【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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今回から、また少し書き方変えます。こっちのが好評なら、これまでのも全部変えるかも


第七十一話

 ここは、機能性を重視した建物がしっかりと区画整理されているラステイションの中でも、特にきっちりと区画整理が成されている大通り

 全盛期に比べれば疎らながらも漆黒人機軍のモノ達や教会の職員達の見回りでそれなりに治安も良く、まだまだ人通りが多いこの通りには当然、クエストを受ける為のギルドも存在していた。

 

「……はい。クエスト完了を確認しました」

 

 そんなギルドの建物の中にあるカウンターでは、受けたクエストの完了をを報告しているネプギアの姿があった。

 

「…他にクエストは有りますか?」

 

「申し訳ありません、今ので未消化のクエストは最後なんです」

 

 他のクエストを受けようとネプギアがギルドの受付嬢に話し掛けるが、ギルドの受付嬢からはもうクエストが無いと言われてしまった。

 

「そうですか……じゃあ、私はこれで」

 

 それを聞いたネプギアは、『ありがとうございました』と言うギルドの受付嬢の言葉を背に、ギルドの建物から立ち去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 やって来ましたラステイション! 主人公オブ主人公なわたしの視点! 広い道をネプギアやアイちゃん達と一緒に歩くわたしは、プラネテューヌの女神ネプテューヌ!

 つい最近まで犯罪組織マジェコンヌに捕らわれてたんだけど、解放されるや否や、何故か早々に復活しちゃった犯罪神マジェコンヌを倒す為、ざっと300年位前に仲良くなったアナザーや、アナザーの友達? 保護者? ……まあ、どっちでもいいけど、リーンボックスの女神ベールの妹のハクちゃんも一緒にシェア集めをがんばってたんだよー!

 

『………………』

 

 ……集めてたんだけどね?

 

(えっ? 何この重たい空気……主人公オブ主人公なわたしの視点なんだから、もうちょっと明るい感じじゃないの?)

 

 いやまあ、確かにわたしも、犯罪神に勝つ為に他所の国からシェアを奪って強くなるってのは思う所もあるんだけどね?

 それでも、わたしはネプギアを支えるって決めちゃった訳で……

 

(だから、もうちょっとネプギアの心に気を使ってくれないかなーって……ダメですか、そーですか)

 

 …………ふう

 ま、しょうがないよね。わたしだって、停戦協定を結んだ数週間と3年ちょいの人質もとい女神質生活を共にしたノワールやブラン達の敵になるのは思う所があるんだし

 いーすんからネプギアの冒険を聞いた限りだとノワールの妹のユニちゃんを中心に仲が良いお友達作ってたみたいだし、()()()()()()()()()()()のわたしよりも思い入れは強いよね。是非もナイネ!

 

 そう、思ってた途中だった――

 

「これ以上、私の国で勝手な真似はさせないわ!」

 

「……ああ、やっと来たのか?」

 

―――ノワールが、ユニちゃんと一緒に目の前に立ち塞がったのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 ノワールとユニが、ネプギア達の前に立ち塞がる数十分前の事だった。

 ラステイションの教会の中枢に在る女神ブラックハートの執務室では、部屋の主であるノワール、妹のユニ、教祖のケイの三人が、顔を合わせて話し合いをしていた。

 

「……やれやれ…随分と、人の国で好き勝手してくれてるようだね。まさかシェアの半分を持って行かれるとは……」

 

「…そう」

 

 渋い顔をしながら、教祖である神宮寺 ケイはノワールに現状を報告する。

 その報告を受けたノワールは、チラリと複雑そうな表情をしているユニを見て一瞬、心配そうな表情をしたものの、即座にラステイションの女神としての顔になって次の行動に移った。

 

「グロウ!」

 

「……ああ、彼に用があるのかい? 確かに、この状況を監督させるにはちょうどいい人材だが……」

 

「あ、じゃあアタシがグロウを呼んで「その必要はないわ」く、る……えっ」

 

 ノワールが唐突にグロウの名を呼ぶと、ケイはこの状況を報告させるのにちょうどいいと述べ、ユニは別の場所で書類整理を行っているグロウを呼びに行こうと扉の方へと向かう。

 しかし、ノワールは扉の方へと向かうユニを止めた。

 

「はっ!!」

 

『えっ……!?』

 

 それと同時に、急に『すっ』と音も立てずに床が持ち上げられ、グロウが現れた。

 そこから素早く出て、外した床も音を立てず元に戻したグロウは、一昔前の王様に仕える騎士のように片膝を着いて頭を垂れた。

 それを見たユニとケイは、それぞれ内包した意味合いは違いながらも驚き、ドン引きしたような表情をグロウへと向けた。

 

「グロウ、あなたに聞きたい事があるの……答えてくれる?」

 

「はい!なんなりと」

 

 しかし、そんな教祖と妹(ケイとユニ)の事は気にも留めず、ノワールはグロウへと問い掛ける。

 またグロウも、己の主人(ノワール)への過剰なまでの忠誠心(被支配欲)故か、あくまでも同輩でしかないケイも、あくまでも己の主人の妹でしかないユニの事も(流石にユニに関しては多少は意識を割いていたようだが)気にせず、面を上げて何処までも狂信に曇った眼差しをノワールへと向けながら、ノワールが掛ける問いを待っている。

 

「……そう、なら聞くわ」

 

 そんなグロウを見たノワールは一瞬だけ不安そうな表情をしたものの、グロウへの信頼故か、それとも表情には出ていなかっただけで先程のグロウの現れ方にドン引きでもしていたに過ぎなかったのか、直ぐに普段通りの勝ち気な表情に戻り、誰にも気が付かれる事はなかった。

 

「……ねえ、あなたは、その短い人間の一生を縛られて生きるのと、自由に生きるの、どっちが好き?」

 

「縛られる方です! いえ、寧ろ縛ってください!」

 

『………………』

 

 ……即答だった。

 ノワールも、一応どんな答えが返ってくるかは予想出来ていたようだが、あまりの興奮具合と即答振りに絶句しているケイとユニ共々、ドン引きしたと言わんばかりの表情でグロウを見るが、ノワールからしか見えないそんな眼差しさえ気持ちいいと言わんばかりのグロウの表情に更にドン引きし、若干表情が引き吊っていた。

 

「…………ええ、良いわ。なら、縛ってあげる」

 

 しかし、ノワールもノワールで色々と思う所でもあったのか、軽く頭を振って表情をドン引きしたような状態から真面目なものに戻すと、最期の最後まで束縛を望むグロウへと、最後になるかもしれない命令を与えた。

 

「これから、私はネプテューヌと決着を付けに行くわ」

 

 懐古の念を滲ませながら、ノワールはネプテューヌ(ライバル)への想いを露にする。

 

「ただ、仮にネプテューヌに勝てても犯罪神には敵わない……犯罪神に直接神器を叩き付けた私は、そう確信しているわ」

 

 それと同時に、犯罪神には敵わないと言う本音を述べる。

 

「だから……これは()()()私がネプテューヌに負けたらの事だと思ってちょうだい」

 

 『もしも』の部分を強調しつつ、ノワールグロウへと、最後になるかもしれない命令を与える。

 

「もしも、私がネプテューヌに負けたら、あなたは―――――」

 

「はい。ノワール様……私は、何があろうともその命を遂行して見せます」

 

 その命令を受けたグロウは、珍しくノワールに対するドM精神全開の状態を押し込めて、極めて真面目な表情でそれを遂行すると誓った。

 

「ふふっ…それを聞いて安心したわ」

 

 その返事を聞いたノワールは、安心したような表情で微笑みながら扉へと歩き出す。

 

「それじゃあ、まずはネプテューヌを征伐しに出掛けるわ!後に続きなさい!ユニ!」

 

「…………はっ!?あ、うん!分かったわ!お姉ちゃん!」

 

 そんな姉妹の様子をまるで目蓋に焼き付けるように、グロウは見ていた。

 

 

 

 

 

 

 しかし、誰一人として気が付かない。

 その選択では、何も守れず、何も得られないと言う事を

 悲愴の果てにあるのは、ただただ破滅、それだけだ。

 このゲイムギョウ界(世界)は、救われない。




次の投稿には、今の倍近く掛かるかもしれません。
……トトリが、難しいですorz

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