【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
ぶっちゃけると、二週間で一話いけるかどうかのペースです。
……なお、多分次はアトリエものの方を更新する予定……の、筈です……多分、きっと、メイビー
「……行きます!」
そう言って女神化したネプギアは、赤紫のラインが入った黒い水着のようなプロセッサユニットと対を成すような、身の丈の半分程のサイズをした
「さあ、来なさい!」
そう言いながら、リーンボックスの女神であるグリーンハート並みに露出度の激しいプロセッサユニットを纏ったユニは、ネプギアへと向けていたその身体と殆ど同じ大きさをした
しかし、ネプギアはその光弾を躱すと、上空に飛んだユニを追って空を翔ける。
「クッ」
「……」
そして、上から的確にネプギアを狙って放たれる光弾を躱し、時には斬り捨てながら、ユニの元へと近寄って行く。
この結果は、ネプギアにとっては幸いな事に、ユニにとっては不幸な事に、そして、どちらにとっても皮肉な事に、嘗てラステイションでアナザーから受けた水弾の弾幕の回避と迎撃の成果が如実に表れていた。
「く、この! 当たれ!!」
「………」
ユニが放つ光弾は、着弾した建物や道を貫通し穴だらけにする程に強力なものだった。
しかし、銃口からしか放てないと言う武具の仕様上、アナザーにの放つ水弾の弾幕に比べて圧倒的に密度が足りていない。
「…………」
そんなユニを悲し気な眼差しで見つめながら、ネプギアは空を翔る。
勿論、ユニも上空へと昇っていくが、ネプギアを狙って撃つ関係上どうしても後ろ向きに翔ばねばならず、本来の意味での全速力は出せない。
「……」
「っ!?」
故に、そんな状況での鬼ごっこが長く続く筈もなく、高度が数百mを超えた辺りでネプギアに近付かれたユニは、ネプギアの神器であるM.P.B.L.の届く距離まで接近を許してしまっていた。
右、下、上、斜め左
M.P.B.L.の紫色の光刃は、比較的初心者でも当て易い胴体へ目掛けて淡々と振るわれる。
「…………」
「こ、のぉ!?」
そんな機械的な動作を回避しながら時折蹴りを繰り出し躱されるユニは、拭い難い疲労を蓄させていた。
ユニの神器は大型の銃であり、暗殺用の小銃ならばまだしも、大型の銃は接近戦で使うものではない。
遠距離から攻撃する為の武器故に近寄られると取り回しが悪くなる神器を持つユニと、遠近両用の銃剣故に近距離では剣に、遠距離では銃に劣るものの、どの距離でも扱える神器を持つネプギア
徐々に高度を下げながら戦う両者の勝敗を別けたのは、そんな武器の差だった。
「きゃあ?!」
当たれば致命傷を負う精神的な疲労から回避をし損ねたユニは上段からの唐竹割りを叩き込んだネプギアの攻撃を避け切れず、背面にある翼を模したプロセッサユニットの左側を斬り落とされてしまった。
結果、滞空機能を維持することも儘ならなくなり、数十m程の高さから地上へと墜落した。
「く……」
「…………」
幸いにも、紫の女神のお約束程の高度なかった為に足から墜落したユニが死ぬ事は無かったのだが、それでも足首を捻挫したらしく、立ち上がるのにも普段の倍近い時間を掛けていた。
そんなユニへと悲しげな眼差しを向けながら、ネプギアも徐々に地上へと降りて行く。
「まだよ! まだアタシは負けてない!!」
徐々に高度を下げて行くネプギアへと己が神器であるX.M.B.の銃口を向けるユニだが、強気な口調とは裏腹に、ゆっくりと降りているネプギアを狙う銃口は安定せず、小刻みに震えていた。
「……もう、無理だよ…ユニちゃん」
「うるさい!!」
しかし、地上へと降り立ったネプギアの悲し気な――諦めの滲んだ表情を見たユニは両腕の震えを強引に押さえ付けて、青白いレーザーを何発も放った。
「っ?!―――」
その攻撃は、ネプギアの背後で何か出来る事は無いか探るように状況を見ていたアイエフと、何も出来ずに呆然としていたコンパを巻き込み、煙を巻き上げながら何発も何発も叩き込まれていった。
そうして、シェアエナジーが切れたのか、ユニが女神化を維持する事も出来なくなった事で攻撃は止まったのだった。
「ハア、ハア、……!?」
手持ちの殆どのシェアエナジーを攻撃に使用した事で、プロセッサユニットを纏っていた姿は普段の黒いワンピースの姿へと変わり、白銀のツインロールは黒のツインテールに戻ったユニ
流石に消耗が激しかったのか最初は肩で息をしていたのだが、自身の攻撃で巻き上げた砂煙が晴れた瞬間、驚きのあまりに目を見開いてネプギアを見た。
「…もう、勝負は付いたみたいだね……」
そう言いながら武器を降ろしたネプギアは舞った土埃と小さな傷は付いているものの、致命的な傷は負わず、ネプギアの後ろに居たアイエフ達は無傷である。
更に致命的なのは、ネプギアの女神化が維持されている事である。
それはユニと違ってネプギアがまだ戦える事を示しており、その力に多少の損耗はあれど健在であると言えた。
実際、女神にとって女神化の有無は、戦闘能力に桁外れの差を生み出す。
その差は、女神化前の姿を基本とするなら女神候補生で3倍、女神で5倍にも及ぶ。
それ故に、女神は人間を超える力を持つと言われているし、強大な力を持つ上位危険種や吸血鬼の真祖への抑止として機能しているのだ。
「くっ…………ハァ」
悔しそうな表情でネプギアを見銃口を持ち上げたユニだったが、溜め息を吐きながら諦めの混じる笑みを浮かべると、ネプギアに照準を合わせた銃口を下ろしたのだった。
「くっ…………ハァ」
女神化が解けたユニちゃんは悔しそうな顔をした後、色々と悟ったような落ち着いた表情で愛用のライフルの銃口をそっと下ろした。
これで、きっとユニちゃんも私がこの国のシェアを持っていく事に賛同してくれる……はず
「あ~あ、負けよ負け」
そう言いながら、先程まで殺気立っていた雰囲気を纏っていたユニちゃんは、肩を竦めながら『ヤレヤレ』って感じの雰囲気を纏う。
「それじゃあ……」
「ええ、持っていきなさい……と言っても、アンタかアンタのお姉ちゃんがアタシのお姉ちゃんにも勝てたらの話だけど?」
そう言ったユニちゃんは、手に持ったライフルを舗装された地面に下ろして両手を上げながら、微妙な違和感を持った笑みを浮かべて立ち上がった。
(やった! これで、誰も死ななくて「けど!」 ……え?)
「持って行くなら、文字通り
「ユニ…ちゃん……?」
それに喜んでいた私だったけど、次の瞬間、ユニちゃんが放った言葉は私の喜びを打ち砕き、混乱と硬直をもたらした。
「アンタ、どうせアイツから渡された
「……!?!?」
……それは、私が
「そんな、なんで!?」
「やっぱり、持ってたのね」
『ま、当然でしょうけど?』 なんて、当たり前のように言いながら、据わった目をしたユニちゃんは、思わず見てしまった魔剣をくるんだ布を見て、感情を抑えたような口調で淡々と話し出す。
「お姉ちゃんのおこぼれ程度でも、アタシだってトップのシェアを誇っていたラステイションの女神よ? シェアを集めた結果として得られる力の上昇幅ぐらいは分かってる」
そう言いながら皮肉気に笑うユニちゃんは、言外に『シェアを集めても犯罪神に勝てない』と言っていた。
「多分、アイツもその辺は分かってたんでしょうね……だから、シェア以外の解決手段を求めた」
どうやって知ったのかは知らないけど、なんて呟きながら、ユニちゃんは
「アイツの思惑通りってのも癪だけど……まあ、ネプギアに殺られるなら良いわ。その
「そんな…出来ない……出来ないってば…………」
そして、嫌な感じと懐かしさと安心感を同時に感じる方から目を逸らしたユニちゃんは、私が預かった魔剣をくるんだ布を見ながら、魔剣を使ってユニちゃんを殺す事を嫌がる私にトドメを刺した。
「……そう、そんなにイヤだって言うんなら……良いわ! アタシがアンタを殺してあげる」
―――それがイヤなら、殺しなさい?
そう言いながら、さっきまでの戦いでの消耗が無かったのかなって勢いでユニちゃんは私の背後に回り込むと、背中に背負った魔剣をくるんだ布から布を一部だけ剥ぎ取り、刀身の部分を握りながら手元に寄せようと引っ張った。
私も咄嗟に柄を掴んで抵抗するんだけど、血を流しながら物凄い力で引っ張っていくユニちゃんの力には敵わず――ううん、必死に血を流しながら、それでも指を斬り落とさないギリギリを見極めた力で引っ張っていくユニちゃんに気圧されて、上手く力が入らない。
「ユニちゃん!? このままじゃ、ユニちゃんの指が……!?」
「アタシの指なんてどうでも良いでしょう?! そんな事より、この魔剣を使わなきゃこの世界も――いいえ! お姉ちゃんもアタシもこの国も、ゲイムギョウ界だって終わりよ!!」
すごい剣幕で怒鳴るユニちゃんに気圧されたけど、それでも女神化した状態で女神化していないユニちゃんの力に負ける筈もなく
なんとか落ち着きを取り戻した私は、片手で魔剣を必死に抑えながら、布を挟んで刀身を掴むユニちゃんの指を一本一本離していった。
そして、どうにか全部の指を外した直後の事でした。
「ヌワアアアアアアアアアアアアアア?!?!」
『っ!?!?』
唐突に、この大通りのビルの壁を突き破りものすごい勢いで私が持っていた魔剣に直撃して、魔剣の刃を半ばから砕いてしまったのは―――