【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血 作:APOCRYPHA
プラネテューヌの各ダンジョンで暴れ回り争った俺とハク
「……ふぅ」
「…ク、クソォ……orz」
結果はいつもの通りとでも言うべきか、あれほどまでにパワーアップした筈にも関わらず、俺の負けと言う形で幕を引いた。
「…は、放せぇ……」
「ダ~メ、ですよ?運んであげますから大人しくしててくださいね?」
俺の後頭部を左手一本で掴んだまま空を飛ぶハク。
態々顔が見えるようにした上で話しかけてくる為に見える表情こそにこやかだが、その意図は明白だった。
どう考えても、これ以上暴れたら殺すと言う脅迫だろう。
…………まあ、そんな事はどうでも良い。
「クソッタレ……何が、足りないんだよ……orz」
あれほどまでに強大なパワーを手に入れても尚、何故かハクには届かない。
結局の所は、その一点こそが最大の問題であった。
何時ものように支配下に措いた血は殆どが右手から放つ光によって蒸発させられ、あの黒い力さえも問答無用で消し飛ばされた。
際限無く湧き上がった力を振るえば多少の善戦こそ出来たが、それだけだった。
攻撃の全てを凌ぎきられ、黒い力の反動によって起こった肉体能力の低下で真っ向から叩き潰されたのだ。結果は惨敗としか言いようがない。
「あ、そろそろプラネタワーに着きますよ?」
「!?」
(他の女神連中でも一時間は掛かりそうな距離だったにも関わらず、数分で着く……だと…………!?)
本格的に可笑しい。
こいつの力の総量自体は間違いなく他の女神連中が犯罪組織に取っ捕まった時と然程の差はない筈だ。
なのに、このタイミングで急激なパワーアップだと……?!
あり得ない!仮にパワーアップしたとしても、
「じゃあ、その物騒な剣は没収ですからね?」
―――そんな事を考えていた俺だったが、空いている右手を向けて催促するハクによって思考を中断せざるを得なかった。
「ちっ…そら!」
「はい。確かに、預かりましたからね?」
宙吊りでプラネタワーにまで連れて行かれている俺は、大人しくゲハバーンとの同化を解除してハクに渡したのだった。
そのまま地面に降ろされた俺は、ほぼ同時に降り立ったハクと共にプラネタワーへと入って行く。
「では、これからの事を共に考えましょう?」
やはり、相変わらずのにこやかな表情で俺に話し掛けてくるハク。
とてつもなく忌々しいが、力では正面から叩き潰され、ゲハバーンも剥奪された俺には最早どうしようもない。
「ふん……好きにしろ」
「ふふっ」
勝手に俺の隣に居座っている微笑んでいるこの女が、
アナザーとハクが争っている最中、プラネタワーでの事
「ほら、ネプギア…元気出しなさいよ」
「ギアちゃん、あの2人は最初っからずーっと、あんな感じだったですよ?」
「うぅ…はい……」
そこでは、アナザーから徹底的に邪険にされてへこんでいるネプギアを残った面々が慰めていた。
「ネプギアさん…落ち込んでいる所悪いのですが、これからの事を話しませんか?」
「ちょ、いーすん?まだネプギア立ち直れてないからね?」
「……お姉ちゃん、私はもう大丈夫だから…こうしてへこんでる時間なんて、ないもんね……」
「ネプギア…うん。ネプギアがそう言うなら……」
一通り慰めが終わった頃を見計らい、イストワールはネプギアへ今後の展開を決めようと持ちかける。
それに『まだ立ち直れていないから』と待ったをかけたネプテューヌだったが、他ならぬ
「では、これからの事ですが……ラステイション、ルウィー、リーンボックスの順にシェアを集めましょう」
「……はい。まずは近場から、ですよね……」
「うん。わたしもそれで良いと思うよ」
イストワールが最初にシェアを集める場所をラステイションにするべきだと伝えると、ネプテューヌとネプギアは思う所があると言いた気な表情こそしているが、概ね賛同の意を示す。
アイエフやコンパ等の面々もこの采配には文句がないらしく、特に抗議の声が上がる事はなかった。
「さて、問題は……」
「……アナザーのやつ、ですよね……」
『あー……』
イストワールの言葉を引き継いだアイエフがそう言うと、その場にいたネプテューヌ以外の全員が遠い目をしながら上を見上げる。
「えっ?なんで?アナザーはあれで意外と良い?人…人?……鬼だよー?」
「ネプテューヌさん……後でこれまでの事は教えてあげますから、ちょっと黙っていてください」
「(′・ω・)」
「でも、アナザーさんだって犯罪神を倒してゲイムギョウ界を守りたいって気持ちは同じ筈ですし……」
「コンパ……本当に、そう思ってるの?」
「…………ごめんなさいです」
ネプテューヌとコンパはそれぞれアナザーを擁護したのだが、イストワールとアイエフの反論によって擁護する事を早々に諦めた。
「とりあえず、あの魔剣はこちらへ引き渡していただくとして……」
「問題は、
そんなイストワールとアイエフの会議は、ハクがアナザーを伴って帰ってくるまで続いた。
因みに、ハクはアナザーの頭を蒸発させる為に左手で後頭部を掴んでいた訳ではありません。偶然です。