【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
女神ブラックハートが人払いを済ませたラステイションの大通り
そこでは、片やラステイションの女神ブラックハートとプラネテューヌの女神パープルハートの二柱が、片や少し離れた位置では、その妹であるパープルシスターとブラックシスターの二柱が、それぞれ戦っていた。
「ハハッ! あなたと白黒付けられるなら、こうして殺し合うのも悪くないわね! ネプテューヌ!!」
女神化した事で一見すると特殊な水着の類いにしか見えないプロセッサユニットを身に纏い、女神としての力を完全に振るえるようになった
「そう……私は残念だわ…ノワール」
ブラックハートがその手に持った神器であり、自身の身の丈程もある巨大な機械剣を自慢の速度で振るうのに合わせ、パープルハートは同じく神器であり、身の丈程もある巨大な機械剣を振るい防御する。
「アッハハハハハハハハ!!」
「………っ…」
両者共に宙を舞い、前後左右上下の全方向からとてつもない速さで斬撃を入れようと攻勢に出るブラックハートと、専守防衛と言わんばかりに守勢に回るパープルハート
上位の冒険者程度では微塵に成り果てる程の斬撃の嵐を巻き起こしているブラックハートも、それを捌き切っているにも関わらず息1つ乱していないパープルハートも、現状ではまだどちらも余裕があった。
「行くわよ! 行くわよ行くわよ行くわよ!!」
そんな中、ブラックハートの攻勢は加速的に勢いを増していき、守勢に回るパープルハートも徐々に捌ききれなくなって傷を負う。
その斬撃の嵐は、仮に英雄と呼ばれるだけの力の持ち主であるグロウが4人居たとしても、何等かの特殊な装備でも無ければ成す術なく鱠斬りにされていた事だろう。
幸いにも、速さに主眼を置いた斬撃の数々は、速さを優先したが故にパープルハートへ致命傷を刻む程の威力は無かった(但し女神基準)が、何度も攻撃を受けては命に関わる事に変わりはない。
「っう!? ……ヤァ!!」
「おっと、危ない危ない」
時折、速いだけの斬撃に混じって飛んでくる威力を重視した攻撃を刀身の腹で受けたパープルハートは、その一瞬で力を込めて無理矢理に弾き飛ばした事で、ブラックハートから距離を取って体勢を立て直すのだった。
「っう!? ……ヤァ!!」
「おっと、危ない危ない」
そんなやり取りと共に、少しだけ距離を取った両女神
それを見た俺が思った事は、『期待外れも良い所』だった。
(やはり、魔剣を使わなければ犯罪神には勝てそうにもない……)
そもそも、溜め込んだシェアだけ見ても現状の犯罪神に分があるのに、今更シェアを一国に集中させた程度で勝てる筈もないのだ。
仮に今直ぐ犯罪神からもシェアの供給元である信者を全て奪ったとしても、既に送られているシェアまでは奪えない。
ましてや、三年もの間、ゲイムギョウ界の半分よりも少ないシェアを更に4つに分割した挙げ句に、捕まっている間も女神化していた所為で溜まる以上のシェアエナジーを消耗し続けていた四女神と、三年間ずっと、集まるゲイムギョウ界の半分を超えるシェアを貯め続けていた犯罪神
どちらのシェアが多いかなど、考えるまでもないだろう。
(分かってはいたが、案の定とでも言うべきか?)
更に、トドメを刺すかのように長い幽閉生活で
(だが……)
だからと言っても、残念ながら魔剣は既にネプギアに渡された後だ。
幸いにも、ネプギアから魔剣を奪い取るのは難しくない。寧ろ、簡単な部類だ。
紛いなりにもプラネテューヌに行動の指針を任せた以上、出来る限りそれを破りたくはないが、犯罪神に勝てない方法に固執するつもりもない。
……まあ、どのみち現状では――
(……せめて、こいつさえ居なければ…)
「……?」
―――目の前でプラネテューヌの女神とラステイションの女神が戦っているのに、何故か態々俺の隣に居座っている
そんな事を考えながら、犯罪神を討伐できる可能性が最も高い
「どうかしましたか?」
ハクがこの状況でも変わらず、能面のように張り付いている微笑みを向けてきたのだ。
「……いや、何でもない」
俺は、そう答える他になかった。
「そうですか?何かあるなら、早めに声をかけてくださいね?」
(ある訳ないだろう……仮にあっても、何故お前に声を掛けねばならんのだ)
……まあ、良いだろう。
残念ながら、期待外れだった
あまり期待は出来ないが、少し離れた場所で戦っている
(……せめて、第三候補のネプギアが俺の予想を上回る力を見せてくれれば良いのだがな…)
―――そして、俺はネプギアの気配がする場所へと向かうのだった。
一方で、アナザーが、
「ニンゲン如きが、
一瞬で女神化した
「アイエフさん、危ない!!」
「きゃっ?!」
幸いにも、
「あ、危なかった…」
「アイちゃん!? 大丈夫ですか?!」
しかし、それによってアイエフはネプギアとユニから引き離されてしまい、怪我の有無を確かめる為か、コンパまで離れてしまっていた。
「ふん! やっと邪魔者が居なくなったわね!」
「……ユニちゃん」
邪魔者が居なくなって清々したと言わんばかりのユニと、それを悲しそうに見つめるネプギア
両者の姿は非常に対照的で、近くで今も争っている姉の女神達を彷彿とさせられる光景であった。
「さあ、ネプギア! 武器を構えなさい!」
「……本当に、やるんだね…」
―――そうして、開戦の時は訪れた。
「……行きます!」
ネプギアの全身が一瞬光に覆われ、女神化を完了させたのを皮切りに、
ブラックシスター様とネプギア殿が争い始めて数分程
街への被害を恐れてか、舞台を上空へと移した二柱は、私でも眼で追うのがやっとの凄まじい速さで目まぐるしく戦っていた。
「ヤアアアアアア!!」
「ハアアアアアア!!」
ネプギア殿が手に持ったピンクのレーザーを刃とする白い機械式の銃剣で接近戦に持ち込もうと近寄るネプギア殿と、そうはさせまいと青白いレーザーを放ちながら距離を取り続けるブラックシスター様
両者共に、人間の領域を超えた力を振るい、眼前の敵を『討ち滅ぼそう/無力化しよう』としており、私やあの辺りの地上で上を見上げるだけしか出来ていないアイエフ殿程度では、余程の巧い横槍の入れ方をしなければ邪魔にしかならないだろう。
(……無論、死ぬ気で突撃すれば命と引き換えにネプギア殿の腕くらいは奪えるかもしれないが)
しかし、ここから少し離れた場所で戦っておられるノワール様の方は風切り音こそ聞こえるものの、私には最初から動いていない敵のパープルハート殿しか見えないのだ。
(あちらでは仮に命を掛けて突撃しても、腕処かノワール様に斬られるのが関の山であろうな……うん? 待てよ……それはそれで……はっ?! いかんいかん)
これ以上ノワール様に微塵に斬られる妄想に耽るのは危険だと思った私は、ギリギリ眼で追えるブラックシスター様の戦いへと意識を集中させようとしたのだが―――
(……むっ? あれは――)
ノワール様の闘っている場所の近くにいた筈のアナザーと、何故かリーンボックスに帰る事なくプラネテューヌと行動を共にしているハク殿を見付けた私は、なんとなく嫌な予感を感じた。
「……様子を、見ねばならんな」
そして、私はアナザーの元へと向かった。
なお、これから暫くアトリエ物の執筆と投稿に移ります。
なので、深紅の呪血は次の投稿が相当伸びると思いますが、きっちり完結はさせるから待っててくれると助かります。
アナザー「…元から、誰も待ってないだろう……こんな需要も無いに等しい駄文」
ちょっ!?