 

………それって犯罪じゃないかしら?

 

「マーリン、あなたは別に何とも思わないの?」

 

「ん〜けどティムってそんな奴じゃないし」

 

「まあねぇ」

 

「そういう事だから、しばらくみんなここに居てね!」

 

そう言って起きている艦娘……て言っても多摩と球磨の2人だけに向かってマーリンがニコッとする

……2人は悪魔を見るかのごとくゾッと見て逃げようとしてる

けど座っている事しか出来ないらしく、地面を引きずりながら後退して行く

 

「……あんた心から退かれるからまずは顔を普通にしなさい」

 

「はい!……って何いってんの!?私元からこんな感じだよ?!」

 

「……そうねぇ そうですね〜」

 

この子にツッコミを入れるのは訓練より疲れるわ……真っ直ぐ正直なのを相手にするのは大変ねぇ

まあ常にひん曲がってて本性が判りにくい奴を相手にするよりは全然良いけど。

そう思っているうちに復帰した子猫と子熊がこちらを見ている

 

「聞いてたかもしれないけど今から迎えが来るからそれまで待機ね」

 

『りょうかい』

 

……どうしよう、2人の個性が消えかかってる

主に語尾から何もかも消えたわ……どうしようかしら……フォレストに“ケア”して もらおうかしら

なんて思っていたら今度は突然猫が3匹現れた

 

「ネコにゃ!」「ネコだクマ!」

「ミーミー!」「ミャー!」「フニャー?」

 

どうやら昨日見た猫3匹らしい、柄と鳴き声に覚えがある

おかげで2人が救われたみたいでよかったわ

 

「じゃあマーリンは下に戻ってくれる?もちろんセンサー回収してからだけど」

 

「大丈夫!もう回収してきた!!」

 

「……なんで回収してあるのよ」

 

「だってフォレストからの無線で《なんか何人か山に居るわよ》って連絡きたからだけど?」

 

「……それで全員居るとは限らないと思うけど?」

 

「付近に居たら周りの空気が変わるけど、変化無し。

走り出しても何も雰囲気が変わんなかったままでトラップを発動させても何も起きなかったし」

 

「……あんたトラップまで発動させたの」

 

まあ確かに途中までは雰囲気の変化は全くなかったし、山頂付近から急に空気が少し重くなった。

事実そこに8人全員いた訳なんだけど……何でトラップまで作動させたかねぇ

 

「まあいいわ、私は無線でここから指示飛ばすからね?」

 

「はいよ!私はさっさとフォレストと合流するよ!!」

 

「……転ばないでよ?」

 

「それ“バレないでよ”の間違い?」

 

「あんたらバレたって11人ぐらい捕まえるでしょーに」

 

「それもそっか……じゃあよろしくね!」

 

とか言いながら既に走り去って行ったわよあの子

……1から言わなくて良いからマシだけど、少しは自分の事考えて欲しいわ

 

「ところで……みんな起こさなくていいのかニャ?」

 

「え?うーん……やっぱり起こそうか」

 

「起こす気がなかったクマか!?」

 

「まあ別に大事はないし、それにどうせ文句言い始めるだろうしさ」

 

今こっちは反省じゃなくて行動が必要。悪いけど彼女たちの文句を返すタイミングじゃない

……あと面倒ごとはまとめて済ましたいしね、ここで起こすとうるさくなるでしょーに

 

「そもそもどこから現れたクマ!」

 

「……それは私からも言いたい事があるから今は答えないわよ。

訓練が終わったら反省会開くし、状況を説明すればティムが答えてくれるとは思うわよ?」

 

「ならこの子と遊ぶニャー」

 

「それもそうだクマ」

 

「あ、うん……どうぞ」

 

ティム達が来るのには多分10分かからないとは思うけど、それまでに全員起きないでしょう。

ならこっちもやりましょうか

無線機……無線機………OK

 

「こちらエアー、これより観測を開始、見つけ次第知らせるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フォレスト了解です……けど今3人発見したわ」

 

無線機でエアーの通信に答えたフォレストの向かいには3人の艦娘、翔鶴・瑞鶴・大鳳がいた

左から、少し不運・幸運の女神・大変不運、で有名な3人だがフォレストらが知るよしも無い

 

 

 

だが私たちは知っている

 

 

彼女たちはステータス・性格的意味で不運な目に遭いやすい、と

 

 

 

《場所は?》

 

「倉庫群と食堂の間よ、周りには……少なくとも走って30秒かかる所に敵は居ないわ」

 

要するに半径300メートル程度は対象と距離があるということだ

200メートル圏外からは妖精も陸上では電波を傍受が出来ない事は実証済みだ

…………勝手にティムがやった事なんだが

 

《……マーリン聞いた?》

 

《あいさー、あと3分はかかるかなぁ》

 

「ならきっちり3分後に仕掛けます」

 

《了解!ちゃんと3分後に仕掛けてね!!》

 

《私は無線で状況を伝える……ちょうどティムも来たし移動するわよ》

 

「無線を切ったら数えます、じゃあ状況開始」

 

無線が切られる

そして3人の中でカウントダウンが始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

……おいマジか、6人ぶっ倒れてるぞ!?

しかもその内の4人は寝させれてるが2人は気絶だと!?

 

その犯人はこっちを見て無線を切った………犯人、だよな?

 

「じゃああと宜しく〜私は移動するわ」

 

「………怪我させて無いから良いけどよ、取り逃がしたら笑いのネタだからな?」

 

「結構よ、笑いのセンスなんて無いでしょうに」

 

「……勝手に言ってろ」

 

ああ勝手に言ってろ……後でどうなっても俺は知らね

 

 

なんて思ってるうちに消えた……ほんとあいつは空気だ

 

 

いや“逃げた”といった方が正しいかね〜

まあ駆逐艦の娘たちがこれ見ればルール違反だとか何とか言って面倒になるのは確実だ

……俺が先行したのは間違いだったか

 

「って何これ!?」「高雄さん!愛宕さん!大丈夫ですか!?」

 

「摩耶シャン?鳥海シャン?」

 

「……雪風、落ち着きなさいよ」

 

「木曾さん〜川内さん〜お〜き〜て〜」

 

各自倒れてる軽巡・重巡洋艦を起こす

流石に死んではいないので声をかけるだけで起きてくる

 

ほんと個人差はあるけど基本的にやっぱり子供だ、まるで姉妹だ

……しかも寝起きの遅刻しそうな姉を小さい妹が構って欲しさに____

 

「何考えてるクマ?」

 

「……いや、のどかな雰囲気だと思ってね」

 

「ミー」「ミャー」「フニャー」

 

「あ、どうも」

 

何でこんな山にこいつら居るんだ?

……まあいいか、今は運ぶのが先だ。

 

「ハイおはよう〜、気分は?」

 

「……ズルいです」

 

「……ハイ?」

 

「背後から襲って来て無理やり____」

 

「元気だね!!……高雄さんは?」

 

「……文句はあります」

 

「よかった〜正常だ〜」

 

いたって普通の反応だ

眠らされていたからか記憶は混濁してない、目線もおかしく無い、十分歩ける

 

「そちらはどんな気分?」

 

「不愉快だぜまったく……」

 

「……摩耶に 同じです」

 

そっちもまだフラフラしてはいるが状況は理解できている

状況は異常だが状態には問題無い

 

「時津風ちゃん、そっちの2人____ 」

 

 

 

「どうしよう!どうしよう!どうしよう!うしようど!しようどう!ようどうし!」

 

「おおちつききマッション!そたいじゃぁないいから」

 

「2人とも!冷静になって!!特に雪風 日本語じゃないわよ!?」

 

 

 

……ひとまずあの2人が問題だ

天津風ちゃんは2人が余りにも異常でむしろ冷静になってるけど、なんの働きがけにもなってない

 

「ティムさんは木曾と川内を頼むクマー」

 

「……どうにか出来るの?」

 

「こう見えても、私たち軽巡ニャ。駆逐艦の面倒見ることも多いニャ」

 

「そういう訳だクマ。ティムさんは倒れてる人の対応には慣れてるクマ、私たちがあの2人の面倒を

見てる間に起こしてくれればいいクマ」

 

 

……なんか言動がアレだけど、内容はしっかりしてる

この場では、この2人が1番冷静に対応できてるなぁ。

 

「わかった、じゃああの2人を____ 」

 

「時津風ちゃん、ひとまずこっちに来るクマー」「雪風・天津風は私の方ニャ」

 

もうやってた……ただ単にマイペースってだけかもしれないな

 

 

………そろそろ3分経つか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あと30秒

もう私がやろうと思えば1人は確実に拘束できるけど、同時に確実にバレるわ。

……マーリンがちゃんと来てくれるといいんだけど、そもそも場所は分かるのかしら?

 

 

けどまあ

 

あの子が遅刻した事なんてないわね

 

 

 

「コンタクト!」

 

時間よ

 

仕掛ける

 

1番反応が早いのは真ん中

 

声に気付いて後ろを見る

 

だったらそっちはパス

 

1番左を羽交い締め

 

そのままの勢いで左の倉庫がある通路に後退

 

2人を正面に構える

 

 

「また捕まっちゃった」

 

 

……意外と呑気ねこの娘

 

 

「翔鶴姉!」

 

 

まだ5秒経ってない

 

あと3秒必要

 

 

だったら乗り換えればいい

 

 

 

拘束を解放

 

同時に体を右にスライド

 

左足を掛けてその場に倒す

 

もちろん頭は打たせない

 

そして正面の娘の右肩に手を掛けて回転させ

 

拘束

 

倉庫の壁を後ろに取る

 

 

「瑞鶴さん!」

 

 

もう1人がこっちに来る

 

けど動けない

 

走り出す前に体を固められている

 

 

「遅いわよマーリン!」

 

「ごめん!場所が変わってるの気づかなくて10秒遅れた!!」

 

……3・4・5・6

 

こっちは終わった

すぐに倒した方もそのまま拘束

 

「頭は打ってない?」

 

「大丈夫ですよ、優しくしてもらいましたから」

 

うん、どこも怪我はしてないわね……あれ?

 

「……もしかして連絡しました?」

 

「ふふふ❤︎」

 

……侮れないわね、やるべき事をちゃんとやってる

 

「エアー?どうやらバレたみたい。付近に動きは?」

 

《ビンゴよ。4人そっちに向かってるわよ……しかもやる気満々》

 

「それってどういう事?」

 

《あの娘たち、ショットガン持ってるわ》

 

『………はあ!?』

 

確かに武器は使っちゃいけないなんて言ってないけど!

そもそもなんで持ってる・・・あ

 

「……もしかして夕張さん?」

 

《わかんないわ、けど確実に1つ言えるわ》

 

《撃たせたらマズくない!?》

 

……確かに、この状況で発砲なんかされたら

 

「BOSSに指導喰らうわね……」

 

《それどころか周りから自衛官達が集まるわ……昨日の事もあるし》

 

《どうする!?無線で呼びかける!?》

 

「いいえ、いっそのことこの場で拘束しましょう」

 

《けどコッチは武器は何も____ 》

 

《ある!私持ってる!!》

 

マーリンが手を挙げてモノを見せる

 

「……マーリン、その娘コッチに持ってきてセットして」

 

《エアー!どこから来る!?》

 

《山側から2個目の通路、到着まで最速1分》

 

「それで十分、30秒で支度しましょう」

 

すぐにエアーが1人を瑞鶴がいる所に運ぶ

私も翔鶴をそこに運ぶ、そして3人を座らせる

 

「ちょっと!何すんのよ!?」

 

「3人には____

 

言いにくいけど仕掛けるには____

 

「3人には少し眠ってもらおうかしら」

 

 

 

 

 

 

エアーの観測通り1分後、ショットガン(非殺傷)を手に持った艦娘が4人

翔鶴・瑞鶴・大鳳が座っている所を発見した

 

「蒼龍、アレ!」

 

「なんで気絶してるの!?」

 

「いいえ座ってるだけです!3人とも大丈夫ですか!?」

 

実際3人とも目線がこちらを向き、コッチを視認している

すぐに龍鳳が3人に駆け寄り、龍驤・蒼龍がそれに続く

 

「瑞鶴、何があったか話せる?」

 

蒼龍が聞く…………が、反応がない

 

「翔鶴さん、私のことわかりますか?」

「……………」

 

龍鳳も試しに聞くが何の反応も帰ってこない

ただ顔を上げてじっとしているだけだった

ただそれだけだった

 

 

「なんやなんや?」

 

 

龍驤が何となく、ただ何となくその2人の反応に口を出した

 

その瞬間

 

3人が

 

声が聞こえた方に

 

一気に

 

同時に

 

顔を向けた

 

 

 

「ひぃ!?」

 

 

 

顔を向けられた龍驤は反射的に声を上げ後ろに倒れる

ソレは驚いた為ではなく“逃げるため”の反応………生存本能が働いた

 

3人とも目が明らかに異常

 

殺意はないが、うつろな目でただじっと一点を見つめられる

 

 

どこから声が聞こえる

 

 

ここから逃げろ

 

 

奴らは敵だ

 

 

逃げろ…………………………………来る!

 

 

「はぁはぁはっはっは…………ギャアアアアア!!!」

 

 

音楽が聞こえる

 

バスドラムの ダン ダン ダン という音が頭に響く

 

同時に3人が タン タン タン と近づいてくる

 

 

奴らは敵だ

 

 

何をためらう理由があるだろう?

 

 

自分が手にしているモノの存在に気付く

 

 

奴らは敵だ

 

 

何をためらう理由があるだろう?

 

 

「消えれ!!」

 

 

真ん中の空母に銃身を向け

 

引き金を引く

 

撃針が飛び出し

 

コンっと音を奏で散弾が飛び出す

 

 

はずだった

 

 

タン タン タン ゆっくり、確実に近づいて来る

 

カチ カチ カチ 何度も引き金を引く

 

だが何も起きない

 

「なんで………なんでなんでなんで!?」

 

「龍驤!ひとまずコッチ来て!!」

 

通路上で待機していた飛龍が声を張り上げる

それでも龍驤はその場で引き金を引くだけで全く動かない

すぐにその場にショットガンを置き龍驤を回収

 

「蒼龍!そっち____ 」

 

「ハイさー!もう捕まえたよ?ふふ〜ん」

 

そこには“ナゼか”転んでいる飛龍・龍鳳の上に乗っかっているマーリンがいた

 

同時に飛龍の背後から手を掛けられ拘束された

 

「ごめんね〜怖かった?」

 

「え?ええ!?」

 

「はい2・3・4・5」

 

そして5秒数えられた

数え終わるとすぐに拘束が解放されフォレストが龍驤の前に出る

 

パン

 

3人の目の前で手を叩く

そして3人が正気に戻る

 

「アレ、飛龍じゃない?なんでここに居るのよ」

 

「はあ!?瑞鶴、あんた何が起きたかわかってるでしょ!?」

 

「……ん?確かに……なんでフォレストさんとマーリン、……龍驤はなんで怯えてるの?

ていうか……アレ?今まで何してたんだっけ?」

 

瑞鶴が意味不明な発言を連発する

その一方でその光景を見ている翔鶴・大鳳は大笑いしている

 

「……翔鶴さんと大鳳さんは記憶あるわね?」

 

「大丈夫ですよフォレスト……うちの妹が余りにも単純でついっ」

 

「え!?なんで翔鶴姉笑ってるの?!」

 

「ちょっとフォレスト効きすぎ!!」

 

「けどちょうど良いんじゃないかしら……で龍驤さんはリタイアってことでいいかしら?」

 

フォレストは足元にいる龍驤に確認する

目の前で手を叩いた時からあまりにも怯え、腕で足を締めガクガク震えている。

……いくらなんでもこの状態で拘束するのは気の毒すぎる、リタイアを進めた方が1番だ。

 

その場で2回ウンウンと頭を縦に振った

 

「……ちょっとトラウマ物だったみたいね?」

 

「そりゃそうでしょ!いくら戦いに慣れてても、あそこまで恐怖を仰げば怖くもなるって」

 

 

 

フォレストは長らく医療班に在籍していた

スキルとしてカウンセラーと薬剤師を持っていたからだ

もともと頭が良かったため、基礎的な事はMSFで全て習得した。

そのため諜報班や戦闘班も経験し、その経験からある事がわかった

 

戦闘状態以外でなら催眠術をかけられる という事だった

 

これに気付けたのは彼女がカウンセラーとしての治療法として催眠術を取り得ていたからだろう

 

催眠術は非科学的な霊術のようにテレビや世間一般では捉えらているがソレは間違いだ

催眠術は科学的な根拠もあり、手順を踏めば誰でも出来る。

あまりにも不可解な現象のためあまり信じられていないが、知識と経験を積めば記憶の改ざんも

不可能ではない。

 

だが、あらゆる場所で催眠術を行うとなると専門的な知識や経験がモノを言う

 

先ほどの3人には瞬間催眠術をかけ、

「胸が平べったい人に声をかけられたら、みんなで一緒について行きましょう」

といった趣旨の暗示をかけた。

そのため3人で“一緒に龍驤”について行ったのだ

 

 

「ところで、加賀さんたちを捕まえなくていいんですか?」

 

「ああ、多分エアーが電波捉えてもうすぐ仕掛けてるんじゃないかしら?

もうマーリンがいないでしょう?」

 

マーリンがセットしたピアノ線を片付けながら、フォレストが答える

 

飛龍と龍鳳が転んでいたのは、マーリンが山に張られていたピアノ線をここで張ったためだ

4人がやって来た通路には、視認される危険性があったため仕掛けられなかった。

そのため倉庫の反対側(海側)に出る所にピアノ線を張り、3人には催眠術をかけ囮になってもらった。

 

龍驤は判断できなくとも、他から見れば明らかに3人はなんらかの罠だとは判断できる。

ならばそこに長居する理由はない、離脱するのが最善策だ。

……その退路に仕掛けられているとは考えられなかったようだが

 

「あ、じゃあもうすぐ____ 」

 

《訓練に参加している全艦娘!空母11人も全員捕らえたわよ!!》

 

「……ちょうどだったみたいね」

 

時刻は16:33

全員が工廠に向かっていく

もうすぐ訓練が終わろうとしていた

 




ちなみに私も催眠術は使えます

……さすがにフォレストさんみたいに場所を選ばず暗示をかけることは出来ませんが


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。