鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

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すいません
定期テスト対策で1週間は投稿スピードがガクンと下がります……



真嘘

 

15:00

会議が始まった

昨日の警視庁での会議室とは違い、人数に見合った広さだった

室名は〈大本営本部 本部室会議場〉

……名前だけなら結婚式でも挙げそうだ

 

だが参加している提督の上司らしいのは、階級を見る限り全員将官だ

……そういえばこの提督はどの階級なんだ?

艦隊を指揮できるのは確か……司令官であればいいから少佐以上か

 

「あんな事件の直後に呼び出してすまないね」

「……そちらは例の外部顧問ですか」

「スネークだ、こっちは彼の部下のウェーバーだ、今日は同行を頼んだ」

「ええ、知っています。艦娘との交流戦を見ていましたから……実力は確かのようですね」

「……お互いに突き合うのは止めて本題に入る」

今回の議長らしい男の声が場を黙らせた

 

「朝送った書面の通りだ。なんでも国会議員が今回の一件を一大事と位置づけ、問題にするらしい」

「ええ見ました……艦娘が巻き込まれたのは事実ですし

すでにネット上に動画として上がってますから、証拠は十分。根回しも無意味ですね?」

「そうです……ですから呼びました」

「それで皆さんはどうお考えなのでしょう?」

 

突然提督が上の人間に質問する

……こいつは本気で丸め込むつもりらしい

 

「どう……とは?」

「皆さんが艦娘をどう思うのかは私にはわかりませんし、どう思うかは自由です

ですが今回の案件は今後の艦娘の行動に支障をきたす可能性があります

彼女たちに影響があれば世界の崩壊も招きかねません」

「……彼女たち、ですか」

 

ワザとらしく同じ言葉を言う……なんだ?

 

「……我々も同じ考えだ。艦娘に問題が発生すればすぐにこの国は滅びる

……そうなれば誰もがすぐに理解してくれるだろうが、それでは手遅れだ」

 

どうやら知識だけの人間だけではないらしい

事態がもたらす結果は解っているようだ

 

「ここに居る、いや勤めている人間は全員その事は理解しています。

艦娘に関して政治が絡めば世界が崩壊しかねません

それに……彼女たちは人とは認められてもいません、何せ同じく海から来た存在ですから

……ですが我々も守られるだけの存在ではいられませんよ」

「では____」

「今回の事件、艦娘は関係ない事を提督としてあなたにマスコミに発表してもらうためです。

いくら何でも我々は参考人招致を他に投げませんよ」

「それに、心強い味方も今回はいるじゃないか」

「……俺の事か?あまりアテにされては困るんだが____」

「いや、アテになる」

 

すぐに提督が返事をする……何を企んでいる?

 

「何せ艦娘の弱点をすぐに見破った男だ、それに現場を実質的に監督してたのもスネークだ

今回、こっちは正当性を上手く示すことが出来れば問題ない。

……私たちが疑問に思う事・ヤバイと感じた事を返答してくれればいい」

「つまり大本営が返答に困る事を俺が考えればいいんだな?」

「…………勝手に解釈してくれ」

 

だいたい図星だろ

実際この会議室のメンバーが苦笑している

……意外と堅苦しくないなこの上司たちは

 

「では早速____」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー鎮守府ー

 

「はい、1〜2〜3〜4〜5!」

「じゃあ天津風・時津風、ティムの所行ってね」

「あ〜捕まっちゃった」

 

開始から1時間

すでに……何人だっけ?

 

「駆逐艦の娘たちは皆捕まえたわね」

「ううん、秋月ちゃんがまだいるよ〜……同じとは思えないけどねぇ〜」

「それ嫌味よ……まあそうかも」

 

時津風ちゃんがついでに嫌味っぽく教えてくれた

……確かに同じとは思えないのは納得だわー

 

「……て事は11人は捕まえたんだ」

「他の人たちは作戦会議かしら?」

「まあ残った21人は全員私たちと一戦交えてますし、警戒心が強いですから」

「瑞鶴なんか早々に突っ込んで駆逐艦と混じって捕まると思ったんだけどな〜?」

「……いくら何でも少しは反省してくるでしょ」

 

エアーの言うことはまあ確かなんだけど

……もしかして加賀さんとか翔鶴さんがなんか言ったかな〜?

 

「ここからは別れましょうか、分担して探せば向こうも動くでしょうし」

「じゃあ私は山!」

「……まあいいですけど」

「マーリン、フォレストの意味ってわかる?」

「え?森林地帯でしょ!なんで常識的な話を私に振ったの!?」

「……もういいわ」

「ええ、じゃあ私は天津風と時津風をティムの所に送ってから捜索します」

「よろしく、ほら行くよマーリン」

「あれ?エアーも一緒に来るの?」

「まあね、山側は多分川内が居るんだろうしトラップも張ってるでしょ、

……いくら何でも1人欠けるとコッチは厳しんだから」

 

それもそうか……

そういえば那珂ちゃんと神通は遠征任務中だっけ

 

「じゃあカバーよろしく!私は先行する!!」

「OK、私はあんたのカバーに入る」

「こっちも何かあれば連絡するわ」

「じゃあ行動開始!」

 

時津風ちゃんはルンルンでスキップしながら工廠に行った

フォレストは手馴れてるみたいで一緒に手を繋いでた

そういえば私達と違って戦闘スキルじゃなくて医療系のスキル持ちだっけ

……意外と強いけど

 

 

 

 

 

 

 

「……行ったわ、いまは大丈夫」

『・・・はぁ』

 

ため息を吐いたのは空母・軽空母の10人

……翔鶴だけが微笑んでいる

 

 

 

現在、艦娘たちは空母群・巡洋艦群に別れ行動している

計画としてまず秋月以外の全駆逐艦を3人に向かって攻撃

威力偵察とあわよくば1人ぐらいを無力化させようと試みた

 

結果はまずまずだ

やはり1人も無力化するには至らなかったが

敵の戦力分布(たった3人だが)と、今回のルールでの彼女ら3人の実力がわかった

何せ訓練を受けた事のある艦娘たちでも彼女ら3人が、どう拘束するのかは見た事が無いからだ

だが見ていた艦娘たちの得た結論はいたってシンプルだった

 

近づいたら終わり

 

駆逐艦の中には交流戦でスネークに体当たりした響や雪風の2人もいたし

他の駆逐艦も格闘戦は人並み以上に出来る

そもそも艦娘は個人差はあるものの、駆逐艦でも成人男性以上の力はあり腕相撲でも自衛官と持久戦に持ち込める程度には筋力はあるのだ。

 

それに艦娘と深海淒艦は海上で格闘戦になる事もある

戦艦同士では砲撃戦の時点で片付く事がほとんどだが

水雷戦隊の主力である駆逐艦らはとにかく接近する

主砲の射程の問題でもあるが、水雷の語源でもある魚雷を敵の側面に叩き込むには

近ずくに越した事は無いのだ。

 

……イ級などはさておいて、

お互いに人型で近づきさらに魚雷を避けきり横を通り過ぎるとき、絶好のチャンス

本来の艦船同士なら機銃を甲板や艦橋など人がいる所に撃ち込む事になるが

艦娘と深海淒艦の場合は肉弾戦になる

 

転ばせゼロ距離から発砲する、錨を使い相手の艤装を破壊する、

 

といった様に、海上でも艦娘ならば陸の兵士と同様で主砲を使うより体を使い倒すのが効率がいい

その為、ある程度体を使う事は慣れているために陸上でもゴリ押しながらも戦えるのだ

いままで誰もがそう思ってきた

 

 

それをスネークらは砕いた

 

 

正しくは、スネークらは正しい事を理解させただけに過ぎないのだが

艦娘本人たちにとっても、陸上では弱いというのは衝撃的なものだった。

艦娘の本気である艤装を着けても陸上では効果を発揮出来ないのは交流戦で明らかになり

訓練で、格闘戦はゴリ押しでは誰にでも勝てる訳ではない事を体感した

そしてテロ(?)に巻き込まれた艦娘たちは自分たちが何も出来ないのも体感した

 

 

しかし

 

今回は鬼ごっこである

それもタッチしたらアウトなのではなく、拘束され5秒間捕まっていたらアウトになる

さらに転ばせられれば鬼を亡き者にも出来る

艦娘たちは思ったのだ

 

 

「これなら勝てるじゃない!」

 

……だが現実は甘くなかった

 

 

「あかんわ〜、あんなんから私、捕まったら逃げきれへん」

「確かに……無理ですよねぇ」

 

龍城・龍鳳の言った無理な事とはあと2時間逃げ切る事ではなく、拘束を解いて再び逃げる事だ

 

 

開始30分後、駆逐艦11人は3人を瞬く間に包囲、転ばしにかかった

 

だがどうだろう

最初に突撃した第6駆逐隊全員の攻撃は不発、しかも響以外は拘束された

他の浦風・磯風・浜風・舞風・天津風がすぐに救出を試みるもそれが罠だった

拘束されてた3人は同時に、同じ所に押し出され

向かって来た5人を転ばせ再び3人を拘束、スグに5秒が経ってしまった

 

だが5秒あれば復帰できる

8人は合流し一旦離脱した

……だが奇襲をかけるには素人だった

 

15:00前に8人は後ろから強襲した

後ろからなら拘束され無いしこちらしか攻撃でき無い

……普通ならそうだ

 

 

だがBIGBOSSと呼ばれた人間に育てられた彼女たちは普通じゃない

 

 

後ろから押し出そうとした手は払われ、

そのうち6人は向きを変えられ5秒数えられ、しかも意図的に雪風と響は捕まえられた

残ったのは天津風と時津風のみ

捕まった6人はティムが工廠に連れて(持って)いった

そして3人に囲まれた2人は……逃げ切れずに捕まった

 

 

 

「それでどうします?艦載機を上げて___」

「論外よ、位置がバレるし上げたところで何も出来ないのわ」

「このままが1番……ですか」

「それ以外いまは何もしてはいけません」

 

別に軽空母と空母に階級差がある訳ではない

だが、戦争での戦績や名前から“軽”と付いているため先輩・後輩関係になっている

 

「けどどうするの?このまま何もしないのが勝てるのは確かだけど……」

「瑞鶴、“今は”何もしてはいけないわ

けど必ず攻めるべき瞬間は来るハズよ、その時確実に仕留めましょう」

「翔鶴ねえ……」

「その通りです、私たちは作戦を立てましょう

そのための時間は川内さんたちに稼いでもらいます」

「けど赤城さん、どう……するんです?」

 

祥鳳の質問に赤城はもちろん全員が黙る

残り2時間、どうするべきなのか彼女たちには想像できていない

 

 

 

 

 

 

 

 

ー工廠にてー

 

「悪いね〜なんか騒がしくなりそうで……」

「いいですよ、別に今日は精密加工するわけじゃ無いんですから」

 

ウン、そう言いながら意味も無く金属をヤスリで削るのは止めて!

俺の心が削れる……ホント悪かったから!!

 

「けど、時間を潰すのは手伝ってくださいよ」

「ん〜けど何を話せば____」

「けどウェーバーさんとティムさんって裏の仕事してたんですよね?」

「……えっと浜風さんだっけ?裏の仕事って単語はどう出てきたの?」

「ああ、私も聞きましたよ」

 

はあ!?夕張さんも?!

どっから…………………あ

 

「まさかだけど……マーリンがなんか言ったか」

「“そこら辺を詮索しっちゃた人達とかを色々やってたのがウェーバーとかティムだから”

て言ってましたけど……」

〔……あのヤロ〜、誤解させやがって〕

「あ、あのー?ティムさん??」

 

いや、まず“そこら辺”ってどこら辺だ!?

まず話を聞こう

 

「……まず、どうして俺とウェーバーの話をあいつがしたんだ?」

「あ、それは私があの兵器って何ですか、と聞いて____」

 

パタリ

 

「え!?ティムさん?!」

「……大丈夫で____」

「わかった、その誤解を解く」

「え?」

「どうせ、機密保持のために動いてたのが俺らの仕事だとか言ったんだろ?」

「ま、まあ」

「・・・はぁ」

 

あいつ、こんな所で手間かけさせんなよ……

いい時間潰しになるかコレ〜?

 

「ティム?残った2人捕まえたんだけど……どうしたの?」

「……あのバカがウェーバーと俺のイメージをこの娘たちに誤解させやがった」

「……頑張ってね」

「おう、そっちは……ほどほどにな」

「そうねーそれじゃまたね」

 

フォレストの奴、見た目は清楚だが全く容赦しないからな……

マーリンみたく真っ直ぐ突き進んで立ち止まらないのも困ったもんだが

エアーは……強い(確信)

 

「さてと、話をしよう」

「ならまず1ついいですか?」

「浜風さん何かあるの?」

「そもそもマーリンさんが言っていた事は事実なんですか?」

「……あいつの言い方はとても誤解がある

大方、俺らが詮索した奴を排除してるような風に言ったんだろ?」

「違うん……ですか?」

「当たり前だろ〜……そんな俺が物騒な事を頻繁にしてると思うか?」

「……どちらかと言えばマーリンさんがやってそうです」

 

あいつの印象も歪んでいる!!

……まあいいやフォローする義理は今回は無い

 

「それでティムさんは何をやってたんです?」

「……みんなそんな気になる?」

『…………』

 

いつの間にか俺の周りに駆逐艦の娘が囲んでる……もう少し大人ならすごく嬉しいだけどなぁ〜

さすがに子供に囲まれても心がピョンピョンしないかなぁ……それ犯罪だし

まあ夕張さんなら問題無いけど

 

「正しくは“回収”なんだよ」

「回収って……フルトンでですか!?」

「まず、今みんなはどの位俺らの職業知ってる?」

「世界中にいる兵士さんを鍛えてたのです?」

「うんまぁ、それもある」

 

流石にMSFが民間軍事会社って説明は面倒だし

……それは彼女たちが知るべき事じゃない、知らなくていい世界だ

 

「それと、世界各国からいろんな仕事を頼まれてたんだ」

「それは____」

「無理、喋れない。喋ったら俺どころかみんな口封じされるし、そもそも俺は知らない。

けど、深海淒艦が暴れ始める前までは色々な仕事をやってたのは確かだよ。

それは話しても大丈夫、Wikiにも書いてある」

『?』

「まあそれで、暗殺やら人質確保とかしてたの」

「……え」

「それで、任務の途中で有能な人材がいたら回収するんだ。敵でも人質でもね」

「・・・待って!それ味方ならともかく敵も回収するの!?」

「うん、だって有能だから」

「……ええ〜」

「それで仕事は____」

「日本じゃ敵は居なくても良い技術者や研究者がいるからね、

そういう人たちに声をかけて言ったのが俺とかウェーバーなの」

「けど、マーリンさんが言っていた色々やってたって……」

「納得してくれた人達の回収は本人にすら知らせずに、ある日突然消える様回収するんだ

本人が喋る事はほとんど無いが、本人による身元整理をされると足がつく可能性がある

俺たちの組織は外の世界には存在しないからね」

「けど詮索した人を色々やってたんですよね?」

「……あいつ、そうも言ったんだったな………」

 

ほんっとにあのバカが……意味が全然違うだろ

 

「普通に考えて、俺らにとって良い技術者や研究者なんかは

諜報員と知らない内に接触しちゃうんだよ……夕張さんみたいに興味を持ってね」

『…………ああ』

 

駆逐艦の娘が全員納得した

あのボーッとしている感じの時津風さん……いや、ちゃんまでも

やっぱり印象は間違えてなかった

 

「え!?なんでわたし?!」

「……反省会の時を考えれば納得できる」

「そ〜れ〜に〜、夕張さんだもんね〜」

「その通りよ夕張さん……まさにその通りだと思うわ」

「何かまちがえてます?」

「ウン」「да」「そうよ!」「なのです!」

 

……浦風・磯風・浜風・舞風の4人以外がツッコむ

4人は心が大人らしく、ただ静かに笑ってる

要するに同じ考えの様だ

 

「けど別に詮索なんか……」

「確かに詮索はしてないけど、詳しい事を知りたいと思って質問してきたでしょ?

その時点で外だったら確実に俺たちの情報網に引っかかってたよ」

「……………」

 

あ、黙った

……しばらく放置だなぁ〜コレ

 

「なら、ウチからも1ついいじゃけ?」

「じゃけ?」

「浦風は少し訛りがあるんです。気にしなくても意味は標準語で十分わかります」

「あっそう……んで、何かな浦風さん?」

「あのースネークは何の仕事をやってたんかなぁ〜と思てなぁ?」

「………まあいいか」

 

別にみんな調べればわかる事だし

知らなくていい裏話をしなきゃいいんだし

 

「うちのBOSSはね、潜入を主に扱ってる」

「と言うと?」

「あ〜……敵基地に単独で乗り込んで機密書類とか人質・依頼人を回収するって事

時には破壊活動もしてるけど」

「あの人そんなにヤバイんですか!?」

「……ヤバイっていうか、スゴイだよ」

「いや、だってバレますよね?」

「いいや?

武器も使わず誰にも接触せずに物を回収したり

1000メートル以上から普通に対象を狙撃して排除したり

一切の痕跡、弾薬とか何かを残さずに任務をこなす人だから」

『(・Д・)……』

 

そっか、BOSSの話をすればいいのか

……考えればネタが尽きないな

 

「あと、でっかい……何ていうか……ロボットを1人で____」

 

 


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