鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

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……まさかの予想通りだった

アレから30分後にSATの隊員と帰って来た

もっともそれは目立つので離れたところから車で現場に来た

フォレストとティム・交渉役の3人だけを残してその車に乗る

 

「スネーク、ただいま戻りました」

「……報告してくれ」

 

 

 

 

 

 

「前に報告した通り、敵スナイパーを排除しました。

数は2人、内1人の証言から人間爆弾が1人いる事が確認できました」

「……もう1人からは何も得られなかったのか?」

 

スネークがエアーやSAT隊員に質問する

そして全員が苦笑する

 

「……なにがおかしい?」

「いや、20人全員で取り囲んで尋問したんですけど何も吐かなかったんです」

「……お前ら怪我させて無いだろうな?」

「いえ、囲んだだけで俺らは手を出してないんですが……」

「奴が“あんたら警察のルールじゃ俺には何もできねぇー”て言った途端にですね____」

「エアーが“尋問”したのか?」

「……お前どんだけやったんだよ」

「え?“やめてくれ”ってあいつ自身から言うまでだけど?」

「えーそこは“死なせてくれ”って言わせなきゃダメよ!」

「……マーリン、私は人前ではそこまでやらないわよ。あの位で丁度いいんじゃ無いかしら?」

『…………』

 

SAT隊員全員が苦笑出来ずに黙る

何せあれを尋問と言っていいものでは無い、拷問だ

 

 

20人で囲ったものも何も出来ず、犯人にそれを指摘された途端、「じゃあ私がやるわ」

と、輪の中に走って入りそのまま顔面に拳を当てたのだ。

犯人はぶっ倒れそのまま気絶、

一瞬の出来事に訓練された隊員たちも止められず驚き立っていることしか出来なかった。

 

だがそれで終わらなかった

 

「なに寝てんのよ」と言って犯人を1発で蹴り起こした

隊員たちは一同“この人はヤバイ”と判断し、輪を広げながら犯人を見守る事にした

立った犯人は何も抵抗出来ないまま、エアーに拘束され尋問された

 

「どうも、早速だけど知ってること全部吐いてくれる?」

 

「………………」

 

「ちょっと?話せないほど強く殴ってないわよ」

 

「………………」

「言っとくけどあなたを支援する銃弾は飛んでこないわ、私が片付けた」

 

「……あんたらみたいな国の人間に話す情報は無い」

 

「あら?よく喋れるわね〜」

 

「はっ、あんなの慣れている」

 

隊員たちは知っている、さっきの拳は左だった事を

利き手は銃の扱い方から明らかに右だ

つまりまだ本気を出していない

 

「そう、けどコレには慣れて無いんじゃ無いかしら?」

 

瞬間、拘束されていた人間は気絶した

 

だが締め上げてでは無い

 

コンクリートの地面に体を一気に叩きつけられたからだ

 

そして間を置かず再び蹴り起こす

 

だが拘束せず、相手が完全に立つのを待った

 

「てめぇ____」

 

そして今度は背負って投げた

 

しかし左手は相手の服を握らず、体を持ち上げるために使われた

 

 

「何ゆっくり寝てんのよ」

 

そしてまた蹴り起こす、

それがさらに五回は繰り返された

隊員達にもはや止める気は起き無かった

 

介入すれば死ぬ

 

そう感じたからだ

 

エアーは冷静さを失う人間では無い

隊員たちが止めてくれれば、尋問を止めるつもりだった

だが、止める事も無かったので遠慮しながら行った結果

犯人が「やめてくれ、話すから」と言わせたのだ

 

犯人の顔には何も変化は無い、

だが全身はまともに動けず常に体は震え、声も最初とは違い弱々しくなった

しかし、情報は犯人の人数だけでそれ以外何も知らない、

知っているのはもう1人のスナイパーのはずだと言った

 

「それ以外に話すべき事は?」

「なないい、たんのむ、たすけて」

「ええ、わかったわ」

 

そして再び拘束、締め上げて気絶した

犯人がイク少し前、そいつは気持ちがよさそうな顔になった

一方のエアーは笑っていた

 

それを見た隊員たちは( ゚д゚)という表情を保っているだけで、

声をしばらくかけれられなかった

 

「終わったけど………どうかしました?」

「あ……いやどっちが犯罪者なのかとね」

 

だがさすが隊長である、こんな雰囲気でもネタを言える

 

「ふふ、確かにどっちが悪いって私ですよね?」

「まあ我々は今到着したって事で」

そして身柄を渡し現在に至る

 

 

彼らが得た結論は“こいつらとんでもねぇ”、である

先ほどのマーリンの問いに対し、

「私は人前ではそこまでやらないわよ。あの位で丁度いいんじゃ無いかしら?」と言った

 

つまりもっとやっても良かったのだ

 

だが“部外者”がいたからあれで済んだという事だ

 

隊長の「まあ我々は今到着したって事で」、はネタでは無い、隊員の命を守る為の発言である

……全員があの犯人に同情し、これからやられるであろう18人に恨みでは無く、哀れみを持った

 

 

「……お前、まさか俺の事をなんか話したんじゃ無いだろうな?」

「いい〜え、スネークがすごいのは確かですけど、

今話したところで何の意味もありません、酒のツマミにさせて頂きます」

「それ私も参加したい!!」

「……お前ら良くスネークの目の前でそんな事言えるな」

「いやウェーバー、止めてくれないのか?」

「確かにここで話す事では無いのは事実ですし、スネークがすごいのも事実です」

「・・・はぁ、まだ解決していないんだ、油断するな」

『了解』

 

一瞬にしてスネークの部下に緊張が走る

 

「それで、追加の頼みなんだが____」

「その爆弾持ちの制圧か?」

「ああ、だが俺らの突入と同時に確保してくれ」

「しかし、その犯人の居場所は?」

「それは今やってる、うちのメカに爆発物の検知機能がある

建物内で犯人の監視をしていたが今は野次馬の中で捜索している」

「それって目立ちませんか?カメラもいますし____」

「私は実物を見たが、アレは混雑してる中なら足元にいてもわからないな、音もしないし小型だ」

「そうですか……」

「そういう訳だ、すでに機動隊にも連絡し対象の周辺を囲む形で移動できるように頼んだ」

「……俺らの出番は無いのか?」

 

突然、スナイパーの蘇我が質問する

 

「いや、5人のスナイパーでその支援だが?」

「そんなに多く配置する必要は無いだろう、むしろ犯人がまだいる可能性もある

それがスナイパーだったら____」

「その心配は必要無い」

「……なぜ」

「陸自から暗視ゴーグル付きの偵察機が2機、上空を飛んでいる

地上からは肉眼で視認できない高度で周辺の偵察をやってくれる

狙撃銃ぐらいなら観測できるそうだ」

「……だが他にも爆弾魔がいる可能性も____」

「だからこそだ、わざわざ5人のスナイパーを配置するのはバックアップだ

何か有れば構わず撃て、これ以上被害を出させるな」

「……了解」

 

隊長からの命令で蘇我は食い下がった

スネークは疑問に思いながらも話を続ける

 

「……そういう訳で、お前らが配置に着いたらいつでも突入できる状態だ

うちの技術屋が見つけられなくても、その爆弾人間の周辺には必ず変化が起きる、悲鳴とかな

怪しい奴がいたら撃て、俺が責任をとる」

「いや、狙撃手の責任は狙撃手が請け負う、そこまで尻拭いはされたく無い」

「そうか」

 

 

 

「スネーク!まずい事になりました!!」

「どうした?」

 

SAT隊員からの報告が終わった後、急にティムが入って来た

 

「犯人が…………」

「まさか、爆弾を起爆するとでも言われたか!?」

「いや、下手すれば人間爆弾の存在すら知らない可能性もある

それに、金と女が目当ての奴だ、爆弾を起爆しても意味が無い」

「ええ、スネークの言う通り爆弾ではありません」

「なら何が?」

「ネットで実況を始めやがりました」

 

『はあ!?』

 

「おい、まさかもう手を出したのか」

「いいえ、ですがフォレストが言うには何が起きてもおかしく無いそうです」

「……ウェーバー」

「了解、おい各自配置に着くぞ」

「……命令されるまでも無い」

「こっちも準備だ」

『了解!』

 

事態は慌ただしくなった

ウェーバーら3人は狙撃ポイントに向かい、SAT隊員も実弾を装填し始める

スネークらは指揮車に再び乗り、装備を整える

 

「コッチはいつでも……」

「落ち着けマーリン、お前には派手にやらせると言ったはずだ」

「……具体的には?」

「お前には9階の制圧を頼む、1人でイケるな?」

「待て!いくら何でも____」

「よっしゃー!殺さなければ良いですよね?」

「ああ、言葉が話さればいい。」

「くれぐれもトラウマを植え付けないでね?私の仕事が増えるんだから」

「大丈夫よフォレスト、覚えて無いだろうから!」

「ふふ、それもそうね」

「・・・・・・」

 

指揮官は何も聞かなかった事にした

スネークは続ける

 

「ティム、人間爆弾は?」

「左はクリアでした、確実に右に居ます」

「ならSATは右に配置させます、スナイパーにも____」

「いや、スナイパーには言わなくていい

あいつらは目が良い、周辺全体をカバーするのがあいつらの仕事だ」

「なら左側の野次馬は離れさせます」

「そいつは助かる、お前は大丈夫かフォレスト?」

「何をおっしゃているんですかスネーク、

大丈夫で無かったら鎮守府に派遣されてませんよ?」

「……そうだったな、エアー」

「すでにティムからもらいました、爆破は任せて下さい」

 

エアーの手にはC4が握られていた

分量はバリケードを考慮され、少し増えた

 

「よしフォレスト、もう一度犯人からの要求を言ってくれ」

「ヘリ2機と民間航空機です」

「俺らがすべき事は?」

「人質の確保と犯人18人の無力化です」

「そうだ、俺らがやるのはそれだけだ」

「よっしゃいた!!」

 

ティムが叫ぶ

 

「どいつですか!?」

「こいつだこいつ、場所は右側・品川駅方面

規制線から約10メートル………報道カメラの真後ろだ」

「派手に花火でも打ち上げるつもりかしら?」

「・・・おい聞こえるか?」

 

スネークが借りた専用の携帯で連絡する

相手は左右にいる機動隊隊長とSAT隊長・すでにいたスナイパー2人だ

 

「ええ、無線機と違ってよく聞こえますよスネーク」

「あんたスナイパーか?」

「まあな」

「全員聞け、爆弾の位置がわかった」

「「「「「どこです!?」」」」」

「品川駅方面、テレビカメラの真後ろだ」

「……どいつですか?」

「ジャケットにマスク・サングラスはしていない………ブジテレビって書いてあるカメラの真後ろだ」

「……いた」「こっちも見つけた」

「まだヤルな、このまま電話は繋げる、合図をしたら確保してくれ」

「よし、一班は犯人確保、二班は左側で不足の事態に備えろ」

『了解!』

「山本さん、そっちはお願いします」

「当たり前だ、そっちもしっかり避難誘導しろ」

 

すでにスネークが警察に言うべき指示は無い

そこまで指示を出す必要も無い、各自で動いている

 

「ティム」

「いえ、他の爆発物は確認されませんでした……ここ300メートル周辺ですが」

「仮に他の場所にあるとしたら、それはもはや俺らの手に扱えるものじゃ無い」

「ええ、それはわかってますが____」

「なら俺らが出来る最善の事をやるまでだ、メタルギアを先に偵察させろ」

「了解です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーネット上のある動画投稿サイトー

 

「はーい注目!」

 

23:00突如電撃的に生放送がネットで始まった

22:50頃に告知があり、ものの10分で20万人は集まっている

 

「俺は“神様”、いま品川で、おバカな警察相手に交渉してるんだ!」

 

内容は〈テロの生放送、バカな警察が招く惨劇〉

コメント欄は荒れに荒れる

それを見越してか、画面上には弾幕は展開されないようになっていた

 

「俺はねー、警察に行ってやったんだよ!五十億とヘリを用意しなかったら……」

 

画面は左にパスされ、23人の拘束された女が映し出される

 

「この子たちを“公開処刑”にするってね〜!!」

 

さらにコメントは増え、視聴者も50万人を超えた

 

「しーかーも、この12人は艦娘!!

どんな声を上げるんだろうね〜?

どんな風に嫌がるんだろうね〜?

どんな風に死んじゃうんだろうね!?」

 

画面には、12人の艦娘が映る

全員の目には反抗心が見て取れる

 

「いいねいいね!その悔しそうな目!!

いまから辱めを受けて死ぬんだもんね〜

政府もひどいよね?この子たちが犯されて死んでも無視だよ?

警察も慌てて突入したけど、俺の罠にまんまと引っかかった!もう手も足も出ないみたいー」

 

コメントは、政府批判が中心になり警察組織をけなす発言が占めた

だが、一方では自衛隊の派遣や犯人への批判も目立つ

 

「えー?俺が捕まるって?はぁ!?そんなの決まってんじゃん!

捕まる前に楽しんで殺しまくるんだよ!?それで____」

 

“神様”はその後もカメラを回し、女を物色し始めた

……馬鹿な連中だ、もうすぐ全てが終わるだろう

自分を中心に世界が回っていると勘違いしている

最初から頭がイカれていた連中だったが、ここまでだとは思わなかった

 

おかげで計画が台無しだ

 

もうすぐ警察が容赦なく彼らに閃光弾を投げつけ

奴らの目が回っているうちに銃弾でその回転を止めるだろう

……さっさと寝るとしよう

パソコンをシャットダウンして、目を閉じる

 

明日、あいつらの事を覚えていたら不幸だ


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