イッセーくんは頑張りました。
俺が戦う気になったのが伝わったらしく、敵さんも俺に向かって構える。
「では、こちらもそろそろ決めようか!」
そう言って突っ込んで来る敵『戦車』。
突っ込んで来るのだが………。
……ハッキリ言おう。
遅過ぎる。
こちとら伊達にレンちゃんとのリアル鬼ごっこを十日間やってきたわけじゃねぇぞ!
ボクシングのフリッカーを主軸に、フェイントを混じえながらラッシュで攻め立ててくるが、
こちらも敵のタイミングに合わせてカウンターを出しながら、
『赤龍帝の籠手』のパワーアップの為の時間を稼ぐ。
敵は俺がここまで戦り合えるとは思っていなかったらしく、攻撃を止め、笑みを見せる。
「侮っていた。正直、直ぐに勝負が決まると思ったんだが……。
どうやら、リアス・グレモリーはよく鍛え込んでいるようだ。
防御力、耐久力、反応速度、そして何より体力が凄まじいな」
部長じゃねぇよ、レンちゃんだよ。
そして、何故俺がここまで強くなったのか………。
答えは簡単。
……死にたくなかったから。
防御力?
ただの蹴りで衝撃波が出て、
巨大な岩に抉りとる様な穴を空ける人間の攻撃を喰らい続けりゃ硬くもなるさ。
「あれ? 軽く足を上げただけなんですが…?」と可愛く小首を傾げていたが、
正直コチラは足の震えが止まらなかった。
耐久力?
こっちが疲れようが怪我しようがお構いなく、
一つでクレーターが出来る程の威力を持つ魔力弾を辺り一面覆い尽くす程出して、
一斉射撃してくんだぞ。
そりゃ耐久性も高まるわ。
反応速度?
悪魔の俺に何の躊躇いもなく
『
反応しなけりゃ消滅してるよ。
体力?
圧倒的な殺気放ちながら笑顔で追いかけて来るレンちゃんの分身1000体が怖くて、
逃げまくってたんだよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!
「逃げないと殺しますよ?」って超絶可愛く言われても、
怖いもんは怖いんだぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
逃げ回って体力尽きて、隠れても見つかって、死にたくないからまた逃げる。
指一本も動かせないと思うぐらい疲労してたはずだったよ!
でもその度に『あ、限界って越える為にあるんだなー、アハハッ☆』って何回感じたことか!
「……思い出しただけで足元に水溜りが出来る量の涙が出る修行だったのか………!」
敵にも同情されてんじゃねぇか!?
そりゃそうだ、あんなもん一日やっただけで逃げ出したくなったわ!
でも、その日の修行が終わる度にスンゴイ可愛い笑顔でレンちゃんが、
「お疲れ様でした、イッセーさん」って言ってくれるんだもんよ!
(もう一日頑張ってみるか…?)ってなるわ!
思春期(発情期?)真っ盛りの男子高校生をナメるなよ!?
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか…、いや、絶対知らないトキが俺にヤジを飛ばす。
「お~い、イッセー…。どんだけ一人の敵に時間かけてんだよぅ…。一瞬で殺れるだろぉ?」
それはお前だけだ。
そしてそんなにダルそうにするなよ、なんか気が抜けるからさぁ…。
『ライザー・フェニックス様の『女王』、戦闘不能!』
フィールド内にアナウンスが鳴り響く。
朱乃さん、勝ったんだ!
さすが俺たち最強の下僕である『女王』!
内心で仲間の勝利を喜んでいると、籠手の方から機械的な音声が発せられる。
『Boost!!』
ジャスト150秒。 十五回目の『倍化』だ。
少しやり過ぎと思わなくもないが、念には念をという奴だ。
確かにトキの言う通り、敵一人にばかり時間をかけられない。
速攻で決めてやる。
『Explosion!!』
自身の能力を満遍なく強化をし、敵の懐に入ってパンチを繰り出す。
残念ながらガードされてしまったが、それすらも俺は想定済みだ。
フッフッフ、俺に触れたな?
「弾けろ! 『洋服崩壊(ドレスブレイク)』!」
敵『戦車』の服が弾け飛び、露となる裸体。
おっぱい大きいですね!
引き締まった体が健康的で最高です! ありがとうございます!
「何で俺は目隠しされてんの?」
「…あなたは見ちゃダメですわ」
仲がイイんですね、敵なのに。 トキさん、貴方もうその娘を堕としたの?
敵『戦車』が反射的に自らの大事な部分を隠している隙に、魔力を集めて敵へと打ち出す。
「いっけぇぇぇぇ!」
「くっ! こんなところで!」
――ドォォォォォンッ!――
魔の波動が敵を包み込み、爆発する。
『ライザー・フェニックス様の『戦車』、戦闘不能!』
「よっしゃぁぁぁぁぁぁっ!」
何処からかレンちゃんらしきヒトの冷たい視線を浴びながら、俺は歓喜の叫びを上げた。
皆、俺もちゃんと戦えてるぜ!
次回は木場くんが……?