【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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……と、とてつもなく疲れた……
なんと言うか、とても手間取りましたがなんとか出来ました。


第七十七話

「……それで? 話って何かしら?」

 

 冷ややかなルウィーの女神の声が響くプラネタワー最上階

 そこには今、プラネテューヌとラステイションの女神が協同で他の二国に呼び掛け、殆ど全ての女神と全ての教祖が再び集まっていた。

 

「うーん、なんだっけ? 第七百七十七回、プラネテューヌ漫才コンテスト?」

 

「違うでしょう! 犯罪神への対抗策を改めて話し合うのよ!!」

 

 重苦しい雰囲気に耐えかねてかネプテューヌがボケをかます。

 そんなネプテューヌのボケを聞かされたルウィーの女神―――ブランは、ただでさえ薄い表情を限りなく無に近付けてネプテューヌを睨むが、ネプテューヌにツッコミを入れたノワールの言葉を聞いて、ベールと共に意外そうな目を向けた。

 

「……意外ね。真っ先に突っ込んで真っ先にぶっ飛ばされた貴女が、犯罪神に対抗する為に話し合うだなんて」

 

「そうですわね。て言うか、貴女そんなキャラだったかしら?」

 

「うるさい! 良いから話を進めるわよ!?」

 

 そう言って、脱線した話を強引に本筋に戻したノワールは、『ゴホン!』 と、態とらしく咳払いをしてこう切り出した。

 

「前の話では、最終的にゲイムギョウ界のシェアを一人の女神に集中させるって話で決裂したわよね?」

 

「……ええ、そうね」

 

「…………ぅぅ」

 

 ノワールが前回の話し合いでの話題を出すと、プラネテューヌとラステイションを除く二国からの眼差しがキツいものに変わっていく。

 その空気の重苦しさに、以前その提案をした張本人であるネプギアがお腹を抑えながら蹲るが、心配そうな表情で背中を擦る姉のネプテューヌや、近くを飛ぶイストワール以外はそんな事などどうでも良いと言わんばかりに無視し、話を進めていく。

 

「あの案を実行するのは反対だと言うのに変わりはないわよ!!」

 

「……私も、ルウィーが無くなってしまう事態を招くのには賛同致しかねます」

 

「……」

 

 特に反対意見が激しいのはリーンボックスの教祖で、消極的だが明確な否定がルウィーの教祖

 ラステイションの教祖もはっきりとした否定こそしないものの、自国の消滅を選んでいるに等しいノワールを正気かこいつ? と言わんばかりの目で見ていた。

 

「…………」

 

「ネプギアさん?!」

 

「ちょ、ネプギア?! 誰か! 誰かコンパを呼んできてー!? メディック! メディーック!!」

 

 ……なお、床に蹲って痙攣し始めたネプギアも居たが、プラネテューヌの面々以外からは相変わらずスルーされていた。

 

「ふぅ……ノワール、急にどうしたんだい? そんな話をしても、拗れるだけなのは目に見えてるじゃないか」

 

 カオスなプラネテューヌ組(そんな状況)はさておき、最後にラステイションの教会で別れた――それも、永遠の別れになると覚悟していた神宮寺ケイは、ネプテューヌ達を連れてラステイションの教会に帰還してから様子がおかしいノワールを心配してかそう声を掛けた。

 

「………………床になりたい

 

 …………尤も、ケイが心配をしている理由には、隣でノワールの足をガン見しながらケイ以外には聞こえないような声量で相変わらずな事を呟いている変質者を少しでも認識したくないと言った意識が働いていないとは言えば嘘になるのだが……まあ、そんな事は気にしなくても良いだろう。

 

 ……そう、これからノワールが告げる言葉に比べたら、些細な事なのだ。

 

「どうしたもなにも、気付いたのよ――――仮に私達がシェアエナジーを全部失っても、誰もそのシェアを完全には維持出来ないってね」

 

 自虐気味な表情で告げられたその台詞を聞いた教祖達と女神達は、ハッとした表情で今気が付いたと言わんばかりであった。

 

「……確かに、わたしがゲイムギョウ界のシェアを独占しても、リーンボックス辺りの連中は数日も保たずに――」

 

「わたくしも、ルウィーの国民からのシェアを維持するのは難しいのでした……」

 

 ルウィーとリーンボックスの女神であるブランとベールは、自分の体型を片や不満そうに、片や満足そうに見ながら、真逆の国民性(性癖)を持つ互いの国民を省み――

 

「あー(納得)……うちはそもそも、ずっとシェアを独占出来るなら万年シェア最下位を張ってないしね! しょうがナイネ!」

 

「ネプテューヌさん! 自覚をしておられるのなら普段からちゃんと働いてください!!」

 

「いやいーすん!? 今そんな事言ってる場合じゃないから! 今絶賛世界の危機真っ只中だから!」

 

 ネプテューヌとイストワールは、何故か漫才(片方ガチ)が始まったかと思えば説教と追いかけっこが始まっていた。

 

「……理解できたかしら?」

 

「ええ…色々と不本意な事はあるけど、わたしやベールじゃあゲイムギョウ界の全てのシェアを完全に維持するのが不可能に等しいって事は理解出来たわ」

 

「仮に維持できたとしても、直ぐに溜まった不満が弾けて崩壊してしまうのがオチですわね」

 

 ノワール、ブラン、ベールの三柱は口々にそう言うと、頭を抱えて悩み始めた。

 嫌な話ではあるが、シェアを全て集め短い間でも維持できるのがイストワールに説教されながら追いかけられているネプテューヌとその近くでお腹を抑えながら蹲りプルプルと震えているネプギア

 頭を抱えながら悩んでいるノワールと、その近くでオロオロしている指に包帯を巻いたユニ

 何故かこの場に居らず、最後に目撃されたのがアナザー失踪の直前にラステイションの路地裏と言うハクの五柱しか居なかったのだ。そりゃあ頭を抱えたくもなるだろう。

 

 ……実質的に戦力となるのが、ネプテューヌとノワールしか居なかったのだから

 

 ネプギアは候補生故に女神化時の力が弱く、挙句に精神面が不安定

 ユニはネプギアからゲハバーンを奪おうとして指を骨が見えるまで切っており、ゲハバーンの力なのか、指の傷は回復魔法では回復しなかった。

 ハクに至っては、何処に居るかも分からない始末である。

 

「……て言うかそもそも、たかがシェアを全部集めた程度の力で犯罪神を倒せる訳ないじゃない……私が何年シェアトップを張ってたと思ってるのよ」

 

「カハッ……」

 

「ちょ、ネプギアアアア!?!?」

 

 どうしようもない状況からか、シェアエナジーの独占程度と言ってヤケクソ気味に頭を抱えたノワール

 前にユニから聞かされたとは言え、自分が一晩悩み抜いてこれしかないと出した結果、仲違いまでしてしまった結論をたかが~程度ととまで言われたネプギアは、折角少しだけ立ち直ったのに吐血し、床に倒れて痙攣を始めていた。

 流石に焦ったネプテューヌは、別室で待機して貰っていたコンパを呼びに猛ダッシュをしたのだった。

 

 ……なお、これでプラネテューヌの女神は話し合いから一時離脱してしまっているが、実質的な頭脳担当のイストワールが居る為問題は一切なかったりする。それで良いのかプラネテューヌ

 

「あの時はなんでかあいつが何処からか持ってきた魔剣で勝てると思っていたけど、よくよく考えたらあんなやつが持ってきた武器よ? 信じられる訳ないじゃない……」

 

「ノワール様……その事なのですが」

 

 そして、ノワールが何故か知りもしない、裏付けも取れていない、持ってきた奴も信用出来ないとナイナイ尽くしの魔剣を使えば犯罪神に勝てると思い込んでいた視野搾取っぷりに頭を抱えている中、グロウはなにか言いた気な顔でノワールに声をかけた。

 

「……なによ? こんな時にまでくだらない事言ったらぶっ飛ばすからね?」

 

「後で存分にぶっ飛ばしてください! ……じゃなくて、魔剣についてなのですが」

 

『…………』

 

 ……ドン引きだった。

 即答でぶっ飛ばしてくださいと懇願したグロウに、既に慣れきっているノワールと神宮寺ケイ、運ばれていったネプギア、ネプギアに着いていったネプテューヌ、意味が分かっていないロムとラム以外の全員が、うわぁ……と言った目でグロウを見ており、ユニは乾いた笑い声を挙げ、ベールと箱崎チカは残念な人を見る眼差しを向け、ブランに至っては自身の教祖である西沢ミナに目配せして自身の妹であるロムとラムを背後に庇いつつ、地味に物質化したハンマーを構えていた。

 

「その魔剣の欠片を使って、新たな武具を作ってはいかがでしょう?」

 

 しかし、そんな危機的状況にも拘わらず、グロウは一切動じることなくノワールへとそう進言したのだった。




さて、暫くはアトリエ物の執筆と投稿を再開します。

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