機動戦士ガンダム~戦禍の少年~   作:ホルンでごぜーます

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遅くなりました


~ハル・ストロー~

「アイザックさん、もう4日も移動してますけど、チャーリーっていつ着くんです?」

オーウェン達がセントクルジアからトラックで移動し続けることすでに4日

未だにチャーリーに着かず、流石に疲れてしまったオーウェンは隣に座るアイザックに聞いた

「まだまだだよ、これからあと少ししたらマブル基地につく

そこで補給を済ませて、1日泊まるんだ

チャーリーには後20日かかるかな」

 

「そうですか……でも、セントクルジアには1日もかからず来たじゃないですか」

「君が知らないだけで地球軍の基地は沢山あるんだよ、途中、寄ることもできたけど、

チャーリーに急がないといけないから、ギリギリまで寄れないんだよ」

「セントクルジアの近くに基地なんてあったっけ……」

「あ、……今のは内緒にしておいてくれ、一応秘密になっているんだ」

 

そんな会話をして30分後、オーウェン達はマブル到着した

「あ~、ようやくたどり着いたぜ!!久々にベットで寝られるんだな」

「イーサン少尉、マブル基地にはリチャード大尉がいるんだぞ?

もうちょっと気を引き締めろ」

「お堅いこって中尉殿は……」

「あの?なんで俺、また縛られているんですか?」

「当たり前でしょ?オーウェン君は元々罪人だからね」

オーウェンは再び両腕を縛られていた

第8小隊では、あくまで好意で拘束では無く、監視だけの生活であったが

ここには第8小隊だけでなく、他の隊などもいる基地なのだ

罪人として連行されている人物が、拘束されていないというのはおかしいことになる

 

「暫らくこのままか……」

オーウェンがため息をついていると5人ばかしの人がオーウェン達に近づいてくる

「任務、御苦労……ようこそマブル基地へ

私はこの基地の責任者であるリチャード・パーカー大尉である」

「アイザック・ハワード中尉であります」

「ああ、別に挨拶はいらん……

君たちのことはよく知っているとも、チャーリー防衛戦では良くやってくれた」

「光栄であります」

「で、彼がオーウェン・オルティースか」

「は、そうであります」

「おい、連れて行け」

リチャードの横にいた2人の兵士がオーウェンの肩を掴み、強引に基地の建物に連れて行く

 

 

「……大丈夫でしょうか?」

「さぁな、ガキはコロニー生まれって分かってるから、どうなるかは……

ただ、チャーリーの裁判所に連れて行かなきゃならねえし……殺されはしないはずだ」

 

リチャードとアイザックが話している内に、小声で会話をしていた

 

 

 

 

 

 

 

基地の建物の地下に連れて行かれたオーウェン

「ここは……」

部屋に入らされると、そこには何もなかった

ただ、人目を引くのは、天井に吊り下げられていた縄だった

 

「ほら!!歩け!!」

「何をするんだよ!!ここは拷問部屋じゃないか!!」

「拷問に決まってんだろ!!」

「ふざけるな!!」

兵士の手から逃げようとした時、兵士の平手打ちがオーウェンの頬を叩いた

そのまま、手が使えないオーウェンはココンクリート製の床に、顔から倒れた

「お前はな!!宇宙に漂う塵やカスなんだよ!!ただただ漂うだけのカスの存在に!!

よくも我々のモビルスーツ盗んでくれたな!!」

「宇宙に住まなくちゃならなくなったのはあなた達みたいな大人のせいでしょ!!」

「喋るなカスが!!」

倒れているオーウェンに兵士が腹を蹴り上げた

 

「おら!!立て!!ゴミが!!」

腹に当たった蹴りの痛みのせいで立てないオーウェンを兵士が髪を掴み無理やり立たせる

「縛れ」

オーウェンの腕は一瞬だけ解かれ、再度天井の縄に縛り上げられた

「目立つ傷があるとリチャード大尉に叱られるんでね?喜べ漂流物、怪我だけはさせないでやるよ」

「どの……口が!!」

「持って来い」

兵士が持ってこさせたのは成人男性の腕ほどの機械だった

コードが付いており、その先は床に置いてある電源装置に繋がっていた

「ウソだろ!!怪我させないって!!」

「だから火傷しない程度に食らわしてやるんだよ!!」

直後、兵士の持っていたスタンロッドがオーウェンの腹に服の上から当てられる

部屋中に、オーウェンの悲鳴が響きわたる

「叫べ叫べ!!もっと痛がれよ!!」

2回、3回とスタンロッドを当てられる

オーウェンの身体は反り返り、悲鳴を上げる

 

 

 

『-Active learning character computer-emergency startup

The passenger's injury is confirmed.

Exclusion of a worried element and passenger's rescue are taken top priority.

boot up the --EMS-06-02』

 

4度目、5度目とスタンロッドが振り落とされた

オーウェンの喉は悲鳴高さから潰れてしまいそうだった

そして、7度目が振り落とされそうになった時……

 

拷問部屋の屋根が崩れた

崩れた屋根の破片が、オーウェンの服や皮膚を切り裂くが、兵士はもっと悲惨な目になっていた

破片ではなく、瓦礫が頭や、腹を突きぬけ、血が飛び散り、その中の物が外に飛び出る

オーウェンが光が差し込む、屋根を見ると、そこにはオーウェンが乗っていたMS

アデリーランドがいた

 

その手を伸ばし、縄に手を掛けると、指の関節と関節を閉めることで切り取った

まだ若干の縄が、オーウェンを縛っていたが、アデリーランドはオーウェンを捕まえるとハッチを開け、

中にオーウェンを収納した

 

「くそ!!どうなっておるのだ!?あのモビルスーツには誰が乗っているのだ!?」

「まさか……オートで動いているのか?」

「そんなモビルスーツがあるものか!!

第8小隊!!直ぐにあのモビルスーツを取り押さえぬか!!」

「しかし……!!」

「上官の私が言っておるのだ!!」

「……了解!!」

 

未だ動き続けるアデリーランドを背中に、エレファントに乗り込むアイザック、イーサン、トーマス

それを察知してか、片腕のないアデリーランドがエレファントに向かう

「イーサン!!トーマス!!動きを止めるだけだ!!下手に打って中にいるオーウェンを殺すなよ!!」

「わーってるって隊長!!けどよ!!これは無傷じゃ捕獲は出来やしないぜ!!」

「俺が取り押さえます、隊長とトーマスは援護を」

「おうおう、我が隊のエース様がなんか言ってますぜ!!隊長さんよ!!」

「了解した、イーサン少尉

トーマス!!イーサン機を中心にフォーメーションを組む!!前に出るぞ!!」

「あいあいさー!!」

 

イーサンのエレファントの前に出るアイザック機とトーマス機

その二機目がけて、アデリーランドが肉薄する

「うおっ!!」

その速さに驚いてか、トーマスが右腕に装備してあるマシンガンを乱射する

それを察知していたのか、バーニアを吹かし、更に加速する

マシンガンの銃身はそれを追う形でアイザック機の真横まで弾を放った

「イーサン!!」

突っ込んできたアデリーランドに対して、イーサンもバーニアを吹かし、MS同士で衝突する

互いにぶつかった衝撃で後ろに飛ぶ

イーサン機の足裏からアンカーが出て、地面に突き刺さり倒れることはなく後ろに下がる

しかし、アデリーランドはそのまま地面に背中から倒れる

『Head Vulcan Choice

……Error  

Relevant armament doesn't exist.』

「今です!!」

 

3機のエレファントが、シールドバンカーを右腕、右足、左足に固定する

「これなら動けないはず!!」

アデリーランドはバーニアを吹かしたり、拘束を解こうと暴れるが、その拘束が外れることはなかった

『オーウェン君、聞こえるか!!こちらはアイザックだ!!

聞こえているなら返事をしてくれ!!』

『……聞こえてますよ』

『無事だったか!!』

『身体中が悲鳴を上げてますがね……』

『頼む、オートで動いていることは理解しているがこっちもそろそろまずい!!』

『できるもんならやってますよッ!!腕を縛られてできるわけないでしょう!!』

『なら足でやればいい!!』

『出来るわけ……!?』

アデリーランドは拘束がアイザック機の1機しかいない方へバーニア吹かした

拘束を解くと同時に、イーサン機とトーマス機はバランスが崩れ、

アイザック機に至っては、機体自体を持ってかれた

 

『おいガキ!!諦めんな!!もうちょっと粘りやがれ!!』

『簡単に言いますね!!』

『そっちが何とかしなけりゃ殺さなきゃならねんだ!!がんばりやがれ!!』

アデリーランドがアイザック機を右腕で拘束する

オーウェンの見えている画面には大量のエラーが吐き出されている

これはチャンスであった

動きが止まっている、シートベルトもしていない為、体が固定されていないオーウェンにとっては

今しかない、チャンスである

「おい!!ポンコツ!!勝手に動くんじゃねぇぞ!!

おれしか乗れないんだったら俺の言うことぐらい聞きやがれ!!」

『An automatic pilot has started.』

「馬鹿!!パイロットは俺だ!!俺の言うことききやがれ!!」

足で何回もコクピットを蹴る

『いい加減止まれ!!このポンコツぅううううううう!!』

一蹴り、中の機材が壊れるほどの蹴りをモニターに食らわせる

『……Error

-Active learning character computer-System stop』

「止まったか……?」

 

『やったか!?オーウェン君!!』

「はい、何とか……」

『今から君を助けに行く、少し待ってろ』

「はい……待ってます」

息を吐き、シートに寝るオーウェンその前にある装置から何かがオーウェンの膝に落ちてきた

球体であるそれの大きさは人の顔より大きいもので良く見ると、目と思える部分も存在していた

「蹴った拍子に外れたのか?」

人の顔の耳に当たる部分が開き、ぱたぱたと動く

「これ……動くのか」

球体の中からは機械音が激しくなっていた

「あのポンコツか?大丈夫かよこれ」

『大丈夫』

突如、球体から自分の声が聞こえた

 




次回は、機体の設定の話なので、見たくなければ見なくても大丈夫な話です
では

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