【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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mk2編のエピローグ


第八十六話

 犯罪神が自殺してから早数ヶ月

 プラネタワーの屋上から復興した街を眺め、わたしは憂鬱な気分でいーすんに話し掛ける。

 

「…………たくさん、死んじゃったね」

 

「そうですね……」

 

 うちとノワールの国は比較的被害の少ない方だったけど、ブランとベールの国は相当酷い事になっていた。

 これでも昔はアナザーの狩りを良く見てたからグロ耐性の高い方なわたしでも目を逸らしたくなるようなR20Gまっしぐらな状態のルウィーと、噴火の影響で国土の4分の1がマグマに埋まり、4分の3に火山灰が飛んで農家の人達に影響が出てるリーンボックス

 

 それぞれ復興作業を進めてはいるし、早くに復興が終わったプラネテューヌとラステイションもそれぞれ支援協力はしてるけど、ルウィーだけはどうにも上手くいかない。

 リーンボックスの方は人と作物の被害こそどうにもならなかったけど、巻き上げられた大量の火山灰はラステイションの工場地帯に置いてる煙を吸い込む機械を改造した火山灰を吸い込む機械で除去して太陽の光を確保できたし、東側の固まったマグマはうちのロボットと削岩機で3割を撤去し終えた。

 ベール達も色々とやってるみたいだからとりあえず来年には回復すると思うんだけど…………

 

「……ルウィーは、大丈夫かな?」

 

「……きっと、大丈夫だと思います」

 

 ルウィーの方は人や建物の被害が大き過ぎた。

 地震で起きた雪崩で指揮系統が混乱してる時に雪崩に紛れて吸血鬼達が一斉に襲い掛かり、兵士の人達は大部分が犠牲になって雪崩から逃げ遅れた民間人を救助して逃がすだけで精一杯

 それでも雪崩から逃げ遅れた人達の殆どを教会に逃がしてブランが帰ってくるまでの間、吸血鬼の猛攻を耐えたんだからすごいよね……

 

「……わたしも、頑張らないとダメだよね」

 

 今まで書類仕事はネプギアに任せてあんまりしてこなかったけど、これを知って何もしないなんて―――

 

「……ネプテューヌさん? 熱でもあるのですか? ……まさか、犯罪神と戦った時に頭を打ったのが今になって――」

 

「ねぷっ! ナチュラルに頭の心配された!?」

 

 ―――って考えてたらいーすんに頭の心配された!?

 

「ちょっといーすん! 流石にそれは酷くない!?」

 

「いえ…今までのネプテューヌさんを見ていたら当然の反応だと思うのですが……ああ! 不貞寝しようとしないでください! 謝ります! 謝りますから―――!」

 

(ふーんだ! 良いもん! 明日から本気出すもん!)

 

 いーすんにひどい事を言われたわたしは、無職の人みたいな事を考えながら近くにある椅子に寝転がって猫みたいに丸くなるのだった。

 

(……そう言えば、あれからアナザーは何処に行ったんだろう?)

 

 まあ、いっか……明日いーすんに聞いてみよっと

 

 

 ………その日わたしは、綺麗だけど寂しい世界の夢を見た。

 

 

 

 

 

 

ここは光の膜に覆われたギョウカイ墓場と同質同系統でありながら、ゲイムギョウ界の地獄であるギョウカイ墓場を超える深く暗い闇の中

 

『……………………』

 

 そこにぽこぽこと泡を立てながら、青白い肌をした銀髪の女の生首は闇に浮かんでいる。

 その顔は非常に満足そうであり、未練や不安など微塵もないと言わんばかりの微笑みである。

 

『ハハハ! 見ろよ●●●●、犯罪神の奴、無様に負けた癖に満足そうに逝ってやがるぜ!』

 

『……ああ、妬ましい……何故、私の時にこうなってくれなかったのか……』

 

 そんな女を聖剣で自決した犯罪神と呼び、愉しそうに嗤う蒼い髪の少女と羨望と嫉妬の眼差しを向ける紫銀色の髪の少女は闇の中から浮かび上がる。

 

『そりゃあ無理な話だな! 全てはあのあばz――っと、危ない危ない、()()()がどれだけ個人的な感情を抑えられるかだぜ?』

 

『……ええ、分かっています……』

 

 蒼い髪の少女は、妬まし気な紫銀色の髪の少女を皮肉るように言葉を紡ぐが、ただ一点、アバズレと言い掛けた時に蠢いた闇を見て言葉を改め、誰かにアピールするかのように強調して『お母様』と言い直した。

 紫銀色の髪の少女はそんな蒼い髪の少女を見ながら分かっているとは言うが、あからさまに『私、不満です』と言わんばかりの表情である。

 

『……では、次は私の番ですので』

 

 しかし時間が押していて不満ばかりも言っていられないのか、今にも舌打ちをしそうな表情を隠しもせずに紫銀色の髪の少女は光の膜に触れて消えていく。

 

『おう! 精々気を付けるんだな!』

 

 そう言って不満そうな表情のまま光の膜に消えていった紫銀色の髪の少女を見送り、蒼い髪の少女は独り呟き始めた。

 

『しっかし、オレの後輩達もバカばっかりだよな……自分達が女神として、人類として滅びる事が出来る最後のチャンスを不意にしちまったんだから―――』

 

 その表情は侮蔑はあれど確かな親しみが感じられた紫銀色の髪の少女へ向けていた複雑な笑みとは違い、侮蔑と否定のみが色濃く出た嘲笑である。

 

『―――まあ、アイツが失敗するまでオレの出番はないんだし、絞り滓のオレ(反逆の鍵)を言いくるめる謳い文句と計画の見直しでもして待っているかな……?』

 

 『フフフ―――』と笑いながら、蒼い髪の少女は先程の紫銀色の髪の少女と同じく、闇の中へと消えていったのだった。

 

【――――――】

 

 ……その数秒後、犯罪神と呼ばれた女の生首以外に誰も居なくなった闇から突然現れた淡い金光が紫銀色の髪の少女が消えた方向とは反対の方向に向かって光の膜に消えていったのを最後に、闇の中は静寂に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 犯罪神に殺された俺は、気が付けば何処とも知れない闇の中に囚われていた。

 

【●●●……】

 

『………………』

 

 眼前で女が息を吸う度、犯罪神に消し飛ばされて失った筈の首から下――何故か邪剣を持っていた左腕だけがない―――に内側から大量の蟲に喰い荒らされているかのような激痛が走る。

 しかし、最近は上半身と下半身を叩き斬られて泣き別れにされたり全身を摂氏数千℃の光熱でこんがり焼かれたり内側から全身の血管が破裂したり全身が腐りながら再生したりと、痛みには事欠かない日々を送っていたが為にそれほどの苦痛ではない。寧ろ、こうしてものを考える余裕がある位だ。

 問題は―――

 

【■◆□◇、、??+#%*+=¥¥$】

 

(……何をいっているのかがさっぱり分からん)

 

 ―――目の前の女が何をいっているのかさっぱり分からんと言う現状だ。これではここが何処なのかすら聞けん。

 ……まあ、厳密には聞くだけなら出来るだろう。それを相手が理解できるかどうかと、返ってきた内容を俺が理解できるかが問題なだけで

 

(……まあ、先代と今代のプラネテューヌの女神(ウラヌスとネプテューヌ)ならそれぞれ天然ボケ噛ましながら何故か会話を成立させたり、強引にボケ倒して一方的に話し掛けるのだろうがな)

 

 この変化に乏しい暗い世界の中で何時からか、時間の感覚が薄れる程度には長い時間を束縛され、機嫌の良さそうな笑顔を浮かべ続けている黒い髪の女に意味の分からない言葉を聞かされ続けている現状には疲れた。

 現実逃避気味に赤紫の髪をした女(ウラヌス)薄紫の髪をした少女(ネプテューヌ)に会った時の事を思い出して無聊を慰めていると、目の前の女に変化があった。

 

【………●●●―――】

 

 ……いや、何を言っているのかは相変わらず分からんし外見には然程変わりない。何故か機嫌の良さそうな笑顔もそのままだ。

 ただ……なんと言うか、後ろからバッサリと串刺しにされそうな嫌な予感と全身をズルズルの肉塊されそうな威圧感が放たれているだけだ。

 

(……いや、それ殺気だよな……)

 

 どう考えてもこうして呑気に考えている場合ではないのだが、脱出しようにも首から下は動かず、表面だけは形を保っているようだがその内側は虫食いだらけで張りぼて同然(だと思う)

 どうやってか、この闇で拘束されていなくともまともに動けない以上、慌てても仕方ない……筈だ。

 

 不思議と不安も恐怖も感じず、それどころかそこそこ長い付き合いである筈のネプテューヌやイストワールにさえ感じた事のない安心感とを感じている現状に困惑していると、唐突に殺気らしき圧力が収まった。

 

【―――■■■】

 

(……あ、収まった)

 

 少し時間が経って突然殺気が収まると同時に、目の前の女はそれなり以上に豊かな胸元で腕を組むと、うんうん、とでも言いた気に首を縦に振る。

 何か機嫌を直すような事でもあったか、それとも殺気を振り撒いていた理由でも無くなったのか

 言葉は分からないが、初対面なのに妙に好意的で友好的な女は俺に手を差し向けると、内側から蟲に喰い荒らされるような感覚が治まった。

 

(……ああ、こいつが原因だったのか)

 

 何時もなら内側から蟲に喰い荒らされるような感覚を味合わされたらキレて襲い掛かっている筈なのだが、やはりそんな気にはなれない。

 何故だ……そう考えていると、目の前の女は突然意味の分からない/分かりたくない行動に出始めた。

 

【▲▼△▽―――】

 

(えっ)

 

 女は突然服を脱ぎ出し、その白い裸身を晒け出した――――

 

『………………え、ちょ……?!』

 

 ―――だけに留まらず、その右半身から黒い触手を大量に生やし、左半身の白い肌には大量の魔法陣を展開した。

 その魔法陣からは無数の蟲、そして獣を放出し、俺の周囲を囲んでいる。

 しかも、魔法陣から召喚された獣は例外なく狂ったサイズのナニを立たせ、召喚された蟲は股間のナニの形状をしている。

 アレ等が自慇用とかでないなら…………

 

『……………………(白目)』

 

 ……なんと言うか……あー、うん

 

『もう、どうにでもなれ』

 

 その後、俺は目の前の女の手で全身の穴と言う穴に触手や蟲、獣のナニを無理矢理ぶち込まれ、ズルズルになったり壊れたりした肉や内臓は蟲や獣が貪った。

 機能不全を起こした内臓やズルズルになった皮膚や肉、欠損した部位はどうやったのか、今までの人生で感じた激痛を全て束ねて数百倍に濃縮したような痛みで意識を失っている間に完全に再生されていたのだった。




これでmk2・リバース2の話は終了です。
次はV・リバース3編に突入します。

……しかし、まさかmk2・リバース2編が終わるまでここまで時間がかかるとは……大丈夫かこれ

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