鎮守府警備部外部顧問 スネーク   作:daaaper

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乱舞

 

「ちょっとなんなよ!!」

訓練で興味がある奴は出ろって提督が言ったから来たけど

なんで脱出訓練じゃ無くて回避行動の訓練になってるのよ!?

 

《文句が言えるなら周りにも気を配れ、全滅するぞ?》

「はあ?何が!?」

 

見ると……

 

周りの駆逐艦の娘達が

 

倒れている

 

「っちょっと!大丈夫!?」

《狙われるぞ、動けよ》

 

言われる前に勘で避ける

 

目の前に……弾丸?が過ぎる

 

ていうか

 

「スネーク!ちょっとはこの娘達を____」

 

助けなよ、と言えなかった

 

もうやっていた

 

《こっちのカゴはそろそろ満員だ。マーリン、そっちは?》

《まだ空ですよ!BOSS手際が良すぎます!!》

 

数えると……まだ3人しかやられて無い

 

《五航戦、こっちに来て、駆逐艦は軽巡の方々に任せます》

 

……腹たつ声が聞こえる

 

「なんであんたに指図されなきゃダメなのよ!?」

《早くして、あなた、運が良いでしょ?》

「・・・んもー!」

 

残ってる駆逐艦8人はすでに集まってた

 

「全員あっち!こっちは空母とぶつかるわ!!」

『ハイ!』

 

まったく!

 

なんで指図はされるわ、

 

訳わからないのを避けなきゃいけないの!?

 

《後4分だ、がんばれよ》

 

………ふっざけんな!!

 

 

 

 

《後4分だ、がんばれよ》

「……マジか、まだ1分しか経ってないの?」

「あと2分したら交代だ、我慢しろ」

「腕がパンパンになるわー」

「なんかOLみたいですね」

「……あなたもスグにコレをやるんだからね?」

 

こっちは水上バイクの横でダイナモを回している

……マジで疲れる

 

 

BOSSが本気を出すと言うからコレを使っている

何って電磁射砲・レールガンだ

BOSSが一本、飛翔体と一緒に持ってきていた

ソレをウェーバーが使い、元から俺が持っていたやつはフォレスト

俺とエアーがダイナモでレールガンに給電している

 

「けど、艦娘はなかなか上手く避ける」

「ふっ、そりゃあ艤装つけた艦娘だ。水を得た魚のごとく動くだろう」

「BOSSも手際が良いですね」

「まあBOSSだものね〜」

「……まだ満タンにならないのか?」

「あと30秒くらいだ」

「……もう1発撃てるぐらいってところか?」

「だな」

 

とにかく回す以外に今はやることは無い

もうすぐ最終兵器が出来る

 

 

 

《そもそも、この飛んで来ているのは何なの?》

《私が知るわけ無いでしょ!!》

《お二人とも!左舷から来ますよ!》

 

飛翔体が飛び去り

その後に風圧が来る

それでも相変わらず加賀と瑞鶴は言い争っている

まあ訓練でもこんな感じだと提督や鳳翔・翔鶴からは聞いていた

実際、周りの艦娘にも悪影響が無い

……だがな

「おい、向こうもそろそろ本気を出してくるぞ

いい加減口喧嘩はやめとけ」

《……確かに弾速は凄く早くて避けにくいですけど》

《今度は弾幕が展開されるとか〜?》

「色々だ、俺も迎撃しないとマズイ」

 

次はレールガンのフルパワーとゴムが艦娘と俺を襲うだろう

……おかげでマーリンに艦娘3人を預けた

こっちもリボルバーを取り出す

 

《どんな状況になるって____》

 

 

 

ズッバーン

 

 

海面がえぐれる

 

重巡と空母の間を通った飛翔体の通り道に

 

一瞬だけ強い低気圧が生まれる

 

そして砲塔の部品と矢が持ってかれた

 

 

《ちょっと!なに今の!?》

「気にしてるヒマは無い、狙われてるぞ」

 

《はあ!?なに言って_っく!》

 

瑞鶴に向かって撃ち込まれる

あいつらもよくやる

進行方向を誘導している

 

《クソ!》

「助けてやろうか?」

《結構よ!!》

「そうか、周りは膝を抱えてるがな」

《え》

 

抜かりは無い

フルパワー撃ち込んだ後、間を置かず撃った

……何故か瑞鶴と飛龍は瞬間的にしゃがんで避けれたが

他の重巡や空母は喰らって動けない

さすがに実弾では無いが

毎分6000発の代物を集弾された状態で喰らえばいくら丈夫になっても堪える

 

 

《コッチは回収完了しましたよ〜》

「そうか……しかし軽巡や駆逐艦の方は動きが早いな」

《水を得たカッパですもの、当然ですよ〜》

「……まあいい、まだ2分残ってる、そっちはひとまず軽巡といろ」

《BOSSは?》

「もう少し踊る」

《……なんだかんだBOSSも楽しんでるじゃ無いんですか?》

「どうだかな………少し調子に乗る前に教育する

そっちは一緒に頼んだぞ」

《了解です!護衛は任せてください!!》

 

 

「……さて、ひとまず援護するか」

 

左側ではレールガンとミニガンから空母2隻が必死に逃げている

右側では軽巡・駆逐艦が綺麗に避け、仕返しにあいつらの方に撃っている

……左を支援するとしよう

彼女達の左舷に横付けする

 

「こちらスネーク、今からお前ら2人の援護に入る」

《要らないって言ったでしょ!!》

《ていうかどうやって援護するんです!?》

「軽巡たちはお前らより早いからどうにか避けてるが

お前らは迎撃手段は無いし速度が出ても旋回速度が遅い

……俺の後ろに来い」

《はあ!?あんたの後ろって、あんたが私達の壁になるっていうの!?》

《いくら何でも____》

「無茶ってか?確かに無茶な機動はするがな、ついてこれるか?」

《……ああもう!》

 

単純なやつでよかった

軽く煽ったらすぐ左に来た。

銃弾は右舷から飛んで来ていたが

一時的に止んだ

だがすぐに飛んでくるはずだ

 

「よし、10秒後に180度に取り舵を取って残りと合流しろ」

《あんたはどうすんの!?》

 

一気に速度を上げる

 

「俺はお前らが回頭する時間を作る」

《だからどうやんの!》

「こいつを使う」

 

まあレールガンのフルパワーだったら不可能だが

そうでなければ、こいつで十分だ

 

「ほら、回頭しろ、喰らうぞ」

《っんもう!》

 

素直に取り舵を取り始めた

当然だが距離が出る

 

 

 

「あれ、BOSSが出てきましたよ?」

「そう言えば、こっちにも発砲するとか言ってたな」

「じゃあコッチも動きましょう」

 

水上バイクは4台動かしている

2台は俺らが使っている側車付のバイク

もう2台のBOSS達が使っているのは、俺が改造して後ろに荷台が付いていて、6人は入る

側車付のバイクは速度は程々だが、

バランスを取れば旋回は早いし側車に乗ってる人間が攻撃に集中出来る

 

「じゃあ私がBOSSを撃ちますんで」

「……結局俺は撃てないのか……」

「いいから行くぞ、BOSSが彼女達の援護に入ったってことは俺らが標的になったって事だ。

さっさと運転してくれ」

「……はいよ、やりますって」

……ていうか俺だけ“ティム・ヌーナン”ってダサいだろ……

 

 

 

 

「あの人!ほんと何考えてんの!?」

「けど瑞鶴、確かに無茶な事を言ってるけど適確な指示だよ」

「そうなんだけどさ……」

 

事実、駆逐艦3人をすぐに回収はするし

最低限だけど助言もくれる………本当に最低限だけど

しかも運転しながら、タイミングも完璧に指示を出している

一体どんな目をしてるのよ……

 

「けど、自分の部下にケンカ売ってどうすんのよ?」

「別にみんながやられてるのには問題無いのね……」

時間を稼ぐとか言って1発向こうに撃ってたけど、

そんなんで注意を引けるわけが____

 

「瑞鶴!両舷前進強速!!」

「っ!?」

言われて反射的に速度が上がる

私達、艦娘は航海も全て自分で管理してるわけじゃ無い

妖精たちが指示を聞いて、動かしてもらっている

だから仲間の声にはほとんど反射的に動く事ができる

さすがに発艦はすぐできないけど、増速・減速は空母でもできる

っていうか何この流れ弾は!?

 

「何で流れ弾が!?」

「アレ……ですね」

 

見ると

スネークに弾丸が集まってた

 

「って何で全部避けれてるの!?」

「瑞鶴、とにかく合流が先よ……けど確かに凄いわね」

「うん」

見事に弾丸を避けている

ていうか弾丸が避けてるみたい

……おかしいけどそう見える

 

《そろそろ、真打が出てくるぞ。さっさと合流しろ、いくら何でもアレは回避出来ない》

「え、ええ」

……とにかく言われた通り合流しよう。

 

 

 

「全然当たりません!」

「コッチはいつでも撃てるが____」

 

そうウェーバーが言った途端ボートに3発着弾、揺れる

……凄い射撃精度だ

海上で運転しながら約200の距離でリボルバーを撃ってコレだ

 

「こうも邪魔されたら上手く狙えない!」

「わかってる、当てるんじゃなくて艦娘から離れるように撃つわ」

レールガンは偏差射撃も弾丸の進入角度も気にしなくていい

何せ音速を超えて飛ぶ飛翔体はコレら2つを考えなくていい物に変える

だが唯一の弱点は、精密射撃に時間がかかる事だ

最低でも約3・4秒はかかってしまう

だが状況は3秒も時間は与えてくれない

おかげで時間が過ぎる

 

「あと1分半だ!」

「空母2隻がアッチに合流してるわ、そっちをフルで狙う事にしましょう」

「だな、BOSSの誘導は頼んだぞ!」

「了解です、バルカンの射撃は任せてください。あなたもボートの運転頼んだわよ?」

「空気みたいな存在だけどね……」

……何故かエアーが気を落としていたが

とにかく任務を遂行するだけだ

 

 

 

「アレ〜BOSSはどうしたの?」

「……あんたのボスは私達2人を援護して合流させるとか言って」

「そのまま、あんな感じです」

「………ああ〜アレは多分でっかいのが1発コッチに来るね〜」

『ハイ!?』

「いや〜だって向こうの2台の動きが明らかにコッチを狙ってるじゃん?」

「ちょっと待つクマ!それはあなたも狙われてるクマ!?」

「そりゃそうよ〜、てなわけだから二手に分かれて!片方しか狙いようにして!!」

『ハ〜イ』

「よーし良い子だね〜、あと1分で時間だからね〜」

「ハ〜イって、ちょっと木曾!それでいいの!?」

「あんな部品を持ってかれる様な威力のもん、喰らわない方が良いにきまってるだろ!」

「……瑞鶴、悪いけど最初にマーリンが私に言った言葉覚えてる?」

「夕張も何言ってんの!?………覚えてないわよ」

「“私達の科学技術、なめてるわね〜”

……アレは本当だわ、あの威力は確実に私達に有効だわ、実感してるでしょ?」

「………まあね」

「ほら!2人とも左に来て!!どうせ大丈夫だから」

「あ!わざと外してくれるのね!?」

「雷、それは無いにゃ、それなら重巡さん達をこんな風にはしないにゃ」

 

多摩が言ったのは、マーリンが後ろに乗せている重巡や空母の事だ

流石に全員乗っけられないため、

駆逐艦が重巡4隻を曳航している

 

「そうよ、そんな手抜きだったら時津風や浦風・磯風はヤられないわよ」

「で、何で大丈夫なんです?」

 

舞風がここぞばかりに聞く

マーリンが当たり前の様に答える

「そりゃ〜私達のBOSSだから!!」

 

艦娘達はア然するほか無かった

1分後絶叫するが

 

 

 

「艦娘が2列に分かれたわ!」

「BOSSも離れた!」

「よし止めろ!!」

 

ウェーバーに言われて急停止させる

狙いが安定するまで約4秒

BOSSも撃ってこない

目標は艦娘の間にフルパワーで撃ち込む事

それが計画だ

すでに充電は出来ている

射線上には艦娘たち、

 

 

だが

 

 

「え!?何か撃って来た!」

 

しかしすでに引き金は引かれた

 

飛翔体は海面すれすれを飛び

 

艦娘の手前で海面に落ちた

 

 

《馬鹿野郎、怪我させるなって言っただろ?》

『あ』

………………忘れてた

 

 

 

「時間だよ!全員ボタン押して!!引っ張ってる娘の分もね〜」

『ハイ!』

 

ウン、問題なく全員膨らんだ

何か海水を大量に被ったけど大丈夫みたい

まだ上昇するまで数秒はある

……アレ?何か瑞鶴だけ早い

 

「ちょっと、この後は?」

「瑞鶴!喋んないで!!舌噛むよ?」

「え?」

「みんな〜鳥になってきてね〜」

「それってどういう____」

 

……答えられないかな、それは

時間だし

 

「っっきゃー〜ーーーー!!?」

 

「……あんなに急上昇するんですか!?」

「ウン、はいっドーン」

 

『ぎゃ〜ーーーー!?』

 

「よーし、次はこの5人だね〜」

カチッ

 

「……何ですかこれは?」

「アッレ〜何で浮いてるの〜?」

「鳥になってこーい!私も後で行くけどね」

 

ヒュン

 

「……あの5人は何も言わなかったな〜、何でだろう?あ、BOSSに報告____」

《全員飛んだか?》

「ええ、あとは私だけです」

《少し待てよ、どうせ3回はフライパスするんだ》

「解ってますよ!そっちの4人は?」

《午後は指導してやる》

「まあしょうがないですか……」

《当てない様に上に向かって撃てと言ったのに、違う事をやってるのが悪い》

「ハハハ」

 

まあ命令違反だもんね

「で、上の方は連絡したんですか?」

《時間通りだと言っておいたから大丈夫だ》

 

ちょうど輸送機の爆音がバルーンを通り過ぎる

1列分回収されたようだ

あと5分したら私も上に行こ〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





「終わったぞ」
「みたいだなぁ」

湾口にいる提督に報告する
鳳翔も一緒だった
輸送機はすでに全員の回収を終え、帰投した
帰り際に礼を言われた

「それで、輸送機はどうなるのでしょう?」
「ああ鳳翔には言ってなかったか、百里に着陸して夜中頃に帰ってくる」
「うちの若いのも1人護衛で一緒に行った」
「そうですか……」
「心配するな鳳翔、大丈夫だ」
「……あの〜BOSS、俺たちは____」
「俺が3時間指導してやる、一緒に付いて来い」
『……ハイ』
「……何をやったんだ?」
「怪我させるなって言ったのを途中から忘れて怪我をさせかけた
本当に当たっていたら丸1日指導していた」
「…………」

提督が黙る……なぜだ?

「まあ、6時の交代式には出ないからよろしくな」
『え!?』
「……何で提督まで驚く?」
「あ、いや驚いてないが?」
「……そうか、お前ら行くぞ」

……気にはなるが4人を山に連れて行く
すぐには指導はしない、
まずは説教だ



「……なんかスゴイ事になったな」
「はい……どんな訓練をなさるのでしょう?」
「鳳翔さん、それは違うよ」

スネークが挨拶に来た時もこんな事を言った気がする
実際まちがいだ

「はぁ……では何なのです?」
「アレは指導だよ……何でも有りの」
「……部屋に戻りましょうか」
「だな」
触れる神に祟りなし
……いや、藪をつついて蛇を出す 、の方が正しいのか?


だが何であんなことが起きたんだ






23:30
許可が下りた

「全員、準備は?」
『レディ』
「……全員配置に着け」

……状況はマシなだけだ

敵は人を殺せる武器がある
顔も割れていない
うちの若いのが駆逐艦を全員助けはしたが、
軽巡・重巡・空母は囚われている
他にも民間人が一緒だ
……政府はテロには屈しないと言いながら用意周到に準備してある


交渉は決裂
警察の特殊部隊によって武力制圧を試みるも、
接近中に大量の負傷者を出した
向こうは艦娘とわかったらしく
国と自衛隊にバカみたいな金額と脱出用のヘリを要求、
用意しない場合は彼女たちを犯し、殺すと言い放った

犯す等の戯言はとにかく、殺傷されるのはマズい
そこで俺らが呼ばれた
……全くいい迷惑だ
俺らは傭兵だ
使いっぱしりにされる物だがまさか日本国からとはな……
依頼は犯人の確保だそうだ

《スナイパー22、配置につきました》
《エアー、用意よし》

…………やるか

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