鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

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出動

 

テレビから爆音が鳴り響く

画面にはビルから破片が落ちて来ていた

「オイオイ!マジかよ!?」

「人質はどうなってるんだ!?」

 

隊員や提督がテレビに食いつく、

部下達も画面に釘付けになった

 

「____これはやられたな」

「……それは警察がか、スネーク?」

「それもそうだが、恐らく事態は悪化する」

「……一緒に巻き込まれたか?」

「いや、人質や犯人は無事だろうな」

「………どういう意味です?」

「そもそも、実行犯の要求と行動が噛み合っていない、恐らく素人だ。

テロでも何でもない、愉快犯に近い」

「……愉快犯って、爆弾を使って、人を撃って殺傷し、人質を取って立て籠もることがですか!?」

 

提督が声を再び荒げる、だがそういう事だ

 

「そうだ、そもそもテロリストなら銃を乱射しながら建物に立て籠もりなんてしない、

少なくとも俺ならしない、無駄な殺傷は控える。

人を殺すという事は、警察から譲歩を得られなくなる可能性が高い

……どうやら死んだのが自衛官だったからかセオリー通りに警察は交渉を進めているが、

普通は狙い当てて撃ったりしない」

「なら、なぜ艦娘を警護していた連中は撃たれた?」

「わからない、だがほとんどの弾は空に向かって撃ったんだろ?

なら恐らく交渉している人間とまったく別の実行犯がいるはずだ」

「……テロリストじゃ無いのがいるって事か?」

「たぶんな……次は無茶な要求を求めるじゃ無いか?」

 

恐らく、実現不可能な金額が追加されるだろう

 

「BOSS!隣のビルから子供達が!!」

「……本当だわ」

 

部下の言葉でテレビを見る

テレビにはぞろぞろと出てくる子供達が映っている

ほとんどが泣いているようだ

 

「フォレスト____」

「すぐに情報を集めます」

 

一旦、彼女は出て行く

諜報員やマーリンから情報を得るためだ

 

「一体、どういう事なんだ?」

「まったくわからない、恐らくテレビに警察は何も話さないだろうしな……」

「みんな…………」

 

鳳翔が一言呟く

完全にボー然としてしまっている

慌てて、エアーが支えて座らせる

すぐにフォレストが戻ってくる

 

「BOSS、どうやら今まで包囲していた建物に犯人や人質は居なかったようです」

「……説明しろ」

 

 

そしてフォレストから状況を聞く

電話で交渉していた犯人は、確かにその6階建ての雑居ビルにいたらしいが

主力と人質は隣のビルにいたと別の犯人から警察に連絡があった

予想通り、追加の要求で50億とさらに自衛隊に45人が入れるヘリを要求したそうだ

 

 

「さらに、要求が飲まれなければ人質をネット上で公開処刑するそうです」

「……突入した隊員は?」

「16人全員負傷、主に上半身に爆発の破片が刺さったようで、動けないようです

また、建物の中から犯人らしいのが1人重体で発見されたとの事です」

「……死者は?」

「先ほどの爆発では誰も死んでいません……今のところは」

「そうか……ならそろそろ電話が鳴るぞ、提督」

 

瞬間、レッドラインが鳴り出す

 

「はい、私です……はい、目の前に……ヘリで?はい、6人乗れる様………はい?」

「出動か?」

「……いや、代わって欲しいそうだ」

 

俺がか?

……電話を代わる

 

「……もしもし?」

「私は統合幕僚長の白川と言います」

 

バクリョウチョウ?

良く分からないがどうやら提督の上司らしい

 

「あんたが今回の依頼者、って事でいいんだな?」

「いや、正しくは“この国”だ」

「……日本国か?」

「そうだ、今回の依頼は

第1に艦娘全員の確保

第2に民間人の確保

第3に犯人全員の捕獲だ」

「待て、犯人を全員殺すんじゃ無いのか?」

「全員捕獲して警察に渡してくれ、それが君たちが出られる条件だ」

「……別に俺らは出たく無いんだが」

「だが、警察と君たちではレベルが違うだろう?」

「……当たり前だ、同じにするな」

 

彼らは犯人の制圧を目的に鍛えられ、時には殺す事も考え訓練している

 

俺らは人を殺すために訓練している、生きたまま相手を帰すつもりは無い

同じなわけが無い

……もっとも俺は殺すのは嫌いだ、見つからなければそれでいい

 

「それに艦娘、しかも正規空母が殺されるとなれば国家や世界の危機に繋がる」

「……わかった、あんたらからは今回だけの依頼になって欲しいがな」

 

本来ならこんな依頼は受けない

だが世界の敵である深海凄艦に対抗できなくなるのはまずい

 

「まったくだ」

「移動はヘリか?」

「そうだ、警視庁からヘリがそちらに向かっている

着いたらそこから車で現場に向かってくれ」

「了解した、高く請求するからどこから出すのか決めておけ、それが今のあんたらの仕事だ」

「……よろしく頼んだ」

 

最後は艦娘について頼まれた様だ

……もっとも俺の勝手な解釈だがな

 

 

「BOSS、指示をください」

 

 

部下4人がすでに立ち、俺をじっと見ている

求めているのはただ1つだろう

 

「……今回の依頼者は日本国、依頼内容は今回のテロ事件の人質全員の確保、犯人全員の捕獲だ。

ティム」

 

「すぐに武装を非殺傷にします」

 

「ウェーバー」

「モシン・ナガン、持って来てます」

 

「フォレスト」

「マーリンに合流準備をさせます、警視庁で間違いないですね?」

 

「エアー」

「ヘリ誘導のためのスモーク・照明弾はあります、場所はグラウンドでいいですか?」

 

「……全員、最悪の事態を想定しろ。10分後グラウンドに集合、ヘリが来るまで待機する」

『了解!』

「それで構わないな、提督?」

「ああ、問題無い。君たちも基地の警備を頼むぞ」

『了解しました』

「各自、自分たちのできる事をやれ、行くぞ」

 

……さて、俺も準備を始めるとするか

 


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