ハイスクールD×D ―史上最強の存在―   作:黒鬼

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特筆事項は無し。

本編どうぞ。


『堕天使の末路、イッセーの気持ち』

 

 

天月 刻SIDE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、やっと終わったか」

 

「お疲れ、堕天使を倒しちゃうなんてね」

 

「よー、遅ぇよ、色男共」

 

 

 

俺はフッとイッセーの左腕を見る。

フム、どうやら覚醒は出来たようだ。 宝玉に龍の紋様が刻まれている。

まぁ、ドライグの意識が目覚めるのはもうちょい先かな?

なんせ宿主が弱過ぎるからな。 『覇龍』どころか、『禁手』ですら随分先の話になるだろう。

だが、リアスがイッセーを褒めてやる。  確かに新人下級悪魔にしては頑張った方だしな。

初の実戦にしては及第点か?

 

 

「部長。 持ってきました」

 

 

――ズルズルズルッ――

 

 

吹っ飛んだ堕天使を引こずって来た白音。 扱いは実に雑である。

 

 

「ありがとう、小猫。 さて、起きてもらいましょうか。朱乃」

 

「はい」

 

 

朱乃は魔力で水を作り出し、堕天使の顔にかける。

咳き込みながらも起きる堕天使。

 

 

「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」

 

「……グレモリー一族の娘か……」

 

「はじめまして、私はリアス・グレモリー。 グレモリー家の次期当主よ。

 短い間だけでしょうけど、お見知りおきを」

 

 

リアスはニコリと笑ってはいるが、堕天使は睨みをきかせている。

フン、なっちゃいないね。 睨み方が。

 

 

レンなんかは俺が他の女の子とニャンニャンしてたら、

この俺ですら死を直感させられるレベルの濃厚な殺気放ちながら、

ハイライトの灯ってない眼で詰問して来たぜ?

その時一緒に居ただけのアザゼルは関係ないのにガチ泣きしながら土下座。

俺はその後レンが満足するまで甘やかしまくって、(いろんな意味で)可愛がりまくった。

ハハッ、懐かしい………。(←遠い目)

 

 

そしておバカな堕天使に状況説明。

自分の協力者が既に殺られていると知って、急に青ざめている。

 

 

どうやら実力だけでなく、頭の方も残念な奴らしい。

なにも魔王の妹の領地でやらかさんでもイイでしょうに。

ザコい中級、下級堕天使4、5人程度で勝機があるとでも思ったのか?

過信というか、驕りというか………。 

 

 

しかも、話を聞いてりゃあ目的もアホくさいし……。

シスターから回復系神器を奪ったぐらいで、アザゼルやシェムハザから寵愛なんざ貰えるか。

ただでさえアザゼルの野郎は戦争嫌いなのに、

魔王の妹とその眷属と無断でドンパチやらかすとか、頭腐ってんのか?

シェムハザは女がいたと記憶している。 悪魔の女だったかな?

敵対勢力に属する者同士だが、超ラブラブだった気が……。 結婚すりゃ良いのに……。

どうせアザゼル辺りが近い内に和平目的の会談でもするだろうからな、

そうなればシェムハザ達もイチャイチャし放題だな、うん。

 

 

とりあえず………、少なくともコイツは越権行為により、刑罰は免れんわなぁ。 

つってもどうせ死刑だろうケド。

 

 

「堕天使レイナーレ。 この子、兵藤一誠の神器はただの神器じゃないわ。 

 それがあなたの敗因よ」

 

 

ん? もしかして、今気づいたのこの娘は?

俺はてっきり知ってたから眷属にしたのかと……。

ま、結果オーライだし、イイか別に。

 

 

「――『赤龍帝の籠手』、神器の中でもレア中のレア。

 籠手に浮かんでいる赤い龍の紋章がその証拠。 あなたも名前ぐらいは知ってるでしょ?」

 

 

予想だにしていなかったようで、驚愕している堕天使。

ま、『神滅具(ロンギヌス)』の一つだからなぁ。

イッセー自身も、自分の神器の凄さに驚いている。

いきなり「極めれば神でも殺せる」と言われれば当然か。

 

 

そしてリアスが堕天使に手をかざす。

だが………、

 

 

「俺、参上」

 

「即退場」

 

 

なんか虫唾が走るゴミがいた様な気がしたので、魔力弾で吹っ飛ばす。

 

 

――ドカァァァァァァァァァァァァァン!!!――

 

 

うん、今度はちゃんと手加減出来たぞ。 だって半径20m位のクレーターで済んだもん。

力加減的には、……まばたき程度?

ゴミは何処かへ吹き飛んでいった。 恐らく死んでいないだろう、まるでゴキ○リの様な奴である。

 

 

「な、何なの…!? この人間……って、人間!? 

 でもさっき感じた魔力、魔王級を遥かに超えて……」

 

 

自分の言葉に責任持てや堕天使。

そんなに俺が人間ってのは信じらんねぇかコラ。

あ、そういやぁ気配だけは俺普通の人間だったっけか?

 

 

「彼は天月 刻。 私たちの中で最も規格外で常識の通じない存在よ」

 

 

――私だって、彼が人間だって信じられないもの――という言葉に部員一同頷いている。 

野郎共は暴力的に、女子達は性的にお仕置きでもするか。

 

 

「あ…、天月!? あの『理外れ(ことわりはずれ)』の天月一族ッ!? 何でこんなとこ…ろ……」

 

 

 

俺は純度の高い殺気と覇気を撒き散らしながら、眼で堕天使に語る。

『これ以上余計な事をほざけば殺す』と。

下っ端といえども組織に身を置いていた者だ。 俺達一族の噂でも聞いたことがあるのだろう。

他の部員達も驚いている。

聞きなれない言葉、初めてその身で感じたであろう圧倒的、否、絶対的な強者の威圧感に。

 

 

「リアス、続けろ」

 

「え、ええ……」

 

 

戸惑いながらも、俺の言う事に素直に従う。

触れない方が良いと判断したのであろう。賢い選択だ。

 

 

そして再びリアスは堕天使に手をかざし、魔力を溜める。

殺される事を理解した堕天使は、慌てふためきながらイッセーへと視線を向ける。

 

 

「イッセーくん! 私をたすけ「オイオイオイオイ、ふざけんじゃねぇぞコラ」…ッ!?」

 

 

ぶっちゃけイッセーの精神状態はギリギリだ。

元カノに裏切られて殺され、挙げ句の果てには友達まで殺されそうになっていたのだ。

それが今更、自分に対して命乞い。

 

 

一体どのような心境なんだろうかイッセーは?

 

 

悔しい?  

自分が弱く、騙されたことが?

 

 

悲しい?

初めての彼女に裏切られ、殺されたことが?

 

 

恨めしい? 

このような状況になって、また媚びられていることが?

 

 

本人にしか理解できない感情なのだろう。

現に今、イッセーは何とも言えない表情である。

あれ以上言わせていたら、イッセーの心が壊れる可能性だって考えられる。

 

 

リアスもイッセーの様子を窺っている。

そしてイッセーは、その重い口を開く。

 

 

「グッバイ。 俺の恋。 トキ、部長、もう限界っス……。 頼みます……」

 

 

その言葉を聞いたリアスは俺を見る。

俺も黙って頷いた。

 

 

「……私のかわいい下僕に言い寄るな」

 

 

――ドンッ!――

 

 

リアスの消滅魔法。

堕天使は跡形もなく消し飛ばされた。 

そこに残されたのは、宙を舞う黒い羽と何とも言えない苦い空気だった。

 

 

 





えー、次回はアーシア眷属化。
お楽しみに。

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