【更新停止】紅次元ゲイムネプテューヌ 深紅の呪血   作:APOCRYPHA

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第六十九話

アナザーが頭を抑えながらフラフラと帰って来た早朝から数時間後

プラネテューヌ教会を内包しているプラネタワー

その上部にある謁見の間で魔剣ゲハバーンの扱いを決める会議が始まっていた。

 

『………………』

 

……とは言っても、重苦しい雰囲気からか謁見の間は静寂に包まれていたが

 

「……で、決まったのか?」

 

「うん、決まったよ」

 

「そうか、ならばさっさと「ささ、ネプギア!ちゃちゃっと言っちゃって!」…………ああ、お前が決めたのか」

 

「……はい」

 

相変わらず、アナザーはそんな重苦しい雰囲気を気にもせずに左手と柄が同化しているゲハバーンを右手で指差しながら、ネプテューヌに視線を向けてその扱いを尋ねていた。

しかし、ネプテューヌの発言で決めたのがネプギアだと知ると、途端にやる気が失せたかのような表情を向けて面倒臭そうにネプギアへと視線を向けた。

 

「……まあ、良い。それで?どうするよ?」

 

「…私は、その剣は使うべきではないと思っています」

 

「だろうな。お前に限らず、女神と言う存在は本能的にこの剣を忌避するように出来ている」

 

そして、魔剣を使わないと口にしたネプギアに対して、ほっと一息を吐いた女神達を中心に重苦しい雰囲気が霧散するのとは対照的にアナザーは完全に興味を失ったとでも言いたげな眼差しを向けながら、投げ遣りな口調で問い掛ける。

 

「……で?封印して全滅を選ぶと?俺としては封印して全滅しようが魔剣で壊滅しようが大差は無いと思うが?」

 

……そう、結局の所、問題は何も解結していないのだ。

犯罪神への対処に魔剣を使って1人か2人生き残るか、封印を選んで全員死ぬか

その程度の違いでしかなく、いずれにしても女神の大半が喪われる結果にしかなりえない。

 

「いいえ、私は封印も選びません」

 

「なら、どうする?どの道、犯罪神をどうにかしない限りこのゲイムギョウ界は終わりだが」

 

魔剣も封印も選ばないと言ったネプギアにざわつくネプテューヌを除いた全員(周囲)を気にすることなく、アナザーはどこまでも無関心に問い掛ける。

……まるで、次に出て来る言葉を()()()()()と言わんばかりに

 

「……このゲイムギョウ界に存在する全てのシェアを、1つの国へ―――プラネテューヌに集めます」

 

『なっ……?!』

 

そして放たれたネプギアの宣言に驚いたのは、アナザーを始めとする一部の例外を除いたこの場に居るほぼ全員だった。

 

「待ちなさい!何を言ってるの?!あなたは!」

 

「えっ…だから、全てのシェアを「そう言う事を言ってるんじゃないわ!!」はうっ?!」

 

「……言うまでもないが、それをノワール様が呑むとでも思っているのか?」

 

「やれやれ、若いと言うか青いと言うか……」

 

まず、ノワールが全てのシェアをプラネテューヌへ集めると言ったネプギアを睨みながら怒鳴り付け、それに追従するようにグロウとケイが冷めた眼差しと呆れた表情を向けながら却下の二文字を叩き付ける。

 

「わたしも、賛同できません」

 

「同じく。どうしてもやると言うなら、リーンボックスでやれば良いじゃない」

 

「うむ。リーンボックスでと言う選択肢には同意しないが、プラネテューヌでやる理由がないのは確かだな」

 

更に、箱崎チカと西沢ミナの両名が同じく却下の意を述べ、それに補足するようにグロウがプラネテューヌでやる必要が無いと口にした。

 

「そんな……」

 

「あなたは、考え直す気はないの?ルウィーのシェアを脅かすなら、敵と見做すしかない」

 

「「…………」」

 

「どうしてもと言うなら、プラネテューヌとは敵対せざるを得ませんわ」

 

「……」

 

そこへ、ルウィーの女神であるブランとリーンボックスの女神であるベールがネプギアを睨みながら宣戦布告を発し、双子の候補生達は片やネプギアを悲しげに見つめ、片やネプギアを睨みながら武器である杖を構えている。

 

「私達が争ってる場合じゃないのに……」

 

「アンタが選んだ選択は、そう言う事よ…ネプギア……」

 

そうして、ユニの言葉を皮切りに各国の教祖や女神達は、口々にシェアを一国へ集中させると言ったネプギアへと非難の言葉を投げ掛けながら、1人、また1人と教会を立ち去っていった。

 

「…みんな………」

 

一方で、シェアを一国へ集中させると言ったネプギアの言葉に驚かなかった一部の例外達はと言うと―――

 

「実に下らん茶番だった……が、まあいい。シェアを集めれば犯罪神に勝てると言うのなら、精々やれるだけやってみるといい」

 

「あらあら……」

 

「…ネプギア……」

 

アナザーはネプギアの選ぶ手段から結果まで、全て予想通りとでも言いた気な表情で国へと帰って行った他の女神や教祖達を嘲笑い、ハクは相変わらずの微笑みでしょんぼりしているネプギアへとジアイの眼差しを向け、最初から知っていたネプテューヌは覚悟を決めたような表情にうっすらと諦感を滲ませながらネプギアを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これにて、破滅への道は拓かれた。

絶望の序曲は覆すべからず。されど破滅の運命は覆すべし

緑の妹神は何も救えず

紅の悪鬼は総てを破滅へ導いた

紫の妹神の決断のみが、破滅の運命を覆す最後の鍵となる。




オマケ その後の謁見の間

アナザー「……時に、何故お前がここにいる?」

ハク「ダメですか?」

アナザー「いや、お前の姉は帰ったんだからお前も帰れよ」

ネプギア「あ、あの、アナザーさん、折角残ってくれたんですかr「お前の話は聞いていない」はうっ?!」

ネプテューヌ「ネプギア……」

アナザー「兎に角、お前はさっさと帰れ」

ハク「丁重にお断りします」

アナザー「ふざけるなぁ!!」

ハク「もう、しょうがない人ですね……」

アイエフ「や、やめなさい!?アンタ等が争ったらプラネタワーが崩壊するわ!!」

イストワール「お願いですからケンカでしたら外でやってください!!」

コンパ「ケンカはダメですよ?!あいちゃんもいーすんさんも、ケンカを止めてくださいです!」

アナザー「良いだろう!ハク、表に出ろや!!」

ハク「はあ、しょうがないですね……」

アナザー「(ブチッ)魔剣の錆びにしてやらああああああああ!!!!」

その後、プラネテューヌに存在する幾つかのダンジョンが崩壊した。

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