【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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……ヤバイ、最早原作から乖離し過ぎてるこっちの方が普通に書き易い……


第八十四話

『……………………』

 

「あ、ぁあ……」

 

 空間を轢き千切って黒い闇の中から現れた犯罪神は、何故か毛皮の所々が破れて蒼い血を滲ませ、左腕を炭化させていた。

 

「……もうだめだー……おしまいだー」

 

 だけど、その力は相変わらず健在で、四女神(わたし達)が束になっても勝てなかった彼岸花のような四天王の何万倍も強い力がわたし達を威圧する。

 

「…………」

 

「ハ、ハク!?」

 

 女神化していたとしても尚、そんな威圧感だけで殺されそうな圧力の中、ベールの妹のハクちゃんは犯罪神に向かって慈母か何かみたいな微笑みを浮かべながら歩き出す。

 慌てたベールが止めようと手を伸ばしたけど、威圧感に曝されて腰が抜けたのか、その手がハクちゃんに届く事はなく、どうにか身体を動かそうと足掻いている数秒の間にハクちゃんは犯罪神の直ぐ目の前にまで辿り着いてしまっていた。

 

「はいぃっ?!」

 

「なん…だと………」

 

 ――――そう、単なる威圧が物理的な圧力になって女神さえ寄せ付けなくなってる犯罪神の目の前にまで……

 

「ねえ、犯罪神さん」

 

『…………』

 

 そんな異常な光景でも尚、余裕綽々な感じに微笑みを崩さないハクちゃんは、微笑んでいるのに不気味な気配を漂わせてボロボロながらも強大な力を振り撒く犯罪神に声を掛ける。

 話掛けられた犯罪神はそんなハクちゃんに反応を返す事なく沈黙を保っていたが、次の瞬間、信じられない一言と共に信じられない光景が目に映った。

 

「どうして――そんな虚仮脅しにしかならない力を撒き散らしているのかしら?」

 

『…………!?!?』

 

 なんと、ハクちゃんの一言を皮切りに、犯罪神は脇目も振らず全力で逃げ出したのだった。

 

「うふふ……逃がしませんよ~?」

 

『ガ、アアアアアァァァァ―――?!?!』

 

 ここからだと背中しか見えないけど普段のネプギアみたいな清楚で大人しそうな雰囲気とは違う、あれで意外となんちゃって系お色気枠のベール以上に妖艶で、非常に退廃的な雰囲気を漂わせながら、ハクちゃんは白い光を全身から放ち檻のように囲んで犯罪神から逃げ場を奪った。

 光の檻に直撃した犯罪神は全身を焼かれたのか非常に香ばしい匂いを漂わせながら檻を破壊しようと暴れるが、それでも光の檻は壊れる気配を見せない。

 

 それ処か―――

 

「威圧感が、消えていく…?」

 

 ―――なんと、犯罪神から感じられた絶望的なまでの力の差からくる威圧感が、光の檻に触れて暴れる度にまるで嘘だったかのように消えていったのだった。

 

『オ、ノレ――オノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレ、オノレエエェェェ!!!!』

 

 暴れても檻が壊れないと判断したのか、光の檻から離れた犯罪神は地の底から響くような声を上げ激怒するが、既に先程までの暴力的なまでの威圧感は見る影もなく

 今もなお、犯罪神が女神1人(わたし)よりも強い事には変わりなかったが、感じられる力は三年前にわたし達を捕らえた彼岸花のような四天王と比べても弱々しいと感じられるまでに弱体化していた。

 

「……あの、これやってる間は私も動けませんので、早く犯罪神を倒してくれませんか?」

 

「え、ええ……そうね」

 

「ハク…! ええ、ええ! 私、全力で犯罪神をぶちのめして差し上げますわ!」

 

 その極端な変化に戸惑っていると、突然振り向いたハクちゃんからジトーっとした目で見られ、早く犯罪神を倒してと急かされる。

 ……なお、何故かものすごく目をキラキラさせて興奮している殺る気満々と言った感じのベールは全力で見なかった事にしつつ気にしない事にした。

 

(……ええ、これが好機なのは変わりないのだし、犯罪神を倒すなら今しかない……のよね?)

 

 実際、ここを逃せば次はないと思える程のチャンスなのだから……けど、どうしてなのかしら?

 

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 ベールもノワールも、誰も気にしていないように見えるけど、あまりにも現状はわたし達女神にとって都合が良過ぎた。

 あの時感じた力からして本来なら絶対に勝てないと感じられる力の差があるのだろう犯罪神は、わたしが一人では無理でも四人全員で戦えばどうにかなる程度にまで弱体化し、それだけ弱っているにも関わらずわたし達の前に現れた。

 弱体化に関してはアナザーが必死に喰い下がって頑張った結果なのだとしても、どうしてそんな状態の犯罪神がわたし達の前にノコノコと現れるのか…………

 

「ーヌ! ネプテューヌ!!」

 

「……えっ?」

 

「なにをボーッとしていますの?」

 

「早く聖剣を構えなさい! 行くわよ!」

 

 そんな事を考えていると、ノワール達に声を掛けられ、早く構えろと言われた。

 

「……ええ、そうね。ごめんなさい……少し、ボーッとしていたわ」

 

「まったく、こんな時になにやってるのよあなたは!」

 

「さあ! このまま犯罪神を倒してハクとゲーム三昧の日々を送りますわ!」

 

 ノワール達に怒られたわたしは聖剣を構えると、それぞれが武器を構えて犯罪神に突撃する準備が整っていた。

 

「ごめんなさい……じゃあ、終わらせましょうか」

 

 わたしは先程までの考えを一旦打ち切ると、まるで全てを諦めたように立ち尽くす犯罪神に目掛けて女神化すると同時に聖剣で斬りかかって行った。

 

(……ええ、難しい事はいーすんやあいちゃんにでも相談して、一緒に考えて貰えば良いわよね……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 御母様……いや、もうあんな奴をそう呼ぶ必要もないか……契約を違えたクソババアの手で器を半壊にまで追い込まれ、女神達の前に放り出された我は、忌々しいクソババアの執着していた小僧の同類……否、それ以上に複雑で、絶妙なバランスの元に存在が成り立っている小娘の手で拘束されていた。

 

『オ、ノレ――オノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレ、オノレエエェェェ!!!!』

 

 拘束から逃れようと暴れる度に光の檻は我の半壊している器を砕き、あのクソババアに飛ばされる時にその領域からどうにか掠め取り、壊れかけた器を補修するように纏っていた力は霧散する。

 器を補修するように纏っていた力が霧散した結果、支えを失った器はまた崩れ出した。

 崩れそうな器を気合いと執念で強引に保とうとするが、光は我の器の脆い部分を破壊し、既に破損している箇所も含めて内側に潜り込み、結合から溶かしていく

 

「でえええええい!!!」

 

 焼却されて剥ぎ取られたクソババアの領域から掠め取った力の残滓を含めた力の殆どを費やしても破れない光の檻によってこの場から離脱する事は不可能であると判断した我は、最早どうしようもないと、全てを諦めて眼前の女神が振るう剣を受け入れた。

 

『……ガッ……』

 

「…………えっ」

 

 胸に深々と突き刺さった白く輝く剣は我を内側から焼き尽くさんとばかりにヤミを溶かし、力を削ぎ落とす。

 更には、我の核である魂さえも―――ああ、そうか

 

(あ、ぁあ……我が、消える……)

 

 クククッ……まさか怒りや憎しみで暴れ回り逃してしまいもう二度と来ないと思っていた好機が、あの時の後悔がこんな形で晴らされるとはな……

 眼前の女神達は訳が分からないとでも言いた気な表情で何もせず剣に大人しく貫かれた我を見るが、知った事ではない。

 

(あれは確か9000年前だったか……あの時の剣が、堕ち果てた光が、我を本r――――――)

 

 ―――そうして、我はゲイムギョウ界から完全に消滅した。




……はい、犯罪神、消去
『何もしないとか変だろう!』『こんなの犯罪神じゃない!』『話の都合乙』等々、多分もやっとした気持ちになる事と思いますが、それでもそれはそれ
大分根本から弄ってますので、こんな感じの変化に繋がったと言う訳です……詳しい彼是は大分先かも?(変な伏線引いたのに忘れてたらごめんなさい)

……後二話できっとmk2編は終わる……筈です。うん

……あ、次はアトリエを更新しようと思うので、もうしばらくお待ちください

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