鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

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移動

 

直通のエレベーターは一度に全員が乗れた

上ではハンドガンだけだったが、専用の駐車場に他の武器も置いてあった

すでにセットされており、全員の乗車には5分もかからなかった

全26名がバスに乗り、今は品川方面に一般道を通って向かっている

前方は警察のバイク2台が先導し道を作り、後方はパトカーが付いてきている

 

「全員聞こえるな、いまからブリーフィングを始める。

警察だ自衛隊だとあるが、俺ら6人には関係無い、

わからない事、文句があれば手を挙げずにすぐに言え、わかったか?」

 

全員が頷く

 

「そもそも今回の事案だが……恐らく全員がテロリストじゃ無いだろう」

「……どういう意味です?」

 

隊長らしいのが質問する、

他の隊員たちも同じ疑問を持っているようだ

 

「全員、テロリストが求めるのが何かはわかっているか」

「身代金とか仲間の解放とかじゃ無いんですか?」

 

隊員の1人が答える

他の隊員たちも頷いている

 

「それは少し違う、確かに仲間の解放を求める。だが身代金なんてものは求めない」

「待ってくれ、金を求めないで仲間の解放を求めるだけがテロリストだっていうんですか!?」

「……まあ理解できないだろうが、

気に入らない政治体制やそれによっては囚われた仲間の解放を求める手段だ」

「しかし今の“神様”とか名乗っている犯人は金を要求して____」

「だからテロじゃ無い、

最初に交渉していた奴は恐らくテロリストと言っていい

人質がいる事を教え、要求を示し、デットラインも決めた

これらは全てテロという名の“ゲーム”のルールだ」

『…………』

 

全員が俺を睨む

確かに仲間が吹っ飛ばされたのに“ゲーム”だと言われればこうなる

 

「……だが普通のテロリストも馬鹿じゃ無い。

やり方はイカれているが、人質を粗末に扱ったりまずしない。

人質を同じ人間だとはあまり考えていないだろうが

交渉の駒の価値を無くしては要求を達成する事が出来なくなる可能性が高い。

自分たちの要求を達成するには譲歩が必要な事ぐらいわかっている」

「ですが、最初の犯人は人質の解放に応じませんでした」

 

言葉に僅かながら怒りが篭っている

 

「……恐らく要求を通すために殺すためだろうな、だが状況が悪かった」

「……あなたは何を知っているんですか?」

「知っているのは犯人側の要求と大まかな武装、立て籠もったある程度の流れだけだ

だが、それだけでも本物のテロリストでは無いと言える」

「……まさか素人なんですか!?」

 

やはりこの国の軍人……いやこいつらは警官か、は優秀だ

何も答えを出せない人間じゃ無い

 

「そうだ、今までの一連の流れには不自然な点がある

・銃を人に向けながら立て籠もった事

・銃が統一されていない事

・途中から交渉役が変わった事、 この3つだ

銃を向けるという事は、対象を殺すという事だ

……今回は自衛官が撃たれたためにあまり重要視されて無いが、

民間人の殺傷はタブーだ」

「その自衛官が銃を向けた可能性は?」

「確かにある、だが____」

「私が駆逐艦の娘達を逃す間にあいつらはもう自衛官を撃ってたし

その時に自衛官が銃を構えていたように見えなかったわ、

仮に角度的に見えなかっただけだとしても、ちょっと時間が無さすぎるかな」

「そういう訳だ、決定的では無いがワザと撃った可能性がある」

「……銃が統一されて無いのは確かに不自然とは感じていましたけど、

じゃあ交渉役が変わったっていうのは?」

「おめぇ考えてみろよ、普通、身元の特定はされない様にするよなぁ?

「へ!?・・・はい」

「だから、警察と交渉する奴は決まったやつ1人だけにやらせるのが当然……だよなぁ?」

 

……明らかにお前が犯罪者だろう、

そう言いたくなるガタイのいいやつが突っ込む

 

「そりゃあ、声紋を残すのは1人でいいですから____!」

「そういうこった、

計画を立てているなら交渉役は初めっから交渉しているはずだ」

「その通りだ、さらに目的まで変わっている」

 

全員がテロリストでは無いと認識したらしい

 

 

そもそも、装備は全員揃えるのが普通だ

何せそういった手合いは何故か知らんが団結性を重要する

それに揃えるのに手間がかからない

わざわざ別の銃を用意する方が身元が割れやすい

 

立て籠る前に発砲するのもおかしいが、

交渉役が変わり、要求の方針まで変わった

……人質に手を出し殺す、それもネット中継するとまで言った

テロリストもクズだが、こいつも別の種類のクズだ

わざわざ生かす価値も無い、だが生かしてやるのが今回の条件だ

 

 

「……確かに不自然がある、だが途中の流れはテロリストそのものだ、

それはどう説明するんだ?」

「そうだ、全員が素人じゃ無い」

『え!?』

 

さすがに隊員全員が驚く

部下たちには事前に話してあった為に何も変化は無い

……1名は例外だが

 

「どういう意味ですかスネーク!?」

「……マーリン、お前が見た人数は18人だったな?」

「そう……ですがスネーク、向こうは22人居たんですよね?」

「そうだ、それがテロリストだ」

「…………そういう事か」

「わかったか?」

「つまり、4人はプロって事か?」

「ああ、もしかしたら5人かもしれんがな」

「あ〜そういう事ですか!」

 

マーリンと隊長はわかった様だが、他の隊員たちはあまり理解できていないらしい

 

「隊長、いったい____」

「つまりだ、建物の外に3人または4人の犯人……テロリストがいるかもしれないって事だ

そしてそれを対処するのが____」

「そう、お前たちに頼みたい……すでにスナイパーは配置されてるんだよな?」

「2人居ます」

「連絡は取れるか?」

「ここでは無理ですが、向こうの指揮車でなら」

「なら次は作戦だ」

 


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