ハイスクールD×D ―史上最強の存在―   作:黒鬼

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クサイ台詞のオンパレード。
自分が自分で恥ずかしい……。


『本心』

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから十分ほど経って、ようやくリアスは泣き止んだ。

 

 

そして俺に抱きついたまま、ポツリポツリと本音を漏らす。

 

 

「私はグレモリーを抜きとして、私を、リアスを愛してくれるヒトと一緒になりたいの。

 それが私の小さな夢。

 ……残念だけれど、ライザーは私の事をグレモリーのリアスとして見ているわ。

 そして、グレモリーのリアスとして愛してくれている。 それが嫌なの。

 それでもグレモリーとしての誇りは大切なものよ。

 矛盾した想いだけど、それでも私はこの小さな夢をもっていたいわ」

 

 

貴族社会で政略結婚はよくあることだ。

 

 

『愛無き結婚』

 

それがどれほど辛いものか、それは本人にしか分からない。

逃げることも、自由になることも許されない。

何とも面倒な仕組みだ。

 

 

リアスは半ば諦めている。

だからこそ、俺に本音を漏らしたのだろう。

何もかもが終わる前に、誰か一人くらい自分の本音を知っていて欲しいってか?

 

 

「小さくねぇと思うがな」

 

「え?」

 

 

リアスは俺に聞き返す。

 

 

「その夢は小さくねぇよ。誰の夢にも負けてねぇくらい、良い夢だと俺は思うがな」

 

 

目を見開いて驚いているリアス。

だが、此処でハッキリ言っておかないと、ゲームに支障が出るだろうから。

 

 

「あのな、リアス。 俺ァ人間だから、悪魔の社会とかよく分からんし、興味も無い。

 それに俺ら天月の力からすりゃあ、種族の違いとか権力の高さとか関係無ぇし意味も無ぇ。

 だから俺はお前を、グレモリー次期当主でも、純血の上級悪魔でも、魔王の妹でもなく、

 一人の女の子として見てる。

 基本的に優しく、眷属、仲間想いで心配性、ちょいと我儘な所もあるが、

 そこもまた可愛らしいただの女の子。

 それが俺の中でのお前だ、リアス」

 

 

コレは俺の本音である。

力こそが全てである天月の一員、というか当主の俺からすれば、

種族の違いも権力も地位も栄光も、全部どうでもいいモノだ。

そんなモノは塵芥の価値もない。

何故なら、その程度のモノは圧倒的な『力』の前では何の意味も持たない。

『力』でねじ伏せてしまえば、それで終わりだ。

絶対的な戦闘能力こそが最重要視されてきた中で育った俺は、

その考えが常識と化してしまっている。

この考えが正しいとは言えないが、少なくとも有効な一つの手段であることには違い無い。

 

 

「俺らを、仲間を信じろ。 俺達は絶対に負けない。 お前のその夢を守るために、俺達は闘う。

 だからリアスも諦めんな。 這いつくばってでも勝利にしがみついてみろ、

 何があっても俺らの勝利を疑うな。

 そうしてくれりゃあ、必ず俺らはその想いに応えてやる。 お前の勝利を、夢を護ってやるから」

 

 

俺はリアスを抱きしめたまま、優しく言う。

 

 

「ま、月並みのセリフだけどな」とおどけてみたが、無反応。

 

 

……ちょっとクサすぎたか? そう思っていたが、リアスの方から俺を強く抱きしめる。

ちょっとは効果があったようだ。

 

 

これでゲームに励んでもらえれば、俺らはその想いに応えるのみだ。

と言っても、俺は恐らくアホウ鳥の相手くらいだろうが。

 

 

「ほれ、もう寝な。 明日も頑張るんだろ?」

 

 

そう言うと、小さく頷く。

俺はリアスを立たせ、部屋の前まで送る。

 

 

「じゃ、俺ァ行くぞ?」

 

「あっ……、トキ…?」

 

「ん?」

 

「あ、ありがとう…」

 

 

顔を俯かせながら、お礼を言ってくる。

 

 

いつもは気丈に振舞っているリアスが、こういう可愛らしい一面を見せてくると

、普段とのギャップでかなりの破壊力だ。

思わず顔が綻んでしまう。

なので少し微笑みながら、返答してやる。

ついでに頭も撫でて抱きしめる。

 

いやぁ、サーゼクスが可愛がるのも無理はないな、この娘。

 

 

「ああ、お休みな」

 

「お、お休みなさい!」

 

 

リアスは顔を真っ赤にして、早口で言い返した後、逃げるように部屋に入ってしまった。

 

 

怒らせたか?

色々調子乗って言っちまったからなぁ。

まぁ、頑張るって言ってたし……、イイか。

 

 

人間の身なのに随分と夜更ししてしまった。

寝坊しないように、俺も寝るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアスSIDE

 

 

 

 

 

 

 

私は今、耳まで真っ赤になっているだろう。

さっきまでトキと話していたのだが、部屋に逃げ帰るようになってしまった…。

 

 

………あんなの反則よ…。 格好良過ぎるわよ。

あんな顔で、あんな声で、あんな事言われたら何とも思わない女なんていないじゃない…。

 

 

私の事を真に理解してくれたのはトキが初めてだ。

今までずっと、一人で我慢してきたモノが、彼の前ではあまりにも脆く崩れ去ってしまった。

気付いた時には、スルスルとヒトの心に入り込んでいる。

隠し事など最初から無駄の様に、核心を突いてくる。

それも嫌味無くだ。

 

 

何故、彼が色んな女性に慕われているか…、その理由が今なら分かる。

私も、トキが……。

ライバルが多いのは分かっている。

現状把握しているのは、レン、黒歌、朱乃、小猫、グレイフィア。

みんな強力だ。

 

 

でも、負けるつもりはない。 恋もゲームも。

トキが言ってくれたように、私は決して諦めない。

何が何でも喰らいついていく、そう決心した。

トキが私の側にいてくれるなら、それだけで頑張れる気がする。

 

 

まずはゲームで勝とう。

ライザーとの婚約を解消して、トキにアタックする為に。

 

 

惚れたからには、容赦なんてするつもりはない。

絶対に私に惚れさせてやろう、覚悟しなさいね、トキ。

 

 

 

 

 

 

翌日、イッセーと祐斗に模擬戦をさせた。

お互いに著しく成長しており、かなりの接戦。

自身の弱さをコンプレックスに感じていたイッセーは、自分の強さに驚愕していた。

 

 

どうやら自信を持てたようだ、トキやレンに礼を言っている。

この分だと、あのフェニックスに勝てるかもしれない。

何せコッチには最終兵器のトキまでいるのだから。

 

 

待ってなさいライザー、必ずあなたとの婚約を解消してあげる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺だって強くなってんだ! フェニックスでも何でも来やがれッ!」

 

「じゃあ分身1000体に増やして、もっと激しく攻撃入れますね?」

 

「え、ちょ、レンちゃん…。 それはちょギィィィィィャァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

――チュドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッ!!!――

 

 

……イッセー、お願いだからゲーム前に死なないでね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 






次回はゲーム直前。
お楽しみに。

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