ファンタシースター困った人オンライン   作:テオ_ドラ

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訳わからない内容なのに意外と文量増えて
途中で分けました。
後編があるかは不明です


第一話「「はじめまして」から困った人に絡まれるRPG」part1

清雅学園。

 

「IDカードの提示をお願いします」

 

とりあえず綺麗でお洒落で

いかにも進学校的な高校である。

無駄に広くて、

校門は守衛すら立っていない

セキュリティが甘そうな校門をくぐった後に、

校舎に入る前にIDカードを提示を要求されるという、

ちょっと変わった学園であった。

 

「あれ、ちょっと待ってくださいね。

 IDカードどこいれたんだろう」

 

「キミ、俺に無駄な仕事させるのやめてくれないかい?」

 

「すいません、すぐ出します!」

 

呆れたような口調の守衛に、

土下座する勢いで謝る青年。

この青年を具体的に例えるなら

頼まれごとは一切断らず

なんでも「いいよ気にしないで」

とか言って爽やかな笑顔で颯爽と

立ち去る感じの好青年だ。

 

「もう諦めて帰ったらどうだい?

 私も面倒なんだよ」

 

「守衛さん、すぐ見つけますから!」

 

そんな押し問答をしてるところへ

 

「彼は清雅学園の生徒です。

 そんな態度だと彼に後で

 『あの守衛さんマジ態度わりぃんすけど』って

 職務怠慢の密告を学園にされますよ」

 

颯爽と現れたのは

いかにも優等生といった感じの女子生徒。

流れるようなセミロングに

はっきりとした顔立ち。

そして腹に一物を抱えたような厚い面。

 

「2-B組、橘イツキ君。

 教師にも生徒にも人望があるから

 ちょっかいかけると、

 独身34歳の守衛さんの方が立場が悪くなりますよ」

 

「……泉さんの部下でしたか」

 

「いえ、話したこともない

 ただの顔見知り未満です」

 

「……そうですか(この子、俺のこと嫌いなのか)」

 

そんな守衛とのやりとりを横で見ていたイツキは、

顔見知り未満の人が

何故自分のことを知ってるのだろうかと疑問に思っていると、

 

「会長は全生徒の顔と名前と所属SHIPとチーム、

 そしてLv、クラス、得意武器を覚えていますから」

 

後ろに控えていた女子生徒が答えてくれた。

彼女はいかにも新入社員として大手企業に入社した後、

中年社員にセクハラを受けて

居酒屋で愚痴っていそうな少女である。

答えてくれたはいいが、

正直何を言ってるかよくわからない。

 

「はあ……生徒会長は暇なのですか。

 あっ、キミ、IDカードはゆっくり探していいから

 通報とか誰も幸せになれない

 早まったことはしないでくれたまえ」

 

「あ、はい……」

 

そんなやりとりがあったが、

なんとかイツキは長い夏季休暇を終えて

寮に帰ってきたのである。

明日から2学期が始まる……

イツキは久々に会った友人たちと

話したりして盛り上がり、

自室でのんびりくつろいでいた。

 

そこへ……

 

 

「連絡事項

 2年B組 橘イツキ殿。

 明日、6時に本校校舎生徒会室まで。

 誰にも相談せず、必ず一人で来られたし。

 泉リサ」

 

何故か昼間にあった生徒会長からメールが入っていた。

明らかに人を呼び出す態度とは思えないが、

いかにも権力を振りかざしそうな人なので

逆らわない方が良さそうである。

 

翌日、乗り気ではないもののイツキは

仕方なく生徒会室に顔を出した。

 

「会長直々の呼び出しよ。

 だというのにあなた、なんで手ぶらできてるの?

 手土産の一つもないなんて

 あなたは何様のつもりなの?」

 

入室してすぐに、

機嫌の悪そうな女子生徒に絡まれる。

 

「はい、すいません……」

 

全くもって意味不明だが、

とりあえず謝るイツキ。

触らぬ神に祟りなしである。

 

「生徒会長に袖の下を渡さないなんて、

 迂闊が過ぎる。

 なんの冗談だい?」

 

追い討ちをかけてきたのは

いかにも部下に無茶振りをする

無能な係長代理のポジションにいそうな七三眼鏡。

 

「会長!

 やはり私は反対です!

 こんな気の利かないようなやつ!」

 

他にも生徒会室には3人いたが、

どうやらイツキは歓迎されていないらしい。

こちらは呼び出されただけだというのに、

随分と酷い扱いである。

 

「これは既に決定事項です。

 議論の余地はありません。

 もし反対する人がいたなら

 明日から学園に籍がなくなりますが良いですか?」

 

それに対して会長は朗らかに答える。

権力を振り回す様に、誰もが押し黙る。

 

「そうでしょう?

 橘イツキ君」

 

「あ、はい……」

 

「というわけで本日付で、

 あなたを生徒会副会長に任命します」

 

「ぇぇー」

 

イミフである。

しかし逆らうとろくでもない目にあうのは間違いないので

余計なことは言うのは惜し留まった。

 

「あなたの副会長としての最初の仕事は……これです」

 

勝手に話を進める生徒会長が取り出したのはPSP。

VITAではないらしい。

既に電源が入っており、

画面にはファンタシースターオンライン2と表示されていた。

 

「あなたはこれで毎日SOROという

 キャラにGJを送ってください」

 

そして謎の仕事を任されたのである。

 

「もうしわけないけれど、

 退学した副会長の三島さんの後任、

 つまり私のパシリが早急に必要だったの」

 

「えぇ、副会長とか選挙で決めてくださいよ」

 

「生徒会は私の独裁が認められています。

 だから拒否したらあなたはこの場で退学よ」

 

「(最悪だなこの人)」

 

拒否権もないらしい。

 

「なんで俺なんですか?」

 

「あなたは普段から部活に無所属で、

 あんまり努力をしなくても成績も優秀で、

 教師からも受けがいいわ。

 多少無理させても今の

 『優等生』状態を維持してくれるはずだから

 パシリにするには実に都合の良い人なの。

 決して色んな人からチヤホヤされているあなたを

 下僕にして悦に浸りたいいから、

 という安易な理由ではないわ」

 

「……」

 

「勿論、力を貸してくれるわね?」

 

「はあ……」

 

うちの学園、この人が生徒会長で大丈夫なんだろうか。

そこへ助け舟?を出したのが七三眼鏡。

 

「勘違いしないでくれ。

 会長はキミに命令しているんじゃない、

 学園生活を人質に脅迫しているんだ」

 

「私はお願いしてるんです!」

 

「会長の脅迫に逆らうなど断じてならない!

 ……キミも社会的に抹殺されたくないだろう?」

 

同情するような声だった。

この七三眼鏡、意外といいやつかもしれない。

 

「はあ……だからといってどうしてPSO2なんか」

 

「PSO2『なんか』……?

 ねえ、今、私の生き甲斐を馬鹿にしたの?

 あなた死にたいの?」

 

「すみません!」

 

「……まあ、いいわ。

 あんまり深い理由はないのだけれど、

 とりあえずあなたはPSO2をプレイして

 レポートを提出しなさい」

 

「えーと、どういうことかよくわかりません」

 

素直に答えると

 

「馬鹿ね」

 

「馬鹿ね」

 

と生徒会役員に何故か罵倒された。

 

「とりあえず期待してます。

 頑張ってくださいね」

 

最後に生徒会長はにっこり笑ったのだった。

結局、何がなんだかわからかった。


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